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“性別を変えたい” って気持ち 周りに分かってもらいたい

「僕は女性として生まれたけど、心は男性です。近い将来、体も男性にしたいと考えています。でも、母親は“そのままでもいいんじゃないか”と…理解してくれません」

17歳のチアキさん(仮名)から『虹クロ』(Eテレ 毎月第1火曜 午後8時~)に寄せられた声です。

割り当てられた性と性自認が異なる10代の悩みや疑問について、さまざまな分野で活躍するLGBTQ+の当事者たちが受けとめ、本音で語り合いました。

(『虹クロ』ディレクター 杉山 舞)

【関連番組】虹クロ『“性別を変えたい” って気持ち 周りに分かってもらいたい』

2023年9月5日(火) <Eテレ>午後8:00~8:29
(再)2023年9月16日(土) <Eテレ>午前0:45~1:14 [※15日(金)深夜]
※本放送後1週間、見逃し配信(NHKプラス)でご覧いただけます 

割り当てられた性は「女性」、性自認は「男性」のチアキさん

(右から)ロバートキャンベルさん(日本文学者) 、サリー楓さん(建築デザイナー&モデル)、木本奏太さん(YouTuber&映像クリエーター)、井手上漠さん(モデル)、チアキさん(高校生)

『虹クロ』は、自分の“性のあり方”に悩む10代が胸の内を打ち明け、さまざまな分野で活躍するLGBTQ+当事者がメンター(助言者)として解決の手がかりについて考える番組です。

今回のメンターはモデルの井手上漠(いでがみ ばく)さん、日本文学者のロバートキャンベルさん、YouTuberで映像クリエーターの木本奏太(きもと かなた)さん、建築デザイナーでモデルのサリー楓(かえで)さん。

番組に声を寄せてくれたのは17歳の高校生・チアキさん(仮名)。生まれたときに割り当てられた性は「女性」ですが、性自認は「男性」です。チアキさんは近い将来、手術などの治療を受けて、体を男性に近づけたいと考えています。

女性的な胸の膨らみをなくして、男性的な筋肉質な体にしたいというチアキさん(仮名・17歳)

チアキさんが割り当てられた性に違和感を抱くようになったのは小学3年生のとき。スカートよりもズボンを好むなど、「自分は女性ではないのかな…」とかすかに感じ始めたといいます。

次第にその感情は増していき、小学5年生のときには「自分は男性だ」と確信。中学生になると、「体を男性に近づけたい」という思いがとめどなく沸き上がってきたといいます。

チアキさん(仮名・17歳)

「中学生までは男女でそこまで(体の)違いはないと思うんですけど、ここから男子は身長が伸びていったり、女子は胸が膨らんだり、そういうのが出てきて。


風呂場とかで(自分の体を)見ても、やっぱ違和感というか嫌な気持ちを感じるようになって、『男性になりたい』という気持ちは強くなりました」

女性らしく変化していく自分の体を見る度に胸が苦しくなるというチアキさん(仮名・17歳)

チアキさんは入浴のときだけでなく日常のあらゆる場面で、割り当てられた性と性自認の矛盾にさいなまれてきました。

例えば、風邪をひいて病院に行ったときのこと。問診票の性別欄に「女性」と記入しなければならず、「自分が女性である」という事実を突き付けられたといいます。

割り当てられた性に違和感…、周囲に理解してもらうには

「一刻も早く体を男性に近づけたい。戸籍上の性別も男性にしたい」という強い思いがつのり、ある日、母親にその切実な願いを伝えたといいます。

チアキさん(仮名・17歳)

「『自分は女性でいたくない』『男性になりたい』『胸(の膨らみ)は取らせて』と言いました。でも母親は『副作用とかあるかもしれないから、そのままでもいいんじゃないか』って。『体にメスを入れるわけだから、何かあるかもしれない』みたいな」

チアキさんは母親が真剣に話を聞いてくれたことにはホッとしたものの、「理解してもらえないんだ…」と途方に暮れたといいます。

どうしたら理解を得られるのか、メンターたちに話を聞きました。

ロバートキャンベルさん(日本文学者) ※割り当てられた性:男 性自認:男 好きになる性:男 表現する性:男
ロバートキャンベルさん(日本文学者)

