【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2024年4月21日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは「“好き!”をきわめた偉人たち」。
取り上げたのは、趣味・特技など自分だけの世界にどっぷりはまった人々。その「好き!」の熱量は桁外れ。周囲を驚かせ、ついにはあきれさせるほどでした。そんな熱ーい人々の生きざまとは?

江戸時代の後半に洋風画を描いた画家・亜欧堂田善(あおうどうでんぜん)は、子どもの頃から絵を描くのが大好きでした。
ただ、絵に打ち込める環境には恵まれません。それでも、彼は「好き!」の気持ち一つでついには歴史に名を残す画家になります。
そんな亜欧堂田善の足跡を見ていきましょう。


亜欧堂田善は、今の福島県中部・須賀川市に生まれました。
この辺りを治める殿様は、寛政の改革で有名なあの松平定信でしたが、地元の亜欧堂田善の存在は定信に知られるところとなり、何かと気にかけられていたようです。
そんなある日のこと、問題が起きました。

亜欧堂田善の本業は染め物屋でしたが、あまりに絵に夢中になり過ぎ、本業がおろそかになってしまいます。
すると殿様の松平定信から、きつ~く注意されてしまいました。いくら絵が好きとはいえ、本業そっちのけでやるのはまかりならん、というわけですね。
殿様じきじきのお叱りを受け、さすがの亜欧堂田善も絵を描くのをしばらく封印、何年も筆をとりませんでした。
しかし、絵が大好きな亜欧堂田善、これで終わる人ではありません。

数年後、本業の経営を立て直した亜欧堂田善。久しぶりに絵筆をとりました。
すると、びっくり!
何年も絵を描かなかったにもかかわらず、その絵は以前よりずっと上達していたのです。

このことを聞いた松平定信は、亜欧堂田善に尋ねます。
「そちは、どうして絵がうまくなったのだ?」
すると亜欧堂田善は、こう答えました。
「実際に筆で描くことはしませんでした。ただ、夜眠る時、心の中で絵を描きつづけたのです」

DJ日本史「“好き!”をきわめた偉人たち」②