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平成21年度 第1回
視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in仙台
(平成21年4月25日開催)

 

<会 合 の 概 要>

 改正放送法に基づく「経営委員会による受信者意見聴取」の平成21年度の第1回目は、仙台放送局第1スタジオで実施した。3人の経営委員および3人の執行部役員が出席し、「放送」「経営など全般」の2つのテーマで、公募による参加者42名の視聴者からご意見を伺った。

 

<会 合 の 名 称>

視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in仙台

 

<会 合 日 時>

平成21年4月25日(土) 午後2時00分から午後4時15分まで

 

<出  席  者>

〔経営委員〕

岩崎芳史(委員長職務代行者)
井原理代(委員)

大滝精一(委員)

〔執 行 部〕

金田  新(専務理事)

溝口明秀(理事)

浅谷友一郎(仙台放送局長)

〔視聴者〕

公募による視聴者42名

〔司 会〕

末田正雄アナウンサー

 

< 場   所 >

 仙台放送局  第1スタジオ

 

< 開 催 項 目 >

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明

  協会の基本方針その他協会の運営に関する重要な事項について

3 意見の聴取

 (1) NHKの放送について

 (2) NHKの経営など全般について

4 閉会あいさつ

 

 「経営委員会による受信者意見聴取」終了後、報道番組センターの水野ディレクターによるNHKスペシャル『女と男 最新科学が読み解く性』制作リポートを開催した。

 

 

<概要・反響・評価>

  • はがき・ホームページで受け付ける公募の結果、計75名の参加申し込みがあった。抽選による数の絞り込みも検討したが、会場の収容力の範囲内であることや、できるだけ多くの視聴者の方々にご来場いただきたいということから全員に案内を送付した。その際、参加者の意見の把握と参加意思の確認のために事前アンケート調査を実施したところ、61名から回答・返送があり、54名が参加すると答えていた。当日は、42名が来場・参加した。

  • 全員が発言する時間がなかったため、当日も意向収集のアンケート調査を行い、42名中39名(93%)から回答があった。回答者の年齢層は、20歳代1名、30歳代3名、40歳代3名、50歳代10名、60歳代11名、70歳以上8名で、各年代層から参加を得た。
    「会合に参加して経営委員会の活動について理解が深まったか」という問いに対しては、72%の人が「深まった」と答えている。参加者の満足度については、「大変満足」あるいは「満足」と答えた人が54%、「ふつう」と答えた人が41%、「不満」と答えた人5%であった。

  • 会合は、「放送」と「経営など全般」の2つのテーマに沿って、末田正雄アナウンサーの司会で進行した。最初から参加者の発言を求める挙手が絶えず、予定の2時間を超過する充実した内容となった。地域放送、緊急報道、受信料、経営全般についてなど幅広く示唆に富む意見・提言が多数寄せられた。最後に岩崎委員長代行が、「NHKに期待されていることがよく分かり、これからも経営委員会と執行部は視聴者の皆さまのご意見を伺いながら期待に応えられるよりよいNHKにしていきたい。」と述べて会合を締めくくった。

 

 

< 開 催 内 容 >

(大滝経営委員)
 ◆協会の基本方針・重要事項を説明

  • 経営委員会の役割は、NHKの経営方針を議決することと、NHK執行部の職務の執行を監督することです。また、経営委員の中から監査委員が任命され、監査委員会は経営委員会を含む役員の職務執行を監査します。このように、昨年4月1日の放送法の改正により、経営委員会の機能・権限が一層明確化されました。
  • その権限を正しく行使するために、視聴者の皆さまのご意見を直接伺う「意見聴取」を行うことも定められました。視聴者の皆さまのご意見を伺って、経営委員会の運営に生かしていきたいと思います。
  • NHKでは、昨年10月に平成21年から23年の3か年経営計画を公表しました。
    • 経営計画では、「いつでも、どこでも、もっと身近にNHK」をスローガンとして、「NHKと視聴者の皆さまをつなぐ2つの経営目標」を立てました。一つ目は、現在76.1%のNHKへの接触者率を3年後に80%にすることです。二つ目は、受信料の支払率を3年後に75%、5年後には78%まで高めることです。
      この経営目標の実現のために具体的な9つの経営方針を立てました。
    • 方針1「視聴者の皆さまの信頼を高めるため組織風土改革に全力をあげます」。公共放送を担う人材の育成強化とコンプライアンス、いわゆる法令順守を徹底していくことを目指します。
    • 方針2「日本の課題、地球規模の課題に真正面から向き合います」。報道・ジャーナリズムを強化し、NHKの取材・制作力と豊富な映像を最大限に生かした、質の高い番組をお届けします。また衛星放送は現在の3波を高画質・高音質のハイビジョン2波に再編することを検討しています。
    • 方針3「放送・通信融合時代の新サービスで公共放送の役割を果たします」。昨年12月からは、NHKオンデマンドサービスが始まりました。
    • 方針4「地域を元気にするための拠点となります」。放送局が地域の皆さまをつなげる場となり、積極的な交流、地域再生のための拠点の役割を果たしていこうという取り組みです。
    • 方針5「日本を、そしてアジアを世界に伝えます」。外国人向けの英語による24時間のテレビ国際放送を今年の2月から始めました。日本・アジアの政治・経済等の最新情報や、日本の課題や政策、伝統文化や美しい自然風土などを広く世界に伝えていきます。
    • 方針6「円滑な完全デジタル化に向けて重点的に取り組みます」。デジタル化に向けて放送局の設備や電波を中継する中継局の整備などを、これからも着実に進めます。
    • 方針7「構造改革を推し進め、効率的な体制で受信料の価値をより大きくします」。限りある経営資源を放送の取材・制作現場にシフトして放送サービスの充実に努め、視聴者の皆さまからいただく受信料の価値を高めていきたいと考えています。
    • 方針8「受信料を公平に負担していただくための取り組みを強化します」。受信料を公平に負担していただくための取り組みを強化し、支払率を高めます。また効率化を進め、受信料収納にかかる経費を抑制します。
    • 方針9「環境経営に着実に取り組みます」。
    • これらの経営2目標、9つの経営方針を着実に遂行することで、平成24年度から受信料収入の10%を視聴者の皆さまに還元します。
      具体的な還元の方法については、平成21年度から受信料体系全体の総合的な検討に着手し、最適な方法を視聴者の皆さまにお示ししたいと考えています。
  • 平成21年度の収支予算・事業計画について
    • 平成21年度事業収入は6,699億円です。うち受信料収入は6,490億円で、20年度予算に対し140億円増を見込んでいます。
      事業支出は6,728億円です。地上テレビ放送の完全デジタル化のための追加経費などの影響により、収入から支出を差し引いた事業収支差金は29億円不足の赤字予算となります。赤字分については、これまでの繰越金の一部で補てんします。地上テレビ放送の完全デジタル化に向けた設備の整備や、放送会館などの整備のための建設費は802億円です。
    • 21年度末の受信料支払率は、72.2%を目指します。
    • 2年後に迫った地上テレビ放送の完全デジタル化に向けた取り組みとして、中継局の建設や、放送局内のデジタル化対応などに重点投資を行うとともに、デジタル難視聴対策など、国や民放等と連携した受信環境整備に取り組み、山間地など地上デジタル放送の難視聴地域における共同受信施設などへの経費助成など、532億円を予算に計上しています。
    • 21年度は、冬季オリンピック、スペシャルドラマ『坂の上の雲』のほか、地域・防災・福祉などの問題について、視聴者の皆さまとともに考えて、ともにつくる番組やイベントに取り組みます。
    • テレビを軸としながらも、パソコンや携帯電話などへも公共放送としての確かな情報や魅力的なコンテンツをお届けする「3-Screens」の展開を進めていきます。昨年12月にスタートしたNHKオンデマンドについてもいっそうの充実を図ってまいります。
    • 国際放送による情報発信の強化として、英語によるニュースを24時間、毎正時に放送するとともに、海外の受信環境を整備して、21年度末までに世界の1億2,500万世帯でNHKの国際放送が受信可能となるよう取り組みを進めます。
    • 視聴者の皆さまの信頼回復への取り組みとして、視聴者の皆さまとの「ふれあいミーティング」やコールセンターなどに寄せられる皆さまの声を経営に反映させる回路をさらに充実します。
    • NHKの事業支出のうち国内放送番組の制作と送出に事業支出全体の72.9%を充てています。
  • 21年度は3か年計画の初年度として大変重要な年ですので、経営委員会としても執行部とともにそれぞれの役割を全力で果たしていきたいと考えています。

