放送を聴く
21/04/15まで

放送を聴く
21/04/15まで

――子どものころよく鼻血を出す子はいましたけれど、鼻血は本当に身近なよくある症状ですね。

三輪さん: 鼻血は、ほとんどの場合心配はいらないのですが、中には命に関わる危険な病気のサインであることもあります。

――どういう鼻血に注意が必要ですか。

三輪さん: 何らかの病気あるいは薬が原因で鼻血が出やすくなることがあります。
1つは、高血圧動脈硬化によるものです。高血圧や動脈硬化になりますと、血管がもろくなります。そして突然、鼻の奥にある比較的太い血管の周囲から出血することがあります。この場合はかなりの量の出血があります。また、止まりにくいこともあります。
鼻の奥から出血すると、血液がのどにも流れ込んでしまいます。そして血が口からも出たり、また飲み込んでしまうと、あとでドロッとした血液を吐いてしまうこともあります。
このような場合はすぐに耳鼻咽喉科を受診してください。

――ほかにはどういう病気の可能性があるのですか。

三輪さん: 肝臓・腎臓・血液などの病気がありますと、血液中の出血を止める成分を作る働きが低下しますので、鼻血が出たり、出た鼻血が止まりにくくなったりすることになります。

――反対に、心配がいらないのはどういう鼻血でしょうか。

三輪さん: 鼻血が一番出やすい場所は、鼻の1cmほど入ったところです。この場所には血管がたくさん集まっています。そこを指で引っかいたり、ちょっとした刺激が与えられますと、出血します。
鼻血のほとんどはこの部分の出血です。子どもが鼻をいじって出血することが多いのですが、大人でも鼻を強くかんだりこすったりすると出血することがあります。

「鼻をいじっていて血が出た」「鼻に血が混じっていた」という程度の場合は、あまり心配はいりません。ただ、それが繰り返される場合は診察が必要になります。

――「チョコレートやナッツ類をたくさん食べると鼻血が出やすくなる」と聞きますけれど、本当ですか。

三輪さん: 鼻血と食べ物との関係はあまり確かな根拠はなく、迷信のようなものといっていいかと思います。かつてチョコレートといったものが高級品で、お母さんなどが子どもにおやつをあまり与えたくない気持ちから生まれた都市伝説といっていいかもしれません。

――鼻血が出ると、ティッシュペーパーを鼻に詰めたり、血が垂れてこないようにあおむけに寝るなんていう対処法もあると思うのですが、こういうことはどうですか。

三輪さん: みなさん、やりがちな方法ですが、実はすべて誤った対処方法です。

――全部ダメですか。どうしてダメなんでしょう。

三輪さん: たとえばティッシュペーパーを鼻に詰めても、血液がしみこんで止血することはできないですし、さらに鼻の粘膜を傷つけてしまって傷口を広げることもあります。
また、鼻血が止まったあとティシュペーパーを抜くときに、かさぶたが剥がれてまた出血することもあります。

そして、上を向いたりあおむけに寝たりするのは、血が鼻からのどに流れていくことがありますので、鼻血がまだ出ているのか止まったのかが分かりません。
さらに、出血が多い場合には、血液を飲み込んでしまいます。血液は毒ではないんですが、血液に含まれている鉄分が胃で酸化してしまいますと、おう吐してしまいます。その結果、おう吐したもので窒息を起こして、時には命に関わることもあります。

――鼻血が出たときの正しい止血法を教えていただけますか。

三輪さん: 鼻血が出たときは、イスに座って顔を少しうつむかせて、下を向いて、血が出ているほうの小鼻を人さし指で5分ほど抑え続けてみてください。
5分たちましたら、小鼻から指をそっと放して、血が止まっているかどうかを確認してください。
まだそれでも止まっていない場合は、もう1度、同じように小鼻を5分ほど指で押さえてみてください。鼻血が出た側の鼻です。

――5分で止まらなければさらにもう1度5分押さえると、大体は止まるのですね。
では、どういう場合に医療機関を受診するといいでしょうか。

三輪さん: 5分を2回、10分以上小鼻を押さえても血が止まらない場合、あるいは血の出る量が非常に多く、勢いも強く、血がのどの奥に流れるといった状態が続く場合は、すぐに耳鼻咽喉科、夜間などの場合は病院の救急外来を受診してください。

放送を聴く
21/04/15まで

放送を聴く
21/04/15まで