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平成23年度 第7回
視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in千葉
(平成23年12月17日開催)

 

<会 合 の 概 要>

 「経営委員会による受信者意見聴取」の平成23年度第7回は、千葉放送局で実施し、「経営全般」「放送」の2つのテーマで、公募による51名の視聴者のみなさまからご意見を伺った。

 

<会 合 の 名 称>

視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in千葉

 

<会 合 日 時>

平成23年12月17日(土)午後2時から午後4時10分まで

 

<出  席  者>

〔経営委員〕

數 土 文 夫(委員長)

井 原 理 代(委員)

大 滝 精 一(委員)

幸 田 真 音(委員)

〔執 行 部〕

永 井 研 二(技師長)

塚 田 祐 之(理事)

米 本  信 (千葉放送局長)

〔視聴者〕

公募による視聴者51人

〔司 会〕

末 田 正 雄 アナウンサー

 

< 会    場 >

 千葉放送局 2階汎用スペース

 

< 開 催 項 目 >

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明

  協会の基本方針その他協会の運営に関する重要な事項について

3 意見の聴取

 (1) NHKの経営全般について

 (2) NHKの放送について

4 閉会あいさつ

 

 「視聴者のみなさまと語る会」終了後、「心に残る言葉との出会い」と題して、森田美由紀アナウンサーのトークショーを開催した。

 

<概要・反響・評価>

  • 公募の結果、はがき・ホームページを通じて計100名から参加申し込みがあった。できるだけ多くの方々にご来場いただきたいということから、全員に案内を送付した。その際、参加者の意見の把握と参加意思の確認のために事前アンケート調査を実施したところ、74名の方から回答・返送があり、62名の方が参加すると答えていた。当日は51名のみなさまが参加した。

  • 「経営全般」と「放送」の2つのテーマを設定し、進行した。視聴者からの要望は、受信料値下げで番組の品質が落ちることがないようにというご指摘や、視聴者の意見を聞く仕組みの更なる向上、震災報道の在り方への意見、若者に迎合しない番組作りをすることなど多岐にわたった。

  • 参加者全員のご意見を伺う時間がなかったため、終了後、意向収集のアンケート調査を行ったところ46名の方から回答があった。回答者は30代3名、40代1名、50代6名、60代20名、70代16名であった。

  • 参加者の満足度については、「たいへん満足」あるいは「満足」と答えた方が27名、「ふつう」と答えた方は13名、「不満」と答えた方は1名、未記入者が5名だった。


◆協会の基本方針・重要事項の説明

 (數土委員長)

 NHK経営委員会委員長の數土文夫でございます。NHKの経営委員には、平成23年4月に任命され、その後、互選で委員長に選ばれました。
 初めに、私ども経営委員会の役割についてご説明させていただきます。
 経営委員会の役割は、放送法に明文化されており、NHKの経営の基本方針などの議決や会長以下NHK執行部の役員の業務の監督など、NHKの経営に対して重い責任を負っています。経営委員会の委員は、国会の衆参両議院の同意を得て、内閣総理大臣より任命されます。委員の選任にあたりましては、教育、文化、科学、産業その他の各分野および全国各地方が公平に代表されることを考慮しなければならないと、放送法に定められています。委員は全員で12名です。経営委員の任期は3年ですが、再任されることもあります。また、経営委員の中から監査委員が任命され、経営委員会を含めた役員の職務の執行を監査しています。
  放送法には、私ども経営委員がその重責を果たすため、視聴者のみなさまのご意見を直接に伺うことが定められています。本日は、みなさまからNHKに対するきたんのないご意見をお聞かせいただきたいと思っていますが、この会合においては、経営委員が協会の基本方針や重要事項を説明することという定めもありますので、去る10月25日の経営委員会で議決いたしました、平成24年度から26年度にかかわるNHK経営計画について説明させていただきます。

  • 経営計画は「3か年の基本方針」のもとに「4つの重点目標」で構成しています。基本姿勢として、公共放送の原点に立ち返り、その役割の達成を目指すことを強く意識しています。
    • 重点目標の1つ目は「公共」です。未曽有の被害をもたらした東日本大震災でのさまざまな体験や教訓を生かし、いかなるときにもみなさまの安全・安心を守るための情報をいち早く正確に提供したいという思いで、放送機能を強化することが可能な限り盛り込まれていると考えています。
    • 2つ目は「信頼」です。世界に通用する質の高い番組、そして日本、地域の発展につながる放送やサービスの充実を盛り込みました。
    • 3つ目は「創造・未来」です。放送と通信の融合時代にふさわしい新しいサービスの充実を盛り込みました。
    • 4つ目は「改革・活力」です。経営改革で効率的な経営を行っていきます。
  • 次に視聴者のみなさまへの「還元」についてご説明させていただきます。NHKでは、平成24年度から3年間で1,162億円を受信料の値下げに充てました。全体で現在の受信料収入の7%の値下げに相当します。具体的な値下げ額は、地上契約で2か月ごとのお支払いの場合、口座振替・クレジットカード継続払では、月額120円です。継続振込支払では月額70円の値下げとなります。24年度予算が国会で承認されれば、来年10月から実施します。
  • 来年度からの3か年の事業収支は、事業収入、事業支出とも値下げ前の今年度を下回ります。受信料収入については、値下げにより24、25年度は前年度に比べ減りますが、値下げの影響を吸収し終えた3年目の26年度には126億円の増とする計画です。事業支出は、24年度は前年度比でマイナスになりますが、25年度は24年度と同規模となり、26年度は公共放送の機能強化に伴う建設投資による減価償却費等の増などにより、前年度と比べて増加となります。事業収支は、24年度が収支均衡、25年度は一旦47億円の赤字となりますが、26年度は受信料の増収により10億円の黒字に転換するとしています。
  • 経営計画の策定にあたりましてアピールしたいは次の4点です。
    • 1点目は設備投資です。東日本大震災を踏まえて、いかなる災害が発生しても国民の安全・安心を守るための情報を、早く正確にお伝えしたいと思い、現時点から見ると強化策が必要不可欠だと考えました。この強化策はトータル292億円になりますが、このうち本部のバックアップ機能など、とりわけ緊急性が高い設備投資につきましては、106億円を充てております。
    • 2点目は、番組の質を高めていくことです。英国のBBCを初めとした世界の公共放送の評価手法を参考にしながら、独自の評価・管理方法を確立していきます。そして「基本方針」「4つの重点目標」「現場管理」という各段階を一貫させるマネジメントを確立します。ここで導入されるのが放送の質的評価です。視聴率・接触者率だけでは追えない公共放送ならではの質の部分について、測定、定量化していきたいと考えています。
    • 3点目は国際放送の拡充です。重点目標のうちの1つ、「信頼」にも「世界に通用する質の高い番組や、日本、そして地域の発展につながる放送サービスを充実させます」を掲げました。テレビ国際放送「NHKワールドTV」では、東日本大震災の発生直後から、津波の映像やそれに続く原発の状況等をリアルタイムに伝え続けてきました。英国のBBC、米国のCNN、カタールのアルジャジーラなど、数多くの海外の放送局がNHKの報道を引用しました。また、東日本大震災以降は一部で誤った情報が海外に伝わり、風評被害も起きました。日本に関する正しい情報を海外に発信し、国際的な理解を深めることも公共放送に求められる重要な役割、すなわちわが国民、視聴者のみなさまにも利益になると考えて、このような措置をとっています。平成24年度からの3か年は、今年度までの3か年と比較して、国際放送の拡充にプラス107億円を充て、内容を充実させようとしています。
    • 4点目は、営業経費に関する意思決定です。営業経費は事業支出の中で極めて大きな比重を占めており、その数値の検討は経営の公正性、公平性、透明性を確保し、効率的で健全な経営基盤の確立により、具体的な形にしたいという経営委員会の強い意思の表れです。われわれ経営委員会は、経営計画の策定に合わせて、都道府県別の営業経費の月次の計画値と実績値などについて、執行部に定期的に報告するよう求める意思決定を行いました。

