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コロナ患者97%“軽症化”で宮崎県が新方針 その内容は?

  • 2022年04月22日

県内でも97%の人が軽症・無症状という新型コロナウイルスのオミクロン株。県は一定の感染を許容しながら、日常生活をできるかぎり維持していく新たな方針を示しました。局面が転換した今、どういった対応が求められているのか。弱い立場の子どもたちに“過剰な対策”が集中していないか。県政担当の松井記者が解説しました。

オミクロン株では97%の人が軽症か無症状

97%の人が軽症か無症状という数字を示されると驚くと思います。さらに医療のひっ迫を防ぐため、酸素投与以上の治療が必要な人は1%を切っています。県は「患者像の変化」と遠回しに表現しますが、よりはっきり言えば、現在のオミクロン株は、去年のデルタ株のような「誰もがおびえるべき病気」ではなくなっていると言えます。

感染者数は警戒レベルの基準にしない

4月22日の会見で、県は「日々の感染者数自体は警戒レベルを上げ下げする基準にはしない」と明言しました。97%の人が軽症か無症状のため、感染者数の意味は以前より低くなっているからです。さらに、県は「全ての感染者を見つけ出す」ことを徐々にやめています。

すでに事業所などでは濃厚接触者の調査を事業者自身が行うことになっていますが、今後は家族であっても重症化リスクの高い人以外は、濃厚接触者と認定しても検査は行わないことになりました。自分で容体を観察して、具合が悪くなったら自分で医療機関を受診してもらいます。この方法ですべての感染者を把握することはできませんが、保健所のひっ迫を防ぐために、全数の把握をやめても大丈夫になったと言えます。

なぜこのタイミング?

  1. オミクロン株の特徴がよりはっきりと分かったこと
  2. 高齢者への3回目のワクチン接種が進んだこと

この2年間で社会に定着した対応が、対オミクロン株でみると一部“過剰”になっていて、それが日常生活や社会経済活動を再開する足かせになっている。という思いがあるようです。なかでも、私が特に感じるのが立場の弱い人たち、特に子どもに過剰な対策が集中しているのではないかという点です。

運動中のマスク、黙食…

例えば運動中のマスクです。これからの季節は熱中症で命に関わることもあります。子どもはたとえ息苦しくなっても大人の指示に反して自分から外すことは難しいこともあります。軽症・無症状がほとんどというオミクロン株のリスクと比べ、適当と言えるでしょうか?

給食を前を向いて黙って食べる「黙食」も同じです。すでに2年にわたって続いています。
大人は飲食店での飲食が“解禁”されています。4人以下、2時間以内という縛りはありますが、テーブルが分かれていれば宴会も可能です。マスク会食が推奨されていますが「完全に黙って食べろ」とは言われていません。大人がしていないことを、子どもにだけ求めるのは、「言うことを聞かせられるから」になっていないでしょうか?

河野知事と清山市長はどう考える

河野俊嗣 宮崎県知事
「子どもたちには大きな負担をかけて申し訳ないと思っていますが、状況を見ながら見直しをするのが大事だと思う」

清山知憲 宮崎市長
「過剰な活動自粛は戒めていきたい。教育委員会ともできるだけ子どもたちの活動を継続できるように知恵工夫をこらしていきたい。中止したり縮小したりするのは簡単だが、いかに努力して子どもたちの思い出づくりを実現していくかが、今後必要だと思う」

弱い立場の人にしわ寄せをすることなく、日常生活を再開していく。それと同時に、リスクのある層はしっかり守る必要があります。

その柱の1つが病床使用率50%という、県独自の医療非常事態宣言を出す目安です。第6波の最も高い時で42%余りでしたので、それよりさらに悪化した場合ということになります。病床のひっ迫が進むと助かる人も助からなくなったり、コロナ以外の医療が制限されたりといった悪影響が出るので、しっかりコントロールすることが重要です。県は新たに9床を確保し、306床まで増やしました。高齢者施設は、かかりつけ医が対応できない場合は代わりの医師を県が派遣するという新たな仕組みを作りました。

ただ、これはあくまでオミクロン株の特徴に対応したものです。ほかの変異株が流行する兆しが出てきたら、すぐに対応を変える必要があります。

  • 松井嚴一郎

    宮崎局・記者

    松井嚴一郎

    2017年入局

    現在は県政の取材を担当

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