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平成23年度 第4回
視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in鹿児島
(平成23年9月10日開催)

 

<会 合 の 概 要>

 「経営委員会による受信者意見聴取」平成23年度第4回は、鹿児島放送局で実施し、「放送」「経営など全般」の2つのテーマで、公募による50名の視聴者のみなさまからご意見を伺った。

 

<会 合 の 名 称>

視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in鹿児島

 

<会 合 日 時>

平成23年9月10日(土) 午後2時から午後4時10分まで

 

<出  席  者>

〔経営委員〕

石 原  進 (委員)

勝 又 英 子(委員)

浜 田 健一郎(委員)

〔執 行 部〕

小 野 直 路(副会長)

吉 国 浩 二(理事)

松 本  敦 (鹿児島放送局長)

〔視聴者〕

公募による視聴者50人

〔司 会〕

柿 沼  郭 アナウンサー

 

< 会    場 >

 鹿児島放送局 1階ロビー

 

< 開 催 項 目 >

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明

  協会の基本方針その他協会の運営に関する重要な事項について

3 意見の聴取

 (1) NHKの放送について

 (2) NHKの経営全般について

4 閉会あいさつ

 

 「視聴者のみなさまと語る会」終了後、「大河ドラマ『篤姫』『江〜姫たちの戦国〜』の制作秘話」と題して、屋敷陽太郎チーフ・プロデューサーのトークショーを開催した。

 

<概要・反響・評価>

  • 公募の結果、はがき・ホームページを通じて91名の参加申し込みがあった。できるだけ多くの方々にご来場いただきたいということから、全員に案内を送付した。その際、参加者の意見の把握と参加意志の確認のために事前アンケート調査を実施したところ、62名から回答送付があり、58名が参加すると答えていた。当日は50名が参加した。

  • 会合は「放送」と「経営全般」の2つのテーマを設定し進行した。内容は、原発に関する報道や選挙報道に関する問題から、鹿児島局のローカル放送に関する意見、受信料制度および受信料の公平負担の問題など、多岐に渡った。

  • 参加者全員のご意見を伺う時間がなかったため、終了後、意見集約のアンケート調査を行ったところ50名全員から回答をいただいた。回答者は、20代1名、30代1名、40代6名、50代3名、60代22名、70代以上17名と60代以上の参加割合の高い会となった。

  • 参加者の満足度については、「大変満足」が11名、「満足」と答えた方が23名と68%を占め、「ふつう」と答えた方が18%、「不満」と答えた方が6%で、未回答は8%、「大変不満」という回答はゼロという結果であった。


◆協会の基本方針・重要事項を説明

 (石原委員)

 それでは、まず経営委員会の役割について、お話をさせていただきます。
 経営委員会の役割は、放送法という法律に明文化されております。NHKの経営の基本方針などの議決、松本会長以下NHK執行部の役員の業務の監督など、NHKの経営に対して重い責任を負っております。経営委員会の委員は衆参両議院の同意を得て、内閣総理大臣より任命されます。委員の選任に当たっては、教育、文化、科学、産業その他の各分野及び全国各地方が公平に代表されることなどを考慮しなければならないと放送法で定められております。
 委員は、全員で12名います。経営委員の任期は、3年で、再任されることもあります。また、経営委員の中から監査委員が任命されて、経営委員会を含めた役員の職務も監査しています。
 経営委員会の意見聴取ということで、放送法には私ども経営委員がその重責を果たすため、視聴者の皆様のご意見を直接伺うことも定められています。本日は、皆様からNHKに対する忌憚のないご意見をお聞かせいただきたいと思っていますが、その前にこの会合においては経営委員会が協会の基本方針や重要事項を説明することという定めもありますので、少し時間をいただき、「3か年経営計画」と「平成23年度収支予算と事業計画」についてご説明させていただきたいと思います。
 まず、「3か年経営計画」ですが、「いつでも、どこでも、もっと身近にNHK」というスローガンを掲げています。この3か年というのは、21年度から23年度のことで、今年度が計画の最終年となっています。
 「すべては視聴者のみなさまのために NHKは挑戦します」ということで、公共放送の使命の遂行、公平・公正であること、放送の自主・自立と不偏不党を貫くこと、健全な民主主義の発達に資することなど、公共放送としても大切にしてきた理念や使命、一層重要性を増すと考えている重点項目を挙げています。
 経営目標は2つ定めています。1つは「NHKへの接触者率」、3年後80%。接触者率というのはNHKのテレビとかラジオに加え、NHKの放送外のメディアに1週間に5分以上聞いたり見たりした人の率で80%を目指しています。現在は75〜76%になっております。
 また、「受信料の支払率」、これは経営上非常に重要で、公平負担の観点からできるだけ高めていく努力が必要で、目標として今年度の末で75%を目指しています。数年前にNHKで不祥事があったときは、70%を切ったことがありましたが、平成25年には78%を目指して取り組んでいるところです。
 それから9つの方針を決めています。

  • (方針1)視聴者のみなさまの信頼を高めるため組織風土改革に全力をあげます。

  • (方針2)日本の課題、地球規模の課題に真正面から向きあいます。
  • (方針3)放送・通信融合時代の新サービスで、公共放送の役割を果たします。

  • (方針4)地域を元気にするための拠点となります。
  • (方針5)日本を、そしてアジアを、世界に伝えます。
  • (方針6)円滑な完全デジタル化に向けて重点的に取り組みます。
  • (方針7)構造改革を推し進め、効率的な体制で、受信料の価値をより大きくします。