 収支の厳しい状況が続きますが、組織を挙げて増収に取り組むとともに、効率的な経営によって計画を着実に実行し、公共放送としての使命を果たし、視聴者のみなさま方の期待と信頼に応えていきたいと考えております。
  本日、千葉放送局にお集まりのみなさまから頂戴いたしますご意見やご要望は、私ども経営委員、執行部で共有して今後のNHKの経営に反映させてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

 

 

《視聴者の皆さまからのご意見とNHK側からの回答》

 

第1のテーマ:NHKの経営全般について

【会場参加者】
 私みたいに、NHKしか見ないという人間もいれば、あまりNHKを見ない人もいる。そういう人からも受信料を集めるために安くしたり、還元したりするわけだと思うが、放送の内容は果たして維持されるのか。お粗末な放送内容になっていると思う。十分考えてほしい。

【会場参加者】
 若者向けのいろいろなバラエティー番組が増えたが、民間放送よりもお粗末な番組が放送されているように思う。もっと内容の充実したものを放送してもらいたい。

【会場参加者】
 受信料値下げの話が出たのは、前の前の古森委員長のときだと思う。最終的に7%という形で決められたと思うが、私は、受信料の値下げは必要ないと思っている。受信料を下げれば中身も悪くなると思うからだ。12月14日の日経新聞のコラムをご覧になった方も多いと思うが、NHKのドラマでラブシーンの映像が多いことや「紅白」に韓流タレントや子役が出演する話題について書かれていた。この記事についてどのような印象を持ったのか聞かせてほしい。

【会場参加者】
 ある民放のプロデューサーがある冊子に寄稿していたのをたまたま先日読んだ。この中で民放にとって視聴率を上げるのは宿命で、10%をとれば御の字、15%であれば万歳だとのことだった。しかしNHKには視聴率を考えて番組を作るのではなく、質のいい番組を作ってもらいたい。
 昨日の夜7時半から土砂がたまり、ダム機能を脅かしているという内容の番組を見た(特報首都圏「えっ!ダムに水がたまらない?」12/16放送)。この番組でふだんわれわれが気付かないことを知って驚いた。この番組のように民放ができない内容を放送するのが公共放送の使命だ。

【会場参加者】
 受信料を下げると放送の質が低くなるというのは、ちょっと違うと思う。受信料を下げるというのがどういう経緯で決まったのか分からないが、ひところNHKの職員の方の人件費が、ほかの企業と比べて高いのではないかという報道もあったし、決算を見ると剰余金が随分あるという印象だ。剰余金もある程度は必要だと思うがそんなに残す必要はないと思う。

【会場参加者】
 今日は川越から来た。先ほどの方がおっしゃったように、民放にも負けるとも劣らない、くだらない番組が随分増えている。そんな番組を見るのだったら受信料を払いたくないと事前のアンケートに書かせてもらった。経営委員のみなさんは視聴率というものをどのように判断されているのか。

(數土委員長)
 まず、値下げについては、3年前、当時の古森経営委員長と福地会長の時代に、国会で10%還元することを明言しました。その際「10%は受信料の還元か」と確認され、「受信料からの還元」と答弁しています。
 NHKの不祥事が続き、支払率が75%ぐらいから69%まで下がって、襟を正さないとだめだとなりました。そうして10%還元が、経営委員会と執行部で話し合われたのです。その際、24年度から実行すると決められました。その後いろいろなアンケートをとってみても、10%還元すべきだという意見は全体の3分の2以上を占めています。国会で経営委員長と会長が約束したことを破ることはできません。私どもは今回の還元が非常に厳しいということを肌で感じています。還元の影響がNHKの報道番組、放送番組の質の劣化という形で表れたら、本末転倒です。そうならないように3か年計画については真摯に検討を行ってきたつもりです。
 執行部側は、もうこれは当たり前のことですけれども、放送の品質を確保するために還元の10%をできるだけゼロにしたいと主張しました。執行に携わる者としては、当たり前のことです。しかし経営委員会はよくよく検討すればまだ改善できるところがあるのではないかと議論しました。約束とコンプライアンスを守るためにできるだけ10%に近づけようとしました。そこに3月11日の東日本大震災が起きたのです。ぎりぎりの線で検討に検討を重ね、7%の還元に決めたわけです。地震対応などの緊急時に設備的にも技術的にも人的にも十分な対応が取れることを確認して7%にしたのです。大前提は品質を劣化させない、逆にBBC並みに上げるということです。品質を守るために採る評価方法は、BBCやアルジャジーラのものを参考にして独自の方法を確立するつもりです。
 経営委員会は放送法によって個別の放送番組の編集について言及できないとされていますが、私は番組の質はキープされるべきだという考えです。