 

 

《視聴者の皆さまからのご意見とNHK側からの回答》

 

第1のテーマ:「放送」について

【会場参加者】
 『NHKスペシャル』は非常に役に立っています。『マネー資本主義』は、息子に電話して、見るように言いました。さすがはNHKだと言っております。
 しかし、出演者選びについては、ちょっと考えてほしいと思います。お昼の番組で、アナウンサーから「趣味は?」と尋ねられ、「時代劇」と答え、「どんな時代劇?」と尋ねられたら「竪穴式住居だ」と答えた出演者がいました。さすがのアナウンサーも絶句していましたが、そういう程度の低い人は呼ばないでほしいと思います。漫才で顔や頭をたたいたりするのも絶対やめさせてほしい。また、三宅民夫さんが司会をする番組でいろいろな評論家などが出演されますが、ある評論家は、離婚を奨励するようなことを声高に発言していました。あのようなことを発言する評論家は呼んでほしくないと思います。

【会場参加者】
 日本は、非常に格差がありすぎます。私は海外を何十か国も歩き、外から日本の国を見てきましたが、日本の若い子どもたちは幸せすぎて自分たちが日本の国から国籍をもらっていることへの認識があまりありません。
 私は社会的な価値観の「責任と義務と権利」だけでなく、人間的な価値観や事業的な価値観にも「責任と義務と権利」があると思います。NHKに対する価値観も受信料を払ってでも、自分たちの放送を頼むという価値観があればよいと思います。マーケティング市場を原点に帰って調査して、今後の日本は、世界戦略の中でどうしていくんだという社会的な価値観、人間的な価値観、事業的価値観、そういうものを長い目で見て放送していただきたいと思っています。

【会場参加者】
 NHKには、自分たちが放送したいことだけではなく、私たちが聞きたいことも教えてほしいと思います。例えば、このごろ赤字国債のことがたびたび取り上げられていますが、赤字国債はなぜ出るのか、どのようにして返せばいいのか、そういうことを知りたいのです。NHKは、NHKの好きなことだけでなく、制度や税金の問題について、私たちが知りたいことをもっとわかりやすく伝えてほしいと思います。

【会場参加者】
 私はNHKの語学番組をよく見ていますが、最近テキスト代が上がってきましたので、もう少し下げてもらいたいと思います。また、語学番組の再放送が減ってきていますが、見落とすことも多いので、再放送を以前のように増やしてほしいと思います。
 もう一つ、『プロジェクトJAPAN』という番組を見ましたが、ちょっと納得がいきません。まず台湾や漢民族の人を支配して迷惑をかけたという描き方をしていましたが、実際は漢民族以外のほかの少数民族がいっぱいいましたし、そもそも当時、漢民族を支配していたのは満州族で、台湾にいた漢民族は自分たちの主人が満州族から日本人に代わっただけだと思います。そういうことは無視して、日本の悪行だけをずっと語られるというのは大変不愉快でした。

(溝口理事)
 NHKでは、NHK出版から語学のテキストを発行しています。昨年来、紙代が非常に高騰し、あらゆる出版物が値上がり傾向にある中で、NHK出版も苦渋の選択をし、テキスト代を1か月350円から380円に値上げせざるをえませんでした。ご利用なさっている視聴者の皆さまには、大変ご迷惑をおかけしますが、ギリギリの値上げ幅で抑えましたのでご理解をいただきたいと思います。
 『プロジェクトJAPAN』についてですが、この番組は、明治維新以降、日本が開国してから150年の現代史をもう一度きちんと若い世代に伝えようというものです。過去の反省すべきところは反省し、過去の良かったところは良かったこととして評価する、NHKは、あえてこうした難しい問題に取り組むことにしました。これからもシリーズで放送していきますので、ぜひ全シリーズを通してのバランスでご覧いただきたいと思います。

