急増!マダニが媒介する危険な感染症 治療と対処、マダニから身を守る工夫とは

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セルフケア・対処熱がある発疹が出た頭が痛い皮膚手・腕足・脚

マダニに刺されると危険な感染症になる可能性も

マダニの特徴

写真:国立感染症研究所

マダニは家の中にいる小さいダニと違い、3~4ミリほどと大きく、森林地帯や草地に生息しています。そして、草の上で待ち伏せて、近くを通った人や動物に取り付き、血を吸うのです。頭部を皮膚に食い込ませるので、一度寄生したらなかなか離れません。刺された後はかゆみや軽い痛みを感じます。また、マダニの体内にはウイルスなどの病原体があり、吸血している間に感染してしまうことがあります。マダニが媒介する感染症としては日本紅斑熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、ダニ媒介脳炎(TBE)など。日本紅斑熱の感染報告が2021年過去最多を更新するなど、マダニが媒介する感染症にかかる人は増えており注意が必要です。

命にかかわることもあるSFTS

SFTSの潜伏期間や症状

写真:国立感染症研究所

SFTSはSFTSウイルスを持ったマダニに刺されることにより感染し、発症する場合があります。マダニに刺されたのち、6日から2週間の潜伏期間を経て、おもに発熱・頭痛・筋肉痛、おう吐・腹痛など消化器症状、意識障害などの神経症状、さらに腸などに出血が現れます。2021年7月28日時点で西日本を中心に641人の患者が報告されています。詳細に追跡調査した致死率では約27%と命にかかわることも多い感染症ですが、現在、有効な治療薬やワクチンはなく発症した場合には対症療法が行われます。

直接マダニに刺されて発症するだけではない

また、SFTSについては直接マダニに刺されて発症するだけでなく、ペットから飼い主や獣医師が感染するケースが多数報告されています。感染したペットの体液には大量のウイルスが含まれており、それら排せつ物に何らかの形で接触することにより感染してしまうのです。また、野良猫などに噛まれたり引っかかれたりすることによってウイルスが体内に侵入することもあります。マダニが身近な動物から人に感染するようになったのには、次のような経緯があると考えられます。まずシカやイノシシなどの野生動物が森林から畑へおりてきてマダニを落としていきます。マダニは民家近くの草地に居つき、やがて野良猫などに感染、さらに放し飼いされるペットにも広がっていきます。そして、人へと感染を広げてしまうのです。

マダニから身を守るには

マダニに刺されないための服装などの対策

マダニに刺されないようにすることが大事です。肌の露出を少なくするために、長袖・長ズボン・登山用のスパッツ等を着用し、帽子・手袋、首にはタオルを巻くなどの対策が重要です。さらに隙間からマダニが侵入しないよう、シャツのすそはズボンの中に、ズボンのすそは靴下や長くつの中に入れるようにします。

また、マダニを発見しやすくするために明るい色の服を着て、家に入る前に上着や作業着は脱ぎ、よく目で確認します。野外活動後はすぐに服を脱ぎ、入浴するようにしましょう。また、服や靴に虫よけ剤をスプレーすると、マダニがくっつきにくくなります。マダニに対する虫よけ剤として、ディートとイカリジンの2種類があります。

マダニに刺されたときの対処法

マダニに刺されてしまったら、無理に引きはがそうとせずに皮膚科などの医療機関で取ってもらうようにしましょう。無理に引きはがそうとすると、口の一部が体内に残り化膿することもあります。また、マダニの体を引きちぎるとウイルスがまき散らされ感染の可能性が高くなります。マダニを取り除いた後、数週間は体調の変化に注意し、発熱など症状があらわれた場合は医療機関を受診するようにします。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    ニュース 過去最悪!マダニに注意