視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜一覧へ
平成28年度 第6回
NHKキャンパス・ミーティング@近畿大学
(平成28年12月2日(金)開催)

 

<会 合 の 概 要>

 「経営委員会による受信者意見聴取」の平成28年度第6回は、対象を大学生に限定した企画型として、大阪府東大阪市の近畿大学で実施した。
 なお、大学生に限定した企画型の「語る会」は、武蔵大学(平成21年度)、関西学院大学(平成22年度)、中央大学(平成25年度)、東京藝術大学(平成26年度)、埼玉大学(平成27年度)、お茶の水女子大学(平成27年度)に続き、7回目の実施となった。
 当日は、参加した学生を3つのグループに分け、各グループに経営委員、理事がそれぞれ加わり、「公共放送NHKはどうあるべきか」「公共放送の財源『受信料』について」などのテーマについて70名の学生から意見を聴取した。

 

<会 合 の 名 称>

NHKキャンパス・ミーティング@近畿大学
視聴者のみなさまと語る会

 

<会 合 日 時>

平成28年12月2日(金) 午後3時〜午後5時

 

<出  席  者>

〔視聴者〕

公募による大学生・大学院生70名

〔経営委員〕

上 田 良 一  (委員)

 

佐 藤 友美子  (委員)

 

森 下 俊 三  (委員)

〔執 行 部〕

坂 本 忠 宣  (理事)

 

黄 木 紀 之  (理事)

 

大 橋 一 三  (理事)

〔司 会〕

住 田 功 一  エグゼクティブ・アナウンサー

 

< 会    場 >

 近畿大学(大阪府東大阪市)

 

< 開 催 項 目 >

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明、協会の基本方針、重要事項について

3 意見の聴取(グループディスカッション)

 (1) 公共放送NHKはどうあるべきか

 (2) 公共放送の財源『受信料』について

4 各グループディスカッションの報告

5 閉会あいさつ

 

 「視聴者のみなさまと語る会」終了後、三瓶 宏志アナウンサーによる「スポーツ中継の舞台裏」と題した講演会を開催した。

 

<概要・反響・評価>

  • 公募の結果、ホームページなどを通じて申し込みがあった74名のうち70名が参加した。

  • 当日は、3つのグループに分かれて「公共放送NHKはどうあるべきか」「公共放送の財源『受信料』について」などをテーマにしてディスカッション形式で進行した。

  • 参加者からは、「若い世代の接触率向上に向けた取り組み」「公共放送の役割」「受信料制度の理解促進」「インターネット配信の拡充」など、多岐にわたる意見や提言が寄せられた。

  • 語る会終了後に行ったアンケートには、69名から回答があった。主なアンケートの結果は次のとおり

    <参加者の満足度>
     「大変満足」12名、「満足」40名、「普通」14名、「不満」2名、「大変不満」1名

    <経営委員会の仕事について>
     「今回のイベントに参加して、経営委員会の活動について理解が深まりましたか」との質問に対し、「経営委員会の活動について理解が深まった」との回答が54名からあった。


◆協会の基本方針・重要事項の説明

 (佐藤委員)

 NHK経営委員の佐藤です。NHKの経営委員には、平成27年3月に任命されました。
 はじめに、経営委員会の役割について説明します。
 経営委員会の役割は、放送法に明文化されており、NHKの経営の基本方針などの議決、会長以下NHK執行部の業務の監督など、NHKの経営に対して大変重い責任を負っています。こうした役割を持つ経営委員会の委員は、衆議院及び参議院の同意を得て、内閣総理大臣によって任命されます。
 委員の選任に当たっては、教育、文化、科学、産業、その他のさまざまな分野、および全国の各地方から公平に代表されることを考慮して選ばなければいけないということが放送法で定められています。経営委員の任期は3年です。再任されることもあります。
 また、経営委員の中から監査委員が任命され、経営委員を含めた役員の職務の執行を監査する役割を担っています。現在、その監査委員は、本日の登壇者であります、上田委員、森下委員、そして、私の3名が務めています。
 私たち経営委員が重責を果たすためには、視聴者の皆さまのご意見を直接伺う会合を全国各地で年6回以上開催すること、その会合では、経営委員がNHKの基本方針や重要事項を説明することが定められています。
 本日は、大学生の皆さまからNHKに対する忌憚のないご意見をお聞かせいただく前に、「公共放送NHKの役割と取り組み」についてご説明します。
 公共放送NHKの役割として、まずは「命と暮らしを守る」があります。NHKは災害対策基本法で、報道機関として唯一、指定公共機関に定められています。「防災・減災報道」はNHKの最大の使命の1つです。地震・津波・台風などの災害、人命や国民生活に重大な影響を及ぼす非常事態が起きた時、NHKは、公共放送として正確でわかりやすい情報をより早く伝えるために、取材と報道に全力をあげて取り組んでいます。いざという時の公共放送。NHKはみなさまの命と暮らしを守るため、不断の努力を続けていきます。
 NHKには公共放送として、正確で公平・公正な情報や豊かで良質な番組を幅広く提供し、健全な民主主義の発展と文化の向上に寄与するという役割があります。そのためにも、報道機関として不偏不党の立場を守り、番組編集の自由を確保し、何人からも干渉されず、ニュースや番組が外からの圧力や働きかけによって左右されてはなりません。NHKは放送の自主・自立を堅持することを徹底しています。
 「豊かで、かつ、良い番組の放送を行うこと。それにより文化水準の向上に寄与すること。」。これは、放送法でも定められているNHKの役割です。この基本理念のもと、NHKは多様な番組を作り続けています。例えば、学校放送番組や福祉番組は、視聴率だけにとらわれない公共放送だからこそできる番組です。NHKはそれぞれ特徴を持った7つの放送波を使い、あまねく日本全国に放送を届けることで、公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くします。
 ラジオから始まった日本の放送は、その後白黒テレビ、カラーテレビ、衛星放送、ハイビジョン、デジタル放送へと、常に時代の最先端技術を導入、活用することによって発展してきました。この放送の発展の歴史において、NHKは放送技術の進歩における先導的な役割を果たしています。現在、情報技術の進展やインターネットの加速度的な普及などを背景に、放送を取り巻く環境は大きく変化しつつありますが、そうした新しい時代においても、NHKは新たなサービスやメディアの創造に向けたさまざまな取り組みを積極的に進めています。
 「日本発」の情報を世界に発信していくことは、公共放送の重要な責務の1つです。NHKでは、日本から世界へ、英語で情報を発信する国際テレビ放送「NHKワールドTV」をはじめ、4つの海外向けサービスを行っています。
 NHKはすべての都道府県で地域に根差したさまざまな番組を制作するほか、地域の活性化や地域貢献活動にも取り組んでいます。全国のNHKでは、夕方6時台のニュースをはじめ、さまざまな地域放送番組を放送し、イベントを開催しています。
 このような公共放送の役割を果たすための財源は、皆さまからの受信料です。税金でも広告収入でもなく、皆さまに公平に負担していただく受信料だからこそ、特定の利益や意向に左右されることなく、公共放送NHKとしての役割を果たすことができます。こうした考えから、放送法の中で「NHKの放送を受信できる受信設備を設置した者は、NHKと受信契約をしなければならない」ということが定められています。視聴者の皆さまに受信料を公平に負担していただくよう努めることは、NHKの責務であり、テレビなどの受信機を設置された方にはNHKへのご連絡と受信契約をお願いしています。
 なお、受信料は、世帯ごとにいただいており、学生の方が親元から離れてひとり暮らしをされている場合でも、家族とは別に受信料の支払いが必要になります。なお、同一生計で家族と離れて暮らしている場合は、受信料が半額になる「家族割引」が適用されますので、ぜひ、ご利用いただきたいと思います。
 そして、NHKでは、平成27年度から平成29年度までの3か年経営計画の中で、「放送やインターネットを通じて、信頼される『情報の社会的基盤』の役割を果たす」ことを掲げています。本日は、「インターネットサービス」について、簡単にご紹介したいと思います。
 NHKのニュースや災害情報を、いつでもどこでも利用できるよう、パソコンやスマートフォン向けに正確かつ迅速に配信しています。大規模な緊急災害では、インターネットでテレビ放送の同時提供や、関連している映像のリアルタイム提供などを実施しています。スマートフォン向けには、「NHKニュース・防災アプリ」でさまざまなサービスを提供しています。
 NHKで放送しているラジオ番組を、パソコンやスマートフォンで聞くことが可能となるアプリ「らじる・らじる」では、東京や大阪をはじめとした全国8つの放送局のラジオ番組をそれぞれ聞くことができます。また、外国人向けのテレビ国際放送「NHKワールドTV」もパソコンやスマートフォンで見ることができ、一部の番組では、放送同時提供だけでなく、「見逃し視聴サービス」も実施しています。
 NHKでは、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの期間中、テレビ放送の同時配信を行ったほか、競技の映像のライブストリーミング、見逃し配信を実施しました。さらに、話題のシーンをまとめた「ハイライト動画」を、ホームページの特設サイトと「NHKスポーツ」アプリ、You TubeのNHK公式チャンネルでも提供しました。
 NHKでは、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの経験を生かし、4年後の東京大会に向けて、インターネットを活用した新たな放送サービスなど、視聴者の皆さまに新たな価値を提供できるサービスに、積極的に取り組んでまいります。
 公共放送NHKの使命や長期的なビジョンを考える上でも、本日、若い皆さまからいただくご意見やご要望は、大変貴重なものになると考えています。本日、ここにお集まりいただいた皆さまから 頂戴するご意見・ご要望を私ども経営委員全員はもちろん、執行部とも共有して、今後のNHKの経営に反映させて参りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 (住田アナウンサー)
 佐藤委員からの説明でした。きょうは、参加していただいた皆さま全員からお声をいただきたいと思っていますので、3つのグループに分かれて、「公共放送NHKはどうあるべきか」「公共放送の財源『受信料』について」という2つのテーマで、皆さまからご質問、ご要望、ご意見を伺っていきたいと思います。

 

《グループディスカッション》

 

○Aグループ  上田 良一 委員、坂本 忠宣 理事、住田 功一 アナウンサー

 

(住田アナウンサー)
 まずは「どんなジャンルの番組をいつも見ているか」、あるいは「テレビやラジオはあまり見たり、聴いたりしません」など、どのようなことでも結構ですので、お伺いしたいと思います。

【会場参加者】
 私は、『クラシック音楽館』とか『ららら♪クラシック』といった音楽番組を定期的に見ています。
 それ以外は、朝の連続テレビ小説を親と一緒に見ることが多いです。

【会場参加者】
 私は、大学生活とアルバイトが忙しく、あまりテレビを見ていませんが、『紅白歌合戦』は必ず見ているので、ことしも見ようと思っています。

【会場参加者】
 『ブラタモリ』を毎回録画して見ています。
 ほかの番組だと答えの想像がつきますが、『ブラタモリ』はこの先どのような展開になるか想像ができないところをおもしろく感じています。

