[戦後75年]戦争について考えてみよう[戦後75年]戦争について考えてみよう

1945年に太平洋戦争が終わってから75年あまりが過ぎました。戦争中にどんなことがあったのか。当時の人々はどのようにくらしていたのか?戦争についてあらためて考えてみましょう。

戦争に関わる動画を活用した指導案

小学校

展開 平和学習とSDGs

執筆者写真 執筆者のコメント 杉並区立八成小学校 
小堂 十

<学習プランの考え方>
小学校では、平和について国語の教材として中学年から扱われており、戦時中の国民生活を題材にしながら心情面から戦争の残忍さや平和の尊さを読み取っている。しかし、なかなか世界という視点から「戦争」や「平和」について考える機会は少ない。SDGsの17の目標の「16:平和と公正をすべての人に」「17:パートナーシップで目標を達成しよう」では、「平和」と「パートナーシップ」とあるように、平和を築いていくには世界市民の協力なくして達成することはできない。そこで、小学校で平和学習を推進していく場合、総合的な学習の時間を中心にして考えていくことが望ましい。その際、十分に配慮していきたいのが教科横断的なカリキュラムマネジメントである。つまり、国語や社会、道徳など各教科や領域で学んだ「平和」に関する内容を生かしていけるよう、学年の1年間の学びを俯瞰的に見ることが大切であり、この考えをもとに、今回の学習プランをまとめた。
「つかむ」段階(2時間)では、既習事項の振り返りを行ったうえで、自分たちの学びの履歴を振り返ったあと、「カラフル!/ぼくの新しいくらし」を活用する。過去の戦争という悲劇から、今現実の世界の中で起こっている「難民」という事実に視点を当て、地球的規模で「戦争」や「平和」について考えるきっかけにしたい。次の「調べる」段階(3時間)では、様々な原因で難民が生まれていることに気付くようにして、さらに「考える」段階(2時間)では、自分たちにできることを模索するようにした。

<SDGsの中での平和学習>
第二次世界大戦後75年が経ち世界に「平和」が訪れたかと言えば、誰もYesと答える人はいないであろう。
自国の安全は確立しようとするものの、戦後も世界のあちこちで戦火は絶えない。SDGsは2015年9月に開催された国連持続可能な開発サミットにおいて、全会一致で採択されたもので、その目的は「2030アジェンダ」として明らかにされている。その前文には、「我々はこの共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う」という力強い宣言があり、「その実現には、人々の知恵や技能の格段の進展や、意識改革を促す教育改革は根幹をなす必須条件であろう。」(諏訪哲郎 2020)とも訴えている。つまり、地球で生活する誰一人も取り残さないためには、全地球人が全力で知恵と力を振り絞っていかなければならず、その中でも教育が果たす役割は大きなものと言える。
SDGsの17の開発目標もそれぞれが独立したものではなく相互の関連性を重視していくことと同様に、学校においても教科間の関連性を生かしたカリキュラムを構成していく必要がある。その中でも「SDGs16」「SDGs17」は他の15の目標の基盤になるものであるだけに、「平和学習」の推進は重要であると考える。

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監修者のコメント東北学院大学 佐藤 正寿

日本の歴史では戦後の平和は75年以上続いています。子どもたちにも「戦争は過去のもの」という意識があります。しかし、世界的に見れば、ここで紹介されているように多くの難民が存在します。この授業では、そのような難民の実情を調べることを通し、SDGsの視点から考えを深めようとしています。自分たちが考えている平和のイメージマップと動画から得られた情報をもとにした難民のイメージマップの違いに、子どもたちは思考をゆさぶられることでしょう。それが「自分たちに何ができるか」というアクションの動機づけになります。平和学習とSDGsを関係づけることで、より深い学びを促す授業プランです。