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ぺこぱが聞く医療現場のリアル② 感染症対策の“プロ”に聞く『いま必要なこと』

お笑いコンビ「ぺこぱ」の2人が、新型コロナ治療の最前線に立つ医療関係者にインタビューするシリーズ。今回お話を伺ったのは「日赤和歌山医療センター」感染症内科部長、古宮伸洋さんです。古宮さんはエボラ出血熱やSARSなど、国内外でさまざまな感染症と闘ってきました。次々に発見される変異株、そして医療現場のリアルな現状…ぺこぱの2人が率直な疑問をぶつけました。

(インタビューは9月15日に実施)

ぺこぱ
左:シュウペイ 右:松陰寺太勇
同じバイト先で先輩と後輩であった2人が2008年コンビ結成
2013年より「ぺこぱ」として活動

デルタ株、ミュー株、イータ株…変異株って今後どうなるの?

松陰寺太勇(ぺこぱ)

「いま変異株がどんどん広がってるじゃないですか。デルタ株に続いてミュー株、イータ株とか色々出てきてますけど、今後もどんどん変異が続く可能性はあるんですか?」

古宮伸洋さん

「新型コロナウイルスが世の中に出てきて以来、ウイルスは変化し続けていて、変異株も次々と出てきています。適者生存というか、その状況や環境で広がりやすいウイルスが選別されて残っています。

変異株の中でも、病原性や感染力が強い、ワクチンが効きにくいといった、社会に影響を与えるような一部の変異株にだけ名前が付いています。それ以外にも名前も付いていないような変異株はいっぱいあるんです。

ですから今後も いろいろな変異株が出てくることが予想されます。」

シュウペイ(ぺこぱ)

「変異株では症状は変わるんですか?」

古宮さん

「基本的な症状はウイルスが変異しても変わらないんですが、重症化する割合は変化していく可能性はあります。」

ワクチン接種は進んでいるけれど…

(古宮伸洋さんは国内外の医療現場で感染症と闘ってきた)
松陰寺

「改めて新型コロナのどういったところが怖いですか?」

古宮さん

「新型コロナウイルスはうまく広がる性質を持っているんですね。発症する前から感染力がある、あるいは無症状の人からも広がるというのは、対策をとる上で非常に難しいです。

例えばインフルエンザでも発症の前日から他人に感染させることはあるんですが、やっぱり可能性が高いのは、症状が出ている間に感染させるケースです。そのため『症状が出る人は特に気を付ける』ことで感染を抑制することができます。

しかし新型コロナの場合は、“誰から感染が広がるのか読めない”ところが難しいと思います。」

松陰寺

「基本に立ち返って、感染を防ぐために大切なことって何でしょうか?」

古宮さん

「新型コロナウイルスが体に入って来る場所はだいたい決まっています。目やのど、鼻の粘膜にウイルスが付着したり、肺で吸い込んだりして体内に入ってくるわけですね。

例えば、手はいろいろなものを触るのでウイルスが付着しやすいんですけれども、それだけでは感染しません。ところがウイルスの付いた手で目や鼻や口を触ると、そこの粘膜から体に入ってきます。ですから、手にウイルスが付いていても、しっかりと食事の前などに手を洗えばウイルスが体の中に入ってくることはありません。

あとはマスク。自分がウイルスを吸い込むのを防ぐ作用と、もしかして自分がウイルスを持っていた場合は、ウイルスを吐き出すのを防ぐ効果があります。ただしっかり着けないと効果は下がりますので、鼻が出ないようにカバーするなど、どうせ着けるならしっかり着けていただく必要があります。こういうのは習慣ですので、ぜひ多くの方に基本的な感染対策を習慣にしていただきたいと思っています。

松陰寺

「いまワクチン接種がだいぶ進んできたと思うんですが、それでも対策というのは必要なんでしょうか?」

古宮さん

「少し前までは『ワクチン接種が進めば対策が不要になるんじゃないか』という期待もありましたが、最近は変異株の出現もありその希望にかげりが出てきています。感染力が強く、ワクチンの効果が低い変異株が増えれば、ワクチンだけではコントロールが難しくなります。

海外ではワクチン接種が進んで重症者が減ったことを理由に対策を緩める動きがあります。またワクチンは時間が経つと効果が薄れてきますので3回目の接種を開始した国もあります。

われわれはこうした先行している国々の動向を見ながら判断していくことになるのかなと思います。」

どうやったら元の生活に戻れるの?

松陰寺

「ちょっと漠然とした質問なんですけれども、どうやったら元の生活に戻れますか?」

古宮さん

「難しい質問ですね。ワクチンや治療薬が進歩して少なくとも重症化が防げるようになれば対策を緩める方向になるとは思うんですけど、現時点での見込みとしては、当分の間は難しいかなと思います。」

松陰寺

「なるほど…」

シュウペイ

「まだまだ今の生活の状態が続くという感じなんですね?」

古宮さん

「国によってポリシーの違いもあって。いくつかの国はある程度、新型コロナと共存していく道を選び、ある程度の犠牲は受け入れるという姿勢で進めています。

また逆にいくつかの国は“ゼロコロナ”、コロナは一切流行らせない姿勢です。ある程度流行してしまうと一定の割合で亡くなられたり後遺症を残したり、そういう方が出てきますので。

ただ厳しい対応にはデメリットもありますから、どちらにバランスを置いて進んでいくかは国や国民の議論を踏まえて考えていく必要があります。」

自宅療養 何に気をつければいい?

松陰寺

「いま 自宅療養で家族と生活するというケースが増えていますよね。それについて気を付けなきゃいけないことはありますか?」

古宮さん

「自宅療養で心配されるのは、患者さん自身が適切な治療を受けられずに重症化してしまうことと、家族に感染を広げてしまう可能性だと思います。

まずは病気の経過とか症状について知り、どういう状況になると入院の必要があるか理解していただく。また家族に広げないためには、基本的な感染予防の知識を持っていること。あとは自宅の構造によっては難しいんですが、家の中で家族との接触の機会をどう減らすか、そういうことを事前に準備して考えておくのが大事かと思います。」

シュウペイ

「現状で最低限やれるのは、そういうことしかないということですよね?」

古宮さん

「そうですね。うまく重症化を予測して、家族に感染を広げない。そういう対策をとられれば、特に軽症の若い方などは安全に自宅療養できるかと思います。」

いまできることって何?

松陰寺

「いま 僕たちにできることは何でしょうか?」

古宮さん

「もう何回も言われていると思うんですけども、基本的な感染対策を続けてほしいです。あと最近気になっているのはネット上のデマや感染者に対するひぼう中傷ですね。人から人に感染する病気なので皆で協力して立ち向かう必要があるんですが、それぞれの立場や考え方の違いから、対立している人たちがいるんだと思います。デマやひぼう中傷を広げないためにも、まずは正しい知識を得ていただくことをお願いしたいです。

私はしっかり3密を避けるなど当たり前のことを守っていただければ、そんなに感染が広がるものではないと思っているんです。ただこうした生活をどこまで続けられるのかとなるとやっぱり難しいところで。うまくモチベーションを保ちながら、“病気にかからない”ことが、ぺこぱのお二人が仕事を続けていく上でも大事なことかと思います。」

松陰寺

「僕らは『皆さんの娯楽のために』できることがないかと日々頑張っていますので、先生に言われたことに気を付けて、頑張りたいと思います。」

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