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平成23年度 第2回
視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in福井
(平成23年6月4日開催)

 

<会 合 の 概 要>

 「経営委員会による受信者意見聴取」の平成23年度第2回は、福井放送局で実施し、「放送」「経営など全般」の2つのテーマで、公募による52人の視聴者の皆さまからご意見を伺った。

 

<会 合 の 名 称>

視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in福井

 

<会 合 日 時>

平成23年6月4日(土)午後2時から午後4時10分まで

 

<出  席  者>

〔経営委員〕

北 原 健 児(委員)

倉 田 真由美(委員)

竹 中 ナ ミ(委員)

〔執 行 部〕

永 井 研 二(技師長)

今 井  環 (理事)

三 宅 国 紀(福井放送局長)

〔視聴者〕

公募による視聴者52人

〔司 会〕

徳 田  章 アナウンサー

 

< 会    場 >

 福井放送局 1階スタジオ

 

< 開 催 項 目 >

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明

  協会の基本方針その他協会の運営に関する重要な事項について

3 意見の聴取

 (1) NHKの放送について

 (2) NHKの経営全般について

4 閉会あいさつ

 

 「視聴者のみなさまと語る会」終了後、制作局の屋敷陽太郎チーフ・プロデューサーによる『大河ドラマ「江〜姫たちの戦国」』の制作秘話」と題した講演会を開催した。

 

<概要・反響・評価>

  • 公募の結果、はがき・ホームページを通じて計71人の参加申し込みがあった。できるだけ多くの方々にご来場いただきたいということから、全員に案内を送付した。その際、参加者の意見の把握と参加意思の確認のために事前アンケート調査を実施したところ、55人から回答・返送があり、50人が参加すると答えていた。当日は、52人が来場・参加した。

  • 会合は、「放送」と「経営全般」の2つのテーマを設定し、進行した。公共放送NHKの役割、NHKの報道姿勢、県域放送の充実を願うご意見、アナウンサーの発音、出演者について、衛星放送の2波化、NHKオンデマンドへのご意見、受信料の不公平感、受信料額について、経営計画について、経営委員についてなどご意見が多岐にわたった。

  • 参加者全員のご意見を伺う時間がなかったため、終了後、意向収集のアンケート調査を行ったところ50人から回答があった。回答者は10代1人、30代3人、40代9人、50代7人、60代19人、70歳以上11人で、各年代層が参加した。

  • 参加者の満足度については、「たいへん満足」あるいは「満足」と答えた人が78%、「ふつう」と答えた人が16%、「不満」あるいは「たいへん不満」と答えた人は2%、未回答は4%であった。


◆協会の基本方針・重要事項の説明

 (竹中委員)

  • 私の娘に大変重い障害があり、今プロップ・ステーションという社会福祉の活動をしていますが、それは障害がある人たちが情報通信を使って、コンピュータのホームページを作るようなお仕事に就いていただくとか、あるいはプロの一流のシェフからお菓子づくりを学んで、スイーツのプロになっていただくとか、障害があってもどんどん働いて社会に進出していただこうという活動を約21年やってきました。
     昨年の6月にNHKの経営委員に就任しまして、これから高齢化が進む中で、見えにくくなろうが聞こえにくくなろうが、ご家族と一緒にその人に応じた形で放送や情報を楽しみ受け取れる、放送や通信のユニバーサル化に向けて発言し、提案していきたいと思っています。NHKは、本当に世界最高の放送技術を持っている集団です。NHKにユニバーサルな放送局になってもらいたいと思って、経営委員をお受けしました。

  • 私たち経営委員会の役割は、放送法という法律に明文化されています。NHKの経営の基本方針などの議決・決定をするとか、松本会長以下執行部の役員の業務を監督するとか、NHKの経営に対して重い責任を負っています。私たち経営委員はどのように指名されるかということなのですが、衆参両議院の同意を得て、内閣総理大臣より任命されたものたちで組織されています。また、経営委員の中から監査委員が任命されて、経営委員会を含めた役員の職務の執行を監査しています。
  • 放送法施行規則では、私たち経営委員がその役目を果たすために、視聴者の皆さまからのご意見を直接お伺いすることも定められていますので、このような会を開かせていただき、NHKに対する忌憚(きたん)のないご意見を聞かせていただきたいと思っています。
  • NHKでは平成20年10月に、平成21年度から23年度までの3か年経営計画を策定し、視聴者の皆さまに公表しました。経営計画では、「いつでも、どこでも、もっと身近にNHK」をスローガンとして掲げて、NHKと視聴者の皆さまをつなぐ2つの経営目標を立てています。1つは、NHKへの接触者率を23年度末までに80%にすることです。放送を通じてだけではなくて、今やインターネットだとか携帯電話、あるいはDVDなど放送以外のメディアでも、確かな情報やより豊かなコンテンツを積極的に届け、NHKに触れていただく方々を増やしていきたいと考えています。もう1つは、受信料の支払率を23年度末までに75%、25年度末までに78%まで高めることを目標にしています。受信料の支払率は、不祥事等があったときの批判から、平成17年度には70%を下回りました。受信料をお支払いいただいている方が、お支払いいただいていない方に対して感じる不公平感を解消していくことは、公共放送を支える受信料制度を堅持していくために取り組まなければならない極めて重要な課題であると認識しています。これら2つの目標は、視聴者の皆さまにとってNHKがいつでも、とこでも、もっと身近な存在となっているかどうかを測る指標であり、現在NHKの全役職員が一丸となって実現を目指しています。
  • 経営2目標の実現に向けて具体的な9つの経営方針があるので、お伝えします。

    • 方針1 「視聴者のみなさまの信頼を高めるため組織風土改革に全力をあげます。」
    • 方針2 「日本の課題、地球規模の課題に真正面から向きあいます。」
    • 方針3 「放送・通信融合時代の新サービスで公共放送の役割を果たします。」
    • 方針4 「地域を元気にするための拠点となります。」
    • 方針5 「日本を、そしてアジアを、世界に伝えます。」
    • 方針6 「円滑な完全デジタル化に向けて重点的に取り組みます。」
    • 方針7 「構造改革を推し進め効率的な体制で受信料の価値をより大きくします。」
    • 方針8 「受信料を公平に負担していただくための取り組みを強化します。」
    • 方針9 「環境経営に着実に取り組みます。」
  • これら2つの経営目標と9つの経営方針を着実に遂行し、平成24年度から受信料収入の10%を視聴者の皆さまに還元することをお約束しています。
  • 本経営計画の期間も半ばを過ぎました。経営2目標の達成状況を申し上げますと、接触者率は平成22年11月時点で74.9%となっています。受信料の支払率は平成22年度末時点で73.6%となっています。
  • ことしの1月12日に経営委員会で議決後、総務大臣に提出したNHKの「平成23年度収支予算と事業計画」の概要をご説明します。受信料収入など事業収入は、22年度予算比で140億円増となる6,926億円となっています。番組制作費など事業支出は、完全デジタル化対策を強化しつつ経営の圧縮に努め、22年度予算に比べ38億円増の6,886億円に抑えています。具体的には、完全デジタル化対策のために、デジタル追加経費を34億円増額し、さらに、デジタル移行に万全を期し不測の事態に対応するために予備費を20億円増額しています。一方、あらゆる業務の点検を行い、その他の支出については極力圧縮して対前年度マイナスに抑えました。これらによって、収入から支出を差し引いた事業収支差金は前年度の赤字から40億円の黒字となります。

