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2019年度 第2回
視聴者のみなさまと語る会in長崎
(2019年5月18日(土))

 

<会 合 の 概 要>

 「経営委員会による受信者意見聴取」の2019年度第2回は、長崎放送局で実施し、「公共放送の役割」などNHKの経営全般に関すること、「NHKの全国放送や地域放送のあり方」など放送に関すること、の2つのテーマについて、公募による32名の視聴者から意見を聴取した。

 

<会 合 の 名 称>

視聴者のみなさまと語る会in長崎

 

<会 合 日 時>

2019年5月18日(土) 午後1時〜午後3時10分

 

<出  席  者>

〔参 加 者〕

視聴者の皆さま32名

〔経営委員会〕

石原 進   (委員長)

 

堰八 義博  (委員)

 

高橋 正美  (委員)

〔執 行 部〕

木田 幸紀  (専務理事)

 

鈴木 郁子  (理事)

 

遠藤 理史  (長崎放送局長)

〔 司 会 〕

富永 禎彦   アナウンサー

 

< 会    場 >

 長崎放送局 第1スタジオ

 

< 開 催 項 目>

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明

  協会の基本方針、その他協会の運営に関する重要な事項について

3 意見の聴取

 (1) NHKの経営全般について

 (2) NHKの放送について

4 閉会あいさつ

 

  「視聴者のみなさまと語る会」終了後、「連続テレビ小説『なつぞら』とっておきの楽しみ方」と題して、磯智明 チーフ・プロデューサーによる講演会を開催した。

 

<概要・反響・評価>

  • 公募の結果、ホームページを通じて59名から参加の申し込みがあり、全員に参加案内を発送した。

  • 語る会には、32名が参加し、「公共放送の役割」などNHKの経営全般に関すること、「NHKの全国放送や地域放送のあり方」など放送に関すること、の2つのテーマについて意見や提言を募った。

  • 参加者からは、「インターネット時代における受信料制度」「受信料の公平負担」「公平・公正、信頼できる報道」「地域放送の充実」などについて、多岐にわたる意見や提言が寄せられた。

  • 語る会終了後に行ったアンケートには、32名から回答があった。主なアンケートの結果は次のとおり。

    <参加者の満足度>
     「大変満足」2名、「満足」10名、「普通」7名、「不満」6名、「大変不満」2名(未記入5名)

    <経営委員会の仕事について>
     「今回のイベントに参加して、経営委員会の活動について理解が深まりましたか」との質問に対し、「理解が深まった」との回答が13名からあった。


◆協会の基本方針・重要事項の説明

(堰八委員)

 皆さまは、これからのNHKで、どんな番組を、どんな形でごらんになりたいでしょうか。ラジオ、テレビ、そして、インターネット。メディアをめぐる環境は大きく変化し、情報や娯楽を届けてくれるものは、より多彩になっています。NHKは、「いつでも、どこでも」視聴者の皆さまのそばで役に立ち、「情報の社会的基盤」としての役割を果たす、公共放送から“公共メディア”への進化をめざしています。
 NHKがどのような放送の未来を描き、皆さまにとってどんな存在でありたいと思っているのか、それが書かれているのが「NHK経営計画」です。
 この「経営計画」の策定など、私たちNHK経営委員は公共放送の未来について、日々議論を重ねています。
 NHKの経営委員は放送法に基づき、国会の同意を得て、内閣総理大臣から任命されています。さまざまな分野や地域から12人が選ばれています。
 経営委員会はNHKの経営の基本方針や予算、事業計画などを決めます。
 また、NHKの会長の任命もおこない、執行部が決められた方針にそってNHKを運営できているかどうかをチェックするのも経営委員会の仕事です。
 また、経営委員の中から、監査委員が任命され、経営委員を含めた役員の職務の状況を監査しています。
 私たち委員は、NHKの経営にあたり、視聴者のご意見をふまえた適切な判断や検討をおこなうことがもとめられています。そのため、放送法に基づき、本日のような機会をいただいて、皆さまから直接お話を伺う会合を各地で開いています。
 皆さまの受信料で運営するNHKの経営の基本方針は、「NHK経営計画」として公表されています。今年度は2020年度までの3か年の経営計画の2年目です。
 この計画の実現のために私たちが取り組んでいる「重点方針」は、こちらの5つです。
 重点方針1つ目は、「“公共メディア”への進化」です。放送を太い幹としつつ、インターネットや新しい技術も活用し、信頼できる情報を早く、深く、わかりやすくお伝えします。人々の命とくらしを守るため、防災・減災、緊急報道、復興支援に力をいれます。
 去年12月からは、高精細なスーパーハイビジョン、「BS4K・BS8K」もスタートしました。国際放送「NHKワールドJAPAN」は日本の視点を生かしたニュースや番組を伝えます。今年1月からは中国語のニュースや番組をインターネット配信するサービスもスタートしました。
 重点方針の2つ目は、「多様な地域社会への貢献」です。地域の魅力を広く伝えるとともに、地域社会が抱える様々な課題について、全国のネットワークも生かしながら取材し、積極的に発信していきます。
 3つ目は「未来へのチャレンジ」です。来年の東京オリンピック・パラリンピックでは、臨場感あふれる最高水準の放送・サービスを目指します。また、多様な価値観を認め合う社会を目指した放送・サービスを充実していきます。
 4つ目は、「視聴者理解・公平負担を推進」です。「視聴者の皆さまから、より必要とされるNHK」をめざし、放送・サービスについて、理解を深めていただく活動を展開します。
 受信料の公平負担の徹底に向け、「支払率」を毎年度1ポイントずつ向上させることをめざし、最大限の努力をするとともに、受信料の値下げを含む還元策を実施します。
 受信料については、トータルで、2018年度の受信料収入見込みの4.5%程度を値下げします。可能なところからただちに実施するため、消費税率引き上げがおこなわれることし10月に受信料額を改定せず、地上契約と衛星契約を実質2%値下げします。そして、来年10月から、地上契約と衛星契約を2.5%値下げします。
 受信料の負担軽減策については、すでに実施している社会福祉施設への免除拡大に加えて、経済的に厳しい状況にある学生などに対しても実施します。
 値下げを含む還元をすべて実施した場合の規模は、値下げが年間328億円、すでに一部実施に移している4つの負担軽減策が94億円、あわせて422億円で、2018年度の受信料収入見込みの6%相当となります。
 5つ目は、「創造と効率、信頼を追求」です。働き方を抜本的に見直す改革を進め、関連団体を含むNHKグループ一体となって、効率的な組織運営を推進します。
 以上の「重点方針」のもとに、私たちは、変化の時代の中でも変わらずにNHKが担う「公共」の役割や価値を実現していきます。
 最後に、今年度の取り組みにつきましても触れさせていただきます。事業計画に対応する収支予算は、受信料などの収入7,247億円、国内放送費などの支出7,277億円を計上しています。事業収支差金は30億円の不足となり、財政安定のための繰越金を使用します。
 経営委員会としては、受信料の重みを自覚し、コスト削減に心がけ、計画の着実な実行に努めるよう求めています。放送法を順守しながら自主自律を貫き、公正で効率的なマネジメントにより、皆さまから信頼され、役に立つ公共メディアとなるよう、経営委員会としても、執行部と共に努力していきます。
 きょうお集まりの皆さまからいただく貴重なご意見は、ぜひ経営委員会の活動の参考にさせて頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