  • (方針8)受信料を公平に負担していただくための取り組みを強化します。
  • (方針9)環境経営に着実に取り組みます。

という9点をあげています。
 次に「23年度の収支予算と事業計画」についてご説明します。23年度は、先ほど説明した経営計画の最終年度として、接触者率80%、受信料支払い率75%を、断固として推進することです。それから、7月24日に無事終了した完全デジタル化の円滑な移行に取り組むということです。事業収支については、23年度予算額を6,926億円とし、140億円の増収、増収率で2.1%。そのうち受信料が6,680億円で、130億円増やそうという計画です。
 事業支出は、デジタル化とその予備費、支払い率を上げるために必要な契約収納費を増やしていますが、それ以外の経費はできるだけ節約しようとマイナスにしています。22年度は、計画では61億のマイナス予算でしたが、経費節減と支払い率の向上により、結果として37億円の黒字となりました。23年度は40億円の黒字で予算を作っています。また、受信料収入は、支払い率を75%で計算しています。22年度は73.6%の支払い率でしたので、1.4%上げなければなりません。
 4月からは、ご案内のように、BSが、BS1、BSプレミアムと2チャンネル体制となりました。3−Screens(スリー・スクリーンズ)展開については、テレビだけではなく携帯の端末、ワンセグあるいはインターネット、パソコンなどテレビ以外のメディアの利用をどんどん進めていこうというものです。
 また、NHKオンデマンドは、NHKの過去のいろんな番組や見逃した番組が、自分で好きな時間に見られるという仕組みで、これは、有料で提供させていただいています。
 それから、国際放送ですが年間に140億円ほどの予算を使って日本の情報を世界に知ってもらおうと取り組んでいます。これは、放送を出すことだけでなく、世界中にどう見てもらうかということが極めて重要なことと考えています。
 そして、経営改革の推進とともに、人材育成の強化とコンプライアンスの徹底により、組織風土の改革を進めます。
 続いて、視聴者の皆様の声をいかに放送に生かしていくかですが、これは、最もNHKが公共放送として重要視しているもので、NHKの存立の基盤です。NHKふれあいセンター、ふれあいミーティングなどを通していただいた視聴者の皆さんのご意見を迅速に経営へ反映させます。この「視聴者のみなさまと語る会」も同様で、皆様の率直なご意見をNHKの経営に生かしていきたいと思います。よろしくお願いします。
 それから、業務別予算では、番組の制作現場に経営資金を集中するという考えで、「国内放送番組の制作と送出」と「国際放送」合計で73%番組の制作、送出に充てています。
 以上「平成23年度収支予算と事業計画」の説明をさせていただきました。
 本日、ここにNHK鹿児島放送局にお集まりいただいた皆様からいただくご意見、ご要望、私ども経営委員会はもちろん、執行部とも共有して今後のNHKのあり方に反映させてまいりたいと考えています。
 どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

《視聴者の皆さまからのご意見とNHK側からの回答》

 

第1のテーマ:NHKの放送について

【会場参加者】
 NHKは公共放送だから公平、中立でなければならないと。この考え方で社会を住みやすくするために役立つ内容の番組を工夫、発掘して積極的に次々と放送してほしい。
 一般社会に対するマスコミの影響は、大変大きい。良くも悪くも、社会を動かしているのはマスコミの力といっても過言ではない。
 例えば、内閣総理大臣の悪口をマスコミがどんどん言う。どの総理大臣に対してもどんどん言うことで、国民全体がそんなふうに思う方向に持っていってしまっている。
 反対意見やいろんな意見もあるはずなのに、その方向に国民全体を引っ張ってしまう。マスコミを預かる人間が一方的に言ってはいけない。反対意見も、第3の意見も、常に中立、平等に提供してもらい、国民一人一人に判断をさせるという形に持っていってもらいたい。

【会場参加者】
 東日本大震災、いろいろな場面をNHKを通して見た。
 津波の映像そのものはすごかったが、実際の津波の高さを正確に表示することができないのか検討してほしい。
 また、耳の不自由な方と一緒に見ていて感じたが簡単なものでも字幕を入れられないかとも思った。
 また、国会における政策の議論については与野党、いろいろと違うもの、あるいは同じ系統でやり方が違うものがあるが、政局ではなく政策について突っ込んだ解説がほしい。例としては、先の子ども手当の減額などで、いつ話し合いがついたのかなど、いろいろな解説をしてほしい。
 最後にお願いとして、今のラジオ体操に指の体操を入れて欲しい。

【会場参加者】
 今、放送している「おひさま」はとても良いが、少し時間が足りない。15分ぐらい延ばして欲しい。それと「坂の上の雲」は、とてもわかりやすい。
 こうした番組をどしどしやってほしい。

(石原委員)
 放送の具体的中身について、経営委員は法律上、直接ものを言えないのですが、公平、公正、中立というのは最も公共放送に大事なことで、常にきちっと配慮して放送を行うよう、執行部には、常に言っているところです。ご不満な点がたくさんあるから、ご指摘をくださっているのだと思いますが、NHKはその点を大変注意をしながら取り組んでいると、私自身は思っています。

(勝又委員)
 とても大切な点をご指摘いただいたと思います。公平、公正、中立な番組をNHKは提供し、その情報をもとに国民一人一人に判断していただく。本当に公平、公正なものをつくるためには視聴者も一緒になってその判断をしていただくことが必要だと思いますので、そういう意味でもきちっとした情報を届ける努力をNHKは続けていきたいと思います。

(吉国理事)
 貴重なご指摘、ありがとうございます。
 最初の方がおっしゃっていた件は、勝又委員も言われたように、NHKとしては一番に考えなければいけないことだと思っています。公共放送として公平、公正、中立、正確は、絶対に守っていかなければいけないことで、そのために事実に基づいた多面的な取材をしています。
 内閣に対する批判というご意見が出ましたが、一般的に時の内閣による会見や打ち出した政策について、当然報道するわけですが、内閣の立場だけからの報道になってはいけないので、必要に応じて批判的な意見をつける事になります。
 NHKが、その内閣がだめだとか、倒そうとか、そういう意図を持っているわけでは全くなくて、今政府が何をやろうとしていて、それに対してこういう意見があるという判断材料を提供しているのです。
 放送法にありますようにNHKは意見の異なる問題について、できるだけ多くの角度から論点を明らかにしていくというのが我々に課せられた義務ですので、それに基づいて報道しているということです。

(小野副会長)
 東日本大震災映像の件ですが、今回、津波の映像をさまざま撮影することができましたが、撮影している瞬間、NHKには津波の正確な高さの情報がありませんでした。潮位の変化を測る検潮所があちこちにありますが、今回は、大部分が壊れてデータが出ませんでした。こうしたこともあってその津波の高さそのものを放送の段階でお伝えできない状態でした。
 それから、字幕の件ですが、字幕は、事前にデータを打ち込んで放送をするため、生放送に字幕を付けることについては難しい問題があります。音声を字幕に直す自動音声認識装置が研究されていますが、完璧ではなく、完全な実用化までには至っていません。しかし、特に災害放送では、非常に必要なことですので、今後も取り組んでいきたいと思います。
 ラジオ体操については非常に伝統のある体操であり、みなさんに馴染んでいただいているものですので、これを変えるというのは大変なことになるだろうと思います。長い時間をかけてNHKと郵政省(逓信省、郵政省、郵便公社を経て現在はかんぽ生命保険梶jとの共同作業でこれまで作ってきておりますので、変更はなかなか大変な作業だとは思います。ご要望があったことはお伝えしたいと思います。
 それから、「おひさま」ですが、短く感じますよね。「おひさま」は、15分番組ですので、月曜日から土曜日まで毎日15分ずつ放送しています。楽しみに見ていただいているとのことで、ありがとうございます。
 「坂の上の雲」は、いよいよ最終シリーズが12月から、始まります。それもぜひお楽しみいただければと思います。