【会場参加者】
 バラエティ番組が中心ですが、大河ドラマ『真田丸』も見ています。

【会場参加者】
 私も大河ドラマは見ています。
 また、スマートフォンでラジオも聞いています。

【会場参加者】
 私はすごくテレビが好きなので、キャンパス・ミーティングには「テレビ好きな人たちが集まるのかな」と思っていました。
 好きな番組は、NHKの『ドキュメント72時間』や『鶴瓶の家族に乾杯』など、「普通の人なのにすごいな」という気持ちになれる番組が好きです。

【会場参加者】
 私は、朝や夜のBS番組、スポーツ中継をよく見ます。
 最近はBリーグができたので、BSでバスケットボールをよく見ています。

【会場参加者】
 私も最近は学校が忙しくてあまりテレビを見ていないのですが、民放の『月曜から夜ふかし』などのバラエティ番組を見ることが多いです。

【会場参加者】
 最近のテレビはおもしろくないので、テレビはあまり見ていません。
 見るとしたら、モータースポーツが好きなので、『F1グランプリ』などをCS放送で見ています。

【会場参加者】
 囲碁・将棋の番組を見ています。
 また、私もバラエティ番組が好きなのですが、特に『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』が好きです。

【会場参加者】
 演劇部に入っているため、忙しくてあまりテレビを見ていませんが、『NODA MAP』などの演劇番組や、『忍たま乱太郎』などのアニメ番組を見ています。

【会場参加者】
 私は朝のニュースを必ず見るようにしています。
 また、バラエティ番組や音楽番組が好きなので見ています。
 NHKの番組では『ドキュメント72時間』が大好きで、毎週、録画して見ています。

(住田アナウンサー)
 最近の『ドキュメント72時間』では何がおもしろかったですか。

【会場参加者】
 毎回おもしろいのですが、どこにカメラを置いても、そこにいる人たちがそれぞれドラマを持っていて、普通の人なのに、話がすごくおもしろいので、毎回楽しみにしています。

【会場参加者】
 私はテレビが大好きで、学校や外出している時間以外はほとんどテレビを見ています。
 好きなジャンルは、ドラマやバラエティですが、NHKの朝の連続テレビ小説と『あさイチ』は録画して見ています。

【会場参加者】
 私は『真田丸』をよく見ます。
 また、スポーツが好きなので、サッカーの特別番組もよく見ます。

【会場参加者】
 私もテレビが好きで、音楽、ドラマ、スポーツなど何でも見ます。
 NHKでは『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』『3月のライオン』を録画して、毎週欠かさず見ています。

【会場参加者】
 私は、『ニュース7』『おはよう日本』を見ています。
 最近では『うたコン』や、NHKの取り組みがわかるということで、『どーも、NHK』もたまに見ています。
 また、『NHKスペシャル』は、難しい内容が多いですが、「資本主義がこれからどうなっていくのか」というテーマを扱った『マネー・ワールド 資本主義の未来』は、わかりやすくてよかったと思います。

【会場参加者】
 『世界の果てまでイッテQ!』などのバラエティやドラマを見ています。

【会場参加者】
 あまりテレビを見ませんが、寝る前に親がニュースを見ていたら、私も少し見るぐらいです。

【会場参加者】
 いつもは民放のドラマをよく見ています。

【会場参加者】
 よく見る番組、ジャンルはニュースや情報番組、バラエティ番組が多いですが、ドラマやスポーツはあまり見ていません。
 実家にいた頃は、『おはよう日本』や『首都圏ネットワーク』を見ていましたが、こちらへ来てからは、サークルが忙しくて、なかなかテレビを見る時間がありません。

(住田アナウンサー)
 この後は、具体的なテーマについて伺いたいと思います。
 最初のテーマは「公共放送NHKはどうあるべきか」についてです。
 ただし、いきなり「NHKはこうあるべきだ」と言うことは難しいと思うので、「NHKはこんなことをすればよいのではないか」、あるいは「ここをNHKはもう少し考えたほうがよいのではないか」、ということなどを伺いたいと思います。

【会場参加者】
 最近は、テレビよりもインターネットやスマートフォンなどを利用することが多いので、NHKには、放送だけではなく、もっとありとあらゆるメディアを使い、情報発信することが求められていると思います。
 私は栃木県出身ですが、東日本大震災のときは、NHKの情報が大変役立ちました。
 NHKに求められている「迅速で正確に情報を伝える」ということは、民放にはできないことだと思います。

(住田アナウンサー)
 栃木県には宇都宮にNHKの放送局がありますが、NHK宇都宮放送局には、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

【会場参加者】
 NHK宇都宮放送局の番組は、夕方の番組くらいしか知りません。
 民放も東京の放送で、栃木の情報より東京の情報が多いので、そういう意味では栃木の情報に触れる機会は少ないと思います。

(住田アナウンサー)
 栃木には、民放のテレビやラジオ、新聞もあります。
 それらと比べてNHKはどうですか。

【会場参加者】
 中途半端というか、東京の支店という印象があります。

【会場参加者】
 私もあまりNHKを見る機会がなく、NHKに対して堅苦しいイメージがありますが、若い世代が見やすいように、ニュースや政治をわかりやすく解説して放送すれば、もっと親しみを持てるようになるのではないかと思います。

【会場参加者】
 私もNHKには堅苦しいイメージがあり、「NHKを見て、楽しもう」とは思っていません。
 おもしろそうな番組を増やしていけば、もっと親しみを持ってもらえるのではないかと思います。

(住田アナウンサー)
 今までのNHKの番組の中で、一番印象的な番組はありますか。

【会場参加者】
 『べっぴんさん』は神戸が舞台と聞いて初めて見てみましたが、15分の間にすごく感動しています。

(住田アナウンサー)
 「あなたに合うこんな番組があるよ」という情報も、もっとあったほうがよいかもしれません。

【会場参加者】
 テレビを見るときに、チャンネルをあまり意識せず、どこのテレビ局の番組なのかは全く気にしていないのですが、自分から進んでNHKを見ようとはしていません。

(住田アナウンサー)
 民放やNHKなどさまざまなチャンネルがある中で、それぞれの放送局のイメージなどを意識していないということでしょうか。

【会場参加者】
 一緒ではありませんが、ニュースやバラエティ、音楽番組というくくりで探して見ているので、「この番組を放送しているチャンネルは、このテレビ局」と認識しているわけではありません。

(住田アナウンサー)
 そのような中、NHKはどうあればよいと考えますか。

【会場参加者】
 難しいですが、視聴率を気にすることなく、災害報道を発信することは大事だと思うので、そういうことをしっかりやったら喜ばれると思います。

【会場参加者】
 私もあまりNHKを見ないので、どのような番組を放送しているのかよく知らないのですが、NHKが一番正確な情報を発信しているイメージがあるので、災害が発生した際は、NHKのニュースを見ることが多いです。

(住田アナウンサー)
 「NHKが一番正確な情報を発信している」というイメージを持つようになったのは、何か経験があったからでしょうか。

【会場参加者】
 親など、年齢層が高い人ほどNHKを見ていることが多いことで、「正確だから見ている」というイメージを持ったのだと思います。

【会場参加者】
 私の家では、NHKを見ている時間が長いと思っていますが、NHKには、全国放送が多いイメージがあり、東京に制作の重点が置かれているのではないか、という印象を持っています。
 また、国際放送に関する支出が国内放送と比べて少ないように思われるので、今後、国際放送に重点を置き、日本の立場を世界に示していくことも大事なのではないか、と思います。
 あわせて、NHKには、公共放送として、公平公正な立場で政府にものを言えるぐらいの度胸を持ってほしいと思っています。
 大統領選挙の際、アメリカの報道機関は、みずからの主張を訴えていたという印象を持っていますが、アメリカの報道機関ほどではなくても、NHKと民放の報道の内容についてもう少し違いがあってもよいのではないか、と思っています。

(上田委員)
 NHKでは、国際放送を『NHKワールドTV』というタイトルで24時間、英語で放送しており、日本国内でもアプリケーションをインストールすれば、いつでも見ることができます。
 『NHKワールドTV』では、日本だけではなく、世界のいろいろなニュースを取り上げており、1時間のうちに正時から30分間はニュースを発信し、あとの30分間でいろいろな番組を放送しています。
 簡単にアプリをインストールすることができ、無料で見ることができますので、学生の皆さまには、ぜひ、英語の勉強などに利用していただきたいと思います。

(坂本理事)
 国際放送を非常に多くの方に見ていただいていることは、大変ありがたいと思っています。
 京都などは外国からの観光客が非常に多い所ですが、最近は、有名な観光地だけではなく、秘境のような所も人気がありますので、地域のこだわりや地域ならではのコンテンツを、今年度から国際放送で放送していこうと取り組んでいます。
 このような取り組みを新年度もさらに強化し、コンテンツを増やし、インバウンドをさらに効果的に地域の活性化につなげたいと考えています。

【会場参加者】
 NHKで特徴的なのはCMがないことだと思います。
 例えば、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックでは、民放だと必ず途中でCMが入りますし、災害報道をしていてもCMが入ります。
 私はそれが好きではなく、NHKにはCMがないことが魅力だと感じています。

【会場参加者】
 NHKは、いろいろなジャンルの番組をまんべんなく放送しているイメージがあります。
 私は、サッカーがとても好きなので、サッカーの専門番組をやってほしいと思っているのですが、公共放送として、一つのスポーツに絞って放送することはできないのでしょうか。

(坂本理事)
 NHKは、地上放送や衛星放送、ラジオも含めたさまざまなメディアであらゆるスポーツを中継しています。
 プロ野球とJリーグを中心としたサッカーに関する番組が最も多く、海外ではMLB、さらには、アマチュアスポーツなども詳しく放送しています。
 2020年には、東京オリンピック・パラリンピックがありますので、アマチュアのスポーツを含めて、さらに多彩なスポーツを取り上げる番組を増やしていくことに取り組んでいます。
 私は、4年前のロンドンオリンピック・パラリンピックの責任者でしたが、オリンピックでは、NHKと民放連でジャパンコンソーシアムという形で協力し、放送する競技をそれぞれ調整した上で、地上波や衛星波で放送します。
 近畿大学は、水泳が強いことで知られていますが、アーチェリーでも近畿大学の選手が男女でメダルを取る結果となりました。
 NHKで放送して本当によかったと思いました。
現在、あまり目立っていない競技を放送することが次の2020年につながれば、と考えてリサーチをしているところです。
 プロスポーツもアマチュアスポーツも取り上げてまいりたいと考えていますので、ぜひ、楽しみにしていただきたいと思います。

(上田委員)
 一つのスポーツだけを放送することは難しく、バランスをとって放送しなければならないと考えていますが、リオデジャネイロオリンピックでは、テレビで放送している以外の種目もインターネットで見ることができました。
 恐らく東京オリンピック・パラリンピックのときも、テレビでは時間や放送できるチャンネルが限られることと思いますが、「マイナーだけれども、私はこれが見たい」という競技については、インターネットでご覧いただくことができるようになると思っています。