(幸田委員)
 おもしろくないとか、民放化しているとか、柔らか過ぎるとか、若い人に迎合しているとか、視聴率を意識し過ぎではないかといったご意見は、実は別の会場でも本当にたくさんいただきますが、一生懸命NHKの番組を見てくださるからこその貴重なご意見だと思います。われわれが受信料を払って公共放送NHKは成り立っています。北アフリカや中東など諸外国における国家と報道の関係を思い起こしてください。日本における公共放送の制度はとてもいいと思いませんか。政府も介入せず、公平・公正な報道を心がけているし、今回の震災報道に関しては世界中から高い評価を得られました。ただ、現在NHKを一生懸命見てくださる方たちはある程度ご年齢の高い方が多く、10代、20代の方たちはまだ敬遠しているという感じがします。高齢化は今後も進み、65歳の高齢者が2025年には3人に1人、2050年には何と40%近くになるとのことです。そんな状況で、将来、誰が受信料を払っていくのか。将来に向けて持続可能な公共放送をめざすうえでも、今の若い人にNHKを理解してもらい、受信料を払ってもらい、NHKの番組やホームページなどに接触してもらえるような努力は必要です。

(大滝委員)
 視聴率のことについてお話ししたいと思います。番組の質をキープすることと民放ができないことをやっていくことは非常に大切だと思います。
 NHKの現場では視聴率は参考にするものの、数字をただ上げればいいとは考えていません。視聴率以外にも、接触者率や全国および地方の番組審議会があり、定量的・定性的に番組の質を測っていくという試みもしています。
 それらを総合して番組の質を見ていこうとしているので、視聴率はあくまでもたくさんの考慮事項のうちの一つです。これは誤解のないようにお伝えしておきたいと思います。

(數土委員長)
 さきほど繰越金の話が出ました。平成19年は920億円余でしたが、現在は1,160億円ぐらいです。多くのお金が余っているのではないかと思われるかもしれません。実は昭和51年、55年、59年とNHKは3回相次いで値上げしています。繰越金がなかったために値上げせざるを得なったのがその理由です。現在の1,160億円は、今の世界の経済状況、不安定な経済状況から見て、もっとあってもいいと考えています。全体の事業費約7,000億円の3分の1にもならない。私はもっと健全にしないとだめだと思います。一般の企業だったら、この商品がだめだったら別の商品を売り出すことができるのですが、NHKではそうはいきません。1,160億円の中から喫緊の課題として渋谷のNHK放送センターを新しくするために400億円を除きましたが、さらに繰越金を積まないといけないと私自身は思っています。

(井原委員)
 今いただいたご意見は、NHKにとって極めて重要な事柄です。公共放送の役割をきちんと果たすような取り組みを経営委員会としてやっているのか、品質の劣化を招くようなことはしていないかということですので、一言だけ申し上げます。
 公共放送としての役割を達成するために、少し言い方を変えますと、その番組の質をきちんと維持するために、次期経営計画では評価管理方法というものを導入し、NHK全体として取り組むことにしています。視聴率だけでその質や在り方を評価するのではなく、広い質的な指標や接触者率などいくつかの視点からNHKの放送を評価していこうとしています。そのポイントは、視聴者がどのようなことを期待し、それにどれだけ応えることができたか、すなわち実現度です。その意味で、視聴者の目線で公共放送の役割を果たしているか、番組の質が落ちることはないかを次期の経営計画では全体で取り組んでいこうとしています。

(塚田理事)
 私は30年間番組を作ってきましたが、視聴率を取るための番組作りはしてきていません。ただ公共放送ですから、より多くの方々に見ていただくことは大事です。テレビを見ない、特にNHKに触れていない若い方もいますので時間帯や番組を絞っていろいろなトライアルをしています。一方でNHKらしい骨太の番組も放送していきます。例えば今晩、増税をテーマにNHKスペシャルで徹底討論を、また明日の夜は3月11日に東京電力福島第一原子力発電所で何が起こっていたのかをこれまでの取材を集大成してわかりやすく伝える番組を放送します。さまざまなご意見を伺いながら全体のバランスを考えていきたいと思います。

【会場参加者】
 視聴率の話が出ているが、指標としては視聴率や接触者率以外にも、視聴者が発している声というのがある。例えばNHKふれあいセンターに届いた視聴者の声を週間や年間でまとめたものがある。また番組審議会、考査室、「視聴者視点によるNHK評価委員会」がまとめたものも最近読んだ。
 ふれあいセンターはなかなか電話がつながらない。ここに届いた声は理事会や経営委員会に届いているのか。経営委員会などの議事録を見ても全然そういう記述が見られない。出ているのは考査室や評価委員会の報告であって、子細に眺めてみてもほとんど制作意図のようなことが繰り返されているだけで、今後の課題は少し書いてあるだけだ。視聴者の声とはかい離しているのではないか。こうした視聴者対応を経営委員会はどう考えているのか。経営委員や執行部の幹部は視聴者の生の声をどのくらい聞いているのか。アンケートは客観的であり、自分の中で整理して答えているので、番組そのものへの反応とは違うと思う。同時性の高いコールセンターの生の声をどのくらい聞いているのか教えてほしい。

(司会)
 ふれあいセンターに届く意見にはどんな内容が多いのか、その内容を公表してほしいというご意見もあるかと思います。私は現在ラジオニュースを担当していますが、ラジオセンターでは、毎朝、前日の問い合わせ件数やみんなが知っておくべきラジオ番組に関する意見、また、この時期ですと「紅白歌合戦」に関する意見で特筆すべきものなどが報告され、情報を共有しています。こういう生の声が、執行部や経営委員会にどれだけ届いているかという質問ですね。