    • 23年度の受信料収入は、22年度予算に比べて130億円増の過去最高となる6,680億円を計上しました。これにより、23年度末の受信料の支払率は経営計画どおりの75%の達成を目指します。

    • 7月24日に迫ったテレビ放送の完全デジタル化に向け、視聴者の皆さまが円滑にデジタル放送に移行していただけるよう、最大限の努力をしていきます。

    • 衛星放送は4月1日から3つのチャンネルを2つに再構築し、高画質のハイビジョン放送で個性を打ち出した新しいサービスを開始しました。また、地域の情報を全国へ向けて積極的に発信していきます。

    • パソコンや携帯端末などでもNHKの確かな情報に接していただくための「3−Screens」展開の取り組みです。インターネットで番組を有料配信するサービス、「NHKオンデマンド」についてさらなる定着と利用者の皆さまの拡大に向けて一層の充実を図っていきます。

    • 国際放送は24時間英語ニュースを充実するとともに、地域放送が制作した番組を英語化するとか、日本とアジアの情報発信を強化します。

    • NHKでは、視聴者の皆さまの声を経営に生かすように努めていますが、これからも皆さまの声を反映させて経営改革を推進するとともに、人材育成の強化、そしてコンプライアンスの徹底により組織風土の改革を図っていきます。
    • 事業収支の73%を国内放送および国際放送番組の制作と創出に充てています。
    • 以上が23年度収支予算・事業計画の説明です。円滑な完全デジタル化に全力で取り組むとともに、公共放送としての役割をしっかり果たしていけるよう、経営委員一同頑張っていきたいと思っています。
  • ここNHK福井放送局にお集まりくださいました皆さまからいただいたご意見、ご要望は、経営委員会はもちろん、執行部の者たちとも共有して、今後のNHKの在り方に反映していけるように一生懸命努力したいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

《視聴者の皆さまからのご意見とNHK側からの回答》

 

第1のテーマ:NHKの放送について

【会場参加者】
 方針の4番に挙がっている「地域を元気にするための拠点となります」に関連して、福井放送局では、放送局の力として地域に密着した多様なサービスとして、どんなことを考えているのか聞きたい。

【会場参加者】
 東日本大震災発生直後の現地の報道・情報提供の在り方で、民放も含めた各局が競ってあちこち報道するのではなく、NHKがリーダーシップをとって、各局が分担しながらそのエリアの放送をずっと流すというような仕組みは取れないのか。

【会場参加者】
 震災による福島原子力発電所の事故に伴い電力不足が憂慮されおり、節電対策として夜間テレビの放送を中止してはどうか。NHKから、民放にも呼びかけて、大体午後11時から午前6時までを節電、放送を中止する。しかしラジオは除外する。以上です。

【会場参加者】
 今、NHKの大河ドラマをはじめとしてドラマがいろいろあるが、その出演者がどのように選定されているかについて聞きたい。

(三宅局長)
 福井放送局ではこの3か年の経営計画に合わせて、「NHK福井宣言」を定めています。一番大きなテーマに「魅せます! 挑みます! ふくいらしく あたらしく」を挙げ、さらに「伝えます!ふくいの魅力、創ります!ふくいの元気、つなぎます!ふくいの絆」の3つを細かいテーマとして決めています。福井の情報を福井の皆さんに確実に伝え、その情報を有効に生かしていただくということです。それから、福井がやっている元気なことを全国に伝えることを、私たちの目標としています。放送を通じて、県民の方に大きな絆を持っていただく、そして福井の情報が全国に、世界に発信され、世界の人々、日本中の人々が福井に注目していただくということを目指しています。例えば、今大河ドラマ「江」を放送していますが、3月の半ばには、北の庄が舞台となった回を3回放送しました。これによって多くの方が柴田神社などにいらっしゃっていると思います。また大河ドラマの舞台、福井を旅した「鶴瓶の家族に乾杯」も5月2日に全国放送しました。これも福井のことを全国へ伝えていこうという取り組みの1つだと思います。
 ローカル放送のニュース情報番組「ニュースザウルスふくい」では、皆さまの生活に身近な話題を提供し、生活に生かしていただこうと「ザウルスカフェ」というコーナーも作りました。私どもとしては地域を元気にするために情報を県内に発信することはもとより、全国に世界にということを方針としています。

(今井理事)
 東日本大震災発生直後の放送の在り方について、NHKと民放が協力したらどうかというご意見は時々伺うことがあります。ただ、NHKの場合は、災害対策基本法で指定公共機関として定められた唯一の報道機関であり、大災害のときには、災害情報を伝えなければいけない義務を負っています。
 民放各局は、キー局があり、各都道府県にそれぞれ会社があり、組織も体制も全く違います。したがって、特定の地域を、他局に任せて放送を出してもらうというわけにもなかなかいきません。一概に、協力をしてエリアごとに分けてというのは、すぐには実現できないと思います。ただ、NHKと民放連が意見交換をするような場では災害報道なり、番組内で何か協力し合えることはないだろうかという話をしています。復興を支援するキャンペーンなど可能な協力は進めていきたいと思っています。

(永井技師長)
 夜間の放送休止のご提案ですが、われわれは何か災害が起こる、強い地震が来ることを予知したときは、すぐさま警報の放送を出さなければいけません。いったん送信所の電源を切ってしまうと、再び立ち上げるまでに5分、10分かかってしまいますので、24時間、何かあったらすぐ放送できる体制をテレビではとっています。節電に関しては、東京電力管内、東北電力管内では15%節電の目標がありますが、われわれは20%を目指し、いろいろな取り組みを行います。

(今井理事)
 教育テレビについては、今、夜間放送は中止しています。ドラマ制作には、責任者となるプロデューサーがおり、最終的にはこのプロデューサーが決めることになっています。ただ、脚本家の方々ともイメージを相談しながら、候補をまず挙げて、具体的にそのタレントさんが所属する事務所とスケジュールが合うかどうか、どのくらいのスケジュールがとれるかということも調整しながら、決めていくと聞いています。