「やっぱり健康のことを、お母さんはまずすごく心配していて。お母さんはお母さんで結構悩んでいるというか、どうしたらいいかって考えている。こういう危険性もある、こういうリスクもあるということが、お母さんの頭の中ですごく大きくなっていると思うんですね」

木本奏太さん(YouTuber&映像クリエーター) ※割り当てられた性:女 性自認:男 好きになる性:女 表現する性:男

YouTuberで映像クリエーターの木本奏太さんは6年前、25歳で性別適合手術を受け、戸籍上の性別を男性に変更しました。大学時代に、自分の性別に違和感を抱いていることを初めて母親に伝えたときのことを話してくれました。

木本奏太さん(YouTuber&映像クリエーター)

「僕がそういう話をしたときに、母は初めは受け入れてくれなかったんですよ。『自分の子どもがそうだと思えない』と、はっきり言われちゃったんですけど、(親も)どうしていいか分からないというのも多分本音だとは思う。


だから、母に『こう言ってほしいんだよね』とか、すごい細かく言ったんですよね。例えば、僕は長女だったので、“娘”とか“お姉ちゃん”と言われるんですけど、『その言葉で呼ばないでほしい』『“お母さんの子ども”と言ってほしい』と」

奏太さんは、相手の理解を得るためには自分の具体的な悩みや要望を細かく伝え続けることが必要だと感じ、こうしたコミュニケーションを3年間続けたそうです。すると、母親は次第に自分の悩みを深く理解してくれるようになったといいます。

“性別を変えたい”と思ったとき、どうすれば?

チアキさんのように割り当てられた性と性自認が異なり、「体を望む性別に近づけたい」と思った場合、どのような方法があるのか。これまで8千人以上の当時者と向き合ってきた精神科医の針間克己(はりま かつき)さんに話を聞きました。

精神科医(性同一性障害学会 認定医)の針間克己さん

針間医師によると、まずは精神科のジェンダーに関する専門医を訪ねるのが大切だといいます。

針間克己さん(精神科医)

「“性別の違和”を主訴(医師に伝える症状)にしていても、ほかの精神的な問題や別の問題が隠れていたりすることもあります。


特に中学生や高校生、若い子に関しては、学校生活の悩みや思春期で体が変化していく悩み、恋愛の悩みなど、別の悩みから“性別の違和”が強まっている場合もあるので、非常に慎重に診ていく必要があります」

“性別の違和”について探るために、まず精神科の医師と一緒に、自分のこれまでの人生を振り返ります。どんなときに性別に違和感を抱いてきたか、どんな服装を好んできたか、どんな人間関係を築いてきたかなど。

そして医師が「この人の中で性別の違和感が大きな問題になっている」と診断すれば、その人が自認し望んでいる性別の体に近づける治療を行うことができるようになります。

ただし治療を行うためには、同じ判断をする二人の精神科医の診断が必要で、こうした診断がつくまでには平均で半年かかるそうです。

自認する性別の体に近づける治療法

望む性別の体に近づける治療にはいくつかの方法があります。女性が男性の体に近づける場合だと、カウンセリング、ホルモン治療、乳房切除術、性別適合手術です。

カウンセリング

カウンセリングでは、“性別の違和”を解決するために必要な具体的な治療方法を考えていきます。

針間克己さん(精神科医)

例えば、胸の膨らみが嫌だと感じている場合、人から胸が膨らんでいるのを見られるのが嫌だからというのであれば、胸を抑えるシャツを着たら落ち着くのか。それとも、人からどう見られようと、お風呂場で脱いだときに自分の胸を見るともうそれだけで嫌だというのであれば、胸(の膨らみ)を取ったほうがいいのかなというようなことにもなります。


その人の性別の違和感はどういうたぐいのものなのか。それを解決するには、何が要るのか。さまざまな選択肢を知った上で決断することが大事だと思います」

ホルモン治療

ホルモン治療はホルモン剤を注射するなどして、望む性別の体に近づけていく方法です。

女性の体を男性の体に近づける場合、ホルモン剤の注射は2~3週間に1回のペースで行います。注射は、望む性別の体を維持するには長期間続ける必要があります。費用は1回およそ2,000円以上かかります。

