千葉県銚子市にある「千葉科学大学」を運営する学校法人「加計学園」は、銚子市に対し、大学の「公立化」を要望しました。
「公立化」とは何なのか、なぜ「公立化」を目指すのか、大学の経営状況は。担当記者がお伝えします。
(千葉放送局銚子支局記者・岡根正貢)
そもそも「千葉科学大学」ってどういう大学なのかな?
千葉科学大学は、銚子市の誘致活動を受けて、岡山県の学校法人「加計学園」が平成16年に設置した私立大学です。
市が大学の敷地を無償で貸与するとともに、設置費の一部の77億円あまりを負担しました。
現在、危機管理学部と薬学部、看護学部の3つの学部があり、大学のホームページによると、ことし5月1日時点で、大学院も含めて約1500人の学生が通っています。
千葉科学大学が「公立化」を要望したということだけど、具体的にはどういうことを望んでいるの?
現在、大学の運営は学校法人「加計学園」が行っていますが、銚子市に新たに「公立大学法人」を立ち上げてもらい、運営を移行してほしいということなんです。
「公立大学法人」への移行は、地方独立行政法人法で定められた制度で、これまでに高知工科大学や静岡文化芸術大学など、10を超える私立大学で行われてきています。
どうして公立大学を目指すのかな?
学費の収入だけでは、大学の運営が厳しいということがあります。
市が設置する公立大学となることで、市には運営費の一部が国からの地方交付金の中で手当てされ、運営費は学費収入と市からの拠出の両方で賄うことになります。
大学の経営を安定化させるため、そもそも大学を誘致した銚子市に公立化を相談したといういきさつです。
なかなか運営に苦労していたんだね。
千葉科学大学は3つの学部でいずれも定員割れとなっていて、今後さらに少子化が進むと、いっそう厳しい経営環境に置かれることが想定されます。
学校法人側は、公立化によって市から運営費の一部が拠出されれば、学費を安くするなどして学生を集めやすくなるとしています。
銚子市は要望に対してどういう対応をするの?
有識者による委員会を立ち上げて、議論することにしていますが、やはりポイントは運営費をどう賄うかです。
人口の減少が著しく、財政が厳しい銚子市ですので、一般の財源には手を付けずに、国からの地方交付金の範囲内で拠出する形でも運営が可能なのか、各方面から意見を聴いて検討することにしています。
越川市長は記者会見で次のように話しています。
越川信一 銚子市長
大学を取り巻く環境は大変厳しい。存続することを強く望むが、一方で、市の厳しい財政状況を勘案すると、新たな財政負担に耐えられるかという課題もある。公立大学法人化の可否を慎重に判断していきたい。
まだ今後の行方は分からない状態なんだね。
今回はまだ、市が「公立化」の要望を受けて検討を始めることを明らかにしただけで、対応の決定は先になります。
市がそもそも大学を誘致したという経緯を踏まえて、どのような判断を行うのか、注目しています。