【会場参加者】
 NHKがリオデジャネイロパラリンピックのときに、特別番組を副音声や手話で放送していたのを見て、「NHKだからこそできる放送」だと思いました。

(坂本理事)
 パラリンピックでNHKがあれだけの規模で番組を編成したのは、今回が初めてです。
 これまでは、録画が中心でしたが、今回は地上波の生中継やインターネットのライブストリーミングも含めて、全面的に展開しました。
 2020年の東京オリンピックは放送だけではなく、積極的にデジタル展開を行い、スポーツの魅力を高めていくことが必要です。
 今回のリオデジャネイロオリンピックでいろいろ試行錯誤しながらチャレンジし、2020年に向けた準備を進めていきます。

【会場参加者】
 私は、NHKには幅広いジャンルの番組と情報を伝えてほしいと思っています。
 福祉や教育に関する番組のように、民放にはなかなか放送できないジャンルの番組であっても、NHKであれば視聴率やスポンサーを気にすることなく、つくることができると思いますので、視聴率は取れなくてもニーズがある番組や少数意見に寄り添っていけるような番組をつくっていただきたいと思います。
 また、政府などを気にすることなく、いろいろな情報を視聴者に提供することで、見ている人が自分で情報を取捨選択し、判断するための材料をできるだけ多く提供してほしいと思います。

【会場参加者】
 私は、ツイッターやインターネットから情報を入手することが多いのですが、インターネットの情報は正確性に欠けることが多いため、NHKのニュースでは、できるだけ正確な情報を早く伝えてもらいたいと思います。

【会場参加者】
 テレビをあまり見ていないので、よくわからないのですが、緊急時には早くて正確な情報が欲しいです。
 現場の状況が変わっていくということをわかりやすく伝えることが重要だと思います。

(住田アナウンサー)
 ここからは、もう一つのテーマである公共放送の財源「受信料」について伺っていきたいと思います。

【会場参加者】
 何を質問したらいいのかわからないぐらい何も知りません。
 そして、受信料の使い道がわかりにくいと思います。

【会場参加者】
 「NHKを見るには、受信料が必要だ」ということは前から知っていましたが、私のようにNHKを全く見ない人もいます。
 見ない人にとっては受信料を支払う意味が全くないと考えていることから、NHKを見ている人や利用したい人だけが受信料を支払うような制度ができないものか、と考えていました。

(坂本理事)
 公共放送NHKは放送法に基づいて存立しており、「テレビを設置した方は、NHKと受信契約を締結しなければならない」という定めによって視聴者の皆さまからいただく受信料で、日々の放送を行っています。
 NHKは、東日本大震災や21年前の阪神・淡路大震災のときも、「何かあったときのNHK」として、地域の人々の生命、財産を守り、安全安心を保障する、そのための放送を24時間365日続けてきました。
 そのような放送を続けていく、という意味でも受信料は、われわれNHKにとっての生命線であり、一番の根幹だと考えています。
 例えば、国営放送であれば、税金で賄うということになり、民間放送であれば、ビジネスが成立しなければ放送も成立しないということになりますので、「何かあったときに、安全や安心、財産を守る放送をお届けする公共放送のための財源が受信料」だということをご理解いただきたいと思います。
 また、ことしからニュース防災アプリで、NHKの緊急報道の情報が得られるようになりました。
 自宅にいなくても、NHKのアプリを見ることで自分の身を守ることができるようになる、SNSを含めて皆で情報を共有し、安全や安心を守っていくということが、特に求められていると考えています。
 NHKでは、インターネット同時配信に向けた実験を行っています。
 これはスマートフォンをお持ちであれば、NHKの番組を見ることができ、見逃しサービスも見ることができるようになるのですが、法律の改正が必要で、現在は常時、サービスを提供することができません。
 著作権などの法律の問題や通信回線への負荷などを検証するために実験に取り組んでいますが、放送をインターネットで同時に配信することができるようになれば、さらに安全安心を共有することができるのではないか、と考えています。

(上田委員)
 受信料の話は、経営委員にとっても一番大切な課題です。
 「見ている人が支払えばよいのではないか」という議論は以前からありますが、かつて、「国として公共の福祉に寄与するような放送事業者が必要か」という議論があった際、「偏りのない、公平で不偏不党、事実を正しく適確に伝えるという役割の放送事業者がどうしても必要」ということで、放送法という法律のもとで受信料制度ができました。
 しかしながら、これが通信の世界になると、情報を取得する手段が必ずしもテレビだけではなく、いろいろなところから得られるようになるため、「公共放送の財源である受信料という仕組みがどこまで必要なのか」ということが課題となっています。
 また、公共放送が日本の社会的インフラとして、どうすれば皆さまのお役に立てられるのか、ということも課題であり、国民の皆さまの安全と安心を守るための防災、減災情報を正しく伝える役割ができているかどうかをチェックすることも私たち経営委員会の重要な役割のひとつです。
 そして、NHKが皆さまからいただく受信料にふさわしい役割を果たしているかどうかを、常に管理監督していくのが私たち経営委員会です。
 受信料については、いろいろなご意見をいただきますが、NHKの放送が全国津々浦々、見ようと思えば誰でも見られるようにネットワークが築かれ、小さな離島でも見られるようになっているということも、受信料をいただいているNHKに課されている義務のひとつです。
 このように、正確な情報を伝えるネットワークを国として持つことの必要性や、情報のあり方を公共放送としてしっかりと考えながら、受信料をお支払いいただくことに値する役割を果たしていくことに努めています。
 きょう、皆さまから公共放送NHKへの期待を伺い、さらによい役割を果たしていきたいと考えているところです。

(坂本理事)
 総合テレビでは、教養番組、教育番組、報道番組、娯楽番組等の比率が決められており、バランスをとりながら放送しています。
 緊急報道は別ですが、全体の比率が決まっている中で、視聴者のさまざまなご要望に応え、コンテンツを日々提供しています。
 インターネットなどのデジタル系のコンテンツも、以前は、教育番組関連が中心でしたが、最近では、エンターテイメント的な要素も盛り込んだコンテンツを出しています。
 今年度は、朝の時間帯に子ども向けの番組を集中的に編成し、デジタル系のコンテンツを連動させた番組を放送しているほか、教育番組を学校の教材で使う際に、「もう少しコンパクトにしてほしい」という要望を受け、学校の教材として使えるよう取り組んでいます。

【会場参加者】
 私はきょう、NHKの財源が受信料だというのを初めて知りました。
 家に何回かNHKの方が訪ねてきましたが、一人暮らしのため怖くて対応できませんでしたので、訪問する際には、説明書類などを置いていくという対応も検討してほしいと思いました。
 また、友達にも受信料を支払っている人と支払っていない人がいるので、全員が公平に支払うということをもう少し徹底していただきたいと思います。

【会場参加者】
 私も、受信料制度をやめてスクランブル制度にすべき、と考えていましたが、きょうの会場で流れていた紹介を見て、「国内に50カ所以上、海外にも30カ所の拠点がある」ということを知りました。
 また、ドキュメンタリー番組でもNHKの制作する番組が最も真実を伝えている、というイメージがあり、そのようなイメージを持てることがNHKの特徴なのではないか、と思いました。
 このようなことを、皆で共有することができれば、多くの方が受信料を支払うことに納得できるのではないか、と思いました。

【会場参加者】
 今のNHKの番組はとてもおもしろいので、みんなにおもしろいと気づいてもらえるようになればよいと思います。
 また、受信料を税金に組み込むことはできないのでしょうか。

(上田委員)
 今の放送法の仕組みでは、税金のような形にしてしまうと国営放送になってしまい、国営放送では、政府の意向を一方的に伝えるような形になってしまいかねません。
 放送の自主性を守り、政治からも一定の距離を置いて、いろいろな情報、正しい事実関係をきちんと伝え、判断は民主主義の原則で国民の皆さまにしてもらうことが重要であり、受信料という財源が放送の自主性を維持するために必要だという認識で放送法ができているわけです。

【会場参加者】
 国民のための放送であっても、国を通して放送することは許されていない、ということでしょうか。

(上田委員)
 受信料を財源としている公共放送NHKとして、自主的に信頼できる情報を正しく伝えるということは、非常に大きな役割です。
 そして、NHKがこのような役割を果たしているかをチェックすることが、私たち経営委員の役割です。

(坂本理事)
 受信料の公平負担ということは、極めて大事なことであり、皆さまのご負担によって放送していくために、支払っている人と支払っていない人がいることは、不公平になりますので、皆さまにご理解いただけるよう営業活動を進めています。
 訪問の際にご迷惑をお掛けするなど研修が不十分なところもありますので、できるだけコミュニケーションをとりながら営業活動ができるように、日々努力しているところです。
 NHKでは、2020年に向けて、放送と通信を融合した公共メディアとしてステップアップしていく中期的な計画を持っています。
 放送だけではない時代に、公共放送NHKの情報、コンテンツが確実にお届けできるようになることが、視聴者の皆さまの信頼を得られることにつながる、と考えていますので、ぜひ、ご理解をいただきたいと思っています。

(住田アナウンサー)
 ここで時間になりました。
 放送と通信の重なり合いというのは、日々変化していますので、皆さまもチェックしていただきたいと思います。
 これからも皆さまのご意見やご要望をお願いいたします。
 きょうはありがとうございました。

 

 

○Bグループ  佐藤 友美子 委員、黄木 紀之 理事

 

(佐藤委員)
 きょうはテーマが設定されていますが、きっと、若い皆さんからいただく意見は、どのような話でもNHKに役立つご意見になると思いますので、公共放送としてNHKはどうなったらよいか、というヒントになる話をしていただけるとありがたい、と思っています。
 まずは、「NHKで見ている番組、好きな番組」があれば教えていただきたいと思います。
 もし、NHKにそのような番組がなければほかのテレビ局の番組でもかまいません。

【会場参加者】
 好きな番組は『ピタゴラスイッチ』です。
 妹とよく番組の話をしています。

【会場参加者】
 好きな番組は『ダーウィンが来た!生きもの新伝説』です。
 とても生き物が好きなので、楽しみながら見ています。

【会場参加者】
 好きな番組は、朝の連続テレビ小説です。
 『とと姉ちゃん』をよく見ていました。

【会場参加者】
 高校生のとき、『テストの花道』を見ていました。

【会場参加者】
 『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』と日本史の勉強も兼ねて大河ドラマを見ています。

【会場参加者】
 アイドルが好きなので、BSプレミアムで放送している『AKB48 SHOW』をよく見ています。

【会場参加者】
 歴史が好きなので、大河ドラマ『真田丸』を見ています。

【会場参加者】
 『はなかっぱ』や『おじゃる丸』を弟と一緒によく見ています。

【会場参加者】
 ここ数年、テレビをあまり見ていませんが、大河ドラマをよく見ていました。

【会場参加者】
 朝、学校へ行く前に『あさイチ』を見ています。

【会場参加者】
 NHKのニュース番組をよく見ています。

【会場参加者】
 ふだんは、あまりテレビを見ていませんが、夏に行われたリオデジャネイロオリンピックは、よく見ていました。

【会場参加者】
 テレビをあまり見ていません。
 帰る時間が不規則なので、帰った時間に放送しているニュース番組を見ています。

【会場参加者】
 大河ドラマ『真田丸』や、朝の連続テレビ小説『てっぱん』を見ていました。

【会場参加者】
 家に帰る時間が遅く、あまりテレビは見ていません。
 ニュースを見たいときは、民放の『NEWS ZERO』を見ています。
 きのうは『アメトーーク!』を見ました。