髪の毛が減る、ニキビが増える、骨粗しょう症が起きやすくなるなどの副作用が出ることもあります。

子宮卵巣の摘出や陰茎の形成などの性別適合手術は、ホルモン治療を開始して原則1年以上たってから行います。保険が適用されない場合が多く、費用が高額になることもあります。

針間克己さん(精神科医)

「性別適合手術に関しては、いったん(生殖器を)取ってしまうと元に戻すわけにはいかないので、より慎重に考える必要があります。自分はこちらのほうが苦悩が少なくなって、より良い人生が送れるんだ、ということをしっかり確認した後に手術をすることが大切です」

性別適合手術まで終えて初めて、戸籍上の性別を変えることができるようになります。ただし本人が18歳以上、婚姻しておらず、未成年の子どもがいない場合に限ります。

望む性別に体を近づけたい… メンターたちの経験 

体を望む性別に近づけるために手術などもしたいと考えているチアキさんに、メンターたちは自らの体験を伝えました。

木本奏太さんは17歳のときに、戸籍上の性別を変更するには性別適合手術まで受ける必要があるということを知ったといいます。

木本奏太さん(YouTuber&映像クリエーター)

「知ったときは、『めっちゃ時間かかるじゃん』『僕の人生、この先すごい大変じゃん』みたいな。ただ自分の生きたい性で生きるのにクリアしなきゃいけないことがこんなに必要なのかっていうので、その決断をするまではすごく時間がかかりました。お金もかかるし体への負担もすごいし。ハードルが高くて正直できないと思った」

奏太さんは4年間かけて考え続け、大学生のときに治療や手術を受ける決断をしました。

木本奏太さん(YouTuber&映像クリエーター)

「正直、僕は社会に出るときに『女性として出たくない』がいちばん強かったんですよ。自分が好きじゃない自分のまま生きるほうが僕はつらかったから、その選択はしたけど、別にこの選択が正しいとか正しくないとか全然なくて。


自分で『ああ、ここ居心地いいな』『これで前進めるな』とか、手探りで探していければいいのかなとか思ったりします」

井手上漠さん(モデル) ※性別はない
井手上漠さん(モデル)

「私はホルモン治療してないんですよ。男性として生まれているんですけど。もちろん声変わりの時期もあったんですよ。でも私は誰が見てもかわいいと思わせたかったので、声を変えたかった。だから動画で毎日撮って、高い声はこういう喉の使い方をしたら出るんだって(研究して)。最初は苦しかったんですけど何回も練習していると高い声が出るようになって。


声を変えることも自分の体と向き合うことも正直、私も面倒くさいし嫌なときもたくさんある。でも、そうやって生きていかなきゃいけないじゃないですか。もうこう生まれたからにはそこは変えられないし」

割り当てられた性は「男性」、性自認は「なし」というサリー楓さんはホルモン治療を20代半ばに開始しました。

サリー楓さん (建築デザイナー&モデル) ※割り当てられた性:男 性自認:なし 好きになる性:全て 表現する性:全て
サリー楓さん (建築デザイナー&モデル)

「私、ホルモン治療を始めるときに焦ってやったんですよ。20代前半のときって日に日に男性化していくんですね。身長も変わるし体格も変わるし、体毛の濃さとか、どんどん変わっていくじゃないですか。で、(ホルモン治療をして)体が変化し始めると、それはそれで怖くなってやめたり、またホルモンしてやめたりっていうのを2年ぐらい繰り返して。継続してホルモンをやっていたことってなかったんです」

その後1年ほどホルモン治療を継続したころ、同じようにホルモン治療を受けていた友人が性別適合手術を行うことになりました。サリー楓さんは自分も手術を受けるかどうか考えましたが「しっくりとこなかった」といいます。

サリー楓さん(建築デザイナー&モデル)

「途中で気づいたんですけど、自分は女性になりたいんじゃなくて、男性でいたくないんだって。自分はホルモンというのを使って男性らしさみたいなのをある程度消せたら、そこで自分なりにはゴールだったんだなって。で、手術というところから距離を置きました。