 

≪視聴者の皆さまからのご意見とNHK側からの回答≫

 

第一のテーマ:NHKの経営全般について

(高橋委員)
 受信料につきましては、皆さまに平等に支払っていただくという基本的な考え方に基づき、不平等感をなくすためにNHKは今日まで努力を続けています。その中で、いろいろとご指摘を受ける点もありますが、日々、鋭意努力をして、皆さまにご理解をいただけるような活動を継続しています。皆さまのご理解があっていただくのが受信料ですので、経営委員会は、NHKの活動をしっかりと見ていきたいと考えています。

(鈴木理事)
 受信料の支払率を毎年発表させていただいていますが、おととし12月の最高裁の判決や営業部門のさまざまな努力で、この3月に速報値で、支払率が82%になりました。これをできるだけ100%に近づけていく努力を継続し、公平負担を徹底する活動を推進していきたいと考えています。
 東京や大阪の大都市では、オートロックマンションであったり、共働きやひとり暮らしの世帯が多かったりするので、訪問してもお目にかかる可能性が地方都市に比べると低いのですが、そうしたところも、法人と委託契約をして、より多く訪問していただいたり、ダイレクトメールのような形で受信料の支払いをお願いしたりする活動を進めています。
 去年から始まった経営計画では、社会福祉施設への免除の拡大、経済的な理由で奨学金を受けていらっしゃる学生への免除のほか、ことし4月からは多数支払いという主に事業所関係の方たちへの割引、10月からはテレビの設置月の無料化など、負担軽減のための制度も拡充しています。
 その時々の社会・経済状況や、NHKの財政的な余裕などを踏まえ、中長期的な見通しを立てたうえで、免除や割引、あるいは値下げをどうやって実行していくかを判断させていただいています。

【会場参加者】
 最近ではスマホでワンセグなどのテレビを見ることもできますが、それについても受信料を取るのかどうか確認させてください。

【会場参加者】
 私たちは家庭にテレビがあるので、気にせず車や携帯電話でもテレビを見ていますが、固定のテレビを持たずワンセグ携帯やスマホなどで視聴している方々の受信料は自己申告制でよいのでしょうか。あるいは、どのように調べて徴収するのでしょうか。そうしたことは非常に難しいと思いますが、どのように取り組んでいるのか聞かせてください。

【会場参加者】
 私は事前アンケートに「スクランブルをかけたらいかがですか」という要望を書きました。それに対する回答がプログラムの中にあり、読みましたが納得はできませんでした。また、なぜBSはお金を別に納めなければならないのでしょうか。

(鈴木理事)
 ワンセグに関しては、個人の場合、同一の建物で生計をともにしていらっしゃる世帯の方々は、1契約いただいていれば、いくつテレビをお持ちでも、その方がワンセグをスマホや携帯、カーナビでお使いでも別に料金はいただきません。
 ただ、ご自宅にテレビがなくても、ワンセグを受信できる携帯やスマホ、カーナビをお持ちの方からは受信契約をいただくということになっています。これについては、先日、判決も出されています。
 受信機をお持ちの方から受信料を頂戴する。公共放送を支えていただくために負担をしていただくということでお願いしています。
 その代わり、NHKは全国あまねく、どこでもご覧いただけるように、技術的なさまざまな整備を日夜進めておりまして、スクランブルをかけておりません。
 BSは、それとはまた違う付加サービスという形なので、上乗せの料金をいただいています。

(高橋委員)
 固定ではないワンセグ携帯やスマホをどうやって確認するのかということですが、これは仮にアンテナがあったとしても、そこにテレビがあるかどうかの確認業務を、NHKの営業、並びにそれに関連する人たちがずっとさせていただいています。こうした一つ一つの対応の積み重ねが基本になるとお考えいただければと思います。

【会場参加者】
 先ほどNHKの組織図が紹介されましたが、たとえば報道では編集という部分で、誰が責任を持ってどのような決め方をしているのでしょうか。放送局ということであれば、責任体系がどうなっているのか、決済関係はどうなっているのか、先ほどの組織図ではわかりづらかったのでお伺いしたいと思います。

【会場参加者】
 先ほど経営委員の方は内閣総理大臣が任命し、その経営委員の方がNHKの会長を任命するという説明がありました。内閣総理大臣が任命した方が会長を任命するということは、NHKの人事権というのは内閣が持っているという認識でよろしいのでしょうか。

