旬の人・時の人

2019年09月09日 (月)

国立民族学博物館教授 山中 由里子さん

 

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 人魚や鬼など世界の想像上の存在を紹介する特別展「驚異と怪異-想像界の生きものたち」が国立民族学博物館で開かれています。会場には、真っ黒なクモの背中に白塗りの男の顔がある木彫りの仮面、天使と動物のアルパカ等を組み合わせた首長人形など、ちょっと不気味で不思議なものたち、およそ630点が展示されています。山中先生に見どころなどを伺いました。

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 世界各地で人々が創り出してきた不思議な生きものたちは、「水」「天」「地」に分けて紹介されています。
「天」は、人間の手の届かない神の領域と考えられてきました。鳥人や天馬など翼をもつものは、神の使いと考えられてきました。雷もモチーフになっています。雲に乗った男が炎のような稲妻をたなびかせている中国の「雷公」や手足が紐状に伸び小さな頭と丸い目を持つ「雷神」が描かれたオーストラリア、アボリジニの絵には、雷に対する人々の驚異が表現されています。
深い森や山々も未知の世界、神聖な場所として考えられてきました。「地」のコーナーでは、山に残る大きな石は巨人が作ったと伝わり、動物の精霊をかたどった仮面は、儀礼に使われました。
「水」のエリアで紹介されている人魚。人魚姫のような美しい女性の上半身に下半身が魚の生きものを思い浮かべますが、山中先生に伺うと、人魚の伝説は、世界中にあるそうです。
ソロモン諸島では、頭が魚で体が人の形をしています。アメリカ北部のイヌイットに古くから伝わるものは、頭は女性で鱗に覆われたからだを持ち、尾ひれはアザラシになっています。

 

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人魚のミイラも展示されています。体長は50センチほど、毛の生えた頭部を持ち目を見開いています。かなり不気味ですが、実は江戸時代後期に張り子を得意にする職人が、魚や猫、猿などを組み合わせ精巧に作ったものです。見世物として人気を集めたそうですが、あまりの巧みなつくりにオランダ商人が買い取り、現在はライデン国立民族学博物館が所蔵しています。今回は里帰りの展示となるそうです。
現代でも、アートやアニメの世界で、新たな想像上の生きものたちが誕生しています。山中先生は、人間の“想像”と“創造”の力には、まだまだ尽きないエネルギーが秘められているので、これからどんなものが登場するのか注目していきたいと話しています。
特別展「驚異と怪異-想像界の生きものたち」は、国立民族学博物館で11月26日まで開催されています。

 

 

 

 

 

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