【会場参加者】
 視聴者の意見の束ね方の問題だと思う。それからコールセンターの窓口の受け方だが現在は問い合わせと番組内容等の要望や意見などすべて一緒に受けている。内容によって窓口を変えてくれればすっきりとすると思う。意見や要望をじっくり聞いていただきたい。問い合わせは事務的に済むことが多いと思う。

【会場参加者】
 さきほど人件費が高いという意見があった。私の友人にはNHKの記者やディレクターが多いが100時間から200時間近くのサービス残業をしている実態もあると思う。確かにそれに対し、全部人件費を払ってしまったら、すごいお金になって受信料にも影響があると思うが、もしその方が亡くなったり、あるいは問題が起きたりしたら、それはそれで経営上のリスクになると思う。経営委員はどう考えているか。

【会場参加者】
 今、改革をしているということだが、以前、NHKテレビで、参議院の予算委員会だったか、人件費について具体的な数字を述べているのを聞いたが相当に高いと感じた。一般の企業あるいは零細企業などと比べてどういう感覚を持っているか教えてもらいたい。

(數土委員長)
 まず、経営委員会が視聴者や国民のみなさまのご意見を聞いているかというご意見がありました。なかなか物理的に全部聞くということはできませんが、放送法で本日のような会を年6回以上開催することになっています。これが生の声を聞かせていただく機会の一つとなっています。それからパブリックコメントの形でご意見を聞くこともあります。今回ですと10%還元は是か非かということを中心にして、いろいろ意見をお聞きしました。それから経営委員会には個別にお手紙などでいろんな生の声が入ってきます。さきほどご指摘があったように、ふれあいセンターの窓口も整理する必要があれば整理して生の声に接するように努力してまいりたいと思っています。
 それから残業に関しては、経営委員会では残業は良くないと何回も申し上げています。3か年の経営方針についても、執行部は今までの仕事をすべて棚卸しして、続けるべき仕事と続けない仕事に分けます。労働協約上、残業の上限は決められていますのでこれは経営者として守らなければいけません。従来の仕事を見直し、3年間で280人の人員を減らすことを執行部は経営委員会に対して約束してくれています。
 人件費の妥当性については仕事の成果ということでやっていかないといけないので、品質の向上を図り、仕事の密度を高くすることを見極めながら、経営委員会は判断していきます。12名の経営委員は国会で承認されて、経営に対する責任を持つことが決められていますから、一人一人の良心と経営感覚に基づき、人件費に対しても対処していきたいと思っています。

(塚田理事)
 NHKには年間457万件を超えるお問い合わせやご意見等が寄せられます。昨年度は番組についてだけでも139万件が寄せられました。1日3,000件以上のお電話がかかってまいります。それをふれあいセンターで受けています。
 集中する時間帯には電話が確かにつながりにくいのですが、業務改善しながらできるだけ電話がつながるようにしたいと考えています。ご提案は窓口を別にしたらどうかということですが、かかってくるときはお問い合わせなのか、ご意見なのかすぐには分かりませんので、まず受けさせていただいて、できるだけ多くの方にお答えできるような形がいいという考えです。集中する時間帯には体制を強化するなど検討しています。
 ただ電話回線には限りもありますので、FAXやメールなどでもご意見をお寄せいただけるとありがたいと考えています。
 それからサービス残業は経営委員長が申しました通り、あってはならないことです。業務の選択と集中を見据えた中で考えていきたいと思います。

 

 

第2のテーマ:NHKの放送について

【会場参加者】
 震災関連の報道についてだ。東日本大震災の数日後に静岡で震度6の地震があった。そのとき私はたまたまNHKの「ニュースウオッチ9」を見ていた。地震が起きたときに民放にチャンネルを替えたら、静岡の民放4局はいずれも地元のアナウンサーがスタジオから第一報を伝えていた。ヘリ中継もあった。ところがNHKだけは、東京のスタジオから静岡の映像を流したままだった。ようやくその後、静岡放送局のアナウンサーが画面に出たが「地震が起きたときに家にいました」とコメントしていた。民放4局はすべて地元局から一報を流しているのにNHKの初動対応は大丈夫なのかと思った。
 もう一点、震災発生後、福島県出身と分かると県外で就職しにくいという話を聞いた。メディアにも責任があるのではないかという気がする。

(司会)
 静岡の初動態勢が民放とNHKで違っていたという意見でした。渋谷のNHK放送センターでは、ニュースセンターに24時間体制でアナウンサーがいて、少なくとも10秒か15秒でスタジオに駆けつけられるような体制をとっています。ただ、地方局によっては、夜必ずしもアナウンサー、記者、ディレクターの全員が泊まりの勤務をしているのではなく、そのうち何人かが泊まりというケースもあると思います。たまたまそういうときに当たったのかも知れませんが、地元局のアナウンサーが画面に出られなくても、東京では絶対にすぐに出られるようにしています。ですから、NHKの初動が遅いということはないはずです。
 それからもう一つ。毎日、深夜0時半ごろ、東京・渋谷のNHKでは、必ず地震があります。この意味がお分かりになりますか。訓練をしているのです。毎晩20分から30分かけて、実際に役場や消防・漁協等に電話をかけて取材する訓練なども含めて、実践さながらに行っています。

【会場参加者】
 地震があったとき「ただいま地震がありました」という情報が流れるタイミングがテレビとラジオで違う。ラジオを常に近くに置いているが、ラジオの速報はテレビより遅い。なるべくラジオとテレビは同時にお願いしたい。

(司会)
 ラジオの現場にもテレビの現場にも、情報は同時に入ります。テレビはどんな番組の放送中でも「字幕」ですぐ情報を出せますが、ラジオは生放送中ならすぐ対応ができますが、録音や中継だと一瞬止めてからでないと地震の情報が出せない場合もあります。これについては執行部からあとで詳しくお答えいたします。

