嬬恋村特産 “幻のキャベツ”はなぜ“幻”なのか その謎を追う
- 2022年08月08日
「ほっとぐんま630」でお伝えしている「菅原が行く、中谷が行く」。
今回、菅原が取材したのは、嬬恋村の特産、今が旬のキャベツです。実は「幻のキャベツ」とも呼ばれる人気を集めている品種があります。なぜ幻とまで言われているのか、その秘密を探ってきました。
(前橋放送局キャスター 菅原成美/2022年8月取材)
幻=419!?
一面のキャベツ畑!幻のキャベツを探して嬬恋村にやってきました!
キャベツと言えば、日本一の出荷量を誇る嬬恋村。7月から10月末にかけて、およそ1億5000万個も作られます。
さっそく、村にある野菜の直売所に行ってみると…。開店直後から、お客さんの姿が。
「すみません!幻のキャベツを探しているんですけどありますか?」
「こちらです」
「これが!ありました、幻のキャベツです!」
こちらが幻のキャベツとも呼ばれる通称“419キャベツ”。
価格も見た目も、ほかと大きな違いはないように感じますが…。
その人気はご覧のとおり。飛ぶように売れていきます。
「スーパーでは買えないので」
「東京から来ました」
「幻のキャベツってことで知り合いから聞いて」
現場に、行く!
では、一体何が幻なのか?
その秘密に迫るべく、収穫の現場にお邪魔させていただくことにしました。
「いつも夜明け前から収穫しているんですか?」
「そうだね、3時30分位からだよね」
幻のキャベツを20年以上育てている羽生田秀利さんです。
標高が高く朝と夜の気温差が大きい嬬恋村では、甘くてみずみずしいキャベツが作られます。
「つやつやですね。水がしたたっている!」
「みずみずしいよ!」
最盛期のこの時期は、多くの生産農家が夜明け前から収穫作業に追われているんです。
羽生田さんが手がける幻のキャベツ。
「あっいい音!切ってすぐにふわふわってはねてくるんですね」
「弾力があるよね、葉肉が厚いから。はい、どうぞ」
「いいですか、直接?ぜいたく!ではちょっと失礼していただきます!」
「うん、甘い!キャベツの青臭さが全然なく、パリパリしゃきしゃきしているんですけど、めちゃくちゃ柔らかいですね」
「やわらかいよね」
「何も付けずに生でパクパクいけてしまう~」
幻のワケ、解明した
では、なぜ幻と呼ばれているのか。
その訳は、柔らかさゆえの「傷みやすさ」にあります。
「まぁ見てのとおり、少し高温になって雨が多かったんで、ポツンポツンと『軟腐病』や『かぶぐされ(株腐病)』とか、やっぱり病気は出やすいね」
この419キャベツ、長年育てている羽生田さんの畑でも、痛みなどで廃棄となってしまう割合はほかの品種の20倍にもなるんです。このため、作っている農家は少なく、ほとんど市場には出回らないことから、「幻のキャベツ」と呼ばれているんです。
羽生田秀利さん
「難しいキャベツだよ。難しいけど魅力のあるキャベツだよね。お客さんが一番喜んでくれるのがうれしいから、それだけだよね。だから作り続ける」
おいしいものを届けたい、その情熱でいま人気を集めている幻のキャベツ。
では、そもそも、なぜ419という名前なのか?
今は麗峰(れいほう)という名前があるのですが、まだ名前がなかったころの試作の品種番号が419でそれがそのまま定着しているんだそうです。
驚くほどに甘く、みずみずしい「幻のキャベツ」。
10月中旬まで楽しめるということです。