上越新幹線開業40年 期待と課題
- 2022年11月15日
上越新幹線は11月15日で開業から40年を迎えました。県民をはじめ多くの人の期待を背負って走り続けてきた上越新幹線。開業からこれまでを振り返るとともに、今後への期待や課題について取材しました。(新潟局・草野大貴)
開通、バブル景気、地震 人々と歩んだ40年
上越新幹線は1982年11月15日に新潟・大宮間で開業しました。
緑色のラインが引かれた200系の車両デザインが特徴的で、開業前は新潟・上野間が約4時間かかっていたのが2時間40分ほどに短縮されました。
バブル景気が到来すると、空前のスキーブームに乗ってスキー場直結の「ガーラ湯沢駅」もオープン。
一方、2004年の新潟県中越地震では、営業運転中の新幹線としては初めて車両が脱線。けが人はいなかったものの66日間運行が止まりました。
別れもありました。「Maxとき」の愛称で親しまれた2階建てのE4系が2021年に引退。最終日、JR新潟駅には多くの鉄道ファンが訪れ、感謝のことばを贈っていました。
別れがあれば、出会いも。最新車両のE7系が上越新幹線にも登場。来春にもすべての車両がE7系に統一されます。最高速度も275キロに引き上げられ新潟・東京間の所要時間が最大7分程度短縮される予定です。
“ライバル”「北陸新幹線」の登場
その上越新幹線に2015年3月”ライバル”が現れます。「北陸新幹線」です。東京と金沢を最短約2時間半で結んでいます。
北陸新幹線の登場で上越新幹線にも影響が出ました。北陸新幹線が開業するまで東京から北陸地方に向かう人たちは上越新幹線に乗り、越後湯沢駅で特急に乗り換えていました。JRによると越後湯沢駅では1日あたりの新幹線の乗車数は北陸新幹線が開業する前の2014年度には平均6899人でしたが、開業後の2015年度には3133人に半減しました。新型コロナウイルスの感染拡大前まで最大で3200人台とほぼ横ばいが続き、県内のほかの駅でも利用客の伸び幅は限られました。
「車両」ではなく「新潟の魅力」
上越新幹線は今後どのような姿を目指していくのか。JR東日本新潟支社の小川治彦支社長に聞きました。
Q 北陸新幹線開業でどのような影響が?
小川支社長 日本海側へ向かうという関心が高まるという意味では、北陸新幹線と一緒に発展していけるんではないかと思います。ただ方面として同じとはいえ旅行する層はかなり違う。例えば新潟と金沢を周遊するかというとちょっと遠すぎると思いますので、そこはおのおのが努力していくところなのかなと思います。
Q 今後の戦略は?
小川支社長 私はその車両そのものに何かちょっと変わった独自性を持たせて乗りに来ていただくのは大きな方向性としてはそれほど重視していないというか、あまり魅力的な施策だとは思いません。旅行の志向にあわせて、そういった旅行を応援していくというような形が今後の方向性かなと思います。
上越新幹線は2時間という首都圏が非常に近い距離にあってトンネルを抜けると、里山であるとか、雪であるとか海山にあっという間に触れられる。そういった魅力は上越新幹線の特性だと思いますので、そういった特性を生かしてお客様に新潟の魅力をPRしていければなと思います。地域が元気であることで、そこに行ってみたいという欲求が生まれるわけですから新潟の皆さんと手を組んで、地域を作っていきたいと思っています。
いま県内で上越新幹線にひときわ期待しているのが佐渡市です。
「佐渡島の金山」の世界文化遺産への登録を目指している佐渡市は9月から11月までJR東日本などと観光キャンペーンを実施しています。JR東日本のホームページなどでは、個人向けに観光スポットを紹介しています。市の担当者は観光客の4分の1は関東圏から訪れているとして上越新幹線の役割に期待しています。
地域との連携を深めその期待に応えることで、上越新幹線の新たな可能性が見えてくるのではないかと取材を通じて感じました。