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コロナ5類1か月 今後の感染者数AI予測やSNS投稿の分析では?

  • 2023年6月9日

新型コロナウイルスの「定点把握」による全国の感染状況は、6月4日までの1週間では1つの医療機関あたりの平均の患者数が前週の1.25倍で、前週から増加が続くのは9週連続です。今後の感染者数はどうなるのか。AI=人工知能を使って試算した結果やSNSに投稿された内容から新型コロナの感染状況を分析した結果などをまとめました。

のどの痛みや発熱を訴える投稿増加

東京大学生産技術研究所の豊田正史教授らのグループは、NTTデータがまとめたツイッターのデータをもとに、新型コロナに関連するとみられる投稿の数を分析しています。

それによりますと、のどの痛みと発熱を訴える投稿の数は4月から増加し、4月上旬には1週間平均での1日あたりでおよそ250件、5類に移行した5月から6月にかけてはおよそ500件となっています。

「第6波」や、「第7波」、「第8波」では、のどの痛みと発熱を訴える投稿の数と感染者数の増減の傾向はほぼ一致していて、豊田教授は現在の状況について「すべてが新型コロナの感染者というわけではないと思うが、新型コロナ自体は増加傾向にあると考えられる」と指摘しています。

“飲み会開催” 投稿増えると感染拡大

また、これまでは飲み会が開かれたと推測される投稿が増えると感染が拡大し、その後、投稿が減少して感染状況も落ち着くという動きを示していましたが、ことしに入って以降、増加傾向が続き、春先からは1日あたり1000件前後と去年からの1年間で最も高い水準となっているということです。

東京大学生産技術研究所 豊田正史教授
「人々の行動は平常に戻っていると考えられ、しばらくは増加傾向が続くのではないか。5類に移行したあと、人々が感染者数に注意を向ける機会が減っている。日々の変化が見えるデータをできるだけ多く提供し、状況に応じた感染対策を自分で決められるようにすることが重要だ」

5類移行後の1か月間 “事前の予測と同じ傾向”

名古屋工業大学の平田晃正教授のグループは新型コロナの感染者数やワクチン接種や感染による免疫の効果、社会活動の活発さを示す「飲み会」や「バーベキュー」といったSNSの投稿の数などを元に、AIを使って感染者数の予測を行っています。

平田教授らはことし4月、東京都の1週間平均での1日あたりの感染者数について、さらに感染力が強い変異ウイルスが現れず、夏ごろには人出がコロナ前の水準に戻る想定で予測したところ、しばらく増加が続くものの急増はせず、6月上旬には2000人程度で横ばいになるという見通しを示していました。

感染者数の定点把握のデータを分析すると、5類に移行してからの1か月間、感染者数はおおむね事前の予測と同じ傾向で推移しているということです。

AIを使った予測 7月に人出が戻ると…

さらに、今後の感染者数について7月に人出がコロナ前の水準に戻る想定でAIを使って予測すると、東京都の感染者数は今月中旬から下旬にかけて増え始め、8月中旬にはマスクの着用率が50%の場合はおよそ4400人、20%の場合はおよそ5300人、マスクの着用率が20%で、変異ウイルスの「XBB」系統のうち感染力が強いものが増えるという想定では、およそ6700人となったということです。

“今後、感染リスクは上がる”

平田教授は、気温が上がってエアコンの使用が増えて換気が不十分になることや、免疫は徐々に下がってくること、それに人々の活動が活発になることから、今後、感染リスクは上がるとしています。
一方、平田教授は5類への移行に伴って毎日の感染者数が把握されなくなり予測の精度は下がっているとしていて「複合的なデータを利用できる環境を構築することが重要だ」と話しています。

定点把握 感染者数は前週比9週連続増加

厚生労働省によりますと6月4日までの1週間に全国およそ5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から4568人増えて2万2432人となりました。1つの医療機関あたりの平均の患者数は4.55人で前の週の1.25倍となりました。前の週から増加が続くのは9週連続となります。

厚生労働省
「比較的低い水準だが全国的に緩やかな増加傾向が続いているほか、沖縄県では感染が拡大しているとみられ、今後の感染状況を引き続き注視したい」

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