【会場参加者】
 総合テレビを見ているのに、衛星放送の番組の予告編を流すというのは、衛星契約をしている場合はいいが、衛星放送を見ることができない方など、いろいろな方がいるので、衛星放送の番組予告は衛星放送で放送すればよいのではないか。

【会場参加者】
 受信料は、日本固有の文化、日本人が誇るべき1つの文化だと思う。そういう意味で受信料の支払率を上げる面においては、国会等における場でも強い姿勢を出してほしい。
 また、日本は民主国家だが、日本人はどうしても大衆迎合的なところがあるので、世論形成の面で、もう少しNHKの存在があってしかるべきではないかと思う。「視点・論点」の放送時間が定まっていないことも問題。
 NHKの豊かな経験・知識は私たち視聴者の財産だと思う。この財産を有効に生かして、「週刊ニュース深読み」や「ニュースウオッチ9」で、それぞれの担当がもう少し直言をしてほしい。

【会場参加者】
 少しニュースなどに偏りがあるのではないかと思う。具体的には、北朝鮮との関係で「拉致」という問題の放送に関して、菅前総務大臣が発言したら、即、拉致のニュースばかりで北朝鮮との関係は拉致しかないようなニュースのしかたです。北朝鮮には核兵器問題もあるし、ミサイルの問題、原発のテロなども当然考えられるし、もっと総合的に報道していただきたいし、基本的にはやはりお隣同士の国だから、いがみ合うよりは仲よくしたほうがお互いに貢献するわけですから、ぜひそのようなニュースもやってもらいたい。
 また、スポーツ番組でもアメリカまで行った松井選手をなぜ追わなければいけないのかと思う。高校生のスポーツは野球しかないような視点の当て方もそう。これからの日本の若い世代を育てるというところからすると、いかがなものかなと私は思う。
 もう1つ、アナウンサーの服装が余りにも黒が多すぎる。青少年の情操教育面からもいかがなものかと思う。

【会場参加者】
 最近のNHKは、本当に心から家族で笑える番組がない。前は「お江戸でござる」や「お笑いオンステージ」があった。
 また、過去の番組を見せるという話だが、どうしたら過去の番組が見られるのか教えてほしい。さらに、NHKはいろいろなDVDを販売しているが、福井局に来れば視聴できるのか。実際購入する前に、中身を福井局で見ることはできるのか。
 去年の猛暑のとき、番組で1リットルの水を飲みなさいと言っていたが具体的な量が分かるよう工夫してほしい。

(今井理事)
 今、NHKのテレビは総合、教育、BS1、BSプレミアムの4波です。この4波をフルに活用するために、この春の番組改編で編成をかなり変えました。これまで総合でしか放送していなかった時代劇をBSに持っていくとか、いろいろ整理をして、それぞれの波の特徴づけをするように工夫しました。番組がかなり入れ替わったため、広報的な意味合いと、BSにはこういういい番組もあるので、契約をなさっていない方は契約をしていただきたいという側面で広報をしていることもあります。ご理解いただければと思います。

(竹中委員)
 海外の公共放送の費用をどのように徴収しているか私も調べて見たのですが、まちまちです。日本の場合は法律で契約することが決められているけれども、罰則がない。つまり皆さんの公共放送を支えようという、国民1人1人の気持ちを信じた制度になっているのです。「受信料を払わない」という人がNHKの支払督促に異議申し立てをしていましたが、最高裁で上告が棄却され、敗訴しました。これは、払っている人間からしたら当たり前のことなのですが、日本の放送法におけるNHKの受信料の徴収のしかたという意味では限界がどうしてもあるので、本当に1人1人が協力して支出して、支払わない人には呼びかけていければと思っていますが、海外のように、もっと制度がきつくなるというようなことは考えていないのだと思います。

(永井技師長)
 NHKの受信料は、放送法で受信設備をお持ちの方に負担していただくということになっています。NHKの維持・運営のための特殊な負担金というような定義があり、みなさんに負担していただこうということです。残念ながら、お願いしても払えない、自分はテレビを見ているけれどもNHKは見ていないという方もいらっしゃいます。丁寧に説明し、それでもお支払いいただけないときは、民事訴訟を実施しています。
 17年度末に支払率が70%を切り69.2%になりました。この3か年計画の中で取り組みを進めてきて、22年度末で支払率73.6%というところまで来ました。1年後には75%まで持っていこうとして取り組んでいます。

(今井理事)
 5年前まで夜10時のニュースで「ニュース10」という番組のキャスターをやっていました。時々コメントをすると言い過ぎだというおしかりを受けることがよくありました。新聞社の場合は社説があって、社としての1つの考え方を出すわけですが、NHKには社説というものがありません。少しは意見を言ってもいいのではという声もあるのですが、放送法もあり、NHKとしての番組放送基準もあって、公平・公正・中立、不偏不党、自主自立という基本がありますので、守っていかなければいけないと思っています。
 それから、拉致のお話がありましたが、拉致事件が焦点を浴びたときには、どうしても報道の機会が増えるのはしかたがないことで、むしろ最近は拉致被害者のニュースは非常に少なくなってきていると思っています。北朝鮮は、直接取材するのがなかなか難しい国ですので、さまざまな間接情報とか、韓国からの情報などに基づいてニュースを出しているようなところもあります。さまざまな情報を集めて、正確な情報をお伝えしていくという形で、総合的に取り組んでいきたいと思っています。
 松井選手についてですが、ある意味非常に関心の高いテーマでもあり、BS1の大リーグ放送も多くのファンに見ていただいており、過度にならない程度には放送していきたいと思っています。もちろん、NHKが放送しているスポーツの種目は、なぎなた選手権とか、合気道とかいろいろなものをやっています。できるだけ幅広いものをお伝えしていきたいと思っています。
 アナウンサーに黒い衣装が多いというのは、恐らく東日本大震災の後からのことだと思います。派手な衣装を避けるという傾向はあったと思います。しかし少しずつ変わってきてはいるとは思います。それぞれの番組に合わせて適切な対応をしていきたいと考えています。

(北原委員)
 私は長い間、読売新聞におりました。新聞の報道を規制する法律は何もありません。きょうの読売新聞を見ていただくと、社説に「菅首相は即刻退陣せよ」という社論を出しています。これに対して読者からいい悪いというご批判はあるのですが、この報道を規制する法律は何もありません。しかし、テレビの場合は放送法があり、不偏不党、中立、それから意見はできるだけいろいろな人の意見を聞いて、バランスをとって報道すべしということがあります。
 それから新聞社は「日本かくあるべし」「北朝鮮との関係はこうせよ」「アメリカとの関係改善を急げ」というように主張を強く出して、それぞれ各新聞社の社論を競っているのです。これに比べ、NHKの場合は、法律的な問題もあり難しいのではないかと思います。新聞も放送も公正、中立、客観報道は大事ですが、時として日本が曲がり角にあるような状況の中では、社として責任を持ってこういう考えが正しいのではないかということを、読者、国民の皆さんに提示することが必要だと思います。

