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ユリナ ノ 目

「マネジメント」をふりかえって。

こんにちは!
今月はドラッカーの『マネジメント』をお送りしましたが、いかがでしたでしょうか。

直接ドラッカーとやり取りをして『マネジメント』を翻訳された上田先生と、『もしドラ』原作者の岩崎さんにお越し頂きました!
お二人のマネジメントに対する熱いお気持ちを直接うかがって、とても心打たれ、最終回では不意に涙が溢れてしまいました。

ドラッカーといえば“経営学の父”。「経営学」と聞くと「お金儲けの仕組みを学ぶもの」というイメージが沸きがちですが、ドラッカーは「お金儲け」という以上に、「どうすれば、組織社会の中で人は幸せになれるか」について考えた人だと収録を通して知ることができました。

「組織をして高度の成果をあげさせることが、自由と尊厳を守る唯一の方策である。その組織に成果をあげさせるものがマネジメントであり、マネージャーの力である。成果をあげる責任あるマネジメントこそ全体主義に代わるものであり、われわれを全体主義から守る唯一の手立てである。」

以上のようにドラッカーはマネジメントの力で、人々を「主義=イズム」から解き放ち、自由と尊厳を守ろうとしました。

私のマネジメントとの出会いは、『もしドラ』でした。
「真摯さ」がマネージャーの条件である、という一節を読んだ時は主人公のみなみと心が一体になったかのように涙が止まらなくなってしまいました。

特に「真摯さは素質である」という一文が限りなく現実的で、ドラッカーはただの美辞麗句として「真摯さ」をマネージャーの条件として挙げているわけではないと感じ、一度に彼への心的距離が縮まって、とても信頼できる存在だと感じたのです。

「真摯さ」と聞くと、すごく単純そうな素質に聞こえますが、
真摯でいるということは、常に他人も自分も裏切らずに生きるということですよね…。「真摯さ」を突き詰めることは実はとても難しいことであるように感じます。

ではどうやったら真摯な自分でいられるのか、上田先生にうかがいました。
先生は「自分は何をもって人に覚えられたいか」を考えればいいとおっしゃっていました。

「真摯さ」は、『マネジメント』を愛する上田先生、岩崎さんのお二方にとって共通のキーワードであったように感じます。

上田先生から見たドラッカーは、「こういうことをやりましょう」と誰かが提案すれば絶対にそれを肯定するような人だったとおっしゃっていました。相手に助けの手を必ず差し伸べてくれる人だったそうです。まさに「真摯さ」を体現している人です。お話をうかがいながら、そんなドラッカーの姿に憧れを抱いてしまいましたが、お話してくださった上田先生自身、そのドラッカーの「真摯さ」にとても惹き付けられているように感じました。

一方で、岩崎夏海さんは、昔から「あなたは人と仲良く和気あいあいとできない人だ」と言われ続けて、人間としてもダメなのかも、と思い詰めたりしていたそうです。しかしある時マネジメントを読んで「マネージャーに必要な素質は真摯さである」という一節に出会って心から救われたとおっしゃっていました。そのようにしてドラッカーについて語る岩崎さんの言葉一つ一つは本当に嘘偽りのない真摯さに溢れていました。

そんな風にドラッカーに魅せられたお二人を目の前にした今回の収録。
「真摯さ」という情熱や、お二人の間に流れる絆や信頼感のような熱い空気がスタジオ全体を包み込んでいて、ドラッカーの『マネジメント』が生み出した何かが確実に目の前にあるのを体感して涙が溢れてきてしまいました。

次回は、福澤諭吉の『学問のススメ』を読み解いていきます!
どうぞお楽しみに。

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