「気になる汗の悩み」② ~多汗症の症状~

24/04/30まで

健康ライフ

放送日:2024/04/02

#医療・健康#カラダのハナシ

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24/04/30まで

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【出演者】
藤本:藤本智子さん(池袋西口ふくろう皮膚科クリニック 院長)
聞き手:星川幸 キャスター

周囲の人も多汗症への理解を

――汗の病気を専門に研究・治療されている、池袋西口ふくろう皮膚科クリニック院長の藤本智子さんに伺います。
今回は「多汗症の症状」というテーマでお聞きします。
前回、「多汗症」という、多量の汗で日常生活に支障が出る病気について教えていただきました。多汗症は汗がいろんな部位から出てくる、ということでしたね。

藤本:
はい。「多汗症」の場合、手足やわき、頭部、顔面など、汗が出やすい部位があります。それらの一部分だけからたくさん汗が出る人もいれば、おなかや胸、お尻を含めて全身から汗をかく人もいらっしゃいます。

――“汗っかき”という言葉では片づけられない、かなり深刻な状態になるようですね。

藤本:
日常生活に支障をきたすほどの汗は深刻です。
多汗症で起こりうる問題については、ご本人だけでなく、周囲の人にもぜひ理解していただきたいんです。周囲の無理解で、恥ずかしい、など傷ついてしまう方が多くいらっしゃいます。周りの人が理解して配慮してくれるだけでも、多汗症で悩んでいる人は生活しやすくなると思います。

特徴 わきの汗の悩み

――では、どんな特徴があるのか、部位別に教えてください。

藤本:
一番割合の多いのが「わきの汗」で悩んでいる方です。
● 手を上げられない
● 汗染みが気になる
● 発汗に伴うにおいが気になる
などが挙げられます。
具体的には、電車やバスなどでつり革に手を伸ばせない、とか、授業中に手を上げられない、などのお悩みが聞かれます。
わきの多汗症の場合は10代から発症する方が多いので、学校生活や就職活動で制服やスーツなどに染みる汗がとても気になってしまって、大きく影響を及ぼしています。
家族に相談しても、わきの汗で医療機関に行くのは大げさだ、と言われたりして、一人で悩んでいる若者の方が多くいらっしゃいます。

特徴 手足の汗の悩み

――「手足の汗」では、どんな問題が起こりやすいんでしょうか。

藤本:
「手足の汗」の場合は、
● 握手ができない
● パソコンや携帯電話などのモバイル機器が故障する
● ノートがとれない
● サンダルが滑って履けない、転んでしまう
● ピアノや鉄棒など、物をつかんだりとか触れるような動作ができない
● 車のハンドルや包丁などを握ることが怖い
など、あらゆるシーンで支障が出てきます。

特徴 頭部や顔面の汗の悩み

――「頭部や顔面」の汗ではどうですか。

藤本:
「頭部や顔面」では、まず「隠せない」というつらさがありますね。ですので、やはり対人関係に大きく影響しています。
● 会社のプレゼンのとき、汗で集中できない
● 美容室に行くと汗だくになってしまって、髪の毛を切りに行けない
● 新しい人との人間関係を作りづらい
などの問題が生じています。

対処法 わきの汗の悩み

――悩んではいても、医療機関に行くのは抵抗がある、という人もいるかもしれません。
まずやってみてほしい、という対処法はありますか。

藤本:
多量の汗で半年以上困っているのであれば、医療機関を受診していただくのが一番の解決策と思いますけれども、自分での対処法も役立ちます。
まず、「わきの汗」が気になる方の対処法なんですけれども、多くの方が市販の「制汗剤」や「わき汗パッド」などを活用していると思います。
制汗剤を使うのであれば、使うタイミングというのも大切になってくるんですが、星川さんは制汗剤を使うとき、どんなタイミングで使われていますか。

――朝に、出かける前に使うことが多いですね。

藤本:
多くの方がそのように、出かける前などに使っていると思うんですけれども、わき汗で困っているのであれば「夜寝る前に使う」のがベストなタイミングです。

――そうなんですか。

藤本:
制汗剤は市販のものでは、においを抑えるような成分が多く含まれているものも“制汗剤”として置いてあるので、汗を抑えるには「塩化アルミニウム製剤」が入っているものを選んでいただきたいんです。この塩化アルミニウムの製剤というのは「皮膚にふたをする」という役割がありまして、ふたがされることで汗が外に出てこなくなる、という仕組みなんですね。
ですので多汗症の方は、夜寝ているときが汗をかかない時間帯なので、寝る前にきちんとつける、ということが一番よく効くタイミングとなります。

対処法 手足の汗の悩み

――「手足の汗」の対処法はありますか。

藤本:
「手足の汗」というのは、なかなか自分で対処するのが難しいところです。
「環境を整える」ということはすごく大事で、例えば学校の先生などに、手足の汗が多いことをちょっと伝えていただいて、配慮してもらうということもとても助けになると思うんですね。例えば、下敷きなどを使ってテストの用紙に汗がうつり込まないようにして、テストを受けるととてもやりやすいということもありますので、先生に伝えていただくといいと思います。
2024年の大学入学共通テストでは、タオルとかハンカチの持ち込みが認められるようになりました。これは初めてのことで、多汗症の方にはとても朗報だと思います。
ただ、長い間悩んでいるのであれば、一度医療機関を受診してください。

――では、最後に今回のポイントをお願いします。

藤本:
多汗症、周囲の理解が大切です。


【放送】
2024/04/02 「マイあさ!」

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24/04/30まで

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