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マイナカード自主返納 関東は? 個人情報どうなる できなくなることは

  • 2023年7月13日

マイナンバーカードを「自主返納」した人が、ことし4月から6月にかけ増えていたことが県庁所在地などの自治体への取材でわかりました。カードを返納しても個人情報とのひも付けが残ることなど、自治体の中には説明を強化する動きも出ています。関東の1都6県の状況のほか、返納した場合どうなるのか、不安を感じた場合の確認の方法などをまとめました。

カードに記載情報と記録されていない情報

マイナンバー制度では、国民1人1人に12桁の番号のマイナンバーが割りふられています。一方、マイナンバーカードは、顔写真が掲載されたICカードで、12桁のマイナンバーと氏名・住所・生年月日・性別の「基本4情報」が記載されています。

カードのICチップには、マイナンバーと顔写真のデータ、それに基本4情報のデータ、電子証明書などが記録されています。
それ以外の年金や医療、税といった個人情報は記録されていません。

返納しても個人情報とのひも付けは残る

さまざまな行政手続きを行う際は、年金や医療、税などそれぞれの機関が管理する個人情報とひも付けを行うことで一体的に運用が行われる仕組みです。
このひも付けは、マイナンバーと行われることから、仮にマイナンバーカードを返納したとしても、ひも付けられた状態は残ることになります。

 また、政府は、来年秋に今の健康保険証を廃止しマイナンバーカードと一体化する方針です。
マイナンバーと健康保険証の情報のひも付けは、年金や税などの個人情報と同様にカードそのものには健康保険証の情報は記録されていません。
いまの健康保険証が廃止された後も、健康保険証の情報はひも付けの形で管理されることになります。

返納 使えなくなるサービス

マイナンバーカードを返納した場合、使うことができなくなるサービスもあります。専用サイトの「マイナポータル」は、マイナンバーカードのICチップの中に記録された電子証明書と暗証番号を使って本人確認を行う仕組みになっています。

このため、マイナポータルで、引っ越しの際の転出届の提出、パスポートの取得や更新の手続きなどのほか、年金記録の確認や、住民税や所得に関する情報などの閲覧ができなくなります。
さらに、コンビニなどで住民票の写しなどの証明書の交付が受けられるサービスも使えなくなります。

正しくひも付けか 確認はマイナポータルで

自分の情報が正しくひも付いているかどうか不安がある人は、専用サイト「マイナポータル」で確認できます。
「マイナポータル」は、スマートフォンやパソコンなどにアプリをダウンロードして使います。
自治体によっては、窓口に「マイナポータル」用の端末を設置しているところがあるので、スマートフォンなどがない場合は問い合わせてください。

「マイナポータル」にログインするには、マイナンバーカードと、カードを取得した際に設定した数字4桁の暗証番号が必要です。
スマートフォンの場合は、「マイナポータル」を立ち上げて暗証番号を入力したあとマイナンバーカードを読み取るとログインできます。

「わたしの情報」29項目を確認

「マイナポータル」では、「わたしの情報」としてひも付けられている、税や年金、健康保険証、住民票の情報など29の項目を閲覧することができます。

例えば「健康保険証情報」では、氏名、フリガナ、生年月日、性別、保険者番号などを確認できます。
また、みずから登録した公金受取口座が正しいかどうかも「マイナポータル」で確かめることができます。

〇誤登録されていた場合(連絡先)
・自治体の窓口
・マイナンバー総合フリーダイヤル「0120-95-0178」

暗証番号を忘れたらどうする

気をつけて欲しいのが「マイナポータル」にログインする際の暗証番号の入力です。3回連続で間違えるとロックがかかってしまいます。
ロックがかかった場合や、暗証番号を思い出せない時には、住民票がある自治体の窓口まで出向いて暗証番号を再設定しなければなりません。
その場合、マイナンバーカードに加え、運転免許証などの本人確認書類が必要なケースもあるので、事前に自治体のホームページなどで確認してください。

「自主返納」トラブル判明以降に増加 NHK調べ

マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次ぐ中、デジタル庁は、本人の希望によりカードを返納した件数が、発行開始から7年間の累計でおよそ47万件、このうち、ことし6月の1か月間ではおよそ2万件あったとしています。

NHKは、一連のトラブルを背景に返納数がどのように変わったかを探るため、東京23区、道府県の県庁所在地、政令指定都市のあわせて74自治体を対象に、ことし6月までの月ごとの「自主返納」の数とその理由を尋ね、これらの数を集計していた48の自治体の回答をまとめました。

その結果、「自主返納」の数は、4月は124件、5月は205件、そして、6月は899件と、一連のトラブルが明らかになってから、増えていたことがわかりました。

自主返納 関東地方の自治体では

関東の1都6県で対象とした東京23区、県庁所在地、政令指定都市のあわせて31自治体うち、集計していた19の自治体の回答をまとめたところ、「自主返納」の数は、4月は79件、5月は85件、そして、6月は465件となっています。                                          

関東地方 マイナカード自主返納の状況
自治体 4月 5月 6月 3か月合計
千代田区 0 1 2 3
港区 6 4 16 26
新宿区 13 12 9 34
文京区 0 2 7 9
品川区 0 0 9 9
渋谷区 0 2 10 12
杉並区 3 6 22 31
豊島区 1 1 16 18
北区 0 1 16 17
荒川区 0 1 6 7
練馬区 7 4 48 59
葛飾区 5 3 15 23
横浜市 14 11 140 165
川崎市 6 11 42 59
相模原市 4 1 12 17
前橋市 0 0 4 4
水戸市 7 3 17 27
宇都宮市 3 5 12 20
さいたま市 10 17 62 89

 

このうち横浜市では自主的に返納した人が5月の11件から先月は140件に増えています。また東京・練馬区は5月の4件から6月は48件に増えています。

「自主返納」の数を集計していた19の自治体に返納の理由について聞いたところ、「セキュリティー面で不安がある」、「利用と管理に不安がある」など、制度への不信感を挙げる人が多かったということです。

自治体では説明を強化する動きも

デジタル庁によりますと、カードを返納してもマイナンバー制度のもとで個人情報はそのまま残されます。
自治体の中には、返納した際のデメリットや専用サイト「マイナポータル」で自身の情報を確認できることを伝えるなど、説明を強化する動きも出ています。
このうち、長野市では返納の手続きに訪れた人に対しては再発行には1000円の手数料がかかることを説明しているということです。

政府 閲覧可能な29項目の全データを総点検

マイナンバーカードをめぐる一連のトラブルを受けて、政府はことし秋までをめどに、取得者向けの専用サイト「マイナポータル」で閲覧可能な29項目すべてのデータの総点検を行うことにしています。
政府としては、この総点検を通じて国民の不安を払しょくしたい考えで、引き続き、デジタル社会の実現に向けマイナンバーカードの普及を進めていくことにしています。

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