旬の人・時の人

2019年06月10日 (月)

大阪市立大学 特任講師 西田 有佑さん

 

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 日本各地で見られる野鳥のモズは、秋になると餌になるバッタやカエルなどを木の枝に刺して、冬の間の保存食になる「はやにえ」をつくることで知られています。このはやにえが、実は繁殖期の求愛活動にも影響を与えていることがわかりました。

 動物の行動機能生態学が専門の西田さんは、大阪の河内長野市や富田林市の農地で活動するモズの生態を調べました。9月になると、モズは縄張りを決めるので、一羽ずつどこにどの広さでつくったかを確認します。対象は18羽、早朝5時から夕方まで1羽ずつ後を追うという大変な作業です。10月から12月、モズたちがそれぞれの縄張りでつくったはやにえを確認しマーキングします。そして1月から3月にかけて、モズがはやにえをどのように消費するかを観測すると、興味深い傾向が見えてきました。はやにえは、1月にほとんど食べられてしまい、まだ寒い2月には消費が落ちていました。西田さんは、冬の保存食以外の理由もあるのではないかと考えました。

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(撮影 北海道大学大学院 高木昌興教授)

 

2月は、つがい形成期です。オスは求愛行動のさえずりでメスをひきつけますが、さえずりが速いほどメスがオスを好む傾向があります。1月に多くが消費されてしまうはやにえと求愛行動のさえずりに、なにか関係があるのではないか。
そこで、西田さんは、3つの環境をつくりました。①通常の3倍のはやにえがある。②全くはやにえがない。③はやにえに手を加えない。
3種類の縄張りで、鳴き声を録音し比べてみると、はやにえを沢山食べたモズは通常の1,3倍の速さでさえずり、はやにえのなかったモズは通常よりも0,8倍遅い速さでさえずっていたのです。そしてそれぞれのつがい形成率を比べると、はやにえのなかったモズは25%しかつがいになれず、はやにえが多かったモズは、形成率は89%と通常とほぼ同じでしたが、より早くつがいになることができました。はやにえは、モズの求愛行動にも重要な役割があることがわかったのです。
はやにえのように、餌をためる行動をする他の動物でも、同じような意味を持つのか、西田さんの研究が続きます。

 

 

 

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