【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2022年11月20日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは「私はこれで、恋に落ちました!」。
人生の大切なテーマ“恋”。そんな恋のはじまり、恋に落ちる瞬間は、思いがけないときにやってくることもしばしば。歴史上の人物は、何がきっかけで恋が芽生えたのか? その“胸キュン”の瞬間とは?


ご紹介するのは、年齢はまだ十代半ば、「八百屋お七(やおやおしち)」と呼ばれる少女の恋のお話です。

江戸時代前半の1682年、江戸で大火事が起きました。
この時、家を焼け出された八百屋の娘・お七は、避難先のお寺で出会った男性と恋仲になります。
ところがその後二人は離れ離れ。
そこでお七は「もう一度火事になればあの人と会える」と思って放火未遂、その罪で火あぶりの刑になってしまいました。

結局最後、八百屋お七の恋は悲しい結末を迎えてしまうのですが、放火にまで至ったこの大恋愛、その始まりとは?
事件から3年後にお七のことを描いた井原西鶴「好色五人女」から、恋に落ちたきっかけを見ていきましょう。


年の瀬も押し詰まった師走のこと。
八百屋の娘・お七の一家は火事で焼け出され、近くの寺へ逃れます。
寺は、避難した人であふれんばかり。
その中に、年の頃はお七と同じ十代半ばの、一人の男がいました。
男は、左手の人差し指をしきりと気にする様子。
どうやら小さなとげが刺さってしまい、毛抜きでとろうとしてもなかなか抜けないようです。

その姿を見かねたお七の母親、代わって抜いてあげようとしますが、手元がはっきり見えずなかなか抜けません。そこで母親、お七に声をかけます。
「お七、お前がとげを抜いておあげ」
お七は男の左手を取って、とげを抜いてあげました。
と、その時です。お七の胸が、ドキリ!

なんと男は、お七の手をぎゅっと、握り返してきたのです。
とたんに、その場を離れがたく感じたお七。
これまで感じたことのない熱い感情が、胸に沸きあがってきたのでした。

DJ日本史「私はこれで、恋に落ちました!」①

DJ日本史「私はこれで、恋に落ちました!」②