【会場参加者】
 生物や自然に関する番組が好きです。

【会場参加者】
 よく見ている番組は、『映像の世紀』、『ブラタモリ』です。

【会場参加者】
 最近あまりテレビを見ていませんが、連続テレビ小説を見ています。

【会場参加者】
 私も最近、テレビはあまり見ていませんが、『Rの法則』を見ていました。

【会場参加者】
 『映像の世紀』や、深夜に放送しているドキュメンタリー番組を録画して見ています。

【会場参加者】
 私は、テレビを持っていません。
 とても古い番組ですが、『英語でしゃべらナイト』を見ていました。

【会場参加者】
 スポーツが好きなので、オリンピックを見ていました。

【会場参加者】
 朝の連続テレビ小説が好きで、家族とよく見ています。

【会場参加者】
 私はテレビを全然見ません。
 小学生のころ、父と一緒に歴史番組を見ていました。

【会場参加者】
 『ダーウィンが来た!』を毎週録画して見ています。
 また、年末の紅白歌合戦は見ています。

(黄木理事)
 地域の皆さまの生活が出てくる『ドキュメント72時間』というドキュメンタリー番組がありますが、これは、同じ場所で72時間ずっとロケをして、そこの72時間の悲喜こもごもの様子をドキュメントする番組で、数年前からつくっています。
 毎回いろいろな生活の場面を見ることができ、おもしろいと思っています。

(佐藤委員)
 私が必ず見ている番組は『真田丸』と『べっぴんさん』です。
 『べっぴんさん』は家族で見ています。
 お話を伺った中に、テレビをあまり見なくなったという方が数名いましたが、それはなぜでしょうか。

【会場参加者】
 地デジ化でテレビが映らなくなってからテレビを見ていませんが、特に不自由なことはありません。
 情報が必要なときは、インターネットと新聞を見ていますが、台風が来たときはテレビがほしい、と思いました。

【会場参加者】
 NHKの番組は堅く、ニュースは年配の方が見ているイメージがあること、また、見る時間が無いということが、テレビを見ない人が増えている理由だと思います。
 私は、基本的にテレビがあまり必要だと思っておらず、必要な情報はスマートフォンで見ていますが、災害の時は、テレビを見ています。

【会場参加者】
 大河ドラマや朝の連続テレビ小説はよく見られていますし、独自に密着したドキュメンタリー番組も非常におもしろいと思いますが、「NHKは堅い」というイメージがあるということもあり、ゴールデンタイムにテレビを付けたとき、人気のある女優や芸人が出ている民放の番組を見てしまうのではないかと思います。

【会場参加者】
 いまの意見のとおりだと思いますが、ゴールデンタイムに堅い番組をやっていると、どうしてもほかの番組に目が行ってしまうことはよくわかりますが、その堅い番組こそがNHKらしさではないかと思います。

(佐藤委員)
 公共放送として、NHKは判断の手助けになるようないろいろな情報を発信していますが、若者がテレビを見なくなってしまったら、それが届かなくなってしまいます。
 その点について、どう思われますか。

【会場参加者】
 私は、NHKがどのような番組を放送しているかまったく知りません。
 おもしろい番組があるかもしれませんが、それを知る機会が無いので、わざわざテレビを付けて見ようと思いません。

(黄木理事)
 NHKも番組と番組の間に、別の番組の予告をしていますが、それはNHKを見ている人にしか届きませんので、NHKを見ていない人にも届ける必要があります。
 そこで、インターネットで番組の宣伝や予告をしており、NHKのホームページだけではなく、You Tubeやニコニコ動画でも少しずつ流すようにしています。
 このように、いろいろなメディアに発信して、NHKを見るきっかけを作るような取り組みがもっと必要だと思います。

(佐藤委員)
 「NHKはどうあるべきか」の前に、NHKの存在意義として「見るか、見ないか」という大きな問題があると思います。
 今、見ている番組は、昔から見ているから見ているのか、それとも新しい情報を何かから取ってきて見ているのでしょうか。
 例えば連続テレビ小説は、次々と新しくなりますが、そういう情報はどこから取ってきますか。

【会場参加者】
 朝の連続テレビ小説は、毎日の習慣で見ています。
 昔からずっとこの時間に放送しており、親も祖母も見ている、というように私たちの中でも習慣になっている点が大きいと思います。

【会場参加者】
 テレビは、自分がほしい情報をほしい時に得ることができません。
 忙しい人たちは、インターネットで自分がほしい情報を選び、見たい時間に見るようになります。
 テレビはそれが難しいので見なくなると思います。

【会場参加者】
 テレビを付けたときに、その番組についての情報を知らないと、見ようと思うきっかけも生まれません。
 今の若者はツイッターをしている人も多いので、「NHKに今夜はこういう番組がありますよ」という情報をツイッターに流したり、出演者がツイッターに流してくれるということがあれば、知るきっかけになると思います。

(黄木理事)
 NHKにもツイッターの公式アカウントがありますが、フォロワーの多くはNHKのファンです。
 今までNHKを見ていなかった人に番組を見に来ていただけるように、出演者にインスタグラムなどで番組出演の告知をしていただく、という取り組みも、少しずつ始めているところです。

(佐藤委員)
 出演者がツイッターで取り上げる、ということは、NHKには、たくさんのタレントの方が出演しているので、可能性としてはあるかもしれません。そのような個別のアクセスポイントがすごく大事なことだと思います。
 それでは、ニュースについて皆さんはふだんどのようにチェックしていますか。

【会場参加者】
 インターネットで見るか、帰宅後にテレビを付けたときに放送しているニュース番組を見ます。

(黄木理事)
 NHKでは、夜7時から30分間ニュース、9時から1時間ニュース、10時から25分間『クローズアップ現代+』、そして11時からニュースを放送しており、平日ゴールデンの時間帯は、ずっとニュースを放送しています。
 そういう意味では、民放と別の役割があると思います。

【会場参加者】
 11時からやっている『ニュースチェック 11』は、きょうのHOTワードやツイッターの画像もよく紹介されており、とても参考になります。

【会場参加者】
 朝起きたときに、親が見ているニュースを見る程度です。
 まだ中学生ぐらいのときまでは、先ほどの方と同じように、毎朝の習慣として見ていました。

【会場参加者】
 私は、昔から時事問題に興味があるので、NHKだけではなく、民放のニュース番組も見るようにしています。
 NHKのニュースは堅い感じがしますが、民放が取り上げていない地域のニュースも取り上げていて、興味深く見ています。

(佐藤委員)
 NHKは民放と違い、すべての都道府県に放送局があり、それぞれの放送局で地域の番組をつくっています。
 このように地域番組を通じて地域の情報を発信することもNHKの大事な役割です。
 では、地域番組、地域の情報発信についてご意見をいただけますでしょうか。

【会場参加者】
 私は、小学生のとき、地域の伝統芸能に取り組んでいましたが、NHKが取材に来て、練習活動などを放送してくれたおかげで、多くの人に知っていただくことができました。
 アクセスの悪いところで、なかなか人に知っていただけるところではなかったので、継続的に取材に来ていただけるとありがたいと思います。

【会場参加者】
 質問ですが、東京の番組と地方の番組は、どのように放送されているのでしょうか。

(黄木理事)
 ほぼ24時間放送している総合テレビの中に全国放送の時間帯と地域放送の時間帯があり、朝の6時55分からと7時25分から、夕方の6時10分からと金曜日の夜7時30分からなどが地域放送の時間帯となっています。
 また、地域向けに一度放送したものを全国放送で発信することや、英語化して国際放送で世界の人にも見てもらうという取り組みも積極的に行っています。
 地域情報の全国発信や海外発信は、全国にネットワークを持っているNHKのメリットを生かすことにつながっています。

(佐藤委員)
 今の話は、大変大きな役割だと思っており、地域の放送局では少ない人数で、がんばって番組をつくっています。
 それでは、もう一つのテーマ「公共放送の財源『受信料』について」、話を聞きたいと思います。
 受信料は税金のようにして皆さまから集めるのではなく、公共放送を支えるために自主的に支払っていただく負担金としてお願いしています。
 今は、全国の8割弱の方からお支払いいただいていますが、実は2割の方からはお支払いいただいていないという状況があります。
 「もっと強制的に集めたほうが不公平にならないのではないか」という意見もありますが、税金のような仕組みにすると、国や政党の意見が非常に色濃く出てしまうことが考えられるため、公共放送としての事業運営の自主性を損なうことがないよう、受信料を財源としています。
 しかしながら、2割の方が支払わなくてよい、ということではなく、皆さまのための放送を維持するために、NHKでは、皆さまから公平に受信料をお支払いいただけるよう努力しています。
 事前のアンケートでは、「学生には高い」「学生はタダにしたほうがよい」というような意見もありましたが、皆さまは受信料制度についてどう思われますか。

【会場参加者】
 受信料はどのように集めているのでしょうか。

(黄木理事)
 まず、テレビを設置していることが確認できた場合、受信契約をお願いすることになりますので、最初は訪問により、テレビの設置を確認させていただき、契約をお願いすることが多くなります。
 そして、契約をいただいた方に、クレジット継続払や口座振替、または継続振込によってお支払いいただいています。
 また、衛星放送の受信設備がある場合は衛星契約が必要になりますが、画面の左下に「BSデジタル放送の設置確認メッセージ」が出ている場合、NHKのコールセンターに電話をいただくこと等でメッセージが消え、契約のお届けもできます。
 このように、受信契約は強制的に成立するものではなく、受信設備がある方に自主的にお届けいただく等をご理解いただき、契約いただくことで、受信料を支払っていただく仕組みとなっています。

(佐藤委員)
 「NHKを見ないから受信料を支払わない」という方に、見られないようにするスクランブルという技術もありますが、それでは国民の安心・安全を守ることや、皆さまに有益な情報を提供するという公共放送の使命を果たすことができません。
 一方で、受信料を支払わなくてもテレビを見ることができるので、不公平感が生まれてしまいます。
 これから少子化となり、人口が減っていく時代になると、今の放送を維持できるかどうかは、皆さまに支払っていただけるかどうかに大きく関わってきます。
 きょうは皆さんのご意見を伺い、受信料を公平に支払っていただけるような取り組みについて、考えていきたいと思っています。

【会場参加者】
 募金のように、自分が支払える範囲で支払うようにしてはどうでしょうか。

(黄木理事)
 今の放送法で定められている受信料制度では、募金という形では想定されていません。
 基本的には、税金でもなく、特殊な負担金として国民全員で負担し合い、NHKという情報を発信するメディアを国民として持っておくという考え方になります。
 一方、民放はCMがあり、その広告収入で運営していますが、NHKは、ビジネスとは違った形で、受信料という特殊な負担金を受信機を設置された皆さまで出し合い、サービスに対する対価ではなく、国民みんなでメディアを持ちましょう、という考えになります。
 そのため、NHKにとっては、「視聴者の方々全員がスポンサーであり、株主」という考え方になります。