(竹中委員)
 ですから、こういう場をできる限り設けて、いろいろな方のお考えをきちんと聞いて、それをまた番組とか放送に反映させていかなければならないと思っています。

(倉田委員)
 番組内容の偏向に関しては、私も少し思うところがあります。皆さんにいただいたご意見にも、ハンカチ王子こと斎藤佑樹投手のことを、NHKが扱い過ぎではないかということがありました。例えば、昨年末にありました市川海老蔵殴打事件などでも、NHKの立場としてどのくらいの扱いをすべきかは、やはり民放と同じようには論じられないところがあると思うのです。ただし、視聴者の要望というか、見たいという気持ちを大事にするということも必要なので、そのあたりのバランスを考えていかなければいけないのではないかと思います。

(今井理事)
 非常に関心を持っていただいているテーマは、伝えなければいけないと思うのですが、度が過ぎるといけないと思います。そこはバランスだと考えています。
 NHKは1か月に放送している番組が約600本あります。相当数の番組を作っていまして、いろいろな種類の番組があります。心から笑える番組というものも1つのジャンルだろうと思いますので、参考にさせていただいて現場に伝えたいと思います。

(三宅局長)
 DVDは、NHKの関連会社が発売していたり、全く外部の会社が発売しているなど、いろいろなケースがあるのでそのDVD自体を福井放送局の中でご覧いただくということは難しいと思いますが、NHKアーカイブスとNHKオンデマンドについては福井放送局に来ていただければ、簡易な体験ですが、昔の番組を見ていただくこともできます。また、条件さえ整えていただければ、お宅でもご覧いただけます。特にNHKオンデマンドについては月々945円支払えば見放題という「見逃し見放題パック」というのもありますので、そういうのも利用して見ていただければと思います。NHKオンデマンドのサービスについては、パソコンでNHKオンデマンドの検索をしていただき、会員登録をしていただければ、テレビの機種にもよりますが、このサービスを受けることも可能です。

【会場参加者】
 福島の原子力発電所の関連で、最初から同心円で放射能が漏れている区域をずっと提示しているが、風向きなどで最初からどこかへ広がっているのは分かっているのに、あえて同心円で表示し続けているということに、素朴な疑問を持つ。戦時中の大本営発表は、実はミッドウエイで負けているのに勝った、勝ったと伝えて、国民が動揺しないようにと戦争を進め、そして大勢の方が亡くなられて、終わってしまえば責任者は誰もいないという状況だった。今の東日本大震災の原発問題も同じような経緯をたどっていくように思う。
 NHKは、中立・公共性を放送の中でうたっているが、本当に国民側に立った放送をしているのかということを確認したい。日本の政府が後ろにいるのか、それともアメリカがまだ後ろのほうで、報道の在り方についていろいろなクレームをつけているような可能性はないか。
 NHKには一番大事な国民側に立って放送してほしい。国民側に立つということは、正確な情報を伝えるということで、正確な情報というのは、政府から一方的に出された情報ではなく、現場へ入らなければいけない。中東戦争も、日本の記者だけはエルサレムから見ていたと言われている。福島の原発も、本当に現場へ入った放送は1つもされておらず、全部政府から出ている話です。国民を助けてほしいのに、なぜそういうところに立たないのか。受信料は国民が払っているのです。

【会場参加者】
 大学で教員をしているが国際化がどの程度進んでいるのだろうかと思う。特に若者を見ていると、内向きになっている人が増えていることを実感する。そういった中で国際的なものをテレビで見ることは非常に大事なことだと思うが、いろいろな人がCNNやBBCのニュースをNHKから得ているというのは非常に重要な部分で、24時間、いつテレビをつけてもニュースが途中からでも入ってくるという環境は日本の中に絶対重要だと思う。今は、BSで放送しているのだと思うが、まだBSと総合テレビとの間には違いがあるので24時間でなくても、その一部分を総合テレビで放送してほしい。
 それから、私もNHKの番組などで英語を勉強した覚えがあるが、若い人たちが、海外に行く前に英語を勉強するときに、NHKを見なさいと言いたいが、契約をしないとBSが見られない。生きた海外のニュースを聞くことは非常に重要で、その中から日本がどういうふうに見えるかというのが分かる。海外で報道されていることを、もう少し見られるようにしてほしい。そして海外向けに出されているNHKワールドなどは、国内でも同じように見られるべき。

【会場参加者】
 福井のタウン誌に「URARA」というのがあり、県外の人がその題名を見た場合には、これはうららかな春日和みたいなという雰囲気にとるが、福井県人は「ウララ」と聞いたら、「自分たちの」という理解をする。同様にNHK福井局では「ほやほや情報」という番組あるが、私どもの地方で言えば、ほやほやというのは「そうだ、そうだ」という意味になる。この2つの意味を兼ねた非常にいいタイトルをつけながら、番組自体はまだまだ堅いと思う。
 また、地元のキャスターは何人いるのでしょうか。地元の女性キャスターを大勢採ってほしい。

(今井理事)
 原発報道に関しては、私たちも少々隔靴掻痒の思いでずっと伝えてきています。原発の事故が起きますと、原子力災害対策特別措置法という法律があり、政府が全部対応することになっていて、情報発表は政府任せの部分があり、私たちも原発の中へ入って実際見せてほしいと思っても、入れてもらえません。政府の発表というのは正しいのだろうかという疑問を持ちながら、大学の先生、専門家に解説をしていただいたりして、補足するような形で報道してきたのです。政府のやり方は本当に正しかったのかどうかというような検証番組を、今月NHKスペシャルでも予定していますし、番組を通して調査報道をしていく形を続けていきたいと思っています。
 今、私たちは、情報を政府の発表に頼らざるを得ないという部分がありますが、それがどういう意味を持つかという分析はしなければいけません。ただ、私たちが政府から指示を受けていることは一切ありませんし、全部独自のわれわれの判断で取材をしています。

(北原委員)
 戦時の日本においてジャーナリズムがどういう役割を果たしていたのかというのは、われわれにとっては負の歴史です。戦前の体制の中で、この戦争はおかしいと、日米は戦うべきではないという論を張れたのかというのは、歴史のさらなる検証が必要だと思いますが、われわれとしては非常に反省して、これであってはいけないというのが戦後のジャーナリズムの出発点なのです。
 ご指摘のように今度の原発事故について、1人も入っていないではないかということですが、入れないのです。入りたいと思うのだけれども入れないのです。
 しかし、政府が次々に出してくる情報が間違いではないかと思っていながら、そのまま流しているということは断じてありません。そんな弱いジャーナリズムではありませんし、戦前の反省もあります。ただし、おっしゃったように、取材が甘いではないか、もっと勇気を持って施設の中に立ち入って報道したらどうだという強い批判があることは痛いほど承知しています。イラン・イラク戦争や中東戦争のときに、日本の特派員は全部引き揚げてしまいましたが、外国の特派員の一部は残っていて報道したのは事実です。今度の原発事故に関して報道機関であるテレビ・新聞が正確な情報を持っていながら、政府のコントロール、あるいは政府の意向を慮って自主規制して、視聴者や読者の方にお伝えしないという事実は一切ありません。取材が甘いではないかというご批判は甘んじて受けますし、より正確な情報を皆さんに伝えていかなければいけないという反省は、日々いたしております。