(木田専務理事)
 NHKは、放送法という法律によってできていますが、そこに、「会長は、協会を代表し、経営委員会の定めるところに従い、その業務を総理する」と書かれています。つまり、放送も営業も技術も、あるいは広報や視聴者の対応についても、全ての業務の責任は会長にあります。
 ただ、実際には、会長1人で全てを見ることは不可能ですので、運営に当たっては、会長が指名する副会長と、我々のような理事の計11人でそれぞれの業務を分掌する形になっています。例えば、放送では、放送総局長が編集権という部分を分掌し、その部下である局長や部長などの管理職、あるいは一般職の仕事を、それぞれの担当に合わせて見ています。放送や技術、営業、視聴者対応、さらに、人事や総務、経理といった間接部門についても、それぞれの担当の理事が会長を補佐する形で運営しており、理事以下は全て、会長が決めるという形になっています。

(石原委員長)
 国民の代表である国会の承認をいただかないと内閣総理大臣は経営委員を任命できません。したがって、経営委員の任命までは国会が関わっているということになります。
 それから、法律上、経営委員会は会長を選び、任命し、その会長が副会長以下の役員の人事を決めています。会長を除く副会長、理事の計11名の人事は、会長が提案しますが、それを承認する権限は経営委員会が持っています。したがって、会長が役員について提案しても、経営委員会が否決することはできます。
 管理職以下の職員については会長が最終的な権限者であり、いわゆる、一般の会社で人事権と言われているものは、会長が持っていると言ってよいと思います。

(司会・富永アナウンサー)
 事前に数多くのアンケートをお寄せいただきましたので、この中からご紹介させていただきます。「NHKで働く人たちの労働環境を見直し、過重労働とならないよう、働き方改革に取り組んでほしい」というご意見をいただきました。昨今、働き方改革、NHKも取り組んでおりますが、こちらのご意見へのお答えはいかがでしょうか。

(木田専務理事)
 労働環境の悪化を防ぐということは、NHKだけではなく、今、全ての企業、職場で取り組まれていることだと思います。労働基準法も改正されましたので、1か月の時間外勤務の上限を定め、1年間で勤務時間が突出した月がないようにするなど、さまざまな試みが行われています。
 NHKでもいろいろな取り組みを行っていますが、仕事の種類が極めて多種多様であるという特徴があります。デスクワークが中心の職員もいれば、例えば記者のように、放送局にはめったにおらず、ほとんど取材先にいるという仕事の職員もいます。あるいは番組制作のように、半分外にいて、放送が近づいてきて仕上げるときだけ放送局の中にいるといった形もあります。
 さまざまな働き方の形がありますが、記者については、新たな取り組みとして、放送局の外など、管理職の目が届かないところで働いても、必ずその仕事の始まりと終わりを連絡するようにして、働いた時間を把握できるような仕組みを考えています。
 今はスマホの機能が非常に発達していて、ボタンを押せば仕事の始まりと終わりを記録できるタイムカードの役割を担う仕組みもありますが、それを実験的に取り入れ、働いた時間を把握しにくい職場でも、しっかりと勤務管理ができるよう、取り組みを行っています。
 全国の放送局でも、時間外勤務の時間数や休日の取得の仕方を、月の半ばや終わりに必ず点検するようにしています。例えば、月の前半に働き過ぎたのであれば、早めにその仕事を配慮して後半に休んでもらうなどの取り組みをしています。
 それでも、NHKの公共的使命、例えば、大災害が起こったような場合には、そのような働き方を合理的に守りながら、いかに公共放送の使命を達成するか、非常に難しい部分もありますが、公共放送の役割を発揮しながら、働く人の健康管理を十分にしていきたいと考えています。

(石原委員長)
 経営委員会として、この問題は非常に重要な問題だと思っています。NHKの若い女性の記者が数年前に亡くなり、大変大きな問題になりました。ご両親の気持ちになると、何とも言えない、本当に厳しく辛いものですが、それをもとに、NHKは二度とこうしたことを起こさないために、平成29年12月7日に「働き方改革宣言」を出しました。この内容は「長時間労働に頼らない組織風土をつくります」、「業務の改革やスクラップを進め、効率的な働き方を追求します」、「ワーク・ライフ・バランスの充実により人間力を高めます」、「多様な人材がいきいきと活躍できる職場を実現します」、「改革の取り組みを点検・検証して常に改善を続けます」という5項目となっています。具体的には、例えば、NHKの全職場で働き方総点検を行う、また、健康確保休暇の付与などの新たな健康確保施策を実施する、朝の通勤が大変な東京の郊外にサテライトオフィスを作りそこに出勤して仕事をするといったことを実行しています。
 あるいは、現場において、従来はつい超過勤務で番組をつくっていたものを、初めから決めた時間に収めるようなつくり方にしています。番組をつくる期間は長くなりますが、これをやらなければ同じようなことがまた起きてしまう危険性があるということで、NHK改革の一つの柱として熱意をもって働き方改革に取り組んでいます。

【会場参加者】
 私は亡くなられた佐戸未和さんのお母さんのお話を聞きました。彼女は、必死で頑張った結果、亡くなったわけです。それをNHK側は、記者の仕事自体を個人事業主と言ったということで、それが問題になっているのですが、記者は個人事業主か、それとも労働者か、どちらですか。

【会場参加者】
 夜7時のニュースを担当する女性アナウンサーが出演していなかった時期があり、どうしたのかなと思っていたら妊娠されていたことが分かりました。しばらくして再び出演されましたが、きっと彼女はあのまま出なくなったら、自分の出番がなくなってしまうという危機感があって無理して出演していたのではないかと思います。ニュースの仕事は激務だと思います。見ていてとても痛々しく感じました。仕事は最後までしたいということだったと思いますが、アナウンサーの働き方も見直したらどうかと思います。

(木田専務理事)
 記者は労働者か個人事業主かというお尋ねでしたが、これは間違いなく労働者です。NHKの職員で、労働者でない者はいません。若くて未来のある記者が亡くなったことは、本当に痛恨の極みで、二度とこういう悲しい出来事が起きてはならず働き方改革を前進させているところです。
 当時の記者の勤務制度には、少し実態を把握しにくい面がありました。それを改め、わかりにくい記者の働き方もきちんと管理して、リスクがあれば早めにケアできるような新しい体制をとっているところです。