(浅谷局長)
 低俗な人は出演させないで欲しいというご意見をいただきましたが、NHKは、低俗な番組は作らないということを基本にしていますので、今後もその方針で番組制作をしていきたいと思います。
 また、日本的価値観や赤字国債などについてもきちんとわかりやすく番組で取り上げるべきだというご意見をいただきましたが、そのとおりだと思います。NHKは、皆さまがお知りになりたいことに応えていかなくてはなりません。そのために、今日のような場で皆さまから多くのご意見を提供していただき、それを基に番組を作るよう努力したいと思います。『クローズアップ現代』や『海外ネットワーク』『週刊こどもニュース』などはわかりやすいというお声も聞いております。ぜひいろいろな番組を見ていただければ、「こんなにわかりやすい番組もあるのか」という発見もあると思います。

(金田専務理事)
 今年、教育テレビは放送開始50年を迎え、教育関係の番組については強化する方向にあります。グローバルで見たとき、NHKはよい番組を作っていると評価されています。例えば、『おかあさんといっしょ』は、アラブのアルジャジーラというテレビ局の教育放送で放送されています。またアフリカのボツワナで教育放送を始めるにあたり、NHKの番組をご利用いただけることになりました。
 価値観のご意見がありましたが、公共放送は、社会の成り立ちや判断の根幹を成す価値観をきっちりと伝えていくことが使命だと思っています。例えば、エンターテインメント番組の中でも伝えることはできますし、解説やニュース番組の中に含ませることもできます。また構造的な問題については、その日その日に起きたニュースをそのまま流すことに加えて、少し溜めて理解していただくことも必要と考えています。例えば、土曜日朝8時半のニュースでは、少し長めの構造的な解説を増やしています。こうした工夫をしながら、しっかりとした報道をしていきたいと考えています。

【会場参加者】
 総合テレビのスポーツニュースの中で、サッカーのJ1については、必ず結果と成績表を出しますが、J2の場合は、時間の関係で紹介されないこともありますし、字幕で流す場合もあります。私たちは仙台に住んでいますので、地元のサッカーチームに興味があります。試合経過ではなく勝敗表だけならば、そんなに時間かかるものではないと思いますので、J2についても、ぜひ結果を伝えることを検討してほしいと思います。

【会場参加者】
 先ほどテキスト代が高いという意見がありましたが、通信教育などは安いものでも半年で1万2,000円ぐらいかかりますので、私としてはテキスト代が380円になったとしても高くはないと思います。私の母は俳句や短歌などを、私は園芸などをNHKの放送とテキストで勉強しており、とても助かっています。
 『週刊こどもニュース』を私も見ていますが、大人が見ても、普通のニュースと比べてわかりやすいので、とてもいいと思います。
 『プロジェクトJAPAN』についての意見がありましたが、事実を事実として報道するのがNHKの方針なのですから、事実は事実として受け入れていくべきものと理解した方がいいと思います。
 ただ、『つばさ』については、ブラジルのリオのサンバが裸に近い格好で出てきたり、お母さんがゴロッと横になったり、私が今まで見てきた朝の連続テレビ小説の中では一番低俗だと思います。子どもも見る番組だと思いますので、もう少し考えられた方がいいと思います。

【会場参加者】
 お昼の『情報パレット』を見ています。この前この番組で村田町のひな街道の紹介がされ、NHKに問い合わせたところ詳しく教えてくださったので行ってきました。地域のイベントもすごく参考にさせていただいて実際に出向いています。
 87歳の母が一番楽しみにしている番組は『土曜時代劇』ですが、娯楽番組の中で時代劇が、最近少なくなったような気がします。民放と違ってNHKの時代劇のよいところは、人間のふれあいがあるところですので、そうした時代劇を増やしてほしいと思います。
 事業計画の重点事項の中に「地域を元気にするための拠点となります」と書いてありますが、私は『ご近所の底力』がすごく好きです。お互いに困っていることをみんなで知恵を出し合って解決していく番組で、すごく力づけられます。
 『みんなのうた』も大好きで見ています。最近、さかなクンの歌が面白いなあと思って聴いています。『きょうの料理』も『ビギナーズ』は、普通の料理番組と違いていねいで楽しくマンガチックにやっているので参考にしています。

【会場参加者】
 今日、頂いた資料を見ると、ほとんどがテレビのことで、ラジオのことは少し載っているだけです。テレビは、拡大・進化していくのですが、ラジオは尻つぼみになっているのではないかと思います。視覚に訴えるテレビもよいのですが、ラジオはイメージをわかせてくれ、考える力を養います。最近、インターネットで古いテレビ番組などが紹介されるようになりました。インターネットもいいのですが、パソコンを持っていない人もいるので、できればラジオの中で戦前の番組などを時々放送していただくと心が温かくなります。ラジオもテレビと同じように大事にしていただければありがたいと思います。

(浅谷局長)
 サッカーのJ2の放送についてご要望がありましたが、たくさんのスポーツの結果を限られた時間の中で紹介するのには限界があります。そのため、どうしてもサッカーの場合は、J1だけ放送することになろうかと思います。ただ、ローカルニュースの中では常に紹介していますし、BS1の『Jリーグタイム』では、J2の結果も紹介しています。また地上デジタル放送のデータ放送でもベガルタ仙台の順位表などをご覧いただけますので、ぜひご利用ください。
 ラジオをもっと大事にして、というご意見についてですが、農家の方や深夜寝つけない高齢者の方など、ラジオのファンは実は潜在的にものすごくたくさんいらっしゃいますので、ラジオにも力を入れていかなくてはいけないと思っています。昔のラジオ番組を復活してほしいというお話がありましたが、こういった意見は多くいただいていますので、ラジオセンターにそういうご意見があったことを伝えておきたいと思います。

