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持続可能な社会 2050年の未来予想図

去年10月、日本政府は温室効果ガスの排出を「実質ゼロ」にする方針を表明しました。 では実際に「温室効果ガスの排出ゼロ」が実現したら、社会のあり方や私たちの生活はどのように変わるのでしょうか?
地球のミライ取材班では“2050年の未来予測”を行ったある報告書を元に、「脱炭素化」した社会の姿をビジュアル化しました。 協力してくれたのは、若者向けのメディア「NO YOUTH NO JAPAN」のみなさんです。2050年には社会の中心になっている世代です。

「温室効果ガス排出ゼロ」社会とは?

左から 吉井紗香さん(21)/川添由貴さん(20)/黒住奈生さん(23)/グラフィックデザイナー 平山みな美さん(33)

今回の“ネタ元”になったのは「ネット・ゼロという世界 2050年日本(試案)」という報告書です。持続可能な開発や環境対策について研究している「地球環境戦略研究機関(IGES)」が去年発表したものです。石油化学や建設業界など様々な企業や研究機関にヒアリングを行い、温室効果ガスの削減に向けて今後導入される技術や、それぞれが目指している未来の姿などを調査しました。
その上でエネルギー需要と温室効果ガスの排出量の変化を試算し、2050年の社会や暮らしについて“未来予測”を行いました。

まずは、温室効果ガス排出の「実質ゼロ(ネット・ゼロ)」とは?
(※画像はすべてダウンロード可能です。SNS投稿などで自由にお使い下さい)

「トランジッション・シナリオ」が描く未来

「ネット・ゼロという世界 2050年日本(試案)」にはネット・ゼロを達成するための「2つのシナリオ」が示されています。

1つは、社会の変化がほとんど起きず、エネルギーも石油などの化石燃料を使い続けながら、ネット・ゼロを達成するというものです。これは排出されたCO2を『地下に埋め込む』ことを想定していますが、いまの段階では不確実性が高い技術です。
もう1つは、社会制度や経済構造などに“変革”がおき、再生可能エネルギーがこれまで以上に使いやすくなることで、「化石燃料を使わない社会」が実現するというものです。
報告書では「トランジション・シナリオ」と呼んでいます。

この「トランジション・シナリオ」が実現した場合、わたしたちの暮らしはどう変わるのでしょうか。

もちろん、こうした社会を実現するのは決して簡単ではありません。
私たち一人一人に何が求められるのでしょうか?

「ネット・ゼロという世界 2050年日本(試案)」を中心となって作ったのは、30代の研究員です。メンバーの一人、栗山昭久さんは以前、温室効果ガスの排出を80%減らすことすら難しく、ましてや「ネット・ゼロ社会は不可能」と感じていたといいます。
しかし今回の調査を通じて、排出削減が難しいとされる鉄鋼業界などもヨーロッパでは、ネット・ゼロへの道筋を描いていることを知り「達成は可能ではないか」と思うようになりました。

栗山昭久 研究員(地球環境戦略研究機関)

「持続可能なネット・ゼロの世界を実現するためには、CO2を排出しない再生可能エネルギーへの転換、そして、それを効率的に使っていくデジタルトランスフォーメーション電化を進めることがカギだと感じています。
実現させるために欠かせないのが変革です。エネルギーを始め、人々の行動・価値観が変わっていく必要があります。 これからの10年が大きな分岐点だと思います」

もし「トランジション・シナリオ」によってネット・ゼロが実現したら、
2050年の街の姿はどうなるのでしょうか?
「NO YOUTH NO JAPAN」のメンバーが、報告書の内容に自分たちの希望を重ね、“未来予想図”を作ってくれました。

平山みな美さん(グラフィックデザイナー)

「ただ『脱炭素化』した街を描くのではなく、自分たちが30年後に住みたい街を描きたいと考えました。幾何学的なグラフィックだと実際に住むイメージがつかないので手描きのイラストにしました。わたしが育った家の近くには林があり、よく虫を観察していたのでそうした原体験から意識的に緑を増やしました。」