(鈴木理事)
 女性アナウンサーの妊娠の件ですが、アナウンサーではなくても職員の妊娠が分かったところで、医師を介在するなどし、本人の体調について一人一人丁寧に相談をして、医師のアドバイスを踏まえた対応をするようにしています。
 当該アナウンサーの場合は、安定期に入る前にしばらく休みましたが、仕事に対する本人の責任感も強く、医師からも問題ないとのアドバイスがあり、出演してもらいました。これも、急変などがあれば、すぐに休ませたり、医師の手当てを受けられるようにしたりといった準備も行っておりました。
 NHKのアナウンサーは、育児休職を取得した後でもきちんとテレビに出ていますし、2人目、3人目のお子さんがいらっしゃる方もいますので、妊娠したからテレビに出られなくなるといったようなことは一切ありません。
 ただし、妊娠しているアナウンサーを出演させることで、視聴者の皆さまにご心配をおかけするようなことがあるのであれば、個別に対応を考えたいと思います。ご心配をいただき、ありがとうございました。

【会場参加者】
 佐戸記者のご家族は、かなり憤って、裁判などもおこすと言っていましたが、NHKは和解したのですか。

(木田専務理事)
 ご両親とNHKとで、どのような話をしているかは、プライバシーにかかわることなのでお答えできませんが、連絡をとり合い、いろいろな問題を話していますし、ご両親にNHKの報道現場や番組制作の現場で話をしていただいたり、こうしたことを新人研修のパンフレットに入れたり、NHKの中で全職員が共有できるようにしています。

 

 

第二のテーマ:放送について

(司会)
 事前アンケートの中で、地域放送についてのご意見、ご要望をいただきました。地域放送の取り組みについて、経営委員よりお答えいたします。

(堰八委員)
 私はふだん札幌におり、地域放送は経営委員の一人として非常に関心を持っています。NHKは全国に拠点があり、全国の視聴者の皆さまからいただく受信料で支えられています。公共放送として、地域の視点に立った業務運営も大変重要です。
 日々の経営委員会でも、地域在住の経営委員を中心に、地域の視点に立った意見表明が行なわれています。執行部の業務運営にもそれが反映されていると認識をしています。
 経営委員会はかねてより地域を重視する姿勢も重要であると執行部に申し入れもしています。現経営計画の重点事項に掲げる多様な地域社会の貢献という取り組みも、働き方改革の影響もあり地域でいろいろな番組をつくるのは大変なのですが、地域放送局への制作支援体制を本部から行うこともしています。
 地域発信の強化がNHK全体での取り組みになるよう、引き続き、経営委員会としても注視をしていきたいと考えています。

【会場参加者】
 「かんざらしに恋して」という長崎放送局制作のドラマが、かなり前評判もよく、友人がエキストラで出ていたので、ぜひ見たいと楽しみにしていましたが、BSが見られず残念がっていました。どうしてBSでばかり何度も放送をしているのですか。

【会場参加者】
 私たちは長崎市内で集団的自衛権の行使容認に対して抗議の集会などをしています。その際、民放は取材に来てくださることが多いですが、NHKは来ない。私もNHKをよく見ます。NHKはもっと地域の市民活動を報道していただきたい。
 また、憲法記念日の5月3日は、憲法はこうやってできたということを丁寧に報道していただけると期待していました。しかしその日は朝9時から国会議員の討論があっただけで、ほかに報道がなく、とても期待していただけに残念でした。憲法を変えようとしているこの時に、憲法記念日になぜ積極的に番組を放送しなかったのかを聞きたいです。

【会場参加者】
 沖縄・辺野古の埋め立て工事に関して、内閣総理大臣がNHKの報道番組の中で、あそこはサンゴを移植していると言ったという報道がありました。私はその放送は見ていなかったのですが、SNSなどで知りました。サンゴを全部移植したということは常識ではあり得ないだろうと思いました。総理大臣が実態と違うことを言い、NHKが番組の中で放送したのです。放送されている内容が公正なのか、情報の内容や正確性がしっかり検証されていないと思います。

(木田専務理事)
 今、年に何本か地域放送局でドラマを制作しています。まず、BSプレミアムで放送するためにつくります。BSプレミアムで再放送するものもありますが、総合テレビでも再放送するものもあります。BSと総合テレビの中で行き来をしないということは全然なく、それぞれの番組が次に再放送をするのに、どのタイミングで、どういう形でしたらいいだろうかと考えています。「かんざらしに恋して」も、総合テレビでの放送を今検討しているところで、楽しみにお待ちいただければと思います。
 それから、5月3日の憲法記念日の放送は、確かに「日曜討論」風の番組の仕立てでした。これについては、放送後、同じようなご意見を他の視聴者からもいただきました。ことしの5月3日の憲法記念日の放送があれで本当によかったのかについては、現場でも改めて検討させていただいています。
 ことしはあのような形でしたが、去年やおととしは「NHKスペシャル」で放送しました。どのように憲法ができてきたかを伝える番組は、今までにも何度か放送していますが、ご要望があったことを現場に伝えておきます。
 総理の発言についてのご意見もありました。あれは1月6日放送の日曜討論の中の安倍総理大臣へのインタビューでした。安倍総理がどうしてもその日の朝はスケジュールがとれなかったので、やむなく録画になりましたが、基本的には、大半の方はNHKのスタジオに来ていただいて生放送で放送しています。一部、どうしてもスケジュールが合わない方、東京に来られない方については、録画か電話、またはビデオで出演という形になりました。
 そのような番組の性格もありましたので、あの番組については、録画した後に編集をしたり、あるいは、こちら側で質問をさらに別途つけ加えたりしてその問題を追及していくことは、番組としては難しいと思い、番組の中ではインタビューしたものをそのまま放送しています。ただ、別途、取材はしています。その後、1月11日の「ニュースウオッチ9」などで、サンゴの問題自体について、その時点での取材結果をお伝えしています。

