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宮崎特産さつまいも 地元では「かんしょ」呼び方の違いは?

  • 2023年06月07日

宮崎県が全国4位の生産量を誇る「さつまいも」。
宮崎ではさつまいものことを「かんしょ」と呼ぶこと、ありますよね…?
ニュースでも「かんしょの収穫が始まりました」と“かんしょ”の呼び名を使います。
さつまいもとかんしょ、呼び名の違いは?言葉の由来を“てげ探!”しました。
(アナウンサー 道上美璃)

ヒントをください!

串間市や日南市など、生産が盛んな県南の方たちなら知っているのではないか。
聞いてみたのですが…。

野辺智大さん(JA串間市大束・営農課)
少なくとも昭和39年にJA串間市大束ができた時から「かんしょ」と呼んでいます。
理由…わからないですね…。

山下君広さん(JAはまゆう・営農指導課)
「かんしょ」という呼び名が定着しています。
もはや方言の一つとして 当たり前になってしまっているのではないですか?

農家さんにも聞いてみましたが「明確な使い分けはない」とのこと。
地元の方たちは、呼び名の違いについてあまり意識したことがないようでした。

答えは「サツマイモ事典」に

ヒントが書いてある本がないか…図書館でたくさん借りてきました。

なかなか核心に迫れない中、いも類振興会が編集・発行している「サツマイモ事典」に呼び名の違いについての記述を見つけました。

ついに!


さらに詳しく伺おうと、いも類振興会・矢野哲男理事長(元農林水産省)に話を聞きました。

矢野哲男さん

「さつまいも」のことを「かんしょ」と呼ぶ理由…それは、
それぞれの言葉の成り立ちにあります。

まず「かんしょ」は漢字で「甘藷」と書きます。この“藷(しょ)”という漢字が芋という意味。甘い芋という意味の言葉で、作物の総称だということです。

英語では“Sweet Potato”ともいいますね

一方で、今では多くの人が使う「さつまいも」。こちらは漢字では「薩摩芋」と書きます。
「薩摩(=鹿児島)で作っている芋」というニュアンスではなく、「薩摩から来た/薩摩から広まった芋」 という意味だということです。

伝来もとを指します

どこから薩摩に伝わった?

「伝来もとを指す」のならば鹿児島では「さつまいも」と言わないのか…?
鹿児島では、中国「唐」または外国から伝わったという意味の 「唐芋(からいも)」と呼ぶ方が多いということです。

宮崎の農家のなかにも「からいも」と呼んでいる方、いらっしゃるそうです。
他にも、長崎では琉球から伝わった琉球イモと呼ぶなど、各地で「どこから伝わってきたか」が呼び名になっているということです。

「かんしょ」の未来は?

とはいえ、思い返すと「さつまいも」の呼び名を使う方、多いですよね。
小学校の教科書にはさつまいもと書かれていますし、薩摩から日本中へ広く伝わったこともあり、戦後は「さつまいも」が全国的にメジャーになっています。
矢野さんは、今後は更に「さつまいも」に置き換わっていくのではと話していました。

それでも、宮崎には取材をした串間の大束地区を中心に生産を続けている「ヤマダイかんしょ」いうブランド芋もあります。甘くて美味しいとストレートに表現した「かんしょ」という呼び名は宮崎のいもにぴったりで、これからも残ってほしいと感じました。

  • 道上美璃

    宮崎放送局 アナウンサー

    道上美璃

    入局4年目
    ほしいもと大学いもが好きです。

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