【会場参加者】
 私は、3点言わせていただきたい。
 1点目は、NHKが、大好きだということ。朝の「基礎英語」から始まって「ラジオ体操」など、1日中NHKを見聞きしている。それが生活のリズムにもなっていて、感謝している。2点目は鹿児島放送局制作のニュース、番組にニュースバリューがないこと。3点目は、2、3年前に新聞でNHKの常識は世間の非常識、世間の常識はNHKの非常識と書かれたり、NHK天国とか、非常に辛らつに批評されたが、今も変わっていない面がいっぱいあるということ。私は3年前に番組モニターを1年間し、厳しい意見も言いましたが、モニターへの反応がなく自分の意見が届いているのか不安になった。今年1月の取材スタッフ募集の際も鹿児島局制作のニュース番組について書き、先月も文書を届けたが全く反応がない。私は郵便局に勤めていたが、お客様満足を一番優先してきた。私の意見に対し、NHKも真剣に受けて欲しい。局長がなぜ回答されなかったのかを聞きたい。

【会場参加者】
 選挙前の放送で立候補した人のうち有名なタレントなどを取り上げることが多いがやめてほしい。タレントなど有名な人たちだけでなく一般の人全員を、鹿児島だったら鹿児島の立候補者を全員取り上げてほしい。
 また、最近、ある政治家が「死の町」と発言し、波紋を呼んでいるとニュースで知った。悪い意味で言ったのではなく、例えとして言ったのだと思うが、メディアがわざと波紋を呼び起こしているのではないか?
 学校の先生や生徒が悪いことをしたら、たとえ放課後に起きた事件でも学校の先生に謝らせる。普通の会社の職員が悪いことをしても社長や上役に謝らせる。なぜ本人に謝らせないのだろうか。子供だったらなぜ親を出さないのだろうか。個人情報に重きを置くあまり社長とか学校の先生に謝らせるのは、メディアが大きな原因になっているのではないかと思う。悪いことばかりが、いつも放送されて、良いことは放送されない。本当に嫌になる。
 また、選挙の出口調査はなぜするのか?早く知りたい気持ちもわかるが、選挙管理委員会の発表まで待つべきで、出口調査はやめてほしい。

(松本局長)
 ご意見は伺っております。ちゃんと書類も見せていただきました。内容についても私どもとしても真摯に受けとめたいと思っています。
 私は、ここに来てまだ2か月余りですけれども、私なりに番組の分析もしていますし、地域に対して各県の放送局を地域活性化の拠点とするべく頑張りますという約束も皆さんにさせていただいていますので、それを軸に、新しい番組、それからニュース等をできるだけ取り上げていきたいというふうに考えています。今年は、九州新幹線が全線開通して間もなく半年になろうとしていますが、全線開通したのが東日本大震災の翌日ということで、すぐにはその影響が出てきませんでした。しかし、ここにきて観光客も増えて、徐々に活性化に結びついてきている。そういったところを分析し、何が課題で、どこが良くなっているのかなど、ニュースとして取り上げていこうと考えています。また、これまで、島のほうのニュースは、映像を撮ってもなかなか送ることができず、その日のうちに放送することが難しかったのですが、パソコンを使った伝送網を新たに整備し、島で撮った映像もその日のうちに放送できる体制を作りつつあります。こうした対応でこれまで出すことが難しかった島のニュースや県内の話題、課題をどんどん取り上げていきたいと思っています。
 東日本大震災の関連でも、これは、東日本だけの問題でなく、川内原発を抱える鹿児島でも同じような問題を持っていますので、これまで同様、地元の思いがどうなのか、鹿児島に避難している方がどうしているのかなど、半年の節目も迎えますので、継続して取材をし、取り上げていきたいと思います。モニター報告についても、私は全て目を通していますし、そのご意見は、制作現場とも共有しながら、番組づくりに努めています。ぜひご理解をお願いしたいと思います。

(吉国理事)
 選挙のときのタレントの扱いですが、NHKは当然のことながら選挙について、その公正さを曲げるとか特定の候補者の利益にかかわるようなことは絶対にしない。これは鉄則です。タレントが選挙に出馬するという情報があれば、NHKでは逆に出演依頼を控えます。ご指摘のようなことはNHKの場合はないと思っております。
 「死の町」発言ですけれども、確かに一つ一つの言葉を言葉狩りみたいな形で糾弾するのは問題だと思いますが、今回のケースは地元で反発が起こったり、既に国会での与野党間の一つの争点になっていますので、そうした動きとして伝えています。一つ一つの言葉がけしからんという取り上げ方はしていません。
 ただ一般論として感覚的に問題をおこした人はすべて悪いんだとかいうようなことは、取材者が陥りやすいところかもしれませんけれども、そこは戒めていかなければいけないと思っています。
 出口調査については、政権交代など国政に大きな影響を与える選挙についてはできるだけ早く伝えられるものは伝えるという考えのもとに実施しています。選挙の大勢が判明したところから色々な動きが起こる。出口調査は、かなり正確に傾向を把握でき、その結果を知ることができるので、視聴者の方々の知りたいという要請に応えるためにも必要なものとご理解いただきたいと思います。

(浜田委員)
 鹿児島放送局のあり方について、厳しいご指摘がありましたが、少し援護をしたいと思います。鹿児島放送局では、災害放送に対して地味ですが莫大なエネルギーを使って、いざというときの態勢をつくっていることを、ぜひご理解をいただきたいと思います。
 NHKは、災害対策基本法で指定公共機関として定められおり、国民の安全・安心を守る報道をするのが使命の1つですのでそういうところもぜひ見ていただければと思います。