(遠藤局長)
 「かんざらしに恋して」を楽しみにしてくださって、本当にありがとうございます。もちろん長崎の方にも見ていただきたいという思いはあるのですが、まずはBSで、全国放送で全国の方にごらんいただこうと思いました。また、もともとBSで放送することを前提とした番組なので、まずBSで放送しました。総合テレビでも放送したいと思っていますので、もうしばらく、楽しみにお待ちいただければと思います。
 市民集会についてですが、NHKだけ取材に行っていないとしましたら、申しわけありません。ただ、私どもも限りある人手の中で、多くの方に興味のあること、新しい動きのあることを優先的にやらざるを得ないところもあります。集会に行かないことが重なったとしたら残念ですが、今後とも、きめ細かく取材を続けていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

【会場参加者】
 私は地元長崎で、民放の記者として42年間勤務してきました。NHKの記者やディレクターの皆さんと一緒に仕事をする中で、NHKのスタッフの優秀さ、すばらしい番組をつくる力量、すばらしいバランス感覚などを目の当たりにしてきました。私たち民放にとっては、NHKはお手本で、目標としてきました。
 ところが、特に政治ニュースで安倍政権に忖度した内容になっているということが顕著になってきています。伝えるべきことを伝えず、安倍政権に都合のいいことは非常に誇張して伝えるという傾向が非常に強まっています。
 私たちは言論の自由を守る市民団体をつくっていて、先日は、NHKの元記者を招いて、講演会を開きました。講演では、森友問題でスクープをとって出そうとしたがNHK報道局の幹部がなかなか放送させず、結果的には現場の頑張りもあって放送できたが、彼は左遷されてしまったと話していました。加計問題について言えば、総理のご意向と書かれた文書を「存在しました」と証言した元文部科学事務次官の前川喜平さんのインタビューをNHKがどこよりも早く取材したのにも関わらずお蔵入りになり放送されなかったということがありました。非常にバランスを欠いた報道になってしまっています。
 政権に対する忖度以外の何物でもないと思います。
 なぜ現場が忖度するのかというと、経営委員会の中に安倍総理に親しい方、あるいは、思想が近い方が入っているからだと言われています。これは、NHKの本来のあるべき姿とはかけ離れていると思います。
 私がこれを厳しくとらえているのは、メディアの戦争責任というのがあると思うからです。戦時中、軍部の圧力に屈して、新聞とNHKは国民の戦意を高揚し、戦争に駆り立て、その結果、多大な犠牲をこうむったということがありました。戦後、日本のマスコミは、その反省のもとに権力の暴走をチェックし、国民の知る権利に応えるというスタンスで、どこも一貫してやってきました。それが今、こういう状況になっているのは、歴史の事実、その反省を忘れているのではないでしょうか。
 この状況についておかしいと思っている方は、NHKのOBの方に最も多いのです。今のNHKの、特に政治ニュースのあり方が、本来の姿から逸脱してしまっていることをどのように捉え、今後どのようにしていこうと考えているのかを伺いたいと思います。

【会場参加者】
 この間、国会中継を見ていましたら、非常に憤りを感じるような、ばかばかしいような大臣の答弁がありました。
 しかし、全然やじなどの声が聞こえませんでした。こんな答弁をされて、怒りも何もないのかと思っていましたら、夜11時の民放のニュースでは、すごい怒号とやじが後ろに聞こえていました。私はどうやってNHKはこれを消したのだろうと思いました。
 それから、NHKの番組はこのごろ、あまりににぎやかで、民放と差がなさ過ぎるのをとても不安に思っています。

【会場参加者】
 最近は、民放のくだらない番組などが多いので、ほとんどNHKを見ています。“マスゴミ”にならないように、ちゃんとしたマスコミでずっとあってほしいと思います。

(木田専務理事)
 政治ニュースがおかしくなっているのではないか、それをどう捉えているか、どうしようと考えているかというご質問をいただきました。NHKとしては放送法第4条の、政治的に公平であること、報道は事実を曲げないですること、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすること、という国内放送の編集にあたっての基準となるものをしっかりと受けとめ、これに基づき国内番組基準をつくり、その上で放送ガイドラインをつくって、日々のニュース番組の制作にあたっています。
 放送については、放送総局長である私が会長から分掌されていますが、私もすべてのニュースと番組を放送前に見ることはできません。実際の運用では、現場での各ニュース、あるいは番組の責任者が、放送法、国内番組基準、放送ガイドラインに沿って、そういった内容のものになっているかという判断をして放送しています。
 とはいえ、ニュース番組については、放送後さまざまなご意見をお伺いします。1日に平日はおよそ3,000件の電話やメールなどの視聴者からの声が届けられます。放送後すぐに担当者のところにも届けられますが、例えば、広報局や編成局など関係する部署、あるいは、当該の番組以外の番組をつくっている部署、ある意味では、NHKの役職員全員がどのような反響だったかを見ることができるシステムになっています。1週間ごと、あるいは、毎月という形でまとめて公開しています。どのようなご意見があったか、あらゆる皆さんの声にしっかりと耳を傾け、それを次に現場で制作するときに反映していこうと考えています。
 仕組みとしては考査室や放送番組審議会もあり、そこからの意見もありますが、一番早く、しっかりした、いろいろなご意見が寄せられるのは、やはり視聴者の皆さまからの声です。
 我々も、常に、放送法、あるいは国内番組基準、放送ガイドラインに沿ったものになっているかどうかのチェックをみずからに課し、自律することに取り組んでいます。いただいたご意見については、そのまま現場に伝えますが、その取り組みをこれからも途切れることなく続けていきたいと考えています。
 それから、どのように国会中継のやじや怒号を消したかというご質問もいただきました。よくわかりませんが、おそらく、消したのではなく、収録するときに、発言者の音声を聞き取りやすく、はっきりととる収録のしかたをしたのではないかと思います。特にニュースでは、わざわざそのような加工をして出すということはないので、もし、そのようなことがあれば、収録の時の考え方ではないかと思います。