(佐藤委員)
 しかし、皆さんがNHKの番組を見なくなってしまったとなれば、非常に問題となります。
 今は災害報道のときによく見ていただいているようですが、NHKはそれだけではなく、いろいろな意見があることを知ることも大事なことであり、視聴者の皆さまに判断していくための情報や、不偏不党で政治的にも公平な情報などを、いろいろな番組で取り上げています。
 いずれにしても、受信料を支払うだけの価値のあるNHKにしていかなければならない、と思っています。

【会場参加者】
 テレビを見ないからNHKも必要としていないにも関わらず、受信料を支払わなければならないことに疑問があります。

(黄木理事)
 テレビを持っていない方から受信料をいただくことはしません。
 テレビが家にある方からは、NHKを見る、見ないに関わらず、受信契約をお願いしています。
 先ほど申したとおり、サービスを受ける対価として受信料を支払っていただく考え方ではありません。
 また、原則として強制的に取り立てるわけでもなく、ご理解をいただき、契約をいただくことで受信料をお支払いただく仕組みになっています。

(佐藤委員)
 皆さまからいただく受信料により、社会生活の基本となる情報を公平に提供することができますが、この考え方自体に共感いただけなくなれば、今後、皆さまから受信料をお支払いいただくことが難しくなるだろうと思いますので、NHKの放送が、皆さまの暮らしに役立つ情報となっているかということは非常に重要なことだと思います。

【会場参加者】
 祖母の家にNHKの方が来て、テレビがあれば受信料を支払うように、言われたことがありました。
 今のご説明では、双方の合意のもとで契約がなされるという言い方ですが、祖母の家に来た方は、ほぼ半強制的な感じで対応されており、疑問に感じています。

(黄木理事)
 強制ではありませんが、「受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信について契約をしなければならない。」という放送法第64条に基づき、受信契約および受信料のお支払いをお願いしています。
 ただし、罰則はありません。

【会場参加者】
 「契約をしなければならない」ということに、私は納得できません。
 契約とは、双方の合意があってなされるものであり、「契約自由の原則」に反していると思います。

(黄木理事)
 放送法で定められている受信料制度は、サービスに対する対価ではなく、視聴者全体で公共放送を支えていこうという考え方です。
 そのため、放送法に受信契約について記載されています。

(佐藤委員)
 受信料制度は、過去の戦争の反省から自由や民主主義を守っていこうと言うことが根幹にある制度です。
 また、受信料は、税金として全員から集めると政治との結びつきが強くなってしまうため、皆さまからいただく特殊な負担金として位置づけられています。
 いずれにしましても、最も大事なことは、皆さまから受信料を支払っていただけるようなNHKにしていくことだと思います。

【会場参加者】
 先ほどの説明で、学生で保護者が受信料を支払っている場合には半額でよい、という「家族割引」の説明を聞きましたが、この割引を知らない人も多く、私の家にNHKの方が来たときにも説明がありませんでしたので、もっと周知していただければ学生も受信料を支払いやすくなると思います。

(佐藤委員)
 学生向けのパンフレットもあり、大学構内などで配付していることもあると思いますが、契約をお願いするときにしっかりアナウンスすることが大事です。
 今、営業活動では、法人委託化を進めていますが、受信料についてご理解いただくためにも、しっかりアナウンスしていただくようにお願いしたいと思います。

【会場参加者】
 キャンパス・ミーティングに参加するまで、「なぜ受信料を支払わなければいけないのか」と受信料制度について疑問に思っていましたが、お話を伺い、「受信料は、支払ったほうがよい」という考えに変わりました。
 NHKがどういう番組を放送しているのか、ということをもっと知ることができれば、受信料も支払いやすくなるのではないかと思います。

(黄木理事)
 Eテレでは、結構突っ込んだ番組をつくっており、例えば、元薬物中毒者やLGBTのような顔を出して話しにくい内容を、人形が話をする番組『ねほりんぱほりん』や、障害者が作るバラエティ番組としてバリアフリーバラエティを意味する『バリバラ』を放送しています。
 また、『ハートネットTV』は、福祉向けの番組ですが、こうした番組はスポンサーが付くような多数の方に向けた番組ではないので、受信料だからこそできる番組のひとつです。
 大きな災害が起きたときでも、NHKは、放送予定になっている番組を取りやめて台風情報や津波の放送を続けることができるということも受信料で支えられているからこそできることです。
 このようにNHKだからこそできる番組があることを、もっと伝えていく必要があると思います。

(佐藤委員)
 NHKでは、リオデジャネイロパラリンピックの競技も、数多く放送しました。
 『ハートネットTV』においても障害をお持ちの方が元気にがんばっている場面を数多く取り上げることで、健常者の方が逆に元気をもらっていることがあると思っています。

【会場参加者】
 受信契約を結ぶときは訪問して行うとのことですが、NHKは全国規模の組織であり、多くの人手や経費がかかっているのではないでしょうか。

(黄木理事)
 経営委員会からも受信料をいただくための営業経費をもっと圧縮するように指示を受けており、さまざまな工夫をしていますが、契約をいただき、受信料をお支払いいただく活動を行うためにはある程度のお金が必要だということをご理解いただきたいと思います。

(佐藤委員)
 今は、ガス会社などとも協力して受信契約の案内をお知らせする取り組みも行っています。
 また、自発的にお支払いいただく意思をお持ちの方もいますので、そういう方には訪問することなく契約いただけるよう工夫しています。

(黄木理事)
 特に3月は転勤や進学などで住所変更がとても多く、さまざまな方法で受信契約や住所変更のお願いをしています。

【会場参加者】
 NHKの方々は、受信料の公平負担のためどのような取り組みが必要だと考えているのでしょうか。

(黄木理事)
 皆さまにNHKが役に立つと思っていただけるような番組をつくり、発信していくことが大切だと思っています。
 本日、皆さんからご意見をいただいているように、放送だけでは自分の見たいときに見たいものを見ることはできませんが、今後、インターネットを活用して、番組をインターネットで発信することができるようになれば、皆さんが見たいときに見たいものをNHKの番組を通じて得ることができるのではないかと考えており、このような取り組みをもっと加速していかなければいけないと思います。
 リオデジャネイロオリンピックでは、NHKスポーツアプリで放送していない競技のストリーミング動画の配信や見逃した競技の動画配信、ハイライト部分だけを短くまとめた動画配信を実施しました。
 また、ニュース防災アプリでは、NHKのニュースを動画つきで見ることができます。
 今後も、皆さまに無料で使ってもらえるようなアプリを開発するなど、インターネットの世界でも、情報の社会的基盤として、NHKは取り組んでいかなければいけないと思います。

(佐藤委員)
 今、必要な情報はテレビから流れていますが、これからインターネットが主流の時代になったときに、「これから公共放送としてどう向き合っていくか」ということは、とても大きな課題だと思っています。
 少し長期的に見ていただかなければいけないかもしれませんが、皆さんにご理解いただけるような活動をNHKが行っていけるよう、経営委員としても取り組むとともに、NHKの放送が地域の方にとってもさまざまな意味で役に立てるようにしていきたいと思っていますので、今は、NHKをあまり見ていないという方にもぜひ、NHKを温かく見守っていただきたい、と思っています。
 皆さまからいただいたご意見は、経営委員で共有し、若い方にも見ていただけるNHKになるよう努めていきたいと思います。
 きょうは本当にありがとうございました。

 

 

○Cグループ  森下 俊三 委員、大橋 一三 理事

 

(森下委員)
 本日は、限られた時間でのディスカッションとなりますが、参加いただいた皆さんにお話しいただきたいと思います。
 また、設定されているテーマにこだわらず、皆さんが気になっていることなどを自由にお話しいただき、ディスカッションができればよいと思っています。

【会場参加者】
 「公共放送NHKはどうあるべきか」というテーマについて考えたとき、「高齢者だけではなく、若者が必要だと感じるような番組を制作していくことが大切ではないか」と考えました。
 また、公共放送として「もっと民間放送よりも愛されるべき放送局であるべき」と考えています。

(森下委員)
 「若者にとって必要な放送」ということについてお聞きしたいと思いますが、現在のNHKについて「高齢者の方向に向いているのではないか」というイメージを皆さんは持っている、ということでしょうか。

【会場参加者】
 NHKには、暗いイメージがあるように思います。
 多くの若者は、スマートフォンやタブレット機器から情報を入手しますが、NHKに限らず、テレビのニュースには、暗いニュースが多い傾向にあるように感じています。
 もう少し明るいニュースが取り上げられれば、若い世代がもっと積極的にテレビの情報を入手するようになるのではないでしょうか。

【会場参加者】
 私は、NHKの番組におもしろく思える番組がなく、ほとんど見ていませんが、そもそもNHKは公共放送なので、視聴率にこだわらなくてもよいのではないかと思います。

(森下委員)
 NHKではなく、民放の番組を見ているということでしょうか。

【会場参加者】
 ニュース番組であれば、民放の番組のほうが自由に話していて、おもしろく感じるので『NEWS ZERO』や『報道ステーション』を見ています。
 一方、NHKのニュースは、公共放送ということで制限があるのか「ニュースがあったこと」だけを伝えているように感じています。
 ただし、災害や選挙の際は、情報が最も早く、偏りのない情報を伝えてくれるのでNHKを見ています。

【会場参加者】
 私は、朝の連続テレビ小説や、『あさイチ』などNHKをよく見ています。
 また、夜のドラマや、『SONGS』など音楽番組、『着信御礼!ケータイ大喜利』などは、おもしろく思っています。
 若い世代の人たちには、「NHKの番組はおもしろくない」というイメージだけが先行してしまい、NHKにチャンネルを合わせないのではないでしょうか。
 「こういうおもしろい番組を放送している」ということをもっと伝えていくことができれば、若い世代の人もNHKにチャンネルを合わせるようになるのではないでしょうか。

(森下委員)
 NHKは、意外とおもしろい番組を放送しているにもかかわらず、若い世代の方には、「堅い、暗い、おもしろくない番組を放送している」というイメージがあって、なかなかチャンネルを合わさないという状況があるので、視聴者に対するアプローチ方法を考えたほうがよいのではないか、というご意見ですね。
 とてもよいご意見だと思います。

【会場参加者】
 NHKというと、ニュースや朝の連続テレビ小説、大河ドラマというイメージしかなく、もっと「こういう番組を放送している」という宣伝をしてほしいと思います。
 もっと、ホームページなどを通じて、番組情報を発信していくべきではないでしょうか。

【会場参加者】
 私は、テレビをあまり見ず、スマートフォンで情報を入手しています。
 スマートフォンでは、すぐに情報を取得することができますが、テレビでは、自分がほしいと思う情報が出てくるまでに時間がかかってしまう、ということがテレビとスマートフォンの違いだと思います。
 NHKは、災害時などの正確な情報を売りにしていると思いますが、スマートフォンやタブレット端末でも正確な情報や映像を伝えるサービスに本格的に取り組むなど、若い世代に対応するコンテンツを作っていくべきではないでしょうか。