今、(チアキさんは)もしかしたら概念でいうと「女性」「男性」の二項対立になっているんじゃないかなと思うんですけど、実際、結構グラデーションなんですよ。そこって一つの段差になっているんじゃなくて、スロープになっているみたいな感じで。


だからチアキさんも、今は女として生きていくか、男に戸籍を変えるかの二択かもしれないけど、実はどこかの地点で居心地がいい場所を見つけられるかもしれないなと思います」

「性別を変えることを“目標”にしないで」

性別適合手術を受けて戸籍上の性別を男性に変更した木本奏太さん。その結果、日常生活のあらゆる場面で周囲の人たちが自分を男性として扱ってくれるようになり、大きな変化を感じたといいます。しかし性別を変えることを“目標”にはしないでほしいといいます。

木本奏太さん(YouTuber&映像クリエーター)

「男性になったときに自分の目標が一切なかったんですよね。『これからどうしよう…』みたいな。『僕、何が好きだったんだっけ? 何がやりたくて生きてきたんだっけ?』と思っちゃって。僕、映像を学んでいて、映画が作りたかったんですけど、それすらも忘れちゃったんですよ。


だから(戸籍変更を)目標設定にするというよりかは、“いちばん居心地がいいのは戸籍を変更”ぐらいのほうが今後の自分の人生というものがまだまだ何年も続く中ではすごく大切なことなのかなと思います」

治療で“声”が変化したとき、周囲との関係性も変わってしまう?

チアキさんには、望む性別の体に近づけるための治療に進んだ場合に起こる体の変化についてひとつ気になることがあるといいます。

チアキさん(仮名・17歳)

「僕は声を使って、今、歌い手※の活動をしているので、(体を)男性にすることで急に声が変わったりすると、ファンの方に受け入れてもらえるのかなっていう問題があって。


一緒に歌ってくれている人がいるんですけど。その人は今の僕の声とか歌が好きで、多分僕の声が変わって今の歌い方ができないとかになって(相手が)『じゃあ、ほかの人と歌うから』ってなったら悲しいなって」


※歌い手…自分が歌う様子をネットに投稿する活動を行う人

声が変化すると、ファンや仲間が離れてしまうのではないかと不安に感じているチアキさんに対し、サリー楓さんが自らの体験を話してくれました。

サリー楓さん (建築デザイナー&モデル)

「私、1年前ぐらいに髪を短く切ったんですよ。それまで、ずっと伸ばしていて。でも、ずっと髪は短くしたかったんですね。すごく恐れていたのが、髪を短くしたことで髪の長い見た目に対してついていたファンが離れていっちゃうんじゃないかっていう。悩んだんですけれど勇気を出して切りました。


やっぱり正直言うと離れる人は離れます。フォロワーがばーって減ったんですよ。でも、その後、戻ったんですよ。『思い切って、髪を切れる楓さんもすてきだ』って言ってくれる人が逆に入ってくる。新しい自分に対してファンがつくし、新しい自分に対して新しい友達ができるんだって思って。新陳代謝したなって、入れ替わったなって思ったんですよ。変化して一回離れるけど、離れた後にどういうことが起こるかっていうことを考えると、ネガティブなことばっかりじゃない」

チアキさん(仮名・17歳)

「ファンについては、さっき言ってくださった新陳代謝じゃないですけど、いなくなる人はいなくなるよなって。こう考えて行動している僕を見て、『好きだ、ついていこう』ってなってくれる人がいたらいいなって思いました」

将来の夢とジェンダー

将来、歌い手として活動していきたいというチアキさんですが、以前は別の職業への憧れがあったといいます。

それは、パティシエ。幼い頃からお菓子作りが大好きで、高校では調理科に進んで専門的に学びたいと考えていました。しかし中学生のとき、先生に思いもよらない反応をされたといいます。

「パティシエになりたい」と両親や友達に伝えていたチアキさん(仮名)
チアキさん(仮名・17歳)

「中学の三者面談のときに、担任の先生に『いいね、パティシエって女の子っぽくて』って言われて。“(パティシエは)女性がやる”というイメージが嫌いで、『あ、やめよう』ってなって、変えて今にいたりますね」

職業に対する性別のイメージによって将来の夢を変えたというチアキさんに、メンターたちは“将来の夢とジェンダー”について自らの考えを伝えました。

ロバートキャンベルさん(日本文学者)