【会場参加者】
 私は子供のころから、正しい日本語、美しい日本語、わかりやすい日本語はNHKのアナウンサーの言葉を聞きなさいと言われて育ってきました。その点が、ちょっと最近忘れられているのではと思っています。
 長崎の局長さんに聞いていただきたいことがあります。長崎の中心繁華街は、「はまのまち」です。「はままち」ではありません。NHKのアナウンサーは家族や友人と話す時、あの町を「はままち」と呼ぶのですか。NHKに規則があるのかどうか、ふりがなをつけた文字はどう読むかについて規則があるのか知りませんが、あの町は、昔から「はまのまち」です。「はままち」ではありません。「はまのまち」と読んでください。もし、役所の都合だったら、役所に例外を申し出てください。地域の文化や歴史を守るのもNHKの重大な任務だと私は思っています。
 それから正しい日本語を使ってください。このごろよく聞くのは、「すごいおいしい」、「猫に餌をあげる」、「全然大丈夫」。こういう言葉はNHKのアナウンサーには話してほしくありません。「すっぴんラジオ」、「サラメシ」、こういう言葉を番組のタイトルにしないでください。
 わかりやすい日本語を使ってください。ラジオで天気予報を聞いていますと、まるで、気象台が発表する原稿を一字一句、間違いなく読まなければならないと思っているように感じます。わかりにくいことばづかいが多いです。
 「長崎県南部の天気予報はきょうは曇りで昼前まで晴れ。北部はきょうは晴れで、昼過ぎから曇り。」違いがすぐわかりますか。
 アナウンサーの話す言葉は話し言葉ですから、聞いている人が一生懸命考えなくてもすっと耳から入る、わかりやすい日本語、わかりやすい話し言葉がよいです。
 正しく美しい日本語、わかりやすい日本語で伝え、それを継承していく責任とプライドをNHKには持っていただきたいと思います。

【会場参加者】
 私は元新聞記者で、メディアのOBや現役、一般市民で構成する市民グループの代表をしています。先ほど話の出たサンゴの問題についても、抗議声明と申し入れ書をNHK会長宛てに出しました。ところが、その回答が、木で鼻をくくったようなものでした。番組内で政治家が行った発言については答える立場にない、自主的な判断に基づいて放送している、ただ、それだけです。しかも、差出人は「視聴者部」とだけ書いてあるのです。
 放送法27条には、協会はその業務に関して申出のあった苦情、その他の意見については、適切かつ迅速にこれを処理しなければならないと規定されています。NHKの行動指針にも、視聴者のご意見、ご要望は真摯に受けとめ、番組制作、事業活動に生かします、とされています。しかし、私どもが申し入れた文書に対する回答は、そんなものではありませんでした。
 私の経験からしても、記事に対するクレームや意見を聞いた場合は、きちんと受け答えし、説明をします。今後はぜひ対応を丁寧にしていただきたいと思います。そして「○○部」という書き方ではなく、担当責任者の名前を書いていただきたいです。

【会場参加者】
 私は、メディア関係とか市民グループではなく、今まで話を聞いていて、きょうここに来てよかったのか心配しているのですが、せっかく、隣の市から来ましたので、一言述べさせていただきます。
 今、長崎県は全国でも人口流出が多い地域で、就職口が少ないというのが最大の原因かもしれません。民放を含めた、放送による影響もあるのではないかと思います。若者が中央に出たいという気持ちがあるのは否定できないと思いますが、地方の放送局には、地方の魅力を十分に伝える役割がかなりあるのではないかと思います。
 地方の美しい所などの魅力について取材をしていただき、地方の明るい未来につなげていくような充実した放送をしていただければ、きっと地方ももっと活性化するのではないかと考えています。期待していますので、よろしくお願いいたします。

(鈴木理事)
 アナウンサーの言葉についてご意見をいただきました。私は今、アナウンス室担当の理事でもあり、また、以前は放送文化研究所の所長をしていました。放送文化研究所には、放送用語研究班というグループがあり、NHKのアクセントの辞典や、用語・用字の使い方、どの漢字を放送に使ってよいかなどを決めています。
 事前にメールでお問い合わせもいただきましたが、「ケーキ、すごいおいしい」、「猫に餌をあげる」というのは、日本語の使い方として間違っています。もし、NHKのアナウンサーが使っているのでしたら、それはすぐに直させます。申しわけありませんでした。
 それから、番組のタイトルというのは、見た目で、新聞の番組表に載っていることや、放送の最初に出てくるので、何かなと思わせる謎めいた部分、魅力的に見えるような番組タイトルをつけたいという気持ちがあります。意見が分かれるところかもしれませんが、お許しいただけるとありがたいと思います。
 NHKは正しく美しい、わかりやすい日本語をというご意見は本当におっしゃるとおりで、NHKのアナウンサーは、まず一回話して、音声で日本国民の小学生以上の方々のほぼ全員が、一度聞けばすぐ理解できるような発音とアクセントでアナウンスをするように教育をしています。
 アナウンサーが話すのは基本的に共通語ですので、地域によっては違う言葉があるかもしれませんが、ごく少数の言葉を除いては、誰でも聞きやすく理解できるアナウンス、アクセントと発音を心がけています。NHKが発行しているアクセント辞典は、例えば、電車の車内放送など、日本国内のプロの方たちにも使っていただいています。
 NHKの放送の基準も、昔は、全国の方々が標準語をあまり使っていなかった、大正、昭和の初めの頃に、放送を通じて全国の人たちが共通で理解できる言葉をお伝えするという役割を担っていたのですが、この数十年は、むしろそれぞれの地域の個性を大事にしようという方針に変えているので、それをニュースや番組の特性に合わせ、全国向け、地域向け、番組のねらいやターゲットに合わせて使い分けるようにしてきています。