(今井理事)
 NHKは日本人向けと外国人向けに国際放送を行うことが法律で決まっていて、テレビの場合「NHKワールドTV」と「NHKワールドプレミアム」があります。「NHKワールドTV」は、外国人向けの英語放送です。「NHKワールドプレミアム」は日本語の放送で、海外に住んでいる日本人の方々に見ていただくということを中心に放送しています。そして、「NHKワールドTV」は放送としては日本の国内では見られません。ただし、やはり国内で見たい、それから日本の国内にいらっしゃる外国人の方に見ていただきたいので、「NHKワールドTV」はインターネットで動画が見られます。また、今順次進めていますが、ケーブルテレビのチャンネルの中にこの国際放送を入れるという作業を少しずつしています。

(三宅局長)
 NHKにいただくご意見の中に、NHK福井放送局には福井出身の職員がいないのではないかとよく言われる場合があります。私は新人職員が配属されてくるときの研修で「福井に来たら福井人」という言葉を常に言っています。常に、福井の人よりも、福井のことをよく知ろうということを心がけてほしいと言っています。どこの出身ということではなくて、どれだけ福井を愛するかということが必要なのだと思っています。福井出身ではなくても、福井の人以上に福井を知るように指導していますので、温かい目でご支援いただければと思います。

 

 

第2のテーマ:NHKの経営全般について

【会場参加者】
 方針8に書いてある受信料の公平負担について、現在、テレビの受信料は、1台についていくらと全部同額で決まっているのか。所得の多い人、少ない人、年金暮らしでひとり暮らしの人など全部同額では生活の弱者の負担率が多いように感じる。

【会場参加者】
 衛星契約しているが、4月から3チャンネルから2チャンネルに減り、少し損した気分。しかも番組再編が行われているということで聞きたい。先ほどの経営9方針の1番に「視聴者のみなさまの信頼を高めるため組織風土改革に全力をあげます」「すべては、視聴者のみなさまのために」とあるが、衛星放送が3チャンネルから2チャンネル、そして番組内容も違ってしまい契約当時の条件とは違ってしまっており、説明が足りなかったのではと思う。
 また、組織風土改革という言葉があったが、インドネシア大津波のときに、取材にあたった記者が「新聞研究」という雑誌に「逃げまどう住民をカメラに映すことができた」という書き方をしていた。私はそれを見てとても残念な思いがした。NHKは世の中でいうとエリートの集団で、少しエリート意識が強いかなと感じる。

【会場参加者】
 国会の承認を得ているといいますが、私は、なぜ漫画家が経営委員なのか、経営委員の選ばれ方に少し疑問を持つ。また会長にずっと財界出身者が続いている。ビール会社の社長とか、JRの副会長とかです。NHKは利益を目的とする団体ではないのだから、公共放送の使命をきちんと全うするのが経営の本来の仕事だと思うが、それに利益を目的とした会社を経営してきた人たちが、この経営委員会のトップになるのはおかしいと思う。それから、もう1つは「NHK問題を考える会」とか、非常にNHKにとっては批判的な団体かもしれませんが、そういう人たちからも経営委員を選んでほしいと思う。経営委員は一体何日出勤して、いくら報酬をもらっているのか。

【会場参加者】
 受信料は安いほうがいい。NHKには、いろいろな法律の制約があると思うが、資源が豊富にあると思う。BSの受信者を増やしていくというのも収入増の1つの方法かと思うが、一方では資源を活用した商売もあるかと思う。NHK本体ではだめだと思うが、関連会社で収益が上がるような方法は考えられないのか。NHKでは、いろいろな番組の雑誌やDVDを出しており、その収益をできるだけ上げ、受信料だけではない財源を増やしていただければと思う。

(永井技師長)
 1台ごとに受信料を取るのかというお話がありましたが、1世帯1単位ですので、1世帯の中で1台あろうが3台あろうが5台あろうが、受信契約は1件です。また、公的扶助受給者などは全額免除という措置をとっています。それから、視覚・聴覚の障害者、重度の障害者の方々も半額免除という制度を導入しています。
 公平負担は取り組まなければいけない課題だと思っています。支払率が100%になるように少しずつ数字を上げていますのでご理解いただきたいと思います。
 衛星放送については、今までBS1、BS2、BSハイビジョンのチャンネルがありましたが、BS1、BS2については、ハイビジョンではなく標準方式で放送していました。BS2は難視解消波としての役割があり、その編成の約6割は地上放送の再放送でした。しかし別のチャンネルで地上放送をご覧いただけるようになりましたので、BS1とBSプレミアムで独自の放送を、しかもハイビジョンで放送するということで、番組には非常に力を入れて、いい番組をつくり、値下げをしなくても価値は高まる放送を目指しています。
 雑誌やDVDは、NHK出版などで販売しています。子会社で副次収入が増えるような取り組みをいろいろしていますが、残念ながら出版全体の市場が悪くなってきています。本当はもっと収入を上げてもらおうと思ったのですが、NHK出版は、22年度は赤字になってしまいました。ある程度限度があるというのが現実です。もう少しわれわれも取り組んでいきたいと考えています。

【会場参加者】
 受信料は所得に合わせて段階的に決めるということはできないのか。

(永井技師長)
 なかなか難しいです。税金と同じようにするということになると、提供するものが同じ番組であるのに、豊かな方々には多く負担していただくことになり、現在の受信料制度の考え方と違ってくる可能性があります。

【会場参加者】
 しかし、所得が少ない人と多い人が同じ金額で納めると、所得の少ない人の負担率が高くなり、公平にならないのではないか。消費税を今上げようかという話でも、所得の少ない人に負担がかかるからといって足踏み状態なのに、NHKの受信料が全部同じというのはおかしい。市町村で所得の少ない人、障害者のいる人とかを免除しているのは分かるが、自分は所得がこれだけだからと自己申告すると、その所得の範囲内で受信料を下げるような仕組みはとれないか。全部の所得を把握するというのは大変と思うが、身体障害者がいる場合は自己申告で割引になったりするように、割引してほしい人が自己申告で市町村に申告し、手続をとってもらうというのはどうか。