「(職業には)男の子も女の子もない気はするんですね。Aっぽい、自分はBに振りたいから、それを却下するっていう人生は、男になったとしても同じことが実は待っているんですね。『男っぽくない』っていうふうに言われて、本当にやりたいことが(やれないみたいなことが)これからの人生の中でいっぱいあるかもしれないんですね。


だから、まずそこのところから、ちょっとマインドセットというか。時間をかけて、いろんな人のお話を聞き、自分でいろんな経験をしながら、じっくり考える。そういうものを自分に与えてほしいなって思いました」

サリー楓さん (建築デザイナー&モデル)

「私は人生は選択の連続だと思っているんですね。例えば、服を選ぶとき、友達を選ぶとき、職業を選ぶとき、全て人生の一部で選択の連続だと思うんですけど、選択をするときにジェンダーを理由に選んだり、ジェンダーを理由に諦めたりしないでほしいなって私は思いました。それは、ジェンダーで言い訳ができなくなったときに自分に説得力を持たせられないからです」

木本奏太さん(YouTuber&映像クリエーター)

「本当に性別のことが先に全部来ちゃうじゃないですか、何をするにも。病院行くことすら、眼科行くのですら、『どっち(女性・男性)に丸しよう…』みたいな。どこの環境に行ってもそうだから、先にその悩みが来ちゃって、自分の好きなことって結構置き去りにしちゃうことが多かったんです、僕も。


だから、自分が今これ大切にしたいな、好きだなっていう気持ちは、持ち続けてほしいと思う。それって両立できると思っているし、諦める必要ないと思う」

井手上漠さん(モデル)

「私は好きなことがずっと小学4年生から変わってないんですよ。好きなことができる時間があるってだけですごく人生が輝いて見えたしそれだけを信じて、その好きなことを仕事にしたいとまで思えて、それが生きがいになったので。


本当に好きなことっていうのは性別が変わったとしても変わらないことだと思うから、それだけはすごく大切にして生きていってほしいなと思いました」

今回、LGBTQ+の当事者からいろいろな体験談を聞いたチアキさんは、最後に穏やかな表情でこう話してくれました。

チアキさん(仮名・17歳)

「急ぐ必要はないなっていうのは思いましたね。そのときになってちゃんと考えて、周りとも話し合って、一番いいところにたどり着けたらいいなって思いました」

取材を通して

収録から数日後、チアキさんがとても明るい声でこんな報告をしてくれました。

「母親に自分の気持ちを詳しく話してみました。以前は『手術などはやめてほしい』だったのが、今回は『これからはもっと自分の気持ちを伝えてほしい』と言ってくれました」

木本奏太さんから収録のときにもらったアドバイスである“細かく伝える”をチアキさんはすぐに実行したのです。具体的な悩みをスマートフォンのメモに書き出し、それを母親にひとつずつ話したといいます。すると母親はチアキさんの深い思いに気付き、温かく寄り添ってくれたんだそうです。

チアキさんに初めてお会いしたときは、周囲の理解が得られず、とても不安げな表情でした。でも収録後にチアキさんが話してくれた時の明るい表情を見て、周囲の理解はその人の力になるということを強く感じました。

チアキさんのように、自分の性別に違和感があって悩んでいる人たちが、自分らしく生きていける社会になってほしいと心から願います。そうした社会を目指して、これからも取材を続けます。

【放送予定】虹クロ「“性別を変えたい” って気持ち 周りに分かってもらいたい」

2023年9月5日(火) <Eテレ>午後8:00~8:29
(再)2023年9月16日(土) <Eテレ>午前0:45~1:14 [※15日(金)深夜]
【見逃し配信】各放送後から1週間 、こちらからご覧いただけます

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みんなのコメント(1件)

悩み
心男
19歳以下 女性
2024年3月14日
助けて
つらいです。僕の生まれた体は女性だけど、心は男性です。そのため自分の好きな服装や、好きな事も出来ないです。これがすごくつらいです。先生に理解してもらえるか、友達や同級生の男子、に理解をされるか怖いです。

どうかこの気持ちを受け止めてくださいお願いします。