(遠藤局長)
 「はまのまち」を「はままち」と読んでいることについては、さまざまなご意見をいただいています。私たちもどうしたものかなと思っています。あれは長崎市が地名を定めているのです。地名は「はままち」なんです。あの地域は、皆さん「はまのまち」と呼んでいますし、アーケードの名前も「はまのまち」なのですが、あの中の一部が、地名では「はままち」なんです。「はまのまち」と呼ばれている地域に、「はままち」や「よろずやまち」や「かじやまち」がありますけれども、その一帯を皆さんは「まち」とか、「はまんまち」とか、「はまのまち」と呼んでいらっしゃるのですが、そのうちの一部の地名が「はままち」なんです。
 私たちとしては、これを長崎市が定めている以上、逆にそこを「はまのまち」と呼ぶと間違いになりますので、「はままち」と読んでいます。
 その地名と通称というのがあると思います。例えば、アーケードでこういう催しがありますと言う際には、「はまのまちアーケード」というのは固有名詞ですからそれを使いますけれども、「どこそこで」という地名を言う時には、「はままち」ということばを、今は使っています。
 また、県内の魅力を県外に出すように頑張ってほしいというご要望をいただきました。まさに、地域の魅力を全国に伝えるということも地域局の重要な役割の一つだと思っておりまして、私たちも、全国放送に向けて、これまでも「小さな旅」や「ドキュメント72時間」など、全国の方に向けて長崎の魅力、長崎の美しい自然などをご紹介するよう努めてまいりました。今後も、ぜひ続けてまいりたいと思っています。ありがとうございます。

(木田専務理事)
 アナウンスに関するご要望は、しっかりと受けとめさせていただき、現場で、早速、検討させたいと思います。
 それから、地域の全国発信については、今年度から、地域の番組をそのまま全国に放送する枠を総合テレビとBS1で少し増やしました。全国、47都道府県ありますので、そこからどれぐらいの番組を放送できるかは、1局ずつにしてみると回数は多くないかもしれませんが、そのような努力もしています。さらに海外向けの国際放送でも、地域番組を加工したものを取り上げて出しています。
 おっしゃるとおり、NHKの役割の一つである地域社会への貢献というのは、大変大きいと思っていますので、少しでもお役に立てるように、いろいろな手を考えていきたいと考えています。

(石原委員長)
 魅力的な仕事がないからと、若者が東京に出て行ってしまう。魅力的な地域だということをもっと発信しなければなりません。今、過疎化がどんどん地方で進んでいるのは大変な問題で、それに対する情報発信の役割として、放送は非常に大事だと思っています。

【会場参加者】
 長崎市内では684kHzでNHKラジオ第1が聴けますが、諫早に行くと927kHz、佐世保に行くとまた違います。
 ところが民放のNBCのラジオは20年ぐらい前にもう全部そろえて、県南は全部1233kHzで統一です。熊本県は、RKKラジオは全部1197kHz、熊本で民放を聴こうと思ったら1197kHzをつければいいということで、一発でわかるのです。
 NHK長崎放送局のラジオは周波数を統一してほしいというのが要望です。

【会場参加者】
 NHKは公平と言われますが、私には公平に思えません。疑問に思うのは、安倍政権の内閣支持率がなぜ上がるのか、どう考えてもわかりません。これを明確に教えていただくことは、マスメディアの大きな役割だと思います。そういう点では、NHKは、役割を果たしていないように思います。

【会場参加者】
 精神科の診療所でソーシャルワーカーをしています。人権という観点でどうしても気になることがあります。
 6年前の参議院選挙の後に、NHKの記者の方が亡くなられていたということを知りました。2年ほど前に、今の上田良一会長が公表することを決断されて明らかになったことだと聞きました。
 このことに関して、ご遺族が後に労災申請をすることによって、労災だ、過労死であったということが認められたということです。公共放送に従事する皆さんが、当たり前に人として生活できる環境が保障されていない中で、私たちが日常、放送されているものに触れているということがあるとしたら、それ自体、非常に内容がよくても、何か非常に不愉快な、本当にこれをそのまま楽しんでいいのだろうかといった自責の念のようなものさえ起こります。
 難しい問題だとは思いますが、今の執行部の皆さんや、経営委員会の皆さんが誠意をお見せになられて、ご遺族の方ともお会いになってお話をする場を設け、その中で要望を聞き取って、それを今の組織のあり方に反映させていくことをご検討いただきたいと思っています。
 もう一点は、2014年7月27日放送の「NHKスペシャル調査報告 STAP細胞 不正の深層」で、私はこの番組を視聴していませんが、放送後に、渦中にあった研究者の方が8月5日に命を絶たれるということが起きています。どの程度の因果関係があったかは、定かではありません。ただ、こういう問題が起きたからには、第三者に委託をするような形ででも検証し、問題がなかったならば、命を絶たれたことと番組とは関係がなかったということを公共放送として明らかにする責任があるのではないかと思います。

(遠藤局長)
 周波数のご質問からお答えします。長崎県内、山を越えると放送所が変わるので、そのお互いの混信を防ぐために周波数を変えていくのです。それが常識だと思っていたのですが、もしNBCさんが1種類でできているのだとしたら、むしろ、それがどうしてなのか調べて、できることならやってみたいと思います。ありがとうございます。

(木田専務理事)
 いただきましたご要望につきましては、現場に伝えたいと思っています。ただ、支持率の調査、世論調査の話がありましたが、NHKでは、毎月、内閣支持率を初めとするいろいろな調査を定例的におこなっています。こうした調査はNHKだけではなく、民放も新聞社も実施しています。およそ2,000人から2,300人の方に電話をかけて、1,000人ぐらいの方にお答えいただいています。この結果はニュース等でお伝えしていますが、一切、NHKのほうで結果をいじったりしていることはありません。ただ、分析はします。内閣支持率だけではなく、例えば子どもの虐待防止法案をどうするかなど、今、トピックになっている話題を聞いたりもしています。
 それから、亡くなられた記者のことにつきましては、本当に私たちとしては痛恨の極みであり、亡くなられた時から、関係者でご両親とは何度もお会いしています。お話を伺ったり、私たちの現場へ講師として来ていただいたり、お話そのものを新人研修に使ったり、いろいろな形で協会全体がそのことを忘れず、教訓として働き方を改革していくことに取り組んでいます。
 それから、STAP細胞のNHKスペシャルについてですが、実は、この番組は、BPOという組織の放送人権委員会というところから、名誉毀損の人権侵害が認められるという決定を通知されています。このBPOというのはNHKと民放でつくった第三者の組織で、弁護士など全く放送局の人間とは関係ない人たちで構成され、第三者の立場でいろいろな番組に問題が起きていないかを審議する機関です。私たちも研究者や関係者に取材を尽くし、客観的な事実を積み上げて、制作、放送した番組なので、事実関係に誤りはなかったと主張はしているのですが、BPOからは編集や表現について問題点があるのではないかと指摘を受けました。
 そのことは真摯に受けとめ、放送現場の人間を集めてBPOの皆さんと直接、意見交換をして、第三者機関から見てどこに問題があったかなどを検証し、また、それをその後の放送に生かしています。ただ、命を絶たれたことは極めて痛ましいことなのですが、このBPOでも、その点については指摘がなく、また私たちとしても事実関係がよくわかりませんので、この点についてどう考えるかということは、回答を控えさせていただきたいと思います。