(大橋理事)
 私たちも「若い世代の人たちに番組を見てもらおう」と、一生懸命、番組開発に取り組んでおり、これまでも若い世代に向けて多くの番組を制作してきました。
 実際に番組を見ていただくと「ここまで弾けた番組を放送していたのか」「この番組はおもしろい」と言っていただけることもありますので、番組の周知が不足しているというご意見をいただき、反省しているところです。
 現在、番組の周知をツイッターで行うなどの取り組みを始めており、例えば「NHK PR」というツイッターの発信者から、若い世代の人たちにリーチしていくなどの努力を重ねているところです。
 ぜひ、皆さまからも「このようにすれば、もっとNHKに接触したくなる」というアイデアをいただきたい、と思っています。

【会場参加者】
 例えば、放送後に「見たかった」と気付いた場合や、録画できなかった番組などを後から見られるようになれば便利だと思います。
 ぜひ、今まで放送した内容を全てインターネットで見られるようにしてほしい、と考えています。

(大橋理事)
 「NHKオンデマンド」をご存じでしょうか。
 有料サービスとなっていますが、番組を見逃した場合や、過去に放送された番組を見ていただけるようなサービスを行っていますので、ぜひ一度、利用していただきたいと思います。
 月額972円が必要になりますが、スマートフォンでも見ることができます。

(森下委員)
 法律上の制約もあり、受信料で行うサービスと分ける必要があるため、月額972円が必要になりますが、「NHKオンデマンド」というサービスがあることを知っていただきたいと思います。

【会場参加者】
 私は、スポーツ番組をもっと増やしてほしいと思います。
 NHKはよく見ていますが、ほとんどがスポーツ中継などのスポーツに関する番組です。
 特にサッカー中継をよく見ますが、中継されるのは決勝のみという場合や、海外の試合は、深夜のみの放送という場合があります。
 また、あまり有名ではないスポーツに日の目が当たるように、いろいろな競技を番組で取り上げてほしいと思います。

(森下委員)
 非常に多様な競技があるので、全て放送するには、時間の制約などがありますが、インターネットなど多くのチャンネルを活用することで対応できるかもしれません。

【会場参加者】
 私も結構、NHKを見ているほうだと思っています。
 私が、なぜNHKをよく見ているかというと、「自分にはない知識がNHKの番組の中にある」というのが理由の一つです。
 ただし、毎週決まった時間にテレビの前に座って見るということではなく、たまたまテレビをつけて、おもしろそうな番組がNHKで放送されていれば見ている、という見方をしています。
 このようなテレビの見方をしているので、テレビの画面の右上の表示を見ながら番組名や内容を把握しており、番組のタイトルや表示方法について、もっと力を入れてもよいのではないかと思っています。

(森下委員)
 では、ふだんはテレビではなく、スマートフォンやパソコンで情報収集しているということでしょうか。

【会場参加者】
 ふだんは、スマートフォンで自分の興味や関心のあることをピックアップしています。
 時間があるときにテレビをつけ、タイトルを見ながら、興味のある番組を放送している場合は、その番組を見ます。

(森下委員)
 「NHKでは、きょう、このような番組を放送します」ということをインターネットなどで周知することで、番組の視聴につながるというご意見ですね。

【会場参加者】
 「わかりやすく、具体的な内容が書いてある」「興味が引かれるような内容」であれば番組を見るようになると思います。

(森下委員)
 学生の皆さんは、講義の時間や部活などがあるので、テレビを見られる時間が制約されるという課題もあると思います。

【会場参加者】
 テレビの場合、自分に必要な情報が出てくるまで待たなければならない、という影響は結構大きいと思います。

【会場参加者】
 「NHKの番組は、視聴率をとる必要がない」と思うとともに、「放送しているだけで安心感がある」ということでよいのではないかと思っています。
 見られていなくても「放送されているだけで安心」と思えることは、NHKのあり方として、ひとつの理想ではないでしょうか。

(森下委員)
 NHKは、視聴者の皆さまから受信料をいただいているということもあり、視聴者の方々の意見を聞きながら番組制作に努めていく一方で、「視聴率をとるための番組ばかりではなくてもよいのでは」という意見ですね。

【会場参加者】
 リオデジャネイロオリンピックのハイライトを放送していましたが、放送してない時間に「ハイライトを見たい」と思ったとき、YouTubeを調べると、NHKが投稿した映像を見ることができました。
 テレビ以外にも情報発信に取り組んでいることを知り、いつでも見ることのできるYouTubeにNHKが投稿してくれたことをありがたく感じました。

【会場参加者】
 私は、岩手県出身なのですが、東日本大震災の際、沿岸部ばかりがニュースで取り上げられ、私の出身の内陸部があまり取り上げられていないように感じました。
 後日、内陸部でもライフラインが止まるなど被害があったと聞き、もっとさまざまな地域を取り上げてほしいと思いました。

(大橋理事)
 放送では一番被害の大きいところを中心にお伝えせざるを得ないことがありますが、ご意見いただいたように「全体をどのようにカバーしていくのか」ということは、大きな課題です。
 「この地域が停電しています」「避難所がどこにあります」という細かい地域の情報をデータ放送で補うという取り組みを行っていますが、「きめ細やかな情報をもっと多く伝えてほしい」というご要望に対して、放送で対応するには限界がありますので、インターネットをもっと活用できるようになれば、さらに多くの情報をお伝えすることが可能になるのではないか、と考えています。

【会場参加者】
 若者は、インターネットやスマートフォンで情報を入手していますが、高齢者の方は、インターネットが普及していない時代に生まれ育ったということを考えると、放送は高齢者の方向けに特化し、若い世代には、インターネットで情報を伝えていく、ということを検討していく必要があるのではないでしょうか。

【会場参加者】
 公共放送であるNHKは、視聴率を気にすることなく、民放では取り組んでいないようなことにチャレンジしてほしいと思っています。
 マイナーなスポーツに目を向ける、被災地でも比較的被害の少ない地域も取り上げるなど、民放では取り上げられないようなことを伝える番組であれば、ぜひ見てみたいと思います。

(森下委員)
 ニュースの取材や大河ドラマ、ドキュメンタリー番組など民放では取り組むことのできないような番組にもNHKでは取り組んでいますが、若い世代の皆さんから見ると、「まだまだ私たちが見たいと思うような番組が放送されていない」ということでしょうか。

【会場参加者】
 「さまざまな番組が放送されているということが、私たちのところまで届いていない」ということだと思います。
 先ほどツイッターの話がありましたが、私はまだツイッターでNHKの情報を見たことがありません。
 もっと私たちが使っているような言葉や単語を使って情報を発信することで、もっと若い世代にも情報が伝わるようになるのではないでしょうか。

(大橋理事)
 番組を制作する側では、「若い人たちに番組を見てもらおう」という努力を重ねていますが、若い世代に向けた番組を制作することで、「なぜNHKが民放の高視聴率番組のまねをするのか」「番組が民放化している」という指摘を受けることがあります。
 一方、「民放のようにおもしろい番組を制作してほしい」というご要望を受けることもあり、どのような番組を制作していけばよいのか、ということは悩ましい課題となっています。

【会場参加者】
 「番組が民放化している」と意見する人は、高齢の方ではないでしょうか。
 私は、NHKが放送しているコント番組が好きで、砕けた感じの番組を放送することはよいと思っています。

(大橋理事)
 硬軟織り交ぜて放送していく、ということですね。

【会場参加者】
 若者は、「NHKは堅い」というイメージを持ちすぎていて、高齢者の方は、「NHKはこうあるべき」というイメージを持ちすぎているのではないでしょうか。

【会場参加者】
 NHKの中で放送されている番組の中で比較的、若者に人気のある番組については、放送回数を増やせばよいのではないでしょうか。
 テレビは、家にいるから見るものであり、学生が家にいるような時間に放送する、また一日に何回も放送する、など放送時間の対応を変えることで番組を見る若者が増えるのではないでしょうか。

(森下委員)
 再放送の回数を増やす、日曜日の夜にまとめて一週間分を放送する、ということも考えられますね。

【会場参加者】
 せっかくおもしろい番組を制作しているのですから、若い世代の人たちが最もテレビを見ている時間に合わせて放送してほしいと思います。

【会場参加者】
 「視聴者にこびるような番組を作るな」という意見もある、という話がありましたが、「おもしろい」という感覚は、人によって異なるものではないでしょうか。
 「どのような番組がおもしろいか」ということは、同年代の人たちでも違うので、あまり難しく考えなくてもよいのではないでしょうか。

【会場参加者】
 テレビに限らず若者に受けたコンテンツとは、「参加型コンテンツ」と言われるような一緒にコンテンツを共有し、共有している気持ちを楽しむものではないかと思います。
 ツイッターの中で流行している単語や話題を指して使用する言葉で「バズる」という言葉がありますが、例えば『着信御礼!ケータイ大喜利』のような参加形コンテンツを拡充させて、「バズる」ものをNHKから発信していくべきではないでしょうか。

【会場参加者】
 私は、NHKにも若い世代向けの番組が多くあることは知っており、民放よりもNHKのほうがおもしろい番組が多くあると思っていますが、おもしろい番組があることを知らない人がまだまだ多くいます。
 私には高校生の弟がいて、YouTubeで人気のユーチューバーのコンテンツを見ているのですが、例えば、若者向けのNHKの番組をユーチューバーに見てもらって、番組の見どころなどを伝えてもらうことで、間接的にNHKのことを若い世代に知ってもらうことができるようになるのではないでしょうか。
 また、「命と暮らしを守ることがNHKの最大の使命」とのことでしたが、災害が起こったときにライブの映像を伝えることは、非常に大事だと思っています。
 一方、放送では一つのライブ映像しか放送できません。
 このようなとき、データ放送などを用いて、自分が見たい地域のライブ映像を選択して見られるようなサービスがあればよいのではないかと思います。

(森下委員)
 さまざまなご意見をいただきましたが、「ユーチューバーの意見を聞く」というように「見る人の目線で考える」ということを考えていくべきなのかもしれません。
 また、「見たい地域の情報がほしい」というご意見はそのとおりだと思います。
 災害が起こった際、順番に情報を伝えていきますが、被災地にいる方は「自分がいる地域に限定した情報がほしい」と思う一方で、東京にいる人は「被災地全体の情報がほしい」と考えるように、人によって求めるニーズが違います。
 それぞれ異なるニーズにどのように応えていくのか、ということが一つの課題だと考えています。
 では、続いて受信料についての意見も伺いたいと思います。

【会場参加者】
 私は下宿をするようになってから初めて受信料というものがあることを知りました。
 現在は、親に支払ってもらっているのですが、受信料についてよく理解していないにもかかわらず、大学を卒業すれば自分で支払わねばならなない、ということに不安を感じています。

