[戦後75年]戦争について考えてみよう[戦後75年]戦争について考えてみよう

1945年に太平洋戦争が終わってから75年あまりが過ぎました。戦争中にどんなことがあったのか。当時の人々はどのようにくらしていたのか?戦争についてあらためて考えてみましょう。

戦争に関わる動画を活用した指導案

中学校・高等学校

応用 学徒動員の証言から戦争の悲惨さを学ぶ

執筆者写真 執筆者のコメント 関西学院千里国際中・高等部
米田 謙三

日中戦争が拡大すると、軍需生産の拡大が進む一方、民需では労働力不足や賃金の低下が生じ、国民生活が圧迫されました。統制経済が実施されるだけではなく、自由主義的な思想が弾圧され、政党や労働組合も解散させられ総力戦を進める体制が整えられていった経緯や社会の変容の様子について理解して欲しいと思います。
この授業では、日中戦争の拡大が、産業構造や国民生活に与えた影響について歴史的に考察し、考察したことを適切に表現したり、戦局が悪化しても戦争を終わらせる方向に国民が向かっていけなかった理由をグループで話し合い、話し合った内容を発表する体験をメインの活動としてほしいと考えます。
戦局が悪化した後も、戦争を継続させたことが、国内・占領地での過酷な動員や徴発による人々の暮らしの圧迫や、米軍の本土空襲による大きな被害につながったことを改めて今回「NHK戦争証言アーカイブス」から見つめ直し、戦争の悲惨さから平和の大切さ、そして現在日本が行っている地域協力や日本が抱えている周辺諸国との問題について整理し、今後日本が国際社会で果たしていくべき役割についても考えてもらえることを期待します。

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監修者のコメントお茶の水女子大学附属中学校 渡邊 智紀

戦時下の国民生活の様子や変容については、中学校、高等学校に共通して、「平和な生活を築くことの大切さに気付かせ」たり、「平和で民主的な国際社会の実現に努めることが大切であることを認識できるように」したりすることが学習指導要領にも示されており、指導する際の重要なポイントとなります。
この指導案では、戦争当時に生きていた人々の認識や心情が吐露された証言記録を中心として構成された動画が中心的な教材となっています。この動画を活用することは、現代に生きる生徒たちにも、当時の人々と同じような目線の高さから、「戦争」の実態について具体的に考察できるような工夫だと言えます。
また、映像を視聴し、「学徒動員の問題点は何ですか?」という問いについて考える活動は、戦争によって人権侵害が引き起こされるという面を浮き彫りにしていくでしょう。「戦争をすることは、国家によって国民の命や権利を奪う危険性をはらむものである」という、戦争のもつ悲惨さについての深い理解につながるものだと考えます。また、そのような概念的な理解を形成することができたならば、その概念は単に歴史の知識にとどまることなく、公民的分野へ、そして、公民としての資質・能力へとつながっていくと考えられます。
このような、戦争の具体像について知り、戦争とはどういうものかについて考える学習を通して、戦争の悲惨さや平和の尊さについて認識を深め、生徒自身が今後どのように行動していけばよいかを考える機会にしていってほしいと思います。