(大滝経営委員)
 『ご近所の底力』のような番組を、というご意見がありましたが、今NHKでは、地域の中で支えあう取り組みや、地域の中で頑張っている人や組織、会社などを紹介する番組を、特に金曜日の夜に放送しています。こうした地域の人たちに元気を与える番組というのがNHKの大きな特長ではないかと思います。また地域の隅々まで記者や報道する人たちが入り込んで、時間をかけてよい番組を作っていることも大きな特長だと思っています。そして、そうした地域の姿を全国に発信して、全国のいろんな人たちが、知恵を出し合って地域を良くしていくというようなことにNHKは非常に力を入れて取り組んでいます。非常によい試みだと思っています。
 さらに、ローカルで放送されたニュースなどを国際放送を通じて世界に発信していこうという計画も進められています。そうしたことももっと進めていくべきではないかと考えています。

(岩崎経営委員長代行)
 3か年経営計画の中の9つの項目の中に「地域を元気にするための拠点となります」という項目があります。経営委員会が、地域放送を充実するよう強く主張してこの項目が入りました。地域への予算や人員も増やしていく計画で、かなり充実の方向に向かっていると思います。

【会場参加者】
 最近は、NHKの放送に新しい動きを非常に感じ、好感を持って見ています。要望として、日本の文化を衰えさせないために小・中学校への出前講座みたいなものを考えていただけないでしょうか。例えば、落語・俳句・短歌・詩吟です。
 次に、地域への信頼・尊敬は日本への愛着につながると思います。仙台放送局制作の『お米のなみだ』は楽しく拝見させていただき、考えさせられました。また『ここに技あり』という番組がありますが、ああいう大事なものはできるならば繰り返し、特に学校で見せたりして、小さな子どもたちに見せていくことが大事だろうと思います。
 その子どもたちは、いろんな影響を受けますので、アナウンサーは、間違いのないしっかりした深みのある言葉で話してほしいと思います。テレビに出る際には、身なりもきちんとしてほしいと思います。

【会場参加者】
 私がNHKの放送で一番重要視しているのは災害時の放送です。宮城県は、過去に震度6程度の地震が何回もありましたので、地震の放送の時はNHKが一番だと思っています。しかし、台風が来た時には、なぜか東京に近づくと大騒ぎして放送し、東京から離れて、仙台に近づくころには報道のパワーが落ちてくるような気がします。仙台に住んでいる者としては、仙台の状況を一番に放送していただきたいと思います。
 私は、以前JR東北本線を利用して通勤をしていましたが、駅に行ってみると大雨などで電車が止まっているということがよくありました。そういう地域の情報はどちらかというと民放の方がきめ細かいので、民放を聴くことが多かったのですが、NHKにももう少し頑張っていただいて、地域ごとの個別情報を充実させてほしいと思います。

【会場参加者】
 この春から『世界遺産への招待状』という番組が始まりましたが、私は以前放送していた『探検ロマン世界遺産』の方がよかったと思います。あの番組は、一つの世界遺産についてその地域の生活や歴史を掘り下げていくという印象があったのですが、新しい番組では、数多くの世界遺産を見られるというよい点はありますが、一つひとつが希薄になってしまって、民放でも放送しているような番組という印象になりました。
 もう一つ、メジャーリーグの放送についてです。最近は日本人選手の出ている試合しか放送していないという印象があります。もちろんそれもすばらしいと思うのですが、やはり最後の盛り上がる試合や秋以降の試合などは、日本人選手が出ていなくても、ぜひ放送してほしいと思います。

【会場参加者】
 私は、30年ぐらいずっとドラマを見てきているのですが、最近の朝のドラマは非常に内容がひどいと思います。若い人にこびるような民放によく出ている若手俳優を起用して、脚本家もコメディ番組の脚本家に依頼したりしています。前回の朝ドラの『だんだん』もハチャメチャな女の子の成長ドラマでした。
 また、地上波の番組を同じ時期・時間帯にわざわざ衛星放送で放送する必要があるのかと思います。私は映画が好きで、衛星劇場をよく見ていますが、再放送されていない映画があります。ちゃんと時間を取って放送してほしいと思います。
 また、アナウンサーやコメンテーターの言葉使いがひどいです。アナウンサーは、言葉使いや生活習慣などもきちんとしてほしいと思います。

(井原経営委員)
 まず、緊急放送についてのご質問についてです。私は、4月から常勤として勤めるようになりましたので、今、NHKのいろいろな取り組みについて勉強している最中です。その中で地震や津波のニュースをどのように送出しているのか実際に説明を受け、見学する機会がありました。NHKのニュースの現場では、毎日夜中に、緊急放送の訓練をしています。また、ニュースのスタジオは、緊急事態が起きたときに情報を迅速・正確に伝えられるよう、設備が大変よく整っていました。NHKの最も大切な使命である緊急事態に対する体制は非常によくできていると思いました。
 それからもう一つ、今回いただいた事前アンケートで、大変印象深いご意見をいただきました。それは、「地域に密着して自分の地域を大切にするという番組作りは大切だが、自分の地域だけがよくなればいいのではなく、いろいろな地域がそれぞれの特性を生かし、それぞれがいい地域になるような、そういう視点が大切なのではないか」というご意見で、私も「ああ、そうだなあ」と思いました。つまり、ネットワークを生かして、ほかの地域はどんな取り組みをしているのだろう、そしてそれを自分の地域にも生かしてともにいい地域になろう、こうしたことができるのはNHKならではだと思っています。先ほども同様のご意見をいただき、改めてNHKならではの地域放送の強化が大切だと実感しました。

(浅谷局長)
 災害時の放送についてですが、例えば台風が日本列島を通過してくる時には、少なくとも台風が海上に出るまでは、ずっと放送を続けるという原則で放送しています。また、去年の6月に起きた岩手・宮城内陸地震の時には、地震が起きた時の放送だけではなく、ガスや水道はどうなっているかといった生活情報についてもていねいに放送しました。さらに、例えば、高速道路や列車が止まった場合には、テレビでは速報を出し、開通した場合にも速報をしています。ただもう少しその頻度を増やしてほしいというご要望もいただいていますので、可能かどうか少し検討させていただければと思います。

