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相次ぐ子どもの転落事故 ベランダ、窓、すぐできる対策は

  • 2022年11月11日

マンションなど高層住宅から幼い子どもが転落する事故が相次いでいます。事故を防ぐには何が必要か、専門家に聞きました。

“タワマン”の25階から転落

11月2日午後2時過ぎ、千葉市美浜区の高層マンションで、25階の部屋から幼い子どもが転落して亡くなりました。まもなく3歳の誕生日を迎える男の子でした。
捜査関係者によりますと男の子は1人で昼寝をしていたということで、警察は男の子が目をさましたあとベランダから誤って転落したとみて詳しい状況を調べています。ベランダの柵の高さは、およそ1メートル20センチでした。

転落事故があった千葉市の48階建て高層マンション

相次ぐ転落事故 3~4歳児に多い

子どもの転落事故は相次いでいます。
10月には、東京・江戸川区の都営住宅で12階の外廊下から4歳の男の子が誤って転落して死亡したほか、5月には、東京・江東区のマンションで小学生の女の子が4階のベランダから転落して大けがをしました。

10月に転落事故があった江戸川区の都営住宅

国の人口動態調査によりますと、14歳以下の子どもが建物から転落して死亡した事故は、2020年までの10年間で124件に上っています。年代別にみると、2020年までの5年間の死亡事故47件のうち、およそ3割(14件)が0歳から4歳でした。
マンションのベランダでいすに乗って転落したり、窓から転落したりするケースがあったということです。

転落を防ぐためにできることは

子どもの転落事故を防ぐためにどうしたらいいか。NPO法人「Safe Kids Japan」の大野美喜子理事に話を聞きました。

大野美喜子理事

 ①生活習慣の変化

新型コロナの影響で起こった生活習慣の変化も背景の1つになっている可能性があると指摘しています。

コロナ禍で外出制限がある中、子どもになんとか楽しい時間を過ごしてもらおうと、企業などではベランダの活用を提案する傾向が出ています。ベランダで本を読んだり、カフェをしたりとベランダの使い方が変わってきています。

②子どもの行動力を過小評価しない
子どもの行動力を過小評価しないことも大切だといいます。

ベランダは建築基準法で柵の高さが110センチ以上あることが定められています。子どもが自分でいすを持ってきたり、エアコンの室外機のような踏み台になるものに上ってしまうと、ベランダの柵に完全に手が届いてしまう。子どもは頭が重いので、身を乗り出すと転落しやすい。子どもの身体能力は大人が考えるより、すごく高いというのを知っておく必要があります。

去年11月に行った実験
去年11月に行った実験

③ベランダでの対策
対策として、まずは、ベランダに物を置かないことだとした上で、やむをえず置く場合にも、柵から60センチ以上離すことが大切だとしています。

柵から60センチ離れていると柵をつかむことはできなくなるので、乗り越えるリスクはなくなります。ただ、家庭によってベランダが狭く、十分な距離が取れないケースがあります。自分の家のベランダの状況をまず、しっかりと把握して、子どもがよじ登れないようにする対策が必要です。

④ベランダに1人で出させない
何より大切なのは子ども1人でベランダに出ることを防ぐことだと指摘します。

子ども1人ではベランダに出られないようにする対策が必要です。「ドアストッパー」という取り付け式の対策グッズも有効です。これを利用すれば、仮に子どもが窓の鍵を開けて、窓ガラスを開こうとしても、途中にあるストッパーにぶつかって、それ以上は開きません。ストッパーをうまく使えば、ベランダに子どもが出てしまうことを防ぐことができます。対策グッズはホームセンターや通販などで簡単に手に入り、これを使えば、子どもがベランダに出ないか、常に気を張る必要もなくなり、保護者の心理的な負担軽減にもつながると思ういます。

国土交通省は、マンションなどの共同住宅を対象に子どもの転落防止などの設備を設置する場合、費用を補助する事業を2022年から始めています。

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