【会場参加者】
 11月の国会中継でTPPの問題を放送していた。午前9時ごろから放送あり、関心があったのでずっと見ていたが、11時50分ごろ天気予報とニュースのところで終わってしまった。ちょうど野党の質問があって、すごくいい場面だった。他のチャンネルで継続して見られるかと思ったがやっていなかった。高校野球のときはチャンネルを替えれば継続して見られるのに国民の関心のある大事な国会中継でなぜ同じようにできないのか。

【会場参加者】
 ニュースのテロップに誤字が時々ある。ミスをなくしてもらいたい。それからもう一つ。「ラジオ深夜便」を放送開始当初から聞いている。放送開始当時、若者向けの民間放送がよく聞かれていた時代で、「ラジオ深夜便」は老人相手の番組だとばかにされていた。今では昼間の番組以上に老人たちが聞いている。病院で療養中の人が一番頼りにしているのは「ラジオ深夜便」だ。入院中の真っ暗な病室で、一人イヤホーンで聞き、生きる喜びを知ったという人は多い。ぜひテレビで「ラジオ深夜便」のような番組をやってもらいたい。老人は朝が早いが周囲に気兼ねして起き出せない。早朝4時から1時間半ぐらい、老人相手の番組を作ったらヒットすると思う。民放のラジオで以前言っていたが、視聴率調査は60歳以上を対象にしておらず、メディアは高齢者を対象にしていないとのことだった。しかし高齢化社会だからこそ老人相手の番組は大切だ。こうした放送は公共放送にしかできない。千葉放送局が独自にFMで「千葉の老人のみなさん」などという番組をやってくれたらいい。老人は老人会など横の連絡が早いからすぐ評判になるはずだ。

(塚田理事) 
 今、4名の方からお話しいただきました。1点目は「初動態勢は大丈夫か」ということでした。末田アナウンサーからも説明がありましたが、まず東京のニュースセンターで第一報を出す体制です。気象庁からのデータもつながっていますし、24時間体制で動いています。東京が万一のときは大阪から出すため、大阪でも毎日訓練をしています。
 全国の多くの放送局で、記者やアナウンサーが交替で泊まり勤務をしていますがまずは東京から速報を出すことで進めています。全国各地のロボットカメラの映像は全て東京に来ていますし、スキップ・バック・レコーダーといって、数秒前、数十秒前の映像をすぐに再生できる形になっています。その映像を使って地震発生時の状況をお伝えしています。
 2点目のテレビとラジオで震災報道に時間差があることについてですが、テレビは気象庁からデータが入るとすぐに字幕でお伝えすることができますが、ラジオは読み上げなくてはならないので、どうしてもその時間がかかってしまうことをご理解いただければと思います。
 それから、国会中継のお話がありました。私も長いこと国会中継に携わっていましたが、Eテレでできないのかというご意見でした。高校野球は年間開催日が決まっているので、あらかじめEテレに迂回できるのですが、国会中継は、前日の夕方ごろ急に決まることが多いのです。Eテレは、例えば学校放送やテキストなどとの関連で視聴者の方にいろいろ影響がありますので、総合テレビで一定の原則を設けて放送させていただいています。少数政党の意見も尊重し、例えば質疑時間の半分も放送できなかった場合は、別の時間帯で録画再生するなどの形で対応しています。
 それから、ニュースの誤字のお話がありました。あってはならないことでわれわれも常に注意をしています。ワープロのような機械で打ち出した字幕を何人かでチェックしているのですが、誤字を減らすようさらに努力してまいります。経営委員会にも誤字については視聴者対応報告の中で毎月報告しています。それをもとに放送現場に注意喚起しています。
 それから、早朝の時間帯のご提案がありました。これから年齢層の高い方が多くなりますので、さまざまな編成を考えるときに生かしていきたいと考えています。NHKでも視聴率調査をやっていますが、調査対象は60歳までと限定せず、各世代について調査をさせていただいていますことを申しあげておきます。

(大滝委員)
 震災報道について一言申し上げたいと思います。住まいが仙台なので、私自身も被災しました。東日本大震災に関する報道については、NHKは頑張ってよくやっていると思いました。特にラジオ放送です。しかし他方で、これは前回の経営委員会の中でも議論がありましたが、地震についてはかなり的確な報道が行われましたが、その後の津波については必ずしも十分な役割を果たせなかったのではないかと思います。津波についてもっといろいろ報道があれば、たくさんの方々が命を落とさなくても済んだのではないか、十分反省すべきことではないかと思っています。
 それから、ご指摘があった原発事故の対応です。この問題についても、特に報道の初期の段階で国からの情報を十分に吟味できないまま報道していたというようなことや、震災に伴う原発事故について報道すればするほど逆にそれが風評になっていってしまうという、報道としては大変難しい面があります。みなさま方からもっといろいろ意味でご意見をいただいた上で、その風評を防ぎながら、なおかつ正しい報道をすることは非常に難しいことですが、これは公共放送としての任務だと思っています。これからもこの問題は長く続きますので、われわれ経営委員もしっかりと対応していかなければいけないと考えています。

(司会)
 震災のときに、私たちアナウンサーはテレビ・ラジオで懸命に呼びかけましたが、あれだけ多くの方が亡くなり、行方不明の方もまだ数多くいらっしゃいます。われわれは一人でも多くの命を救うために、地震が起きたときや、津波警報が出たときの「呼びかけ文章」などを改善しました。
 今までは、視聴者のみなさんがパニックを起こしてはいけませんから、「早く安全な高台に避難してください。海岸や川の河口付近には近づかないでください」などと、ある程度落ちついた口調で言っていました。でも今後は大津波警報が出たときは「立ちどまったりしないで今すぐ逃げて。 振り返らないで!」や「逃げて、逃げて! すぐ逃げて!」と言うほうが、けがをする方や命を落とす方が一人でも少なくて済むのではないかと見直しました。先日、アナウンサー全員に徹底したところです。ただし、あまり大きな地震でないときにそれをやって、パニックにならないように気をつけなければいけないとは思っています。