(溝口理事)
 『つばさ』については、たしかに「騒々しい」などの厳しいご意見を多くちょうだいしていますが、制作現場からは「次第に落ち着いた内容にしていきます」と聞いていますので、見守っていただきたいと思います。
 BSの映画の件ですが、映画をはじめNHKが制作したものではない番組については、権利を持っているところから購入しています。例えば2年間に3回だけしか放送できないとか、権料が高いものについては1回しか放送できないとか、権利に縛られているために、どうしても放送回数に制約がかかってしまうということがあります。
 『探検ロマン世界遺産』は比較的有名な遺産を取り上げてきましたが、今回のシリーズでは、むしろあまり知られていない数多くの遺産について重点的に放送しようと考えています。そのために、ご紹介のしかたも変わってきていますが、できるだけ深く掘り下げてお伝えするようにしていきたいと思います。

(金田専務理事)
 学校に出向いて出前講座をやってほしいというご意見がありましたが、すでにそうした試みは行っています。例えば、アナウンスの関係では『NHK朗読ひろば』という朗読の授業を首都圏の小学校で行いました。N響のメンバーが訪問する『NHKこども音楽クラブ』、教育テレビ開始50周年企画の『本音@ハート』というものもあります。これらは今後も地域を広げるなどしっかりやっていきたいとは思いますが、基本はやはり放送ということになります。愛知県では、数百名の学校の先生に集まっていただき、NHKの教育番組の部長が、NHKの作った教材や放送の利用のしかたや活用例などをお話しさせていただく催しを開きました。今後も展開したいと思いますので、もしご要望があればお申し付けいただければと思っています。

(末田アナウンサー)
 先ほど井原委員から、ニュースの現場では毎日緊急放送の訓練を行っているという紹介がありました。この訓練は毎日ニュースセンターで実施しています。デスクの「地震だ!」という大声を契機に、アナウンサーがスタジオに入って地震の内容を伝えることからスタートします。その日ごとに想定内容を変えておよそ20分間、被災地の役場や消防への電話インタビューなど、本番とまったく同じように行います。
 また、新人アナウンサーなどを対象に、ニュースを読んでいる途中で机をガタガタ揺さぶって、突然の地震にも、慌てず的確な放送が出来るようにする訓練のほか、入局して10年以上の中堅アナウンサーに対しても、緊急時の対応力を鍛えておくためのさまざまな研修・訓練を頻繁に行っています。

 

 

第2のテーマ:NHKの経営など全般について

 

【会場参加者】
 受信料収入のグラフを見ると17年度が大変落ち込んでいます。私は、16年頃NHKにはいろいろ経営上の問題が出て、視聴者の受信料不払い運動的なものが展開されたと記憶していますが、具体的に何があったのか思い出せません。「信頼回復」「経営改革」という言葉が事業計画に記載されていますが、そうした言葉を使うのであれば、当時何があったのかもきちんと書くべきではないでしょうか。
 また当時の海老沢会長が横綱審議委員会の委員長に就いているようですが、まさに官庁の「天下り」や「渡り」と同じ構造に感じます。

【会場参加者】
 受信料が、番組にどう生かされているのか、ということが一番大事だと思います。受信料を生かす仕組みをきちんと整備し、それを上手に広報することが大事だと思います。
 緊急放送の際、ラジオの語学講座などは途中で中断されますが、中断した番組がいつ再放送されるのかという案内がありません。熱心に続けて聴いている人にとっては大変困ることです。また、緊急放送の間はそのほかの大事なニュースの放送が一切ないことも非常に解せないです。
 そのほかにもたくさん言いたいことがありましたが、時間がありません。この場で発言しなくても、あとからファックスなどで送ってもいいのでしょうか。

(末田アナウンサー)
 ご意見はいつでも承っています。電話や手紙をいただければ、番組の内容やNHKの組織のあり方に反映させてまいります。

【会場参加者】
 私は、単身赴任で4年ばかり他県に行っていました。そこで当時集金の方に、単身者のための受信料割引はないのですかと聞いたら、「ありません。そのままお支払いいただくようになります」とのことでした。そういう割引制度を作ったら、もっと受信料を払う人が増えるのではないかと思いますが、今はそういった制度があるのでしょうか。

(金田専務理事)
 受信料収入が大きく減少したときの理由を開示していないというおしかりを受けましたが、申し訳ありません。具体的には、番組の制作にあたり費用がかかったことにして、その分を横領していた者がいたり、実際には出張していなかったのに出張したことにして旅費を着服した者がいたりしました。そのようなケースが続いたため受信料収入が大きく減少しました。また昨年にはインサイダー取引が発覚するなど、視聴者の皆さまに大変ご心配をかけ、ご批判をいただきました。その後職員全員が訪問集金にあたったり、皆さまに電話をかけてお願いするなどの取り組みを行い、皆さまのお怒りも少し解けて、少しずつ受信料収入が回復してきているところです。

(大滝経営委員)
 平成16年の事件を端緒に、その後も大小いろいろな不祥事が起っています。中でもインサイダー取引は報道機関のNHKにあってはならない大きな事件でした。こうした不祥事を根絶するには、根本からやらなければならないということで、経営計画の一番最初の「方針1」に組織風土改革をあげました。コンプライアンスも含めてきちんと進めていきたいと肝に銘じています。組織風土をよくしていくことをNHKの内部から進めないと、受信料収入が上がってくることはないと考えています。

(溝口理事)
 昨年度から、さまざまな受信料の割引制度を始めています。
 まず一つは、ご質問にあった家族割引です。同一生計で家族が分かれている場合、つまり単身赴任やお子さんが大学へ行かれている場合などには、二世帯目が半額になる制度です。
 それから、会社や旅館・ホテルなどの事業所で複数のテレビを持っている場合、1台目については満額の受信料をいただきますが、2台目以降は半額にするという割引もあります。
 障害者の皆さんの割引については、割引適用範囲を広げ、住民税が非課税になっている方々の世帯については全額免除にしました。