【会場参加者】
 視聴者から考えれば、受信料の料額は安ければ安いほどよいと思います。
 これ以上、受信料は安くならないのでしょうか。

(森下委員)
 NHKの事業は、いただいた受信料の中で行われますので、現在、お支払いいただけていない約2割の方からお支払いいただけることができれば、 2割程度はコストを下げることができるかもしれません。
 お支払いいただいている方からすれば、「2割の方からお支払いいただいていないことは不公平」ということになりますので、NHKとしても、公平負担の徹底に向けて一生懸命取り組んでいるところです。
 しかしながら、東京や大阪などの大都市圏では、昼間の在宅率は低く、夜間にお伺いしてもオートロックマンションが多くなっているなど、受信料の公平負担に向けて、まだまだ課題があります。
 もし、現状のままで受信料額を値下げするのであれば、提供するサービスを減らさなくてはなりません。
 「受信料額は安くなるにこしたことはない」とは思いますが、災害時の放送など公共放送としての役割を果たすためには、一定の受信料をお支払いいただく必要があるとうことをご理解いただきたい、と思います。

【会場参加者】
 「NHKオンデマンド」を有料サービスとして提供していますが、NHKの受信料も同じように有料ということになるのではないでしょうか。
 「NHKを視聴できるテレビを設置していれば、受信料を支払わなければならない」ということですが、「絶対に支払わなければならない」ということなのでしょうか。

(大橋理事)
 「NHKのテレビを受信できる装置を設置した人は、NHKと契約をしなければならない」と放送法に規定されていますので、テレビを設置している場合は、学生の方でも受信契約をしなければいけない、ということが法律で定められています。
 一方、「NHKオンデマンド」のサービスは、インターネットのサービスになります。
 「受信料は、テレビを設置した方からいただいており、インターネットのサービスにかかる財源は、別に賄うべき」という考えに基づいた法律と制度によって、「NHKオンデマンド」を有料で提供しています。
 これまでも、皆さんから「NHKは、もっとインターネットで情報を提供するべき」というご意見をいただいていますが、インターネットでのサービスを提供するためには、「財源をどのようにご負担いただくのか」という問題がありますので、受信料制度を見直す議論を進めていく中で検討していくことになると考えています。

(森下委員)
 インターネットが普及したことで、さまざまなサービスを提供することが可能となりましたが、「皆さまからお支払いいただいた受信料の中で放送サービスを提供する」という決まりがある以上、放送以外のサービスを提供していくためには、法律を変える必要があります。
 イギリスBBCなど海外の放送局では、インターネットサービスはかなり進んでおり、日本でも現在の法律を見直す議論が始まっているところです。

(大橋理事)
 放送でもインターネットでも「コンテンツを見る」という意味では同じですので、一体で対応していく必要がある、と考えています。
 例えば、さまざまな地域の災害情報をインターネットで配信することで多くの方に見ていただくことが可能となりますが、現在、インターネットを通じて提供するサービスのうち、専ら受信料を財源として行うサービスについては、「実施する費用を各年度の受信料収入の2.5%を上限とする」という制限がありますので、この制限を越えてインターネットサービスを提供するためには、制度を変更する必要があります。
 今後、皆さんから「NHKはもっとインターネットでサービスを提供するべきだ」という声が多く出てくることで、インターネットサービスが拡充できるように制度が変わっていくことになると思っています。

(森下委員)
 現在、時代と制度が合わなくなっている時が来ており、現在の仕組みでは対応しきれないことが生じています。
 「すでに『インターネット時代』が来ている」と考えると、インターネットの側から見てみれば、放送は衰退産業と言えるのかもしれません。
 だからこそ、イギリスBBCなどは、インターネットサービスに一生懸命取り組んでいるわけであり、「このまま法律の制約で抑えられていては、世界の競争に負けてしまう」ということを、経営委員会においても指摘しているところです。

【会場参加者】
 先ほど、「受信料は支払わなくてはならない、にもかかわらず2割程度の方が支払っていない」という話がありましたが、電気料金と一緒に徴収するなど、強制的に支払わざるを得ないようにすればよいのではないでしょうか。

(大橋理事)
 韓国の公共放送KBSでは、電気料金と一緒に受信料を徴収しています。

(森下委員)
 NHKでは、営業部門を中心に一生懸命、お支払いいただけていない人へのアプローチする活動を進めていますが、ガス会社や引越会社と連携した住所変更の取次やNTT電話料金との一括支払いなど、さまざまな企業と連携し、NHKの人間だけでアプローチするのではなく、さまざまな企業などに代理店のように入っていただくという対応にも取り組んでいます。

【会場参加者】
 携帯電話料金と同じように利用した時間だけ支払う仕組みにすれば、公平負担が達成されるのではないでしょうか。
 また、携帯電話会社と連携して、携帯電話の料金と一緒に受信料を徴収することも検討するべきではないでしょうか。

(森下委員)
 今後、インターネットサービスが中心となるとすれば、現在のテレビ受信機よりもスマートフォンやタブレット端末がサービスを受ける端末の中心となることも考えられますので、受信料の仕組みを変えるという方法も選択肢のひとつとしてあろうかと思います。

【会場参加者】
 受信料の支払いについて、担当の人が訪問に来ますが、限られた時間の中での対応となるので、「法律で決められていることなので支払ってください」と、すぐに法律の話を出さざるを得ないのではないかと考えています。
 そのような対応ではなく、NHKの担当の人には、「子どもたちの教育のための放送に充てるお金です」など、受信料を支払う意義を説明する責任があると思いますし、受信料を支払う意義を一人一人の意識の中に浸透させていくことで、受信料を徴収する効率も上がるのではないでしょうか。
 担当の人も大変だとは思いますが、説明責任を果たすことが、支払率の向上につながるのではないかと思っています。

【会場参加者】
 営業担当の人が説明することも大事だとは思いますが、面と向かって話をしたとしても「絶対に支払いたくない」という人は、話を聞かないと思いますし、説明したとしても全てを伝えることは不可能だと思いますので、訪問以外の方法で、もっと国民全体がNHKについて理解できるようにするべきだと思います。

【会場参加者】
 私が持っているNHKのイメージというと、『おかあさんといっしょ』のような、子ども向け番組のイメージを持っています。
 最近は、NHKの番組をあまり見ていないのですが、私と同様、成長するとともにNHKを見る回数が減っていくように思っているので、家族が皆で見られる番組を作ってほしいと思います。

【会場参加者】
 先ほど、「NHKを受信できる状況であれば、支払わなければならない」という話がありましたが、受信機を細工して、NHKだけ受信できないような状態にした場合は、支払わなくてもよいのでしょうか。

(森下委員)
 法律では「受信することのできる受信設備を設置した」とありますので、「映る」「映らない」ではなく、テレビを設置していれば、受信契約をお願いすることになります。
 その代わり、NHKには「あまねく日本全国において受信できるようにしなくてはならない」という決まりもあり、「どこでも電波が届くように努めなければならない」という義務をNHKは負っています。
 例えば、アンテナの向きを変えて、「うちでは、NHKが映らない」ということであっても、受信することのできるテレビを置いていれば、受信料をお支払いいただくことになります。

【会場参加者】
 データ放送の機能を活用することで、双方向の視聴者参加型番組の制作が可能なはずですが、双方向の視聴者参加型の番組について、目立った番組がないように思います。
 視聴者が番組を見ながら参加できる、視聴者参加型の番組をもっと制作してほしいと思います。

【会場参加者】
 ひとり暮らしを始めてから「受信料を支払わなければならない」ということを初めて知る人が多いのではないでしょうか。
 私たち学生が受信料などNHKの理解を深めるために、この「視聴者のみなさまと語る会」のようにNHKが積極的に学校に赴くことは、とても大事なことだと思います。
 ただし、「NHKについて説明します」だけでは、人も集まりにくいと思うので、ドラマ観賞会の後に説明会を実施するなど、番組と連動した企画を実施することで、さらなる理解促進につなげることができるのではないでしょうか。

(大橋理事)
 今、大学生協で住宅の手続きをされた際などに受信料についてご案内する取り組みも行っています。

(森下委員)
 ご意見をいただいたように、もっとイベントと絡めて、受信料について説明する取り組みを行っていくべきかもしれません。

(大橋理事)
 今回の「視聴者のみなさまと語る会」にも、これだけ多くの方に来ていただけるということを本当にありがたいと感じています。
 ぜひ、イベントと連動するような取り組みも考えていきたいと思います。

【会場参加者】
 私は、家族と同居しているので自分で受信料を支払っているわけではありませんが、NHKでどのような番組を放送しているのか、もっと情報を発信するべきと思いました。

【会場参加者】
 受信料を支払っていない人は、「NHKを見ていない」「見ていないから支払わなくてよい」という考えの人が多いように思いますが、受信料を支払わなくてはならないのであれば、年金や税金と同じで「義務」として捉えてもらうため、「受信料」という名前を変えることで、人々の考え方も変わるのではないでしょうか。

(森下委員)
 私ども経営委員は、「今のNHKには、改革しなければならないところがたくさんある」ということを指摘する立場であり、執行部に対して意見していく立場にありますが、特に、「若い世代の方にどのようにしてテレビを見ていただくか」「なぜ若い世代は、テレビを見ないのか」という課題は、一番大きな課題であり、きょうは本当によいご意見をいただくことができたと思っています。
 また、NHKとしてもインターネットなどを通じて取り組みを発信し、「NHKはこんなことをやっている」ということをPRしなければならないと感じましたので、執行部には、よりいっそうの取り組みをお願いしたいと思います。
 そして、皆さまには、この機会にもう一度チャンネルをNHKに合わせていただき、「よい番組が放送している」と感じていただきたいと思います。
 きょうは、ありがとうございました。

 

 

≪各グループディスカッションの報告≫

 

(住田アナウンサー)
 それでは、それぞれのグループで、どのような内容が話し合われたのか、どのようなご意見や質問が出たのか、グループの代表の方に、ご報告をお願いしたいと思います。

 

【Aグループ代表者】
 「公共放送NHKはどうあるべきか」のテーマでは、「緊急災害時はNHKが一番早く、正確で信頼の置ける情報源」「NHKは、幅広いジャンルで豊かな番組を提供している」といった意見があり、そこがNHKの存在意義なのではないか、という話でまとまりました。
 次に、「公共放送の財源『受信料』について」のテーマでは、上田委員と坂本理事に「いつでもどこでも見られるNHK」「公平・公正なNHK」によって受信料は欠かせない存在であることを丁寧にご説明いただいたことで、若い世代も受信料についてもっと考えなければいけない、と思いました。

 

【Bグループ代表者】
 グループ全員でふだんどのような番組を見ているか意見交換したところ、NHKを全く見ていない人やテレビは見ているがNHKの番組を知らない人がいました。
 そのため、「公共放送はどうあるべきか」のテーマでは意見があまり出ませんでしたが、NHKの番組や取り組みについて、「いろいろな形でPRすることが必要なのではないか」という意見があり、学生の情報源はスマートフォンが主流となっていることから、例えばSNSを使った番組PRを行えば効果的ではないか、と思いました。
 「公共放送の財源『受信料』について」のテーマでは、活発な議論が行われました。
 佐藤委員から「受信料は契約をした人から支払われており、現在は世帯の約8割の方と契約を結んでいる」との説明を受けましたが、親元を離れた学生を対象とし、受信料が半額になる「家族割引」について知らない学生も多かったので、もっとPRが必要だと思いました。
 最後に、NHKでは、スマートフォン向けにスポーツやニュースなどのさまざまなアプリを用意しているとのことでしたが、私たちは知りませんでしたので、まず私たちの話を聞く前に、NHKの取り組みについてもっと教えてほしい、と思いました。