【会場参加者】
 私は昨日、たまたまインターネットで、危険な印象を消すための原発用語の言い換えのサイトを見つけた。柔らかい表現にすれば受け手がそれほど危険でないと感じる。たとえば「事故」を「事象」と言い換えるとか、「老朽化」を「高経年化」、「汚染水」を「滞留水」など、10項目ぐらい記載されていた。
 私たちには正しいことを知る権利がある。報道はやはり本当のことを知らせるべきで、判断は個々人が行うべきというのが私の考えだ。先日福島を訪問し、その思いを強くした。危険な印象を消すような言い換えについてNHKはどのように考えているかを教えてほしい。

【会場参加者】
 私はNHKの良いところについて話したい。毎日「首都圏ネットワーク」を見ている。理科の実験や、ボランティアが参加しての教材作り、外国人教師の方、いろいろな視点からテーマである、脱ゆとり教育を取り上げていて、多様なやり方があるのだと感心した。これからもシリーズでこういった問題に取り組んでほしい。
 それから「季節の便り」や「みんなのビデオ」というコーナーは本当に視聴者とNHKをつなぐ、良いツールだと思う。
 さらにNHKのイベントに参加したことが2回ぐらいあるが、なかなか電話がつながらなくて困った。しかしイベントに参加できるメリットが与えられれば、料金を払っても元が取れる気がする。
 NHK千葉放送局のホームページの「千葉インターネット放送局」で千葉のニュースを流しているが、12月9日のニュースでこれまで広域だった群馬と栃木で、県域放送が始まると知った。これは千葉でもやる可能性はあるのか。

【会場参加者】
 地元で高校の教員をやっている。3点申し上げる。千葉放送局が40年前に局舎ができたとき、小学6年生だったが、白い鉄塔がクレーンで吊り上げられたのを、驚きを持って見た。これだけデジタルが進んだのだから、もっと地元の情報を伝える時間を増やすなり、独自の波を持つなりしてほしい。
 2点目は、アナウンサーについてだ。報道のアナウンサーは末田アナウンサーのようにベテランの方が活躍し、信頼を持って情報を聞けるような環境にある。しかし芸能のアナウンサーはどうか。報道におけるベテランのように、芸能のベテランアナウンサーを育てていったほうがいいのではないか。
 それから3点目。私は国語を教えているのだがグローバリズムの中で、アイデンティティーを育てていくことが、非常に大事だと思っている。Eテレの「トラッドジャパン」や「にほんごであそぼ」のような番組開発に期待している。

【会場参加者】
 NHKはかなり国会中継をやっているが、他の国では、国会中継に重きを置いて放送しているところもある。公共放送なのだから国会中継の頻度をもっと多くして、予算委員会や重要な決算委員会の放送時間を増やしてほしい。

(司会)
 国会中継の放送時間についてですが、これまでは1年間で二百数十時間だったのが、先日計算したら今年は1年で320〜330時間ぐらいの放送時間で、歴代トップだそうです。塚田理事から詳しく申し上げます。

(塚田理事)
 原発の用語の言い換えということですが、原発だけでなくて、放送用語はできるだけ分かりやすく的確にと、日々努力しています。NHKでは、東京電力の福島原子力発電所については「事故」と呼んでいます。その時々の状況を判断しながら、より適切と思われる言葉を選び、放送しているとご理解いただければと思います。
 それから、2点目ですが、群馬と栃木のテレビ県域放送については地元の要望をうけて調整を進めてきました。今月、電波監理審議会の答申が出されましたので、来年の4月から始めたいと考えています。では、南関東はどうするのかということですが、通勤、通学など視聴者のみなさまの生活実態やニーズ、利便性などを踏まえ、今後検討する課題だと考えています。
 それから、アナウンサーの育成については、公共放送ですからいろいろなジャンルにそれぞれの知識・見識を持った人材が必要ですのでトータルで考えていきたいと思います。
 国会中継についてですが、放送時間は今年、300時間を超えています。一方で視聴者の方々からは、通常の番組を見たいというご要望もいただきます。国政の中で重要なものについて放送させていただき、全体のバランスの中で考えているのが現状です。

(數土委員長)
 国会中継については、イギリスのBBCやドイツあるいはフランスの対応について執行部からの報告を待ちたいと思います。

【会場参加者】
 専門チャンネルということでニュースはできないのか。

(塚田理事)
 衆議院と参議院が運営するホームページで、審議中継はご覧になれます。NHKでは、総合テレビ、とラジオ第1放送で、一定の原則のもとで放送しています。

(司会)
 さきほど昼に国会中継が切れてしまうというご意見がありましたが、国会との約束ごとで、最後の人の持ち時間の半分以上が放送できなかった部分については、午後の早い時間帯か、深夜に放送しています。

【会場参加者】
 大河ドラマ「江」がとても好きだった。良いドラマだった。「ラストマネー」も好きなドラマだった。NHKのドラマ制作力は高いと思う。「平清盛」もどういう清盛になるか期待している。一番劣化しているのは「紅白歌合戦」ではないかと思っている。出演者は広い範囲の中で選ぶということだったが、中にはどうして出演するのか分からない歌手や名前も知らない歌手もいる。若い人にこびるのではなく、若い人が参加して一緒に見られる番組を作ってほしい。

【会場参加者】
 民放の時代劇「水戸黄門」が終了することが話題になった。NHKにはこの先も時代劇を制作していってほしい。
 それから、視聴率は低いかもしれないがとても福祉番組に興味がある。今回の大震災のときもNHKは障害者への対応をしていた。そういう場面を見て、私は勇気づけられた。
 Eテレの赤ちゃんや子育ての番組を見て、時代の流れを知ったり、今どきのお母さんたちの考え方を知ったり、参考になる。これからも期待している。