【会場参加者】
 放送局長の回答、本当に残念。放送局長たる者が私は6月に代わったばかりですと、そういうことは言ってはならない。経営委員にも「ひるまえクルーズ」、夕方の「情報WAVEかごしま」を見て欲しい。お便りのコーナーでは、「皆さんからこんなお便りいただきました、今日お便りいただいた方、この方です。今日、鹿児島放送局訪問いただいた方です」などお粗末でニュースは何もない。九州には、福岡、長崎、鹿児島とヘリコプターが3台あるという。南北600キロ、非常に豊富な自然などいろいろ持っている鹿児島を紹介するために、もっとこのヘリコプターを活用するべきではないか。
 石原委員の言った「視聴者第一」というのも、私がこれまで言った意見やモニターに、意見はごもっともとか、そうでないとか、応えるべきである。
 また、浜田委員の言う「非常災害」というのはレアケースで、そのことで鹿児島局を弁護するのではなく、鹿児島局制作の番組を見て回答すべきではないか。

【会場参加者】
 今日ここに参加して、今の意見を聞きながら思ったが、自分一人がここに参加している立場で意見を言うのではなく、もっと広い立場、視聴者の立場でものを言わなければならないと思う。非常に具体的に質問していて気持ちはわかるが、きりがないのではないか?
 それから、今日の会にも、もうちょっと若い人にも来てもらうべきで、そういう集め方も必要。
 接触者率が75%とか言うけれども、若者のNHKに対する視聴のデータがほしい。そういう努力もしないと、高齢化社会ですから、接触者率の75%をよしというのも、また問題だ。
 それと、地方の民放局とNHKの鹿児島放送局では、性格も違うので、内容の取り上げ方も違うのは当然だと思う。
 そういう視点も、私たちは視聴者として持たなければならいと思う。
 そして、NHKのキャスターもあるいは経営者も公平・公正なぶれない放送をしてほしい。先ほどの選挙の問題も、民放はするのにNHKはなぜしないのかという意見が出てくることもある。見方というのは非常に多様で、その中で、NHKのあり方、今の姿勢がぶれないということが必要で、公平、公正とかいうのはどういうことなのかを常に考えてほしい。私は今、70にならんとしていますが、常に40代の目で見ている。80の皆さんにもアナログではなくデジタルおじさんになりましょう、パソコンは難しくない、元気だけじゃなくて忍耐と時間で勝負しようと、デジタル人間化を勧めている。NHKの番組もデジタルの目で可能な限り見ており、それが、若さだと考えている。

【会場参加者】
 福島の原発震災のことが全国的な話題になっているが、鹿児島川内、佐賀などに原発があるので非常に心配している。
 全国あちこちに原発があるが、それぞれの原発のある都道府県のNHKは、どのような役割を持って地域の方に放送しているだろうか。原発の現状を知らせたり、どれだけ地域の人たちに学ばせることができるのか心配。先ほどの方針4の中に「地域を元気にするための拠点となります」とあるが、政府も世の流れも原発を減らそうという流れになっている中で、NHKはどういう役割を持って臨んでいるのか? 原発がある県として、やっぱり知りたい。
 それと、天気予報の地図について、夕方、7時前の天気予報と昼の12時前の天気予報を見ると、最近は、地図がずいぶんきれいに描かれ、非常に楽しく見られるが、NHKの場合、ワンカットの画面の中に九州の離島も一緒に放送するため実際の地図と比べ、離島が九州本土のほうに寄っている。薩摩半島と大隈半島の間隔と、大隈半島と種子島との間の間隔は実際は3倍違う。
 それが、同じように種子島が寄ってきているため、非常に奇異に感じたり、地図を見て学ぶ子供たちには、間違った教育をすることになる。
 ある民放は、南から衛星写真に基づいてカメラが動いて放送しておりそれがわかりやすく、正しいと思う。是非検討を願いたい。

【会場参加者】
 「情報WAVEかごしま」に意見がありましたが、私自身はほっとする番組ととらえて毎日見ている。
 番組の若いアナウンサーが、もう自分たちの息子や娘の年代になりましたので、その後、全国のあちこちで活躍するのも楽しみに見ている。
 1点、ニュースを伝えるときに公平なのはもっともなことだが、標準世帯とか標準的な働き方を参考にニュースが流されているように思う。例えば、今度敬老の日があって、土、日、月、暦の上ではお休みの方が多いが、全部の人がそうではなくて、その陰には、3連休だからこそ忙しく仕事をしている方もいる。震災のニュースでも、福島の子供たちのことでお母さんと子供たちという報道が、今もってすごく多いが、お母さんと子供たちだけではなく、お父さんと子供や、おじいちゃんと子供、おばあちゃんと子供と、いろんな家族構成があるはず。そういうケースも考えて放送をお願いしたい。

(石原委員)
 若い人がもっと出席すると良いという話がありましたが、実はここは、NHKの一番の問題点です。接触者率でも視聴率でも年齢別に把握する方法がありますが、若い人は見ていない。
 若い人も年を重ねていくわけで、年を重ねればよく見ていただけるようになると思いますが、NHKでは、若い人たちにどうやったらもっと親しんでもらえるかという試行をしています。
 そうすると、今度は、年配の方から「何か最近くだらない番組が多くなった」という指摘を受けます。そこのところは、NHKもいろいろ努力しているんだとご理解いただければと思います。

【会場参加者】
 私は、77歳ですが、NHKの「世界遺産」の番組が好きで、ベトナムやモンゴルなど様々な国を旅して、自分なりの取材をしてきている。NHKに少しでも役に立てばと資料も届けたので、若い人、若い人と言わず真剣に取り上げてほしいと思う。

(吉国理事)
 震災の後の、福島の原発の問題というのは、非常に大きな広がりをもっていて、これこそNHKがきちんと喫緊の課題として取り上げていかなければいけないことだと思います。もちろん、その方向で震災以降も報道を続けています。いずれにしても最初は福島原発の事故の処理から始まって、原発の安全性、さらに電力不足とか電力供給の問題とか、さらにエネルギー政策全般という形へと広がってきて、その影響もすごく大きい。
 第一に大切なのは、原発の近隣あるいはその近くにいる人たちの安心・安全の問題で、こうした問題と多面的に取り上げていかなければいけないと思っていますし、これまで、いろいろな形のニュース、番組を放送しています。
 原発の問題は大きな問題ですので、事実に即して伝えていかなければいけない。放射線の問題でも、健康被害というものについては、まだわからない部分がたくさんありますので、きちんと我々が整理して報道していかなければならない。
 そして、放射線による食品の問題、あるいは地域的な汚染の問題も取り上げていかなければいけないと思います。
 NHKの場合、全国の県にネットワークを持っていますのでそれぞれの原発を立地しているところには、必ずその原発を取材する記者がいます。東京では科学文化部というのが中心になりまして、原発の取材を継続しています。今回の一連の取材の経験も踏まえさらに正確な報道を心がけていくつもりです。
 また、「日本新生」というNHKスペシャルの新シリーズでは、2回にわたってエネルギー問題を取り上げ、原発の廃止を訴えている方、あるいは原発の必要性も訴えている方の双方を招いて討論いただき、問題点を明らかにするよう、取り組んでいます。
 これからも、こうした多面的な放送取材を続けていきたいと思っていますので、ご理解をお願いします。

