【仙台 実況】スポーツ回想録 FIFA女子ワールドカップ2023 ～返り咲こう、世界の頂点！なでしこジャパン～
スポーツ中継を担当する、アナウンサーの深澤健太です。今回は、担当したサッカーの『FIFA女子ワールドカップ2023、1次リーグ第2戦、日本対コスタリカ』の試合を振り返ります。さらに、2011年ワールドカップの優勝メンバー、川澄奈穂美さんに「1次リーグ最後のスペイン戦への期待」も聞きました。
オーストラリアとニュージーランドの共同開催で行われている『FIFA女子ワールドカップ』。
サッカー女子日本代表“なでしこジャパン”が、日本中に勇気と感動を届けたあの歓喜の瞬間から12年。再び、世界の頂点を目指す戦いが始まっている。
1次リーグ初戦はザンビアに大勝した日本。コスタリカとの第2戦は、他会場の結果によっては、勝てば決勝トーナメント進出が決まる重要な一戦となった。この試合で、私が放送をともにしたのは、2011年のワールドカップ優勝メンバー、川澄奈穂美さん。放送直前、日本が初戦から先発メンバー4人を入れ替えたことについて話を聞くと、「厳しい連戦を勝ち抜くためには、代わって出た選手が活躍することがチームとして大切」だと川澄さんが答えた。実際、川澄さん自身も、優勝したワールドカップでは準決勝で初めて先発に抜擢されて2得点の活躍。優勝の立役者となった。その言葉には経験に裏打ちされた説得力があった。
日本時間の午後2時。ニュージーランド南部の都市ダニーデンにあるスタジアムで、試合開始を告げるホイッスルが鳴り響く。初戦の勢いそのままに序盤から攻勢に出る日本。セットプレーやサイド攻撃で決定的なシーンを生み出す。しかし、得点には至らない。「このまま得点が決まらないと焦りも生まれかねないのでは…」と想像していた矢先だった。
前半25分、日本が左サイドへ攻撃を展開し、この試合が“初先発”の猶本光にボールが渡る。
「さぁ、チャンス日本！」
私が声を上げて思わす放送席の椅子から腰を浮かせると、川澄さんも少しだけ体を前に乗り出した。猶本は一瞬ゴール前の味方の位置を確認したあと、すぐにコスタリカのゴールに照準を定める。その直後、利き足ではない左足を振り抜いた。ボールはゴールキーパーの手をかすめてゴール右隅に突き刺さる。
「日本、先制！！」
放送席の私たちも拳を突き出して歓喜。待望の先制点は、川澄さんが期待していた“初先発”の選手から生まれた。
さらに、その2分後。今度は藤野あおばが個人技で右サイドを突破して追加点。初戦は惜しいシーンを作りながら得点がなかった19歳が、ワールドカップ初ゴールをあげた。喜びながらチームメイトに駆け寄る藤野を見た川澄さんも、表情を緩める。
「（藤野が）やったー！って言ってる。可愛い！！」
10代の後輩の活躍を素直に喜ぶ川澄さんの人柄に、私や周りのスタッフも一瞬で和まされたシーンになった。
試合は終始日本ペースで進み、そのまま2対0で勝利。他会場の結果を受けて、日本は2連勝で決勝トーナメント進出を決めた。これで1位通過をかけて、スペインと1次リーグ最後の試合で対することになった。スペインは世界ランキング6位と日本の11位よりも上。再び世界一を目指すなでしこジャパンにとって、強豪揃いの決勝トーナメントを戦う上で重要な指標になる一戦だ。
放送直後、まだ勝利の余韻が冷めやらぬ中、川澄さんにスペイン戦への期待を聞きました。
Qスペイン戦のポイントは？
「自分たちが何をしたいかというところを思いきり表現してほしいなと思います。現時点では、スペインを見ていると、かなり力のあるチームだと思います。難しい試合運び、1試合目や2試合目とはちょっと違った試合運びになると思うんですけど、そういった中で、チームの底力であったりとか、球際のところだったり、細かい、小さいところをかき集めて勝利に繋げてほしいと思います」
Qここまで守備は無失点。ディフェンスには宮城県にゆかりもあって、2011年にともに戦った熊谷紗希選手もいるが、彼女への期待は？
「彼女のリーダーシップは画面越しにも伝わってきますし、守備がこの2試合とても安定してると感じているので、そこは継続してやってほしいです。この2戦は相手が攻撃する場面は少なかったですけど、それはリスク管理ができているという良さ。スペイン戦では攻撃される場面は増えてくるとは思うんですけど、そこで彼女の経験と強さをみせて、日本のゴールをみんなと協力して守ってほしいなと感じています」
Q今日の試合では、コーナーキックで熊谷選手はゴールに迫る惜しいシーンも…
「ホントですよね！（笑）でも、もしかしたら、1次リーグを突破するということを見越して、あえて今回は“おっ”と思わせておいて、決勝トーナメントにゴールはとっておいているのかもしれないですね！（笑）」
注目のスペイン戦、NHKでは総合テレビで31日（月）午後3時50分から生中継します。
さらに、NHK仙台放送局1階では無料でパブリックビューイングも実施。なでしこジャパンにエールを送りましょう！
ガンバレ！日本！！