 

【Cグループ代表者】
 1つ目のテーマである「公共放送はどうあるべきか」では、「NHKでは、おもしろい番組がいくつも放送されているにもかかわらず、あまり知られていない」ということが課題なのではないか、という話がありました。
 また、現在はスマートフォンなどが普及しており、「インターネットを活用した番組の宣伝にもっと積極的に取り組んでほしい」という意見が出ました。
 テレビの課題ということでは、「スマートフォンは自分が欲しい情報をすぐに知ることができるが、テレビではできない」という意見があったほか、「東日本大震災のとき、ニュースを見ていても、自分の知りたい地域の情報が伝えられていなかったので、ニュースで取り上げられていない地域のライブ映像など被災地の情報を幅広く提供してほしい」という意見がありました。
 テーマ2の「公共放送の財源『受信料』について」では、ひとり暮らしをするまで受信料の存在を知らない若者が多い、ということでした。
 また、今の受信料制度では収入額の2.5%しかインターネットに使うことができない、ということで、「インターネットをもっと利用したほうがよい」という意見とは矛盾した制度となっていることが今後の課題なのではないか、という意見がありました。
 最後に、本日のキャンパス・ミーティングのように、さまざまな学校でこのようなイベントを開催し、受信料の必要性をアピールしていくことが大事ではないか、という意見でまとまりました。

 

(住田アナウンサー)
 それぞれの3つのグループで活発なご意見をいただきました。ありがとうございました。
 中でも、きょう会場に来てから急に代表ということを指名された3人の皆さま、大変緊張されたかと思いますが、お役目を果たしていただき本当にありがとうございました。
 最後に、きょうのミーティングを通して、各経営委員から、感想とお礼を皆さまに申し上げたいと思います。

(上田委員)
 きょうは多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。おそらくキャンパス・ミーティングで、過去最高の参加者数になったと思います。
 きょうは平日であり、授業の合間を縫って参加していただいたかと思いますが、このように多くの学生の方にご参加していただいたことに、改めて心から感謝したいと思います。どうもありがとうございました。
 一方で、数が多い分、なかなかコミュニケーションがとれず、時間的な制約も非常に大きかったことで、どこまで私どももお話しできたのか、ご理解いただけたのかという若干の不安は残りますが、その辺は許していただきたいと思います。
 また、代表の方の発表では、Aグループの議論が実に的確にまとめられていました。
 これまでの議論をまとめることは、大変なことだと思っていましたが、すばらしいまとめになっていたと思います。
 今後とも公共放送NHKとして、放送だけではなく、インターネットの世界でも許される範囲でいろいろなサービスを行い、若い皆さまにとっても親しみやすいNHKとなるように、経営委員も執行部と一緒になって取り組んでまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

(佐藤委員)
 きょうはたくさんの方にご参加いただき、ありがとうございました。
 このように若い皆さんのお話をたくさん聞ける機会は、貴重だと思いました。そして、皆さんが、本当に「スマートフォンネイティブ」であり、私たちとは全く違う感覚を持っていらっしゃるということがよくわかりました。
 Bチームでは、「ふだんどんなテレビを見ているのか」ということをお聞きしましたが、それ以前にテレビを見ていない、持っていないという方が何人もいたほか、ご両親の影響でテレビがついているから見ている、という方もいらっしゃいました。
 このような中、NHKが若い人たちに対して情報をきちんとお届けできているのか、という点で、本当に不安に感じるところがありました。
 これから、若い皆さまに公共放送を支えていただくためには、PRも情報発信もまだまだ課題があり、もっと努力が必要だと認識するとともに、これからはインターネットと放送が融合する時代になります。若い皆さんのご意見が反映された新しい公共放送になるよう努めていかなくてはならない、と思っていますので、これからも公共放送NHKを応援くださいますよう、よろしくお願いします。

(森下委員)
 皆さま、ありがとうございました。
 いままで「若い人たちがなぜNHKの番組を見ないのか」ということをずっと疑問に思っていましたが、先ほどまとめていただいた話にもあったとおり、「おもしろい番組をどのように伝えていくか」ということが課題だと認識しました。
 NHKでは、放送の中でさまざまな番組を紹介していますが、テレビを見ていない人には届きません。
 若い人のほとんどがスマートフォンで情報を得ている中、スマートフォンに向けてNHKがどのような番組を放送しているのかを発信することや、番組の一部をスマートフォンで流し、スマートフォンを見ている人にNHKの番組を知っていただく取り組みが必要であり、若い人たちへのアプローチの仕方を考えていかないといけない、ということは、大きなヒントをいただいたと思っています。
 若い人向けの番組も、比較的年配の人が制作しています。「若者向けの番組では、ユーチューバーのような人にモニターになってもらうべきではないか」という意見がありましたが、まさにそのとおりだと思います。
 このように視点を変えなければ、本当に若い人向けの番組はつくれないのではないか、という点も、きょういただいた大きなヒントだと思っています。
 若い皆さまの意見をぜひ生かしていきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします。
 最後に、少しでも時間があったらNHKを見ていただき、どういう番組を放送しているのか、ぜひ知っていただきたい、と思います。

(住田アナウンサー)
 本当にきょうは貴重なご意見をありがとうございました。
 分科会の中で、もっと言いたかった、聞きたかった、という方もいらっしゃるかと思います。お手元のアンケート用紙に、きょうの感想などとあわせてご記入いただきたいと思います。
 いただいたご意見は、大切に受けとめて、経営や番組づくりに生かしてまいりたいと思います。

 

 

<NHKキャンパス・ミーティング@近畿大学>参加者当日アンケート

※全表の単位はすべて人数

質問1:性別

男 性 女 性 未回答
40 28 1

質問2:年齢

10代 20代
22 47

質問3:今回のイベントに参加していかがでしたか

大変満足 満足 普通 不満 大変不満
12 40 14 2 1

質問4:今回のイベントを何でお知りになりましたか(複数回答)

HP(NHK) 放送(テレビ) 学生新聞 大学の案内 友人・知人 その他 未回答
0 5 1 53 6 4 1

質問5:一番印象に残ったコーナーはどこでしたか(複数回答)

経営重要事項 分科会 講演会 特になし 未回答
1 50 8 4 10

質問6:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

よく知っていた 知っていた 知らなかった その他
0 6 63 0

質問7:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

理解が深まった 変わらない わからない その他 未回答
54 9 5 0 1

 

 

<アンケートに寄せられた主なご意見>

 

経営全般について

  • 視聴者の意見を直接聞く機会を続けていけば、国民に支持されるNHKの発展につながるのではないかと思う。
  • 「視聴者の皆さまと語る会」は、公共放送の発展のために大切な活動であることを知った。
  • 公共放送の理解促進につながるような取り組みを増やしたほうがよい。
  • 公共放送や受信料制度について、今まで知る機会がなかったことを知ることができ、とてもよかった。
  • 有用な情報とは視聴者が判断することであり、まず視聴者が求めていることを知ることが優先だと思う。
  • NHKを見ない人の意見も取り込み、公共メディアとして充実を図ってほしい。
  • NHKの番組や経営方針、未来に向けたビジョンを知ることができ、大変よい機会だった。
  • 強引に受信契約のお願いをされた人がいると聞いたので、改善してほしい。
  • 視聴した時間の長さに応じて、現在の受信料金額を上限として支払うような仕組みにしてはどうか。
  • 受信料制度について、もっと外国の方の意見も聞いてはどうか。
  • 公平負担のために、ほかの公共料金と一緒に支払ってもらう等の新たな仕組みが必要ではないか。
  • 受信料を支払うことは、情報を知る権利を享受する上でも当然のことだと思う。
  • いまの受信料額は低所得者の負担が大きく、改善が必要だと思う。
  • 「家族割引」について初めて聞いた人も多い。視聴者にとって有益となる情報はしっかりと広めていくべき。
  • ワンセグ機能付き携帯電話やパソコンでも番組視聴が可能だが、テレビを持っていなくても受信料を支払わなければならないのか。
  • 公共放送の役割を理解していただくことで、未払い者も受信料を支払ってくれるようになるのではないか。
  • インターネットやアプリでNHKを見ることができるようになると、今の受信料制度では不公平になり、支払う人がもっと減ってしまうのではないか。
  • インターネットサービスを実施するために放送法に課題があるのであれば、その課題をどう解決していきたいかを聞きたかった。

 

放送について

  • NHKの番組が有益だと実感する機会が無いので、番組情報をインターネットの広告やSNS等を活用して発信するべきだ。
  • 若者向けの番組では、ユーチューバーにモニターを依頼してはどうか。
  • おもしろい番組がたくさんあるが、知る機会が無いので見ることができない。インターネットを通じて、よい番組を多くの人にPRしたほうがよい。
  • NHKがアプリやインターネットでさまざまなサービスをしていることを初めて知った。
  • NHKがパソコンやスマートフォン向けにさまざまな情報を提供していることはわかったが、そのサービスを知ってもらうことが必要だ。
  • インターネットのサービスでは、高画質化よりも通信料があまりかからないサービスにしてほしい。
  • 今後も政治的に公平で正確な放送を続けてほしい。
  • 野球やサッカー中継だけでなく、あまり注目されていないスポーツこそNHKは積極的に放送するべき。
  • NHKの堅いイメージを一変するような、おもしろい番組を制作してほしい。
  • 今後もアニメ等のサブカルチャー向けの番組をつくってほしい。
  • 『バリバラ』などの福祉番組は、障害者の理解促進につながっている。もっと福祉番組を拡充してほしい。
  • 若者が見る時間帯に、「わかりやすく」を意識したニュース・情報番組等を放送してほしい。
  • 全国の情報だけでなく、地域情報の発信にも引き続き取り組んでほしい。
  • 日本語字幕と英語字幕の双方に対応してほしい。
  • 日頃の番組でも『紅白歌合戦』のように、若者に人気のあるアーティストや芸人が出演する番組を制作してほしい。
  • 視聴者が見たい番組をインターネットを活用して調査してはどうか。
  • 民放とは異なるNHKの独自性を大切にしてほしい。
  • 民放がバラエティ番組一色になりつつある中、硬派なイメージこそNHKの姿であるべきだ。

 

運営、その他について

  • 経営委員や理事と意見交換でき、とても貴重な経験となった。
  • 参加人数が多く議論が深まらなかったので、もっと少人数で行ってほしかった。
  • NHKのよいところを発言するように、誘導されているように感じた。
  • グループディスカッションでは空気が重々しく、発言しにくかった。
  • 参加者がNHKに対してさまざまな考えを持っており、とても勉強になった。
  • NHKに対するイメージが、明るいイメージに変わった。
  • 若者は受信料について理解と知識が無いので、高校などでも講演会をしてはどうか。
  • キャンパス・ミーティングに参加したことでNHKに対して知識が深まり、興味を持って番組を見たいと思った。