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大泉町 外国人“県内最多”2割のまち 多文化共生は"財産"

大泉町観光協会事務局長 中山 正樹さん インタビュー
  • 2022年08月01日
写真提供 大泉町観光協会

人口に占める外国人の割合が県内でもっとも高い大泉町。町の魅力をどのように発信しようとしているのか、大泉町観光協会事務局長の中山正樹さんに伺いました。

(前橋放送局アナウンサー 原口雅臣/2022年6月取材)

多文化共生のまち大泉

大泉町観光協会事務局長の中山正樹さんは36歳。留学先のアメリカで出会ったブラジル人の陽気さにほれ込み、帰国後、ブラジル出身者が多く暮らす大泉町に、大阪から移り住みました。

観光協会の事務局長に就いて7年。持ち前の明るさを生かして、町の魅力を発信し続けています。

原口アナウンサー

「大泉町が外国人の多い町であることは、知識としては知っていたんですけど、じっくり歩いたのは初めてでした。通りを歩けば外国語の看板がたくさんあって、ふつうに外国の人たちが歩いている状況を目にして、ここは日本かと思いました」

大泉町観光協会 事務局長 中山正樹さん

「町の総人口が約4万2000で、外国籍の方が約8000です。率で言うと20%もいる。その中でとくに多いのがブラジルの方です。次いでペルーの方で約1000、ネパール、ベトナム、フィリピンと続きます。近年、とても増えているのは、インドネシアとカンボジアの人たちです」

ブラジルサンバショー(1999年)  写真提供 大泉町観光協会

大泉町に外国人が増え始めたのは90年代初めです。町内のものづくりの現場で働く人たちを確保しようと、町を挙げて、日系ブラジル人やペルー人の受け入れを進めたことがきっかけでした。ことし6月末現在、町に暮らす外国人の出身地は47の国と地域に及びます。

多文化共生はまちの財産

「観光協会というと、地元の観光スポットを紹介したり、宿泊できる場所をおすすめしたり、そういう役割だとイメージしていたんですが、大泉町の場合はかなり独特ですね?」

「大泉町は異文化交流です、やっぱり観光資源は。さまざまな国の文化、人…ここはブレないですね。大泉町に来ていただいて、これまで知らなかった新しい国の商品だったり、材料だったり、ときには味だったり、まったく感覚の違った異国の人たちとの交流を楽しんでいただけたらなと常に思っています」

       町内ツアー  写真提供 大泉町観光協会

大泉町観光協会では、「多文化共生のまち」を前面に打ち出し、外国料理店や食料品店などを巡るツアーや、外国人の多い町の実情を伝える講演会などを開催しています。

       講演会    写真提供  大泉町観光協会

その中で、中山さんがとくに力を入れてきたのが、日本人と外国人が気軽に交流できる場を作ることです。

「町内には、さまざまな国の食料品店があります。店主さんやスタッフさんに、自慢の食料品を持ってきていただいて、さまざまな国の食料品を売れるようなイベントを観光協会が主催することによって、日本の人たちが来やすくなると思うんです」

「そこで、少しでも外国人と交流してもらい、外国料理も堪能してもらいたい。きっかけにすぎないかもしれませんが、それが、観光協会の存在意義なのかなと感じています」

「活きな世界のグルメ横丁」(現在は休止) 写真提供  大泉町観光協会 
「活きな世界のグルメ横丁」(現在は休止) 写真提供 大泉町観光協会

”先進地”で感じる 日本の将来

「私は群馬に2年半暮らしていて、これだけじっくり大泉の町を歩いたのは初めてだったんですけども、ものすごく楽しかったです」

「いろいろなものを見て、いろいろなことを感じたんですけど、なかには、多文化共生しなくてもいい、同じ空間に住んではいるけれど、関わりを持たずに生きていくこともできる、そう考えている人たちもいらっしゃる。私自身、それはそれでさみしいことだなって思うんです」

「まったく無関心の方に、強制的に多文化共生を進めましょう、というのも、おかしなことかなと思うんです。ただ、 日本以外の外国のコミュニティーを知ることは、決して悪いことではないと思うんです。今後、観光客もどんと増えるでしょうし、留学生も、技能実習生も、すごくたくさん来られています」

「そういった意味で、大泉は先進的な町で、30年前から外国の方々が多いんですけれども、これから日本全国で、自分の家の隣が外国人というのは普通になる可能性があります。ぜひ、大泉町に来ていただいて、将来を感じてもらえたらと思います」

今の大泉町の姿は、10年後、20年後、この国で当たり前に広がっている光景なのかもしれません。

外国人とともに暮らしていく時代が近付きつつあるなか、私たちに準備はできているのだろうか。そう問われているようにも感じました。

  • 原口 雅臣

    前橋放送局アナウンサー

    原口 雅臣

    1997年入局。宮崎局、福岡局、東京アナウンス室などを経て、前橋局へ。「ほっとぐんま630」キャスター3年目。地域を元気にしようと汗をかいている人たちにスポットを当てていきたいです。

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