(松本局長)
 全国の原発を抱える地域局の問題ですけれども、やはり地域と全国、これは連動しながら放送していくべきだと考えています。東京で出したニュースを受けてそれは地方でどうなんだろうかということを点検、検証しながら、もし同じような問題があればそれを指摘し解決をしていくようなニュース番組にしていく。また、例えば今回の東日本大震災でこちらに避難されている方がいれば、そういった話も取材をして、こちらでも放送しますし、それを東京で全国に向けて放送してもらうといったことも考えながら、お互いが連動しながら全国の放送を支えていくというのがNHKの役割だと思います。
 特に、防災関係は、大震災を受けてこれからいろいろな対策が見直しされることになると思います。それは鹿児島県でもいろいろな防災対策、ハザードマップ、様々なものが変わってくることになると思いますので、東京の動きも見ながら地方がどうなっていくのか、そういったことも注目しながら情報を提供していきたいと考えています。
 それから、天気図のことですけれども、どうしてもテレビの場合、時間という制限があるものですから、その間にできるだけ多くの情報をお伝えしようということで画面を区切ってスペースに置いている形になっています。我々が伝えようとしているものが皆さんに伝わらなければ意味がありませんので、もし誤解を招くようなところがあれば、改良、改善をするべく検討をしていきたいと思います。

 

 

第2のテーマ:NHKの経営全般について

【会場参加者】
 NHKの予算審議が国会で行われるが、この放送が夜中。4つもチャンネルを持っているNHKがなぜ人が寝る時間に放送するのか。土曜、日曜とか昼間の聞きやすい時間帯に放送をしてほしい。
 また、NHKの職種ごとの人件費、平均ベースを公表してもらいたい。
 NHKにいた若いアナウンサーが民放にほとんど移って、出ている。どう思っているか。NHKは民放の養成機関なのか。

【会場参加者】
 最近の、インターネットの新聞を読んでいたら9万件ほどNHKの受信料を払わない世帯がいるという記事があった。
 この原因は震災の影響と地デジ化ではないかとあった。もう地デジは見ないから、受信料は払わないと。こういう状況で、現在のこの予算でやっていけるのか、どういう対策をとるのかについて聞きたい。

【会場参加者】
 経営方針の中で、受信料の支払い率75%とか80%という数字を見て非常に驚いた。
 私は、数十年来、口座振替で受信料を払ってきているが、。10人のうち3人は払っていないという状況を知り、果たしてどうなんだろうかと。公共放送という建前上、受信機があればすべて払わなければならないとなっているが、有料放送と同じように払わない者については視聴できないようにする手立てができないのか。それから、過去数十年来どういう形で受信料の単価が変動してきたのか、この資料によると、この6、7年で受信料収入が6,000億から6,600億、一割ぐらいは増えているが、これは、支払い率が上がって増えてきたのか、それとも単価の引き上げで上がってきたのか、その理由も知りたい。
 また事務手数料を若干金融機関に払うのだろうが、口座振替という非常に手間がかからない方法で徴収している受信料と、かなりの人手をかけ手間と経費をかけて徴収している受信料の割合はどうなっているのか。料金に差はあるのか、そういうデータがほしい。

(浜田委員)
 受信料制度は、NHKの根幹にかかわる重要な制度であり、これは維持、発展させることが重要だと経営委員会としては思っています。そして、公平負担の観点から、すべての皆様に受信料をお支払いいただくことが、原則だと思っています。そのためにも、支払い率の向上に努めなければならないと思っています。
 一方で、受信料体系については、今まで訪問集金を廃止するとか、障害のある方の受信料を免除するとか、免除の適用範囲を拡大するとか、家族割引の拡充等々、改善はしてきましたが、新たな時代の受信料体系のあり方については、さらに研究していく必要があるのだと思います。
 ただ、先ほどスクランブルの話がありましたけれども、これは、NHKの公共放送という観点からなかなか踏み切れない。例えば災害に遭ったとき、その方はどうなるのかということもありますので、なかなか踏み切れないテーマだと思います。
 いずれにせよ、いただいた受信料の価値を高めるために、NHKとしては放送の質をさらに高める、そういう不断の努力をやらなければならないし、経営の合理化、業務の効率化、見直しということもやっていかなければならないと思っています。

(勝又委員)
 今の浜田委員の話に加えて、受信料そのものの考え方ですけれども、NHKの受信料は、ほかの国に比べて大変ユニークな制度です。ほかの国では、税金のように義務化しているとか、払わなかったら何らかの罰則を設けるとか、そういうことがあるけれども、NHKの受信料というのは、国民みなさんが育てる公共放送だという考え方なので、受信する設備を持っている方は、NHKがずっと公共放送を提供できるように支えていこうという精神でできているのだと思います。
 ただ、経済的な問題や、震災の影響で受信料を払うことができない方もいらっしゃる。
 この23年度で終わる「3か年計画」を立てたときには免除される世帯を6、7万件くらいと想定していたのが、リーマンショックや災害の影響で想定外ともいえるような件数に増えています。
 けれども、そういう中でもNHKを支えようと受信料を払ってくださる方がいらっしゃいますし、今まで契約のなかった方に契約をお願いしたり、あるいは契約はしたけれども未払いの方にお支払いいただけるよう、かなりの人材を投入して受信料の収納率を上げるようにしています。けれども、もう少し頑張らないと、本当にこの方法で将来やっていけるかどうかという問題を抱えています。
 平成25年ぐらいからは、人口がどんどん減っていく。このことも現実の問題としてNHKは考えていかなければならない。ぜひご理解いただければと思います。

