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イスラエル直行便 成田空港で帰国者は何を語った? パレスチナ ガザ地区 軍事衝突

  • 2023年10月13日

イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突が続いています。イスラエルとの直行便が週に2往復運航されている成田空港では、12日にテルアビブからの便が到着。日本に降り立った搭乗客に聞くと、安どの声が漏れるとともに、現地に残る家族や友人を心配する声、そして「罪のない市民が犠牲になるのは許されない」という訴えが聞かれました。

(千葉放送局成田支局記者 佐々木風人)

ハマスが10月7日にイスラエル側に大規模な攻撃を仕掛けた報復として、イスラエル軍は12日も、ハマスが実効支配するガザ地区に対して激しい空爆を続けています。イスラエル側、ガザ地区ともにこれまでに多くの死者が出ています。

こうした中、イスラエルとの間に直行便が運航されている成田空港では、12日午後、最大の商業都市テルアビブからの便がほぼ満席で到着しました。搭乗客は現地の緊迫をどのように感じたのか、どんな思いで日本の地を踏んだのか。到着ロビーで話を聞きました。

 

最初に話を聞くことができたのは、9月下旬から観光でイスラエルを訪れていたという女性です。

「滞在場所は安全でしたが、日本にいる家族や友人が心配して、これ以上心配をかけられないと帰国を決めました。これからボランティアなども必要になると思うので残っていたい気持ちもありましたが…。帰国のための航空チケットは、私が最後の一枚でした。テルアビブの空港に着いてから、私のいた北部周辺でもサイレンが鳴ったと聞いて怖くなりました。いまは帰国できて安心していますが、イスラエルにいる友人が心配で、複雑です。一刻も早く収束して欲しいです」

イスラエルの企業で働いていて、家族とともに避難してきた日本人の男性からも話を聞くことができました。

「住んでいたテルアビブの北部の都市・ヘルツェリアでは、攻撃開始前も年1回は攻撃に警戒するサイレンが鳴っていましたが、今回は頻繁にサイレンが鳴り、そのたびにシェルターに避難していました。政府から『今後攻撃が激しくなったときに備えて72時間分の水と食料を確保するように』と通知があったからか、街では食料の買いだめが起きていました」

佐々木記者

今回帰国を決めたのは?

「子どもたちの通うスクールも休みになり、いつ再開するかもわからず、今後情勢もどうなるかわからないので、家族の安全を確保するために帰国することにしました。これまでサイレンや最新のニュースに気を配る毎日でしたが、日本に帰国できてほっとしています」

佐々木記者

今後についてどんな思いがありますか。

「罪のない市民が犠牲になるのは心が痛み、許されることではないと思います。一方、イスラエルもガザ地区の非戦闘員を攻撃していますが、周囲のイスラエル人の友人たちはそんなことは望んでおらず、お互い共存したいと思っているはず。早く停戦して、イスラエルで家族の生活を再開できるようになってほしいです」

そしてもう一組、女性と中学生の親子にも出会いました。女性の夫はイスラエルにある日系企業で働いていて、現地に残っているといいます。

佐々木記者

7日に攻撃が始まって以降、街の様子はどうでしたか。

「住んでいた地域はそれほど差し迫った危険はなかったですが、遠くでは『パンッパンッ』と乾いた音が聞こえ、ほぼ毎日鳴るサイレンに身構える毎日でした。カフェでのおしゃべりなどにぎやかだった街は静まりかえり、怖くて、外出したのは物が足りなくなって目の前のスーパーに行った1回だけ。外出している間にもサイレンが鳴ったらどうしようと思いました。帰国できて自分の安全は確保できましたが、夫の退避のめどは立っておらず、お世話になったイスラエルの人もこれからどうなるのかと思うと、複雑な心境です。イスラエル人の知り合いの子どもたちが兵役に行って連絡が取れないという話も聞き、切ない思いです」

「サイレンが鳴ると最初は何が起きているか、いつまで続くのかもわからず、怖かったです。私は避難できましたが、友達も父もイスラエルに残っているのですごく心配です」

アメリカやヨーロッパなどの航空会社ではイスラエルとの間の便で欠航が相次いでいるということですが、成田便を運航するエルアル イスラエル航空によりますと、今のところ週2往復の成田便は今後も通常通り運航する見通しだということです。

  • 佐々木風人

    千葉放送局成田支局

    佐々木風人

    帰国してきた女性が、現地で鳴り響くサイレンの録音を聞かせてくれました。サイレン音はとても不気味で、現地で起きていることを想像させました。引き続き、成田から発信を続けていきます。

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