岩間瞳キャスターが取材!「川崎こんにゃく」の魅力

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秋も深まり、これから芋煮会で目にすることもきっと増える「こんにゃく」。
今回は、川崎町で30年以上前から変わらない作り方で親しまれる
「川崎こんにゃく」の魅力に迫りました。

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川崎町にある「国営みちのく杜の湖畔公園」。
コスモスやコキアなどの草花を楽しもうと、多くの人が訪れていました。
そんな園内の休憩所に、川崎こんにゃくはありました。

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こちらが、このお店の名物“川崎こんにゃくのみそ田楽”です。

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さっそく味わってみると、驚くほどの歯切れのよさ!
歯ごたえがシコシコしていて、私が普段食べているこんにゃくとは全く違いました。
店員の北真帆さんは
「子どもからお年寄りまで、普通のこんにゃくとの歯触りの違いに驚かれます。地元の方にも県外の方にも、みなさんにご注文いただきたいです」と話していました。

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このこんにゃくはお土産でも人気だそうで、
地元の特産品のコーナーにもパックが並べられています。

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さらに、この公園で毎年春に開かれる大きなロックフェスティバルでは
川崎こんにゃくのお店が出るのですが、
ことしは2日間で玉こんにゃく、およそ1万串が完売したそうです。

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加工場を訪ねると、川崎蒟蒻加工組合の大宮富雄さん(75)が迎えてくれました。
川崎こんにゃくを1人で作り続けています。
秋は芋煮に観光イベントとこんにゃくを提供する機会が増えるため、大忙しだそうです。

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こんにゃくの加工を見せていただきました。
大宮さんが持っているのがこんにゃく芋。こんにゃくの原料です。

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この芋をすりおろしたものが、大きな容器に入っていました。
実は、これが、川崎こんにゃくの独特の食感の秘密の1つ目。
芋を、細かい粉にするのではなく、このようにすりおろして使うのです。

大宮富雄さん
「これでこんにゃくを作ると、つるんつるんではない、舌に乗せるとざらざらした感じになります」

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かつてはこんにゃく芋の栽培が盛んだった川崎町。
農家は、収穫した芋を、町の外のこんにゃく加工場に出荷したり、
自分でこんにゃくにして売ったりしていました。

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そこで町は特産品としてこんにゃくを売り出そうと、平成3年に加工組合を設立。
5人でこんにゃく作りを始めました。

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その後メンバーは、高齢ということで次々と引退。
いまは大宮さん1人ですが、特産品を絶やすまいと、こんにゃく作りやPRを続けています。

大宮富雄さん
「みんなに手伝ってもらって、いろんなイベントに行きましたね。
川崎の皆さんの顔に泥を塗るのも嫌だから、なんとか真面目にやっています」

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原料のこんにゃく芋を栽培する農家は町ではわずかとなり、いまは多くを町の外から
仕入れているそうですが、こんにゃくの作り方は当初から一切変わっていません。
大宮さん、先ほどのすりおろした芋を、四角い箱型の機械に入れていきます。

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大宮富雄さん
「これはバタ練り機という機械。
こんにゃくを練っているうちにバタバタって音がするからバタ練り機」

中についた羽根が回ることですりおろした芋を練る、この「バタ練り機」。
一度にたくさんのこんにゃくを作るのには向かないため、
使っているのは全国でも珍しいそうです。
でもこれこそが、独特の食感の秘密の2つ目でした。

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大宮富雄さん
「見てもらうと、いっぱい空気が入っているでしょう。
こうやって気泡が入ると、味がしみやすいこんにゃくになるんです」

こんにゃくのかたさや食感は、この“練り方”で決まります。
バタ練り機は、言ってみれば大宮さんの「相棒」。
30年あまりの経験を生かして使いこなしています。

大宮富雄さん
「機械を止めながら手で触ってみて、かたいときには水を2リットル、3リットルと入れて混ぜて、だいたいのかたさにします。全部長年の勘でやるしかないんだよね」

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形になってきました…!
これをゆでれば、川崎こんにゃくの完成。さっそく試食させていただきました。
かんだ瞬間の食感がやはり全然違う…ぷるぷるというより、ざくざくというような
歯ごたえがあるこんにゃくに仕上がっています。

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できあがったこんにゃくをよく見ると、表面にたくさんの穴があります。
これは「バタ練り機」で空気を含ませたおかげ。
しこしこ、ざくざくという歯ごたえを生むのです。

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川崎こんにゃくの魅力を生かす食べ方も教えてもらいました。
それは糸こんにゃくにめんつゆをかけること!
シンプルですが、糸こんにゃくのざらざらした表面にめんつゆがよく絡んで、とてもおいしかったです。
芋の素朴な風味も感じられました。

大宮富雄さん
「本当は加工場に来て、加工場を見ながら食べてもらえれば一番いいですね。
昔のものはなくなっていきますけど、なんとか残していきたいと思っているので、
頑張ってやれるだけやってみます」

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これまで当たり前に食べていたこんにゃくが、こうして作られていること。
そして作り方ひとつでこんなにも食感が変わること。
取材をして初めて気付きました。
昔ながらの手作りにこだわる大宮さんの「川崎こんにゃく」が
これからも守られ続けてほしいと強く感じました。

【取材:岩間 瞳キャスター】



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