(石原委員)
 受信料の話、二人からお答えしましたけれども、支払率が75%で経営していけるのかと。
 本来は80%あるいは85%にすべきだと思います。そうすれば、NHKの経営ももっと安定して良い番組を作れると思います。
 ところが、75%の実現というのも、実態を見ていますと大変です。セキュリティマンションも増えていますが、そういったマンションに集金の人間が入れないとか、マンション全体の管理組合でそういう申し合わせをしているケースもあり、受信料をいただくというのは本当に大変です。
 そういう現実の中で、受信料制度は世界に例のない大事な制度です。支払いの義務化を法律で決めたりすると、政治が介入してきますから、この制度を守った上で、支払率を上げていくことが大切で、それにはやはり皆様方の協力が 必要だと思うのです。「あなた払ってないのか」と、「払うべきじゃないですか」と言っていただくとか、そういうことも、ぜひお願いしたい。
 それから、受信料の徴収には、お金が非常にかかっています。口座振替と集金人が行くのとではかかる経費は大違いです。お金をかけないで受信料の支払い率をもっと上げる方法がないかどうか、そういう勉強も真剣にやっていかなければならないし、執行部のほうにも今やってもらっているところです。

(小野副会長)
 NHKの予算審議を、なぜ夜中に放送するかという件ですが、以前は編集して短くして、いい時間に放送していた時期もありましたが、編集し短くすることに対する批判もあり、全てを放送することにしました。全てをいい時間に放送したこともありますが、今度は、ほかのものを見たいというご希望が、多数来まして、今の形になっているということです。アナログ終了に関しては、現在9万件、契約を終了したいとお届けがありました。大変残念なことだと我々も思っており、今後はデジタル放送を是非見ていただきたいという、確認と説得もさせていただいており、すべての方に見ていただいて、お支払いいただきたいというのが切なる希望です。

(石原委員)
 人件費の話ですが、人件費、要員は全て公表されています。NHKの職員数というのは、1979年には、1万7,000人弱いましたが、それが、ことしの3月で1万542という数字に減っています。
 それは、純減した部分と、それから番組制作とか外注に切りかえた部分と両方あります。外注に切りかえた部分はお金にかわって別に払っているわけですね。その辺が、経営効果が出ているかどうかというのも、経営課題としては極めて重要なところです。
 それから、人件費が幾らというのは、1万500名に対して幾らと予算に出ています。今年度は、1,821億円という予算となっています。

(吉国理事)
 NHKでは、職員の給与制度は一本化されていますので、職種で違いはありません。
 賃金は、NHKのホームページで、管理職の幾つかのケースと、モデル賃金という形で公表しています。
 受信料の増加が値上げによるものかどうか、というご質問がありましたけれども、NHKは平成2年に値上げをした後、料金は据え置いており、現在の受信料の増加は、契約件数が増えたことと衛星放送の契約が増えたことに伴うものです。

【会場参加者】
 もともと私は、受信料を集金で支払っていた。NHKで不祥事のあったときも、本当に集金の人が良かったので、払い続けた。しかし、先日あることでクレームの電話をかけたらすごく対応が悪かった。その人では話にならないから、もっと上の人を出してくださいと言ったら自分が一番偉いんだと答えました。NHKでは人材の育成をどう考えているのか、不安になった。
 また、こういう話し合いの場に若い人が来ないのは、子供がいるためだと思う。託児のサービスがあればもっと若い世代のお母さんたちも参加できるはず。こうした世代は、こういう子供番組を作ってほしいなど意見を持っている。

【会場参加者】
 実にくだらない話かもしれませんけれども、なぜ受信料は支払わないといけないのか。受信料は徴収なのか、それとも支払いなのか。徴収であれば75%というのは、NHKの怠慢だと思う。支払いであればスクランブルに大賛成だ。

【会場参加者】
 NHKの受信料の徴収が100%行かないのは当然。なぜなら、学校給食費でも、払わない人がいるのだから。
 だから、徴収する人の教育が、一番大事だと思う。先ほどの方が話されたようなおれが一番偉いんだというような態度で徴収に行ったら、これは絶対払わない。私は、昔、クレジットの関係の仕事をしていたので一番よくわかる。やはり下から行くという姿勢でないといけないのだと思う。

【会場参加者】
 経営に関する問題のほんの一端かもわからないが、私は、鹿児島で生まれ育ったので、日本全国に鹿児島の様子を本当に一日10分でもいいから放送してくれると、集金面でも払いが良くなるのではないかなと思う。

(吉国理事)
 受信料の性格については、NHKが出している放送をご覧になった事に対する対価ということではなく、公共放送としてNHKを維持するために皆さんからいただく特殊な負担金という考え方になっています。
 そういう考え方ですので、NHKを見る見ないにかかわらず、放送を受信できる機器を持った方たちについてはNHKと契約を結んでいただき、そして、受信規約に従って受信料を払っていただく事になっています。
 こうした制度については、裁判の判例でも認められており、それに従って受信料を払っていただくようお願いしているのです。

(小野副会長)
 クレームに対しての対応のお話については、大変申しわけございません。
 全国津々浦々、視聴者の方をお訪ねして、いろいろお話しさせていただいています。NHKの職員と、それから地域スタッフ、それから会社に委託しているケースもありますが、人材育成あるいは接客のトレーニングについては、我々としてはかなり入念に丁寧に指導しているつもりですけれども、ケースによってはそういう失礼なことがあったのかと思います。指導については、今後もしっかりやっていきたいと思っています。

(石原委員)
 集金の人が失礼だ、対応が悪いと、お二人からご意見が出ましたが、これは本当に大事な話だと思います。直接視聴者の皆様と接するのは、我々じゃなくて集金なり契約をとる人ですから、その人の教育がものすごく大事なわけです。そこを、本当にどうやって一生懸命NHKがやっていくかと、私も極めて問題だと思っており、そこのところがきちんとできると、もっと支払い率も上がるのではないかといつも思っています。いかがでしょうか?

(小野副会長)
 しっかりやらせていただきたいと思います。

【会場参加者】
 鹿児島放送局がこの場所に移ってもう3年ぐらいになるだろうか?市街地の中でも便利な場所で、非常に見学者もたくさん来ていることと思うが以前あった天保山町の土地は、何かNHKとして利用計画があるのか、たしかまだ更地だと思うが、売却すれば多少なりとも経費全般に寄与するのかと思うが、どのように利用されるのか聞きたい。
 それから、最初に経営委員会の位置づけについて説明があったが、今、いろいろ質問すると経営委員がよく回答をされる。
 私としては視聴者と一緒になって経営のチェックをするのが経営委員会なのかと考えていたが、どちらかといえば執行部側に立った発言が多いように思えて、経営委員会の性格が、何かはっきりしないように感じた。
 どちらかといえば、執行部側が、経営者としてのいろいろな立場の回答をし、いや、それはおかしいのではないかというのが、経営委員会の立場ではないかというのが私なりの解釈だ。間違っていれば、また説明してほしい。