今回の企画に参加してくれた大学生のメンバーからは「めざすべき社会の形が具体的にイメージできるようになった」と、前向きな言葉がよせられました。

吉井紗香さん(大学3年生)

「いままでは地球が大変なことになっていることを聞いていて、努力したとしても、 よい未来にはならず、現状維持がギリギリなのではないかと思っていました。 ですが、いまはより環境に配慮した生活に変えれば、良い未来になるのだと 希望が持てました」

川添由貴さん(大学2年生)

「2050年の未来は想像がつかないことが多いのかと思ったのですが、いまある技術を 使って新しい生活様式になっていくところがあり、とてもワクワクしました。
環境を守ることの先に、ワクワクする未来があるところがいいなと思いました」

黒住奈生さん(大学4年生)

「いままで、気候変動というと話すのにはハードルが高く、このNOYOUTH NOJAPAN以外の友人と話したことがありませんでした。しかし今回、身近な暮らしにおいての考え方や、将来像を思い描くことができたので、こうしたところからなら、環境問題の話をすることができると思いました。」

先日放送したNHKスペシャル「2030未来への分岐点 暴走する温暖化“脱炭素”への挑戦」のなかで、気候変動研究の世界的権威であるヨハン・ロックストローム博士は、次のように話していました。

これまでの環境活動は「時代に逆行している」と批判されてきました。
しかしいまやギアチェンジをして、先進的な未来への旅が始まっているのです。 もっともハイテクでクールな未来こそ、持続可能な未来なのです。」

2月7日のNHKスペシャル「2030未来への分岐点 大地は人類を養えるのか(仮)」では、温暖化とも大きくかかわる『食料と水』の問題を考えます。ぜひご覧ください。

みんなのコメント(5件)

オフィシャル
吉井 紗香
大学3年生
2021年2月3日
今回の制作を通して、初めて気温上昇などの対策に対するポジティブな捉え方を知ることが出来ました。「あと10年」という数字ばかりを聞いていると焦りも生まれますが、同時にこのような「アクションが実現された未来」のイメージを具体的に持つことが出来て良かったです。周囲の人にも今回のコンテンツを会話のきっかけにするなどして、自分が得た新たな視点を広められたらと思います!
オフィシャル
川添 由貴
大学2年生
2021年2月3日
今の社会が目指すべき2050年の社会に向けて、どう変わっていくのかを制作を通して知ることができました。これまでどこかで悲観的になっていた地球の未来への意識も変わり、今は未来にワクワクしています。目指す社会に近づくために、まずは自分から行動していきたいです。
オフィシャル
黒住 奈生
大学4年生
2021年2月1日
今まで環境問題について、焦りがあるのにどこか自分事にならず空回り気味でした。でも、今回の企画の制作を通して「自分たちの暮らしがより良くなる」と身近にポジティブに考えると頭の中が少しすっきりして、自分にできることから始めよう、周りの人にもそっと声かけをしてみようと私自身思えました。今後も大きな社会のことと自分のつながりが見つかるような企画に取り組んでいきます!
If2
19歳以下 女性
2021年2月28日
私は今、中学生ですが、友達と地球温暖化や再生可能エネルギーについて話したり、国語の授業で過剰包装の意見文を書いたりしています。メディアでの発信をきっかけに、地球の未来について私達が考えることが大切だと思います。また、今の生活に小さな想像力を加えることで10年後、100年後の地球が大きく変わると思います。
ロウ
19歳以下 女性
2021年2月7日
第一回を見て、こうなってしまったらどうしようと驚きを通り越して恐怖すら覚えた。10年という数字は長いのか短いのか実感が湧かないが、とても重要なのは理解した。また、世界の様子をみて思ったが、日本はデモなどを余りしていないなと客観的に感じた。デモがしたい訳ではないが、もっと言葉を表してみるのも良いのかなと思った。納得できる案が出てくれるのを楽しみにしている。