“幻の和牛” 「土佐あかうし」を盛り上げたい!
- 2024年03月08日
高知県特産の赤身の和牛、「土佐あかうし」のおいしさを広く知ってもらおうと、焼き肉を味わうイベントが高知市で開かれました。(NHK高知放送局 記者 益野美咲)
「土佐あかうし」の焼き肉イベント
これは、流通量の少ない「土佐あかうし」の消費拡大につなげ、生産者を応援しようと、県内の飲食店経営者などで作る団体が初めて開き、会場の焼き肉店には県内外からおよそ230人が集まりました。
高知県農業振興部の杉村 光孝 部長が「『土佐あかうし』が おいしく料理され、県内外の人やインバウンドの方々などに食べてもらうことで、生産者がさらによい牛を作る励みになると思う」とあいさつしました。
このあと集まった人たちは「土佐あかうし」の肉、70キロ分を次々と焼いて、たれや塩をつけるなどしておいしそうに味わっていました。
東京から訪れた男性は、「高知はカツオのイメージが強かったが、『土佐あかうし』の赤身がすごくおいしかった」と話していました。
また「土佐あかうし」の生産者は、「おいしそうに食べている顔を見られてすごくうれしい。高知県の人にはぜひ食べてもらいたい」と話していました。
主催した「土佐あかうし協会」の徳弘 誠 会長は「全国の和牛に比べると『土佐あかうし』はまだ少ない。後継者不足の解消や安定的な収入の確保などに向け微力ながら少しでも役に立ちたい」と話していました。
“幻の和牛” 「土佐あかうし」の現状
「土佐あかうし」は出荷される量が非常に少なく“幻の和牛”ともいわれています。
県の調べによりますと、「土佐あかうし」の令和4年度の飼育頭数は2400頭余りと、国内の和牛全体の0.15パーセントしかありません。
上のグラフは肉用牛のうち「褐毛(あかげ)和種」、現在「土佐あかうし」と呼ばれている牛の県内の飼育頭数の推移です。昭和62年度には8000頭近くでしたが、しだいに飼育頭数は減っていき、平成25年度には1600頭近くにまで落ち込みました。その後少し回復はしたものの最近は2400頭ほどで推移しています。
「土佐あかうし」減少の要因は?
その要因として県は、
▼黒毛の和牛の需要が伸びて「土佐あかうし」との価格差が生まれたこと
▼「土佐あかうし」から黒毛の牛へ転換する農家が増えたこと
▼近年の飼料価格の高騰などで廃業する生産者もいたこと などをあげています。
「土佐あかうし」の流通量が少ないことから利益が確保できないなど、経営が厳しい状況に置かれている生産者もいます。後継者不足もあって、土佐あかうしの伝統を絶やさないことも課題だということです。
「土佐あかうし」を盛り上げたい!
「土佐あかうしは」県やJAなどで作る協議会が平成21年にブランド化し、その後、地域の特色ある農産物であることを示す「地域団体商標」としても登録されるなど、県などが知名度を上げようと取り組んでいます。
また民間では、最初に紹介した焼き肉のイベント以外にもクラウドファンディングで資金を募って「土佐あかうし」の専門店を設けようという動きもあります。
「土佐あかうし」は赤身と脂のバランスがよく、肉のうまみがあることが特徴といわれます。健康志向から赤身の肉の需要が高まっているとされる中、今後の取り組みで土佐あかうしがどれだけ脚光を浴びるのか注目したいと思います。