(井原経営委員)
 先ほど、言いたいことがいっぱいあるから、それを折々に言ってよいかというご意見がありましたが、お気づかれたことは、いつでもおっしゃっていただきたいと思います。そして皆さまからいただいたご意見、ご批判、あるいはご希望などについては、執行部も私ども経営委員会も、今月はこういうご意見をこれだけいただいた、ということを毎月きちんと把握しています。受信料によって支えられているNHKは、視聴者からのお声を最も大切な経営資源として運営をしていかなければならないと考えています。

(金田専務理事)
 昨年度は、461万件のご意見をお寄せいただきましたが、そのうち18万件が、再放送のご要望です。電話でご意見をお寄せいただく方が多いのですが、お手紙の方は11万件ほど、ファックスの方も2万5,000件ほどいらっしゃいます。多様な形で皆さんのご意見を吸収して、それを経営に生かしていこうと思っております。

【会場参加者】
 受信料を払わない人がいたり、高い安いという問題がありますが、やはりNHKが、いかに自分たちに密着した問題を取り上げてくれているかによって、そうした問題はかなり解消されていくと思います。去年モニターをした時、地元の放送枠が非常に少ないということに気がつきました。地元の問題・東北地方の問題をもう少し取り上げてもらいたいと思います。また、例えば保育所不足の問題など、全国放送で取り上げた問題が、仙台ではどうか、というような取り上げ方もしてほしいと思います。
 もう一つはデジタル化についてです。まだ電波が行き渡っていない人や若い人でテレビを買い換えることができないような経済環境にある人はどうするのだろうかと思います。もう少し皆さんに分かりやすいような移行措置のようなものが必要ではないかと思います。

【会場参加者】
 日曜8時の大河ドラマは人気がありますが、私は子ども向けの時代劇をもっと放送してほしいと思います。私が小学生の頃は、赤胴鈴之助がはやっていました。そのほか今でも口に出る月光仮面とか、ああいう番組が最近は民放も含め全然ありません。最近は、子どもが携帯電話を触っている姿しか見ないので、そういう番組を作れば子どもも結構見るのではないかと思います。

【会場参加者】
 NHKの経営効率について質問します。
 NHKには放送部門とか技術部門とか営業部門とか事務部門とかあると思いますが、人とお金をどのようにシフトして、今後効率性を高めていこうとされているのでしょうか。
 二つ目は、グループ会社というか子会社が結構あると思いますが、子会社の中でいろいろ重複したりしているものについてどのように経営効率を図っていくのかということをお聞きしたいと思います。
 三つ目に、資料には建設費800億円となっていますが、外部との取引もずいぶんあると思います。こうした取引について、NHKグループ内において、また社外との関係において、経営効率を高めていくための方向性のようなものがあれば教えていただきたいと思います。

【会場参加者】
 出演者の選定についてです。以前NHKでは出演者のオーディションがあったという話を聞いたことがあります。そうしたことをまたやってみてはいかがでしょうか。最近出演者のレベルが低いと感じていますので、出演者のレベルをもう少し高くして、やっぱりNHKだと思わせる出演者をどんどん出してほしいと思います。

(大滝経営委員)
 NHKのグループ経営についてですが、NHKとそのグループとの関係というのは、これまであまり明確ではありませんでした。そこで、まず一つはNHKと子会社との間の業務の仕分けや区分経理をきちんとするところから手をつけていこうと考えています。そして、比較的NHK本体と関係性の強い子会社と、NHK本体から離れてもやっていける子会社というふうにいくつかの子会社のくくりを考えて統合していくことを考えています。より視聴者の皆さまにわかりやすく、NHKにとってもさまざまな事業活動を進めやすいような形にすべく努力をしているところです。また、公益性の高い関連団体については、公益法人改革の中でくくるということもあわせて進めています。
 外部との取引については、基本的にはできるだけ随意契約を抑えて、競争入札や企画競争の割合を上げていこうとしています。

(岩崎経営委員長代行)
 3か年経営計画でNHKは、放送や番組制作には予算を増やし力を入れていくことにしていますが、それ以外のコストは、競争入札の拡大やシーリングをかけることによってできるだけ抑えていきます。つまり、不祥事を起こさず、よい内容の番組を放送することによって受信料収入を増やし、コスト削減によって収支差を大きくしていきたいと考えています。2011年7月に迫っている地上放送のデジタル化を完全に成し遂げるまではかなりの費用が必要なため、21・22年度の収支は赤字予算になっていますが、デジタル化が完了した後には、約1割の収支差ができますので、それを皆さまに還元したいと考えています。

(井原経営委員)
 私は監査委員を務めていますが、監査はNHK本体だけではなく、子会社あるいは関連会社への委託業務についても対象にしています。監査によって委託業務の透明性、あるいは効率性を明確に把握することにより、ご指摘をいただいたような効率化・改革を図る一助になればと考えて取り組んでいます。

(金田専務理事)
 デジタル化についてのご意見がありましたが、日本では2011年7月にアナログ放送が停止します。昨年11月には、ドイツが全面的にデジタル化しました。1月15日には、アメリカのハワイ州で全面的にデジタル化し、アメリカ本土は少し延期しましたが、6月には全面的に移行します。このように、デジタル化は世界の各国が取り組んでいる国策事業であり、どうしても乗り越えなければいけないことです。受信機の普及状況は、1月の調査でまだ49.1%と少し歩みが遅れていますが、政府としても学校や公共機関のデジタル化やエコポイントといった新しい制度を取り入れて、デジタルテレビの普及に一生懸命取り組んでいますし、私どももしっかりデジタル化に取り組んでいきたいと考えています。今、宮城県も全国も97%の世帯でデジタル放送をご覧いただけるようになっていますが、再来年の3月末までには98%とし、残りの1.5%は共聴設備を利用して、99.5%の世帯まで電波をお届けします。それでも電波が届かない世帯には、BS放送を使って、100%電波をお届けできるようにします。