【会場参加者】
 3点要望や質問がある。1つ目は、地方局制作のローカル番組について。私は北海道出身だが、たまたま先日、北海道で「プライムH」という番組を見た。なかなか力を入れている番組だった。関東ではこの番組が見られない。渋谷のNHKの番組公開ライブラリーで見られると聞いたので一度行ってみたが、見たい番組はなかった。年末の朝ドラや大河ドラマの総集編のような時間帯に地方の番組も放送してほしい。
 2つ目は、小さいころNHKの番組は大嫌いだったが、父がNHK党だったので「新日本紀行」などのNHKの番組を家にテレビが1台しかなかったのでしかたなく一緒に見て育った。私と同年代の人が若いときどれだけNHKを見ていたかを考えてみてほしい。若い人も年を重ねていろいろなものに目を向けることが増えれば、NHKの良さがわかってくると思う。
 NHKには昔の映像もたくさん残っていると思う。「新日本紀行」などの昔の三陸の映像と、震災後の映像が比較できるといい。記録は公共放送NHKの使命の一つだ。スポーツ選手の映像でも、若い頃と時間がたって花が咲いたときの映像を比較できるようなものを見ると、NHKはすごいと感動する。
 もう一つは時代劇の言葉遣いについてだ。最近、若い人向けのものになっているように感じる。こうしたことが若い人に迎合していると言われる要因になっているのではないか。きちんとした形でやってほしい。

【会場参加者】
 調査報道について一言申し上げたい。入念な取材に基づく丁寧な番組作りの姿勢が非常に欠けている。新聞、ラジオ、テレビのどれにも言えることだが、朝日新聞阪神支社の襲撃事件以来、ジャーナリスト精神が欠け、調査報道が減った。発表報道ばかりしていると戦前の大本営発表と同じようになってしまう。NHKならチームを組んで調査報道ができるはずだ。それから、有名人に頼らないで自前のアナウンサーや内部のスタッフを育ててほしい。
 そしてもう一つ。放送の原点は、尊敬するラジオ放送の父、後藤新平が大正14年3月のラジオ試験放送の際に4つの事柄にまとめて話している。1.ラジオによって経済情報を放送し、経済を活発化する、2.娯楽を提供する、3.家庭にいながら勉強できるようにする、4.世の中の出来事を伝える。これらは現代にも通じる放送の原点そのものだ。これからも大切にしてほしい。

【会場参加者】
 今日は委員からいろいろ話を聞き、なるほどと安心もしたが、たいてい「委員会」と名のつくものは事務局が案を作り、それに倣った形で会が進められ、締めくりも事務局案に近いものでまとまる。教育委員会、公安委員会、人事委員会、廃棄物の処理委員会、どこでも同じだ。NHK経営委員会の場合はそうではないと思うが、議事録を見る方法を教えてほしい。
 それからもう一つ。もったいないことに千葉放送局の存在を千葉県民が一体どれだけご存じであろうか。ここに局長もおられるので耳を大きくして県民のいろいろな思いを聞き、それを本部に伝えてほしい。
 そして、もう一つ。ニュースに速報性が求められることは承知している。私の父は昔、従軍記者だった。その父が「ペンは権力の伴走者に成り下がってはならない」とよく言っていた。報道によって、罪なき者が罪あるがごときの憂き目に遭うようなことがないように、落ちついた取材をして正確な報道をお願いしたい。
 最後にもう一つ。放射能の報道に関してだが、シーベルトなどカタカナが示す事柄が分からないので不安だ。意味を知りたい。

(米本局長)
 去年6月の着任後、県内にあいさつ回りした際「千葉テレビさん(民放)ですか」とよく間違えられ、驚いた経験がございます。NHK千葉放送局が県域テレビ放送を出していないのでハンディーがあると思います。千葉の話題は「首都圏ネットワーク」などで少なくとも必ず関東一円に向けて放送し、それから全国に向けた展開を積極的にしていくよう心がけています。
 この新しい会館では開館以来さまざまなイベントを実施し、大勢の方がこの会館に来てくださっています。こうしたことに積極的に取り組み、千葉局のPRをしていきたいと思っています。

(永井技師長)
 先ほどのご意見の中に、福祉についてのお話がありました。これこそわれわれ公共放送NHKが取り組むべきユニバーサルサービスだと思いますので引き続き取り組んでいきたいと思います。
 それから、地方局のローカル番組についてのお話がありましたが、良いローカル番組を全国放送に展開することはすでにやっています。ただ、全部を放送するというわけにいかないのでインターネットなどを使うことなど、今後の宿題とさせてください。

(司会)
 最後に、みなさんのご意見や提言をどう受けとめて、今後のNHKの運営改革にどう生かしていくのか、井原委員、數土委員長から一言ずつお願いします。

(井原委員)
 この新しくつくられたすてきな会館で、多くの千葉の視聴者のみなさまから直接NHKへのご意見を伺いましたこと、何よりもありがたく思っています。ご叱責のお声もございました。ご要望、さらにはご期待も伺うことができました。すべて私どもにとりましては貴重な示唆でございました。
 冒頭、委員長から説明がありましたように、NHKでは24から26年度の3か年計画を策定したばかりです。そのために執行部と経営委員会では、この変革激しいメディア環境、あるいは広く多様に変化する社会の中で、公共放送NHKの果たすべき役割を視座に置いて、真摯にかつ熱い議論を重ねてきました。それだけにこの計画の遂行にあたっては、どれほど多くの課題に取り組まなければならないか、今痛く認識をしているところです。
 この仕事をさせていただきながら、いつも大切に思っていることがあります。公共放送NHKにとって、公共の「共」の文字にある通り、視聴者のみなさまとともに、国民とともに、千葉のみなさまとともにあることを大切にしなければならないという思いです。望ましい公共放送の役割を果たせるように、執行部とともに取り組んでいきます。本日はありがとうございました。

(數土委員長)
 本日、非常にフランクに質疑や提言をいただきまして、本当にありがたいと思います。会社の経営者として2,000人ほど集まるたいへん厳しい株主総会を何度も経験しましたが、今日は何と貴重なご意見を頂戴できたことかと、心から御礼を申し上げます。これからもNHKをよろしくお願いいたします。

 

 

<視聴者のみなさまと語る会in千葉>参加者当日アンケート

※全表の単位はすべて人数

質問1:性別

男 性 女 性 未回答
26 15 5
46

質問2:年齢

10代 20代 30代 40代 50代 60代 70 80代以上 未回答
0 0 3 1 6 20 16 0 0

質問3:今回のイベントを何でお知りになりましたか(複数回答)

