【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2024年3月3日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは「あの戦国武将の上手な叱り方」。人を叱るときは、うまくやらないと心から反省させることが出来ません。下手をすれば相手を傷つけ、恨まれることだってあります。皆さんご存じの有名武将は荒くれ者の侍相手にどうやって手綱をぎゅーっと締めたのか、その見事な叱り方とは?

人を叱るときはどうやって叱るか?
一つは「口で叱る」。昔だったら「手を上げる」こともあったでしょう。
しかし、こうしたやり方は問題が起きてしまうこともしばしば。
そこで口も使わず手も上げず、独特のやり方で叱った武将がいます。それは、あの豊臣秀吉の軍師だった黒田官兵衛(くろだかんべえ)
相手を心の底から反省させるための、ちょっと変わった叱り方とは?


黒田家家中の者は皆、ばくちを打つことを禁じられていましたが、この禁を破った男がいました。桂菊右衛門(かつらきくえもん)という武士です。
菊右衛門はある夜、ひそかにばくちに出かけて大勝ち。そして手に入れた金銀、刀をたんまり抱えて帰る明け方、なんと主君の官兵衛と曲がり角でばったり出会ってしまいました。菊右衛門はあわてて言います。
「ばくちを打っていたのではありませぬぞ」
このとき官兵衛、何も聞かなかった体でその場を去っていきました。

ここから菊右衛門、もんもんとした時間にさいなまれていきます。
「きっと、切腹を申しつけられるだろう」
窮地に陥った菊右衛門のもとに同僚たちが集まってきましたが、やがてその同僚たちに対し官兵衛から呼び出しがかかりました。用があるのですぐに来い、というのです。同僚たちは思いました。
「ああ、ついに菊右衛門に切腹を申しつけられるのだ」

同僚を見送り、その帰りを待つ菊右衛門は、じりじりする心地。今か、今か。
ただ、一向に切腹の沙汰は下りません。一体どういうことなのか?

実は、呼びつけた同僚たちに黒田官兵衛が命じたのは、庭の生け垣作りでした。
つまり官兵衛の真の狙いは、罪を犯した桂菊右衛門に恐怖の時間を与えて反省させることだったのです。

やがて、いたたまれなくなった菊右衛門が官兵衛のもとに行くと、官兵衛はこう言います。
「今朝、曲がり角で会ったときウソをついたのも法度破りを恐れたからだろう。そんなに恐ろしいなら、これからはやるな」

この出来事以降、桂菊右衛門は行いを改め、ばくちとすっぱり縁切り。まじめに仕事に励んでいきました。

DJ日本史「あの戦国武将の上手な叱り方」①