(浅谷局長)
 全国放送の話題で、生活に密着する内容については、地方でも取り上げてほしいというご意見がありました。これまでもそうした話題をできるだけタイムリーに取り上げているつもりですが、例えばご指摘の保育所の問題などは、少子化の問題にも連動しますし、今の大不況の中で経済の問題とも連動していますので、確かに重要なテーマだと思います。今後地域放送の中で、どのような取り上げ方があるのか、検討したいと思います。

【会場参加者】
 資料に書かれている数字が、公的な立場の一般会計や特別会計と一緒で非常にあいまいです。金が入ってくる、金が出て行った、それがどのように使われたということを明確にしなくては経営の改善はできません。また、非常に公的な立場で何百億という金を集めているのに、問題が起きたときにきちんとした処理ができていません。不祥事への処分なども甘いように見受けられます。国民から信頼される放送局として、こうしたことをきちんと明確にしてもらいたいと思います。

(金田専務理事)
 基本的に支出やそのほかのことについては、資料に書いているようにきちんとやっています。公金を着服した場合には、その者に対して訴訟を起こして、現在司法の場で判断を仰いでいます。解雇した職員もいますし、その程度に応じて公正な処分を行い、情報はすべて公開しています。

(岩崎経営委員長代行)
 経営委員会としては、よい番組を作って収入を増やし、コストはしっかり管理して公金は適正な使い方をしてほしいという基本的な考え方をもとに今回の3か年経営計画を作りました。不祥事については、発生したら直ちに報告を上げてもらい、きちんとした処分をしてもらっています。また、なぜその不祥事が発生したかという原因を追及して、それに対して具体的な措置を行うよう要請しています。例えば、昨年発生したインサイダー取引の教訓を生かし、放送前のニュース原稿は、少数の関係者以外は見られないようにシステムを改善しました。また、意識面での教育もしっかりするようにしています。

(井原経営委員)
 NHKは皆さまから大切な受信料をいただいていますので、その使い道はきちんと把握しなければいけないと思っています。そのために私ども監査委員会は、会計的な側面だけではなく、業務も適正に執行できているのかということをずっと監査していくつもりです。
 例えば、会計については、会計監査人が入って監査をすることが昨年4月に放送法で定められましたが、それだけでは十分ではないかもしれないので、監査委員会ができています。また内部的には、内部監査室がずいぶんしっかり頑張っています。ご指摘を踏まえ、私どもも精いっぱい努めていくつもりです。

(溝口理事)
 先ほどの子ども向けの時代劇についてです。私も子どもの頃には、子ども向けの時代劇を見ていましたので、ご意見の趣旨はよくわかります。ただNHKは、どちらかと言うと人形劇を放送してきました。『ひょっこりひょうたん島』『紅孔雀』『チロリン村とくるみの木』『三国志』などです。しばらく人形劇は放送していませんでしたが、復活してほしいというご意見が、ご高齢の方から若い方までありまして、この10月から『三銃士』という人形劇を数年ぶりに放送します。ぜひご期待ください。

【会場参加者】
 デジタル放送になって、画面が本当にきれいになりました。なぜデジタルにしなくてはいけないのかと不満をお持ちの方も、見ていただければ、デジタルのすばらしさがわかっていただけるのではないかと思います。デジタル放送を見るようになって、私のテレビを見るスタイルが変わりました。朝、新聞のテレビ欄で、見たい番組を全部チェックして、ハードディスクに録画します。そして、ニュースなど以外の番組は空いた時間に録画を見るようになりました。こういう見方をする人が増えていると思います。ただ、コマーシャルを飛ばして見ることになりますので、民放の経営には大きく影響して来るのではないかと考えています。
 それから、教育テレビが非常におもしろいです。『知るを楽しむ』や『趣味悠々』など、いろいろ見ていますが、そういうおもしろい番組があるということを知らない人が多いので、もっとPRした方がいいと思います。

【会場参加者】
 私は、報道番組やスポーツ放送を中心に視聴しています。去年の秋に『ワンダフル東北』という番組で、地域に密着したお医者さんの奮闘ぶりと、若いお医者さんの育成について2週に渡って取り上げていました。今、医師不足が社会的に大きなテーマになっていますので、非常にタイムリーですばらしい企画だと思いました。例えばスポーツ界でもそういった元気に活躍している人が大勢いると思いますので、スポーツ界の方も取り上げていただきたいと思います。
 ラジオの『ふるさと元気情報』の中で、リポートをする方々は確かにすばらしいのですが、今後はプロの方々ではなく、一般の主婦の方などをもっと多く出演させたらいいのではないかと思います。
 私は高校野球の大ファンですが、選抜につながるような秋の大会の放送はあるのですが、春季大会の放送はなかったように思います。そうしたアマチュアスポーツをもっと取り上げてもらいたいと思います。

 

 

(岩崎委員長代行の全体についてのまとめ)
 本日は、多岐に渡るいろいろなご意見をいただきました。NHKに期待されていることは非常に多いということを実感するとともに、NHKが公共放送として、公平公正・不偏不党を貫き、皆さまと一体となってよりよい放送を発信していくことが大事であると改めて思いました。
 私ども経営委員は、地域放送の充実のために、予算も人も増やして、地域が活性化するためにどう放送を変えていくかということを真剣に考えています。
 また、2011年7月の完全デジタル化に向けて、政府とともにNHKもいろいろな対策を打ち出して頑張っています。
 さらに、携帯やパソコンなど、新しい通信の手段ができてきていますので、放送と通信の融合ということに関してもNHKはかなり力を入れています。テレビやパソコンを通じて、過去の名作番組や見逃した番組をオンデマンドでご覧いただくという新たなチャレンジも始めました。
 日本、アジアの情報を、国際放送を通じて世界に発信するということも今年新たに始めています。
 さまざまなことを始めていますが、すべては放送の中身がよいということが大事です。また皆さまからお預かりしている受信料を公共の財としていかに生かし切るか、透明度を高くして、正しいものに使われていくことが大事です。皆さま方に本当にお役に立つNHKであると感じていただくことが、一番大事であると思っています。
 本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