放送(テレビ) 放送(ラジオ) ホームページ 新聞広告・記事 知人から聞いて その他
2 11 17 9 4 5

質問4:今回のイベントに参加していかがでしたか

大変満足 満足 ふつう 不満 大変不満 未回答
14 13 13 1 0 5

質問5:一番印象に残ったコーナーはどこでしたか(複数回答)

経営計画ほか 経営など全般 放送について 森田美由紀
(トークショー)
未回答
3 7 20 19 11

質問6:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

よく知っていた 知っていた 知らなかった その他
3 11 22 10

質問7:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

理解が深まった 特に変わらない わからない その他 未回答
33 8 1 1 3

 

 

<アンケートに寄せられた主なご意見>

 

経営について

  • NHKのこの様な催しに初めて参加したが大へん良い雰囲気で良かった。事前のアンケートにも書いたが放送の信頼性、公共性の向上に努めてももらい。
  • 受信料。現役サラリーマンの今は気にならないが、年金生活となると、少々高い。オンデマンドの料金に反映してもらえればありがたい。放送と通信を有効にネットワーク化出来るのはNHKしかない。昭和39年に建てた現放送センターの耐震性は大丈夫か? 大震災に備えてバックアップ体制を急いで欲しい。
  • サービス残業の件は驚いた。職員の方の心身にご注意願いたい。
  • 視聴率最優先ではなく、良識のある放送を期待する。近頃はあまりに世の中の流れに迎合している気がして心配だ。本音が見えてこないように思う。難しいことだが、「語る会」の時間管理に配慮を。

 

放送について

  • @千葉局制作の番組を月1回ぐらい報道してほしい。5分位の番組でもいい。
    A何時でも何でも語れる千葉局であってほしい。心から応援している。
  • 2011年は震災の1年となってしまった。災害の時にほしいのは、正確な情報だ。速くて、正確な情報だ。また「江」のような感動するドラマをこれからも期待する。今日は参加できてよかった。
  • NHKが地震報道に対して、相当真剣に取組んでいることが良く分かった。ただ、もっと地方局の報道体制を改善しても良いのではないかと改めて感じた。また、職員の労務管理を改善し、心の病で倒れたり、命を落とすことのないように充分留意して頂きたい。CS放送に負けないでほしい。本当に強く期待している。
  • 国会放送の時ヤジが多すぎる。なんとか静かに聞きたい。国会議員も放送を意識しすぎだ。ケンカ腰に質問していると思う。(国会に言う事だが)。「きょうの健康」にバックミュージックはいらない。ドラマの場面が暗過ぎて表情が分からない。
  • 若者向けではなく、NHKらしい番組作りをお願いしたい。若いタレントの番組はやめてほしい。先週のラジオ(木)午前、「絵画のレシピ〜フェルメール〜」実に良かった。トーク番組(?)例「かれんスタイル」のうち一人は是非NHKのアナウンサーを。

  • BSハイビジョンで音楽その他多くを視聴している。内容に満足するものが多い。民放をほとんど見ない。大衆全てに満足を与えるのはむずかしい。人件費が高い・低いは難しい判断だ。より良い内容を常に目ざして欲しい。
  • 子どもといっしょに見ていられる番組。質が良ければ若い人も見る。下劣な紅白衣装は方向転換してほしい。
  • 60を過ぎてから朝ドラをはじめNHKを見る機会が増えた。CMがない分ドラマもじっくり見られる。お金をかけていると思う。
    紀行番組・ドキュメンタリー番組。さすがNHK・・・? 民放に迎合することなくブレないNHKであってほしい。

  • 公共放送のNHKの役割を充分に発揮して有意義な番組を作ってほしい。ラジオ深夜便の大ファンだ。
  • NHKを全面的に信頼する。特にニュースだ。

 

運営について

  • 新放送会館の完成おめでとうございます。私は発言させて頂いたのでくり返さないが、ふれあいのたくさんある、存在感ある千葉放送局であるよう願いたい。
  • 今回の語る会は年輩の方のご出席・ご意見が多かった。私も退職して社会デビュー1年目として、お話を聞かせて頂いた。若い方の参加がもっとあるときっと違うご意見、多方面のご意見があったのではないかと思う。質を落とさないでというご意見には、私も賛成だ。現在の日本、世界が正しく(公平に)正確によく分かる放送を作って頂きたい。
  • 参加者がNHKの公共放送としての役割を大いに期待している事がわかった。受信料イコール番組の質の向上だ。全国から集まる視聴者の声を傾聴されながらよい番組づくりしてほしい。受信料の収納率をあげるべく努力をお願いしたい。
  • @参加者の平均年齢が高すぎる。少しお知恵を!
    AトークショーはTV画面に出ていないプロデューサー技術研究員、番組研究員等とのトークショーにしては!

    B経営委員と語るのではなく、NHK会長はじめ、理事諸氏と話し合いたかった。
  • NHKの経営や番組制作に対する姿勢や放送人としての熱い想いが伝わり、大変有意義な時間になった。
  • 経営委員側の話が長かったのでは? 何かモヤモヤしたものが残った。
  • NHKに対する視聴者の関心の高さを感じた。熱心なやりとりでとても面白かった。ありがとうございました。
  • 本日の会合はNHKに対する苦情のようなものが多かった感じだが、民放ではできない、NHKならではの良い面もある。司会者から一言欲しかった。
  • 参加者を見たら、中高年ばかりだった。これからの課題は「若い世代との語る会」をいかにして開くかでしょう。
  • この様なトークショーなどを1ヶ月に1度ぐらいは開いてもらいたい。ラジオのニュース9時前の音楽が、少しうるさい。もう少しやわらかい音楽にしてもらいたい。
  • 森田美由紀さんのファンで、「二ュース7」の時から応援している。今日は会えてうれしかった。心に残る3つの出会いのお話は、とても素晴らしかった。感動した。
  • 局内の見学ツアーを考えてほしい。
  • 初参加だった。良い経験だったが、発言の機会を与えられても、十分表現できず終りになってしまった。
  • 前もって出したアンケートの質問をこの会場でお聞きしたかったが、質問者が多くて、質問出来なかった。
  • 発言が一回しか出来なかった。時間を多く取ってほしい。
  • いろいろな意見聞けてよかった。末田アナがよかった。