【会場参加者】
 朝ドラとか、大河とか、鹿児島も放送に取り上げられ非常に感謝している。鹿児島には、桜島とか霧島、開聞岳などあるので今後もドラマなどで取り上げてもらいたい。また、この鹿児島局の駐車場について、平日でも土曜、日曜でもいいが、ある程度開放してもらいたい。
 周りの有料駐車場にとめて今日も来ているが、もし開放できれば、多少なりとも出入りの視聴者が多くなると思う。

【会場参加者】
 先日の朝の番組で気になったのだが、小笠原からのリポートで若い男性アナウンサーが「内地」という言葉を頻繁に使っていた。この場合、「本土」の方が的確ではないかと感じた。
 「内地」という言葉は、戦前、戦中のころの満州や台湾から呼ばれた日本に対する言葉だろうから、小笠原からのリポートに何度も「内地」という言葉が出たのは違うように思った。

【会場参加者】
 薩摩川内市から来たが、駐車場がないとのことで娘の車できたが、1台くらい遠くから来た者には駐車させて欲しい。
 また、BSプレミアムで私の住んでいる街の放送があり、事前に8日間の収録をしていたが、旅する人もスタッフも全員が、前に民放が来た時の態度と比べ、大変素晴らしかった。

【会場参加者】
 私は若い人ともつき合っているが、石原委員の言うように若い人は、テレビを見ない、さらにNHKは見ない。本当にこれは大きな問題だと思う。私はNHK大好き、本当に大好きで、だれにも負けないくらいNHKを視聴している。ただ、若い人に言っても本当に見ない。若い人にテレビを見てもらうことは、受信料の増収を図るより難しいと思う。そして、NHKを見なくても払わなければならないというのは、こうした状況で、時代に合わないと思う。それから、受信料は、私の概算だが、一日にすると20億円、1時間で1億1,000万円だ。もっともっと大事にしてほしい。
 短い期間で何度も転勤をする人がいたり、NHKの番組モニターの謝礼は鹿児島市のモニターより高額であったりする。受信料の有効活用、無駄のない経営をお願いしたい。

【会場参加者】
 私は、町内会会長をしており、公民館にテレビを買った。すると、鹿児島放送局の人が受信料の徴収に来た。
 公民館には管理者は置いておらず、無人になっているが、無人のところも、テレビがあれば受信契約が必要との説明であった。こうしたテレビの受信料について検討を願いたい。
 また、今日は、テーマが放送と経営全般に分かれたがオールマイティに発言ができるようにしてもらいたい。等しく皆が同じテーマで発言ができるような工夫もお願いしたい。

(石原委員)
 経営委員会と執行部との関係については、冒頭でご説明したように政治の介入とかそういったことがないよう、また国民のためのNHKであるための仕組みになっています。
 衆参両院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。それで、経営委員会というのは独立した組織です。この経営委員会が、NHKの会長も選びます。国会に相談するわけではありません、経営委員会が選びます。
 そして、会長は、理事を選びますが、理事は、経営委員会が承認しなければ就任出来ない。経営委員会が同意権を持っています。予算も経営委員会が承認しなければ、執行部は、予算を国会に上程できません。これは大事なことです。
 それから、大事な設備投資、例えばこの鹿児島の放送局。これを造るのも、大変なお金がかかりますが、これも経営委員会が承認しなければ設備投資はできません。
 このように、経営委員会と執行部というのは、非常に激烈な議論をしあうなど、牽制機能があります。経営委員会が言わなければ執行部は緊張感を失います。しかも、国民の受信料でやっているわけですから、牽制機能は非常に大きな意味を持ちます。
 私の会社、JR九州でしたら、一所懸命サービス改善しなければお客様に利用してもらえない。その原理が、NHKにはないわけではないけれども希薄と言えるのではないか。そうした機能を果たすために経営委員会があると思ってください。今日、語る会で、皆様からいろんな話を聞きました。特に、受信料徴収の問題、お金をどうやっていただくか、というのは本当に大事な、経営の基本です。副会長とも一緒に聞きましたので、持ち帰って、執行部に、きちっと実行するようにしていくことが私どもの役目だと思っています。

(勝又委員)
 もう少し具体的に私たち経営委員がどのような活動をしているかお話しします。定例的には毎月2回、12時から6時近くまで、非常に詰めた議論をしています。2回のうち1回は経営委員だけで議論します。もう1回は、執行部と一緒に、これからどうしていくべきかを議論します。
 それだけでは、もちろん足りないので、常勤の委員がいます。常勤の委員は、日常的にNHKがどのように動いているか、財務の問題がどうなっているかということをつぶさに見て、私どもにそういう情報を提供しています。
 さらに常勤委員とここにいる浜田委員と、あと1人の委員が監査委員として、特に財務、それから執行に関するいろいろな状況をみています。
 そのほかに、この語る会で、視聴者の方から直接伺ったいろいろな意見を経営委員会にフィードバックします。
 今日伺ったものがすぐ次の番組に反映されるかというと、なかなかそれは難しいものがありますが、視聴者の方がどういう思いでNHKを見てくださっているかというのを実際に生の声で伺うことが、私どもにとってはとても大切なのです。
 それだけで、十分ということではありませんが、執行部と車輪の両輪のような形で、それぞれの役割を果たしながら、でもやはり間違った方向にならないようにということを、私どもは一所懸命考えています。

(松本局長)
 鹿児島局の跡地については、東京で一括して対応しており、売却されたと聞いています。具体的な売却先については、今、回答する材料を持っていません。

【会場参加者】
 受信料を、集金人への感情で払わないというのはちょっとおかしい。だったら、銀行引き落としでいいのではないか?
 終戦後の大変なときから、NHKやテレビができて現在があるので、NHKがなくなったら私は本当にどうなるのだろうかと心配だ。
 集金の人のために払うのではなく、NHKが必要だからという気持ちで、私は払う。これからもNHKに頑張ってもらいたいし、応援していきたい。

【会場参加者】
 目の不自由な立場から2点要望したい。
 番組告知で、「ご覧のように」というのが結構ある。限られた時間ではあると思うが、番組の再放送の時間帯などの情報は、できるだけ読み上げてほしい。また、ニュース速報で、チャイムだけ鳴らしてあとは字幕で放送があるというのが、非常に困る。できるだけ、副音声等を使って放送してほしい。また、外国語の字幕も副音声を使って放送してほしい。