 

 

<終了後の経営委員の感想>

  • 放送の質、とりわけ公共放送としての品位を保った番組の提供と地域放送の充実を求めるご意見を多くいただいた。
  • NHKの番組一つひとつを大切に視聴していただいたうえでのご意見、また受信料の負担や使い道についてのお考えを直接聞くことができたことは貴重な機会であり、経営委員として参考になると感じた。
  • 地域の視聴者の皆さんにとって身近な存在としてのNHKのあり方や放送・番組の内容について参考になる点が多くあった。
  • 視聴者の皆さまがNHKに対し日本の文化の大切さを伝え、広めていくことを大いに期待していることを肌で感じることができた。
  • 地域の課題を全国的な視点から各地が連携して解決していく取り組みの必要性を痛感した。
  • 放送メディアとしてのラジオの価値や役割について認識を新たにした。

 

 

<当日会場アンケート集計結果>

質問1:性別

男 性 女 性 不 明
24 13 2

質問2:年齢

  10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 不明
男性 0 1 2 2 7 7 5 0
女性 0 0 1 1 3 4 3 1

質問3:今回のイベントを何でお知りになりましたか

放送 ホームページ 人から聞いて その他
23 9 2 4

質問4:今回のイベントに参加していかがでしたか

①大変満足 ②満足 ③ふつう ④不満 ⑤大変不満
7 14 16 2 0

質問5:一番印象に残ったコーナーはどこでしたか(複数回答)

①21年度事業計画説明 ②放送について ③経営など全般について ④NHKスペシャル『女と男』
3 17 9 12

質問6:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

①大変よく知っていた ②よく知っていた ③知らなかった ④その他
2 14 20 2

質問7:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

①理解が深まった ②特に変わらない ③わからない ④その他
28 8 1 2

 

 

<当日会場アンケートに記された主なご意見(要約)>

放送関係

  • コマーシャルに振り回されず、一定の時間を使える立場を十分に生かして、よい放送を作っていただきたい。
  • スポーツ中継は公平にお願いしたい。
  • BSチャンネル(民放を含む)の放送内容を充実させてほしい。受信料を払っている視聴者すべてに公平な番組を作ってほしい。
  • 民放のやり方を取り入れてよい部分とそうではない部分がある。NHKらしさは失ってほしくない。
  • 再放送を増やしてほしいが、再放送は深夜ではなく日中の方がよいと思う。
  • 相対的にNHKの番組は優れていると思うので、無理に民放化しないことを望む。『坂の上の雲』に期待している。
  • 岩井俊二監督(仙台出身)の特集番組を放映してほしい。あわせて「重力ピエロ」の伊坂幸太郎さんの映画制作についての特集番組も放映してほしい。東北出身の文化人(歴史上の人物も含め)に焦点をあてた番組を制作してほしい。
  • 朝ドラの『つばさ』は訳のわからないドラマだ。今の世の中に迎合せずにもっと普通のあたり前の家族のホームドラマがいい。
  • NHKにはとても期待しており、今新しい風が吹いている、NHKは変わってきているということを痛感している。
  • 『つばさ』について不評意見があったが、制作サイドは今試行錯誤しているものと思う。軽く楽しく見ている視聴者もいることをわかってほしい。
  • 低俗なタレントの起用はやめて、NHKらしい独自性のある番組を作ってほしい。また、若手アナウンサーは番組出演の際、身だしなみをきちんと整えてほしい。

 

受信料関係

  • 年金生活者への割引をしてほしい。
  • 受信料の公平負担の考え方をきちんとアピールして、若い人たちにもわかるようにしてほしい。
  • 受信料請求の際に月々の番組ガイドを頂けたら嬉しい。
  • 受信料を公平に負担するという方針には反対。収入が多い人にたくさん負担してもらい、生活の苦しい(子どもがたくさんいる)人は少なくするようにしてほしい。

 

経営全般

  • 不祥事が起こったとき、処分が甘いから受信料不払いが増えるのではないか。
  • ベテランアナウンサー、ディレクター、プロデューサーの講演会を開いて正しい言語の普及、番組の意図・裏話などを聞かせてほしい。
  • 私たちの身近なNHKとして透明性・公正性を高めてほしい。
  • 一般企業に比べ、また公務員などに比べ、NHK職員の人件費は高すぎると思う。経営コストの全般的な見直しは当然すべき。
  • 企業会計原則を前年度から導入したことについて周知が不足しているのではないか。
  • 今日参加してみて、視聴者にはいろいろな意見があり、皆の要望に応えるのは大変なことだと思った。NHKも努力されているように思う。

 

運営について

  • 今回のような会を定期的に開催してほしい。
  • 放送についてはもう1時間くらい時間を取ってほしい。
  • 答弁が役人的と感じた。
  • 誠意を持って答えていただいてよかった。上から目線ではないかと心配していた。
  • 21年度事業計画を具体的に項目ごとに説明していただき、何か提案があったら意見を求めるくらいでまとめるのも一つの方法と思う。
  • 質問者の発言が冗長で時間的にも長かった。発言要旨を事前に出してもらうなどして、より多くの方が発言できるようにする工夫が必要と感じた。
  • 鐘を鳴らすなど、発言時間を短くさせる工夫をすべき。
  • 発表時間の管理、絞込みが重要。
  • 初めて参加したが、経営や放送番組の内容に関することが少し理解できた。国民のさまざまなニーズにアンテナを張り、私たちの要望に応えていただけるよう願いしたい。
  • 若い人がほとんどいないのが残念だった。
  • もう少しさまざまな世代の皆さんの意見を取り上げられるような形にしてほしい。
  • 一つひとつの発言が長すぎると感じた。
  • 事前に配られた資料の内容が乏しいと感じた。NHKの組織図など、もっと基本的な情報を提示していただきたかった。
  • 1人1回の発言というのを事前に周知してほしかった。本当に聞きたいことが聞けなかった。
  • 『女と男』の制作についての話はとても興味深かった。