鈴木姫花ちゃんは、学校帰りに立ち寄った祖母の家にいた時に、祖母と津波に巻き込まれました。
声が聞こえます。十歳のあなたの愛くるしい笑顔から
「パパ」と私を呼ぶ声が聞こえます。
声が聞こえます。「ママ」甘えた声でくっつきよりそうあなたの声が聞こえます。
一緒に歩いています。私の肩の少し下、背丈をイメージしながら近所の公園を歩いています。
一緒にご飯を食べています。
テーブルのいつもの場所に。あなたのお茶碗、お箸をそえて。
好きなおかずは多目にのせて。「いただきます」と家族で声をそろえます。
ときどき、夢に出てきてくれます。たとえ夢でも、会えたことが嬉しく、目が覚めたあと涙が溢れます。
毎朝、お線香をあげています。「助けてあげられなくてごめんね。どうかおばあちゃんと一緒に天国に行ってください。
そして天国から、パパ、ママ、皇ちゃん、丞ちゃんを見守ってください。」そう毎朝、仏壇にお線香をあげています。
仕事に出かけるときは「いってきます」といい、帰宅したら「ただいま」といいます。
あの日の朝、あなたと最後に交わした言葉も
「行ってきます」「いってらっしゃい」でした。
「ただいま」「おかえり」の会話はできないままに、
今日があります。
あなたがいなくなってしまったことで、嘆き悲しみ、涙が止まらない日々もありましたが、
あなたがいたことで、今も希望をもって生きていくことができています。
あなたの存在は、長い年月が経った今でもなお、みんなをやさしく照らし続けています。
大丈夫です、みんな元気です。
昨日、ひさしぶりに開いたメッセージカードには、
あなたの文字で「大好きだよ」と書いてありました。
姫ちゃん、姫花ちゃん、ありがとう。大好きだよ。