(小野副会長)
 なるべく、「ご覧のように」ということは言わないようにしていますが、時間がなくて番組の最後につけてしまうケースがあるかもしれません。また、臨時ニュースについては、ラジオでは番組を切って音声で伝えています。どうしても番組の流れを切るものですから、テレビの場合は字幕という形に、今のところならざるを得ない現状です。
 持ち帰って検討したいと思います。

(勝又委員)
 経営委員の中には、社会福祉法人のプロップ・ステーションの竹中ナミ委員がいます。竹中委員はずっと障害のある方々、チャレンジドの方たちのための活動をしていますので、経営委員会の中でも常にユニバーサルサービスといいまして、目が見えない方、耳が聞こえない方等へのサービスをもっときっちりとするようにと毎回のように発言しています。先ほど震災の際の字幕に関するご要望がありました。生放送の場合は副会長からお話したようになかなか難しいけれども、具体的なそういう問題を、こうやってこの場で教えていただくということは非常に重要なことで、早速実行するべきことではないかと思いますので、執行部にもお願いしたいと思います。

 

 

<経営委員のまとめ>

 

(浜田委員)

 本日は、たくさんのご意見をいただき、ありがとうございました。
 放送については、特にマスコミの根源的なあり方を含めていろんなご意見をいただきました。
 それから、鹿児島放送局についての厳しいご意見もいただきましたし、若い人の視聴率をどうやって高めるかというNHKにとって大きな課題と認識しているテーマのご指摘もありました。
 原発を抱える地元にNHKがどう向き合っていくのかについては多面性があることを承知して放送してほしい等々、放送についての根源的なご意見を多々賜ったと思います。
 そして、経営につきましては、受信料の公平負担のあり方について徴収方法を含めて皆様から多々、ご意見を伺いました。
 いずれのテーマについても、経営委員会としても持ち帰りまして、議論に反映をしていきたいと思っています。
 一方、今年、NHKは、次期経営計画の策定という重要な課題も持っています。中長期的には新しい時代のあり方を考えていきますし、それから中短期的には10%還元の問題、国際放送のあり方、グループ経営のあり方等々、幾多のテーマがあります。
 経営委員会は、先ほど執行部との関係をいろいろご指摘いただきましたが、執行部と十分な協議を行い、経営計画を策定していきたいと考えています。
 執行部とは、適切な緊張関係を保ちながら、経営計画の達成でよりよい経営の実現を目指したいと思います。
 あわせて大事なことは、公共放送としてのNHKが、高質な放送、番組を皆様に提供することだと思いますので、皆様のご理解、ご支援をお願いしたいと思います。
 本日は、ありがとうございました。

 

 

 

<視聴者のみなさまと語る会in鹿児島>参加者当日アンケート

質問1:性別

男 性 女 性 未回答
23 20 7

質問2:年齢

10代 20代 30代 40代 50代 60代 70以上 未回答
0 1 1 6 3 22 17 0

質問3:今回のイベントを何でお知りになりましたか(複数回答)

放送 ホームページ 知人から聞いて その他 未回答
38 6 1 6 1

質問4:今回のイベントに参加していかがでしたか

大変満足 満足 ふつう 不満 大変不満 未回答
11 23 9 3 0 4

質問5:一番印象に残ったコーナーはどこでしたか(複数回答)

経営計画ほか 放送について 経営など全般 講演会 特になし 未回答
7 21 19 19 0 6

質問6:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

よく知っていた 知っていた 知らなかった その他 未回答
3 20 26 0 1

質問7:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

理解が深まった 特に変わらない わからない その他 未回答
35 10 1 2 2

 

 

<アンケートに寄せられた主なご意見>

 

放送について

  • 本日参加したのはローカルニュース、ローカル番組が以前より気になっていたから。災害の多い年、これからも危機管理の担い手として頑張って欲しい。
  • 隅っこに陽をあてる番組を考えてほしい。全国一町村紹介すると視聴率も上がり受信料の集金もスムーズに出来ると思う。
  • 昨日放送のNHKプレミアム“桜島”はすばらしい地方局の番組だった。錦江湾の取材も同感。頑張って良い番組を期待する。
  • 今の民放の内容とは違う健全な内容をもっと若い方に魅力あるものとしてうけとられるよう努力してほしい。もっとNHKの良さを広めるための努力してほしい。
  • 総合テレビにワールドニュースをもっと入れて欲しい。国会中継を夜の時間に再放送して欲しい。朝ドラを夜に再放送してほしい。
  • NHK国際放送をホテル等で視聴する機会が有ったが内容画面が地味で欧米や中東の放送スタイルと見劣りする印象。
  • ラジオ第一の定期番組を中止して、ローカルで高校野球、サッカーの中継するのは考え直してほしい。夕方の天気予報は充実している。県内離島についても充実するよう頑張ってほしい。
  • NHKは視聴率にとらわれないような考えも必要と思う。
  • 日本の歌(演歌・歌謡曲)など多く放送してほしい。
  • 言葉は時代と共に移り変わるものとは理解している。アナウンサーは民放も含めて正しい日本語を。
  • 大相撲放送については、放送再開が早過ぎる。

 

経営について

  • 受信料は大切に使ってほしい。職員の教育もしっかりしてほしい。BSの確認ももう少し段取りよくしてほしい。
  • テレビを見ている人が、どうして受信料払わないのか理解できない。水道・電気と同じくテレビをとめるべきだ。
  • 高級車に乗っていながら給食費を払わない人もいると思う。受信料は徹底して徴収してほしい。日本人の道徳心の低下もあるだろう。若い人を獲得するために、迎合しないでほしい。
  • 文字の使い方、言葉の使い方等についてよく質問するが、丁寧な回答をしてもらっている。この機会にお礼を言いたい。

 

運営について

  • NHKについて、いろいろな見方があることが分かった。極端な意見に惑わされない公正中立、公平等、公共放送に励んでほしい。
  • 視聴者の意見に対し個別に返事するかどうかは別として、聞くということに意義を感じる。意見を届けられることのありがたさも感じた。
  • 質問や意見がいろいろ出て活発な会だったが、回答は予想出来る内容だった。ただ、こうしたイベントは本当にありがたい。みんなNHKが好きだからの発言だ。期待している。
  • このような会に時々参加するが、時間が足りない。これは常である。やらせでない証しだろう。参加人員はしぼった方が良かった。
  • 本日の視聴者の声が今後の番組作り、経営に生かされるとよい。柿沼さんの進行は流石で、屋敷さんの話もステキだった。
  • 挙手して意見を言うのは私には難しかった。イスは円形の配置がよいのでは。
  • 託児所付きであってくれたらよかったと思った。