(永井技師長)
 基本は、NHKを維持・運営するための負担金として、皆さんに均等にお支払いしていただいているのが受信料制度です。今のところは、そういう検討はなかなか難しいと思っていますが、これから還元のことをどう考えるかの中での、いろいろな議論として参考にさせてください。

(竹中委員)
 経済の状況が厳しくなる中、NHKの受信料も大変だという方が、非課税世帯でなくてもいらっしゃるということは事実だと思います。ただ、いろいろな国によって受信料の取り方が異なりますが、少なくとも日本の場合、制度について真剣に考え、議論された中で徴収のしかたとか金額とかを決めています。その中で、大変だけれども、お支払いいただいているということに、私は心から敬意を表したいと思います。その支払った分に見合うぐらい、思い切りいろいろなご意見を言っていただいて、みんなでNHKをもっとよりよいものにするという思いを、共有できればうれしいなと思っています。それから、今回の大震災の場合は、例えば家も流されて、テレビどころではないです。NHKとしてはその被災地全体で、一切自動引き落としにならないようにストップをかけるという措置をとり、まず半年間、災害免除することも行っています。法律で強制的に何か税のようにということではなくて、本当に皆さんの力で少しずつお支払いいただいて力を合わせてNHKの放送を出していこうという考え方でやっており、私たち経営委員はそのやり方をきちんと継承していきたいと思っています。
 経営委員に対してのご意見がありましたが、私はもともと漫画が好きで、手塚治虫さんが漫画大学を始めたときの第1期生であり、いつか漫画家になりたいと思ったような人間だったのですが、残念なことに先ほどのご発言からは、漫画家に対する差別の発言だったと思うのです。ですから、そのような立場で経営委員だとか人間を見ることはやめていただきたいなと思います。
 また「新聞研究」に掲載の件については、事前にご意見をいただいていましたので、一生懸命調べてみました。そして、実際に「逃げまどう住民の映像が撮れた」ということが書いてあり、その時のことを調べてみると、実はあのとき、海外も含めてほとんどすべての放送局が全部撤収したのだそうです。ところがNHKの取材拠点は維持していたので、その津波の状況を克明に映すことができて、世界に発信できたということが言いたかったのです。そのときに、「逃げまどう住民の映像」という言葉を使ったことは、私も不謹慎な使い方だったと思いますが、取材拠点を維持していた結果として、そのような状況の災害を伝えることができたという意味で言ったというのは分かりましたので、お伝えしておきたいと思います。

(北原委員)
 会長選びのご質問が出たので、率直に本音でお答えします。今の会長は私が経営委員会に推薦し決定を頂きました。JR東海の前社長、代表取締役・副会長だった松本正之氏です。NHKにビール会社や鉄道会社から呼んでくるのは非常に不謹慎だというお叱りだと思うのですが、NHKは番組を作っていて、報道機関としてジャーナリズムの一翼を担っていると同時に、経営体なのです。皆さまの受信料によって番組を作り、報道を行い、放送文化を作り出している経営体です。そのトップとしてどういう人がいいのだろうかと考えると、経営能力もあり、なおかつジャーナリストとしての自覚もきちんと持ち、番組制作にも理解があるというのがベストです。しかし、極端な例ですが、ジャーナリストとしてはすばらしいけれども、経営感覚はまるで無く、お金は使い放題で赤字を垂れ流しているということがあります。逆に、経営者としては立派だが、ジャーナリズムや番組制作、放送文化の創出には理解がないということもあります。
 確かに今の会長は今まで番組制作とか、ジャーナリズムの世界には少し縁が遠かったかもしれませんが、それは健全な常識と意欲を持っていれば十分会長としてやっていけます。NHKという経営体がしっかりしないと、いい番組も、いい放送も、いいニュースも発信できないわけですから、私はきちんと経営をして成功体験を持っていらっしゃり、なおかつNHKの会長として前向きにやろうという志のある方であれば、出身はどこであろうともあまり問題にしなくてもいいのではないかと思います。

(竹中委員)
 会長選出について今の北原委員が言ったことに少し補足します。松本正之氏をご推薦されたのは北原委員でしたが、各経営委員が会長にふさわしい方を推薦し、全員で協議をする中で、最終的に12人の経営委員のうち9名が賛同しないといけません。今回ご推薦のあった松本正之氏がすばらしい方であり、経営能力も高いし、今のNHKを改革していかれるにも、経営能力や感覚を持たれた方が必要だろうということで、経営委員全員一致で会長になっていただきました。

【会場参加者】
 受信料をもらっている公共放送で、公共放送にふさわしくない人は出さないでほしい。また、アナウンサーにお願いしたいのが、鼻濁音。「がぎぐげご」の発音が正確にされていない方が時折、アナウンサーには少ないのかもしれないが、鼻濁音の発音が正確でない出演者がいる。教育はどうなっているのか聞きたい。

【会場参加者】
 間もなくテレビのデジタル化が完了するが、ラジオはどうなるのか教えてほしい。
 また、被災地ではアナログからデジタル化が延長されるとのことだが、今家庭で余っているアナログテレビに、例えば総務省のデジタルチューナーを取りつけて被災地に送ることができないかと考えるが、どうだろうか。

【会場参加者】
 いつも福井のことを全国に出していただいて大変ありがたいと思っている。今週だと「大!天才てれびくん」では「恐竜博物館」、「ひるブラ」では三国町が紹介され、非常に嬉しい。私は「ブラタモリ」の大ファン、母は「鶴瓶の家族に乾杯」の大ファンで、ものすごく楽しみにしている。「ブラタモリ」を福井でというのは難しいと思うが引き続き楽しい福井の話題を、地域から情報発信してほしい。

(今井理事)
 出演していただく方は、幅広い世界の方に出ていただくというのが基本だと思います。一般的に社会での活動が認められている方を排除する必要はないと思いますし、それよりも、その番組の中身なのだと思います。
 最近、よくNHKの番組は民放的になったということを言われます。NHKの番組は堅くて、見ていただいている方が年齢の高い層で、若い人たちが余り見ませんので、若い人に見ていただけるようにいろいろ工夫しています。そうすると、どうしても民放に出ているような方に出ていただくようなケースがありますが、NHKらしいというか、節度を持った品位のある放送番組を作ることに尽きるのだと思います。出演者が誰ということよりは放送の中身がきちんとしたものを出していければと考えています。

(徳田アナウンサー)
 今は鼻濁音を出せますが、私も鼻濁音を意識せずに育ちました。アクセント辞典を見ていただくと、金田一先生の調査で、日本で鼻濁音が出る地域と出ない地域などが色分けされています。NHKに入ってから指導され、私は、今でもナレーションするとき、ニュースを読むときは、原稿の「が」のところの半濁音に丸を振っているぐらいです。アナウンサーは鼻濁音が出ないといけませんので、指導しています。また、ご意見をいただくと、アナウンス室の入口にこういうご意見がありますと、梅澤アナウンサー、言葉おじさんの責任で紙を張って周知し、注意を促しています。

(三宅局長)
 福井局の場合も若いアナウンサー、キャスターが多いので、日々、アナウンスの副部長が厳しいスパルタ教育を課しています。温かい目で見守っていただければと思います。

(今井理事)
 アナウンサーは、きちんとした教育を受けているのですが、私は記者でしたので、そういう訓練はあまり受けていませんでした。キャスターをやる前に19時のニュースなどを担当していた末田アナウンサーから特訓を受けました。

(永井技師長)
 テレビのデジタル化は7月24日で完了しますが、国の方針として音声放送のデジタル化はまだ決めていませんので、当分ラジオの放送はこのまま続きます。一方で、テレビのデジタル化によって、今まで使っていたVHF帯という1チャンネルから12チャンネルの波が空きます。その空いた中の1チャンネルから3チャンネルの部分と、10チャンネルの途中から12チャンネルの部分で、何らかデジタルの音声的なものをやっていこうということで「マルチメディア放送」という名前がついています。その帯域で音声放送プラスいろいろなサービスができないか今検討をしています。
 また、不要のアナログテレビにデジタルチューナーを付けて被災地に送ったらどうかという話ですが、デジタルチューナーをつけると、今までのブラウン管のテレビでもそのままご覧になれます。被災地では国がチューナーをお配りすると支援も行っています。被災地で新しく建てている仮設住宅では、日赤がワンセットでデジタルテレビもお配りしています。

【会場参加者】
 高齢化社会を迎えて高齢の世代や社会的に支援していかなければならない世代の人が増えていく中で、NHKとしても福祉的なキャンペーンや、福祉をもっと啓発するようなことを放送はもちろん事業体の中とか関連団体の中でやっていかなければいけないと思う。現行でもNHK厚生文化事業団での「ハート展」とか、教育テレビなどでもいろいろな取り組みがされているが、例えば認知症を社会に正しく知ってもらうためのシルバーリボンキャンペーンを展開していくなど、これからの時代を見据えた福祉的な啓発・啓蒙ということもやってほしい。

【会場参加者】
 今までの経営の何が問題で、どう変えられるのかということを、もう少し分かりやすく説明してほしい。現在の受信料は年間2万円ちょっとだが、決して今の受信料額を卑下する必要はない。例えば情報通信のことを考えると、携帯電話に私は年間6万円から7万円ぐらい支払う。NHKのテレビ番組ほど、家庭で楽しめたり、知識を習得できたりできるものは、今の生活の中で、ほかにないと思う。受信料がもう少し高くても、特に特集番組など、もっと高度な番組を提供してもらいたい。

(竹中委員)
 今、「福祉」という言葉をお使いになりましたが、「福祉」が一方的に強い人が弱い人に与えてあげるような、上から下というような感覚では無理な時代が来ているのです。どんな人もみんなが少しずつ自分の持てる力を出し合って支え合っていかないと乗り切れない状況のときに、NHKもそういうさまざまな状況、立場の人たちに、単に障害者だから弱者だというような視点の捉え方ではなくて、そういう方に何ができるのか、あるいは高齢の方のご自身の中に眠っているパワーはどうかという視点を持たなければいけません。昨年の6月に経営委員に指名されたときに、さまざまな方がいらっしゃるときにどう支え合っていくかというような新たな視点の福祉観をNHKが持てるように変わっていくようにしていこうと思ったのです。執行部の人たちも、私たち経営委員たちも、時代の大きな変わり目にあるということを深く自覚していますので、よい意味で時代に即して、しかも日本が弱っていくのではない形で、NHKを変えていきたいな、変えていけるだろうと思っています。

(永井技師長)
 この21年度からの3か年計画を作る議論していた当時は、残念ながら皆さんの信頼を逸するというようなことが起きていました。受信料についても、平成17年度に底になり、必死にいろいろ信頼回復活動をやってきました。コンプライアンスを順守して、身を正して、視聴者の皆さんに何ができるのかということを一番に考えながら、放送をきちんとやっていってNHKの業務を進めていこうとしました。これからも、NHKとしてよりよい番組を視聴者の皆さんに、われわれも身を正しながら放送を続けなければいけないということで、この3か年計画も取り組んでいます。

 

 

<経営委員のまとめ>

 

(北原委員)

 私は先ほど申し上げたように、読売新聞の出身ですが、NHKは受信料収入が約6,500億もあります。支払率が80%になっていないので、もっと支払率を上げると言っていますが、極端に言えば、よく集まっているなというのが僕の率直な印象です。そして職員は1万500人いますが、私はこれだけの経営基盤、優秀な人材、技術があれば、もっといい番組、さらにいい報道、もっといい役割が果たせると思います。公共放送といえども、費用対効果が大切です。そういう意味で、経済界出身の会長もいいのではないかと思ったのです。NHKはもっともっとできます。そういう視点からわれわれ経営委員会は、さらなる向上をNHKに果たしてもらいたいという視点で、苦言やお願いをしています。
 そして、この語る会ですが、皆さんやさしいです。一定の評価をNHKはいただいているということでしょうが、もっともっとよくなるためには、時には愛のむちも必要なのです。ですから、時には厳しいご意見をいただければありがたいと思います。

 

(倉田委員)

 経営委員になぜ任命されたかというご質問ですが、私に限らず全経営委員、どういった経緯で任命されたのかは、任命されている立場なので分からないのです。しかし任命された以上は一生懸命、時には本業をないがしろにしてNHKのために尽くしていますので、皆さんも今後もご協力のほど、よろしくお願いします。
 また、先ほどの原発の同心円状の話ですが、画一的に放送するのはどうかというご意見は確かにそのとおりだと思っています。放射能に関してはホットスポットと呼ばれる放射能の濃度がすごく高い地域が、20キロ、30キロ圏内ではないところにもいろいろあるようです。この放射能の問題は日本全国どころか世界中で関心の高い問題になっていますので、NHKでは正しく、細かい報道が必要だと思います。例えば、500ベクレル以上の野菜は出荷しないといっても、490ベクレルだったら出荷されているのかや、490ベクレルの野菜をずっと摂取し続けた場合はどうなるのかなど、個人的にもたくさん知りたいことはあります。そういったことも、やはりスポンサーのついていないNHKだからこそ、細かいことをいろいろ報道できるかと思いますので、今後もNHKに期待していただきたいと思います。きょうは、皆さんありがとうございました。

 

(竹中委員)

 私たち経営委員は、倉田委員が言ったように国会の同意人事を経て内閣総理大臣から任命されていますのでどのようにして選ばれたのかは分かりません。ただし、経営委員の役割はNHKを運営されている執行部の方々に命令するとか、ただ単に文句を言うだけの役割ではだめだと思っています。まず、執行部の方々たちが自律的に経営をし、NHKの職員として、スタッフとしてどのようにあるべきか、どのような放送を作っていきたいのかという自覚をしっかり持って、それを私たちはよいところは励まし、変わるところはこう変わってくださいと、ここはおかしいですよというような関係で議論しながらやっていくべきだと思っています。本当に不祥事の起きない、公平な放送のできる、また温かい放送のできるNHKであるように、そして受信料を払われている皆さんが、払ったことが惜しくないと言っていただけるような放送局であり続けるように、私たちは経営委員の立場からきちんと仕事をしていきたいと思っています。きょうは皆さん、ありがとうございました。

 

 

<視聴者のみなさまと語る会in福井>参加者当日アンケート

質問1:性別

男 性 女 性 未回答
39 7 4

質問2:年齢

10代 20代 30代 40代 50代 60代 70以上 未回答
1 0 3 9 7 19 11 0

質問3:今回のイベントを何でお知りになりましたか(複数回答)

放送 ホームページ 新聞広告等 知人から聞いて その他
25

7

7 11 2

質問4:今回のイベントに参加していかがでしたか

大変満足 満足 ふつう 不満 大変不満 未回答
11 28 8 1 0 2

質問5:一番印象に残ったコーナーはどこでしたか(複数回答)

経営計画ほか 放送について 経営など全般 講演会 未回答
3 27 17 12 2

質問6:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

よく知っていた 知っていた 知らなかった その他 未回答
4 19 25 0 2

質問7:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

理解が深まった 特に変わらない わからない その他 未回答
38 6 1 2 3

 

 

<アンケートに寄せられた主なご意見>

 

放送について

  • NHKワールドTVの国内放送については、ぜひ実現してほしい。
  • 放送は見ている者への影響が大きいことから、NHKは国民を導くという目的を忘れないでほしい。
  • 広告収入に依存しないNHKならではの調査・研究報道が必要ではないか。
  • 地域を元気づける、全国発信に努める以上に全国視野に立った番組が増えることを期待する。
  • 若い世代の方々、次世代の子供たちが我が国を誇りに思えるような観点からの番組を制作してほしい。
  • 梅津正樹アナウンサーの「ことばおじさん」のコーナーはとても楽しみにしており勉強になっている。
  • 福井発の大河ドラマを制作してほしい。
  • FMラジオで人気グループ「嵐」のヒット曲特集などしてほしい。
  • 嶺南地域などで、ラジオ第2放送が聴きづらいところがある。
  • 福井局は名古屋局ブロックに入っているが、関西圏とのつながりも深いので、関西制作のニュース番組をより多く放送してほしい。デジタル放送ではマルチ編成も可能であり1チャンネルで2番組放送できるので、同時放送して視聴者に選択してもらうのも一考だと思う。
  • ラジオ深夜便ではリスナーからのお便りをもっと多く報じてほしい。
  • 身近な情報発信地として、NHKが情報を持ち込める場所であってほしい。
  • ドラマの出演者について、有名人や俳優を親に持つ2世タレントが出演しすぎである。これでは一般のタレントを目指す者の入る余地がない。
  • 「ラジオ深夜便のつどい」を福井県で企画してほしい。
  • NHK福井局の存在感がうすい気がする。もっと福井発の番組を願う。スタジオに市民を招いての放送などできないか。
  • BSプレミアムは毎回、見応えのある番組が多く楽しみにしている。
  • バランスのとれた番組を放送するのであれば、定時番組を中止してまで中継するのではなく、ニュースでよいのではないか。特に国会中継は放送しないでほしい。
  • 「ネットワークで作る放射能汚染地図」のような番組を多く作ればファンは増えるのではないか。
  • Eテレの番組内容が大きく変わり、興味を持てます。
  • 解説放送を増やしてほしい。

 

経営について

  • 漫画家に対する偏見を持った意見が出たのは残念。
  • 漫画家の倉田経営委員への失礼な発言は同席していたものとして恥ずかしいと思った。
  • 発言のしかたが誤解され、漫画家差別と受け止められたのは残念。漫画家の経営委員に発言をしてほしかったのだ。
  • 経営委員の報酬、出勤日数については無回答であった。
  • 経営委員の選ばれ方が暗雲の中であり、政府にとって都合のいい人物を選んでいるのではないか。改善の必要がある。
  • 受信料収入が回復し収入が伸びていることは、信頼回復もあるのでしょうが、デジタル化の影響も小さくはないと思う。今の時代、これだけ歳入が伸びるのはすごい事です。NHKは信頼しているので、今後も良い放送、番組作成、経営に尽力していただきたい。
  • 受信料の支払率については、分母の定義があいまいなように思う。
  • 経営委員は何人で、どのようなジャンルの人々かが分からなかったのが残念。
  • 「公共」の意味が全体してぼけていた。お金をどう確保するかがNHKにとっても難問なのだと再認識した。
  • 老後の生活充実はNHKTVなくしてはあり得ない。番組充実のため、さらに努力してほしいし、そのために視聴料のある程度の値上げをされても良い。安さを目指さず、質の高さに応じた視聴料を目指してほしい。
  • 幸せをどのレベルで感ずるかは人それぞれではあるが、テレビを見ることができるだけでも本当は幸せなはずです。テレビを見たい人は料金を支払って見るのが当たり前の話と考える。
  • 少しでも受信料を還元するような方法をとってください。
  • 受信料を20年以上も口座振替で支払っている者にとって、支払率の目標が75%とは信じられない数字だ。正直者がバカを見ない世の中であってほしいと思う。
  • 衛星放送を別扱いにせず、地上放送と契約を同じにする時期ではないか。
  • 受信料が高いと思う。

 

運営について

  • いつもはテレビ、ラジオを通じて放送の内容や経営について知るだけだったが、今日は経営委員、執行部の方々と意見交換ができてうれしかった。
  • 今日の会は結論を求める会ではないが、表面だけのやりとりだったとの感が強い。別の機会として特定のテーマを掘り下げて議論する機会があると良い。
  • 進め方に不満。ただ漫然と羅列されていた印象でテーマが絞りきれない。「聞くことは聞いた」という事実を作ることが大事な企画だった。
  • 今回の参加者はやはり高齢者が多い。若い人の参加のための努力をしているのか。
  • テーマを「放送」と「経営」に分けたのは理解できるが、「放送」のところで経営関連の話題がいくつか出てきて、話が前後して分かりにくい印象があったので、最初に内容例を具体的に説明して、混乱が起こらないように道筋をつけてほしかった。
  • 参加人数が多すぎて、意見・質問をしたくても限度がある。