(司会)
 それでは、最後に、経営委員から、全体を通して、一言申し上げます。

(石原委員長)
 本当に熱心な、すばらしいご意見をいろいろといただきました。特に、受信料と、報道の中身の公平・公正さ、この2つについて厳しいご意見も含めていただきました。放送法第1条、第4条は放送の公平・公正、不偏不党、自主自律ということをうたっていますが、より一層この法律の趣旨に沿って、NHKは努力しなければならないということを改めて感じました。
 それから、地域放送の重要性です。放送には、自然、歴史、文化、産業、人々の営みなど地域の魅力を、地域の皆さまと一緒になって、広く多くの人に知ってもらうという役割があります。これは報道機関として、NHKの大変重要な役割だと私は思っていますので、より一層努力していきたいと思います。
 きょうはありがとうございました。

(堰八委員)
 私も、きょういただいた皆さまからのご意見、非常に重要なことが多かったと思っています。特に、公平・公正、不偏不党の基準に基づいた放送ということについては、引き続き、経営委員会の一人としてウオッチをしてまいりたいと思います。
 大変ありがとうございました。

(高橋委員)
 本日はどうもありがとうございました。今、経営委員会でも、皆さまからご指摘のあった働き方改革であったり、地域の改革であったり、非常に重要な施策としてチェックしております。先ほど申し上げましたとおり、私は監査委員もしていますので、各理事の皆さんとのヒアリングも、かなりの頻度で行っています。現状とその考えを聞き、実際に地域放送局を回り、地域局でどのようにその施策が実施されているのかということも、あわせて見てきています。
 きょう、皆さまからいただいたご指摘は非常に厳しいものもあったと思いますが、それは私どもの説明が足りない、あるいは、皆さまに対してご理解いただけるような努力が抜けているところもあったかと思います。
 きょういただきましたご意見を経営委員会の委員全員で共有し、経営に生かしていきたいと思います。ありがとうございました。

(司会)
 皆さま、本日は、貴重なご意見ありがとうございました。

 

 

<視聴者のみなさまと語る会in長崎>参加者当日アンケート

※全表の単位はすべて人数

質問1:性別

男 性 女 性
21 11

質問2:年齢

10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代
0 0 1 3 8 9 8 3

質問3:今回のイベントを何でお知りになりましたか(複数回答)

放送(テレビ) 放送(ラジオ) ホームページ 新聞 メール Twitter その他 未回答
12 1 6 0 15 0 2 1

質問4:今回のイベントに参加していかがでしたか

大変満足 満足 ふつう 不満 大変不満 未回答
2 10 7 6 2 5

質問5:印象に残ったコーナーはどこでしたか(複数回答)

経営重要事項 経営全般 放送 講演会 特になし 未回答
1 7 16 6 3 4

質問6:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

よく知っていた 知っていた 知らなかった その他 未回答
3 10 16 1 2

質問7:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

深まった 変わらない わからない その他 未回答
13 8 7 3 1

 

 

<アンケートに寄せられた主なご意見>

 

経営全般について

  • メディアは国民の目線に立ち、公平・公正であるべき。
  • 会長を決める際には、スポンサーは国民だということを忘れないでほしい。
  • ITを活用したNHKの今後の取り組みや計画など、将来の話を聞きたかった。

 

放送について

  • 政治ニュースが政権寄りではないかという指摘に対し、どう誠実に対応していくのか、注視していく。
  • 不偏不党という公共放送の原点に基づいて、今後も国民に公正な放送を行ってほしい。
  • 公平・公正、不偏不党の真の実現は難しく、NHKがそれを主張すればするほど反発が大きくなるのではないか。
  • 市民の判断材料となるよう、市民の「知る権利」に応える存在であってほしい。
  • いまを生きる人にどのような番組を作り伝えていくか、真実はどこにあるか、ということを考えてがんばってほしい。
  • BSでしか放送されない番組にはよいものが多く、地上波でも放送してほしい。
  • スタジオだけではなく、外からの中継も多く行ってほしい。
  • 最近のアナウンサーの言葉や発音の乱れ、声の高さに気になる点が多い。
  • 地域を大事にした放送にも期待するが、ローカル民放とは違った、全国的な視点を大事にしてほしい。
  • 番組で取り上げる地域のバランスを考え、県北地域をもっと取り上げてほしい。

 

運営・その他について

  • 初めての参加だったが、報道ほか、メディアの大切さを実感した。
  • 私たちの意見を、経営委員会、執行部に直接伝えられたことはよかった。
  • 視聴者の直の声に経営委員や理事の方が接するのはよいことだと思う。
  • 地方の声を聴く方法として、このような取り組みを積極的に進めてもらいたい。
  • 受信料を払う国民にとっても、それを使うNHKにとっても、このような機会は重要なので、またこのような場があったら参加したいと思う。
  • 執行部の返答、回答が的確で感心した。
  • 経営委員の方の対応がすばらしいと思った。
  • 富永アナウンサーの司会進行はさすがに上手だと感じた。
  • 参加者からの意見に全く答えないNHKの姿勢に不満を感じた。
  • 普段の放送では伺い知れない話題や、ほかの方々の意見を聞けて参考となった。
  • 参加者からの発言は政治的な内容が多く、その他の質問をしづらかった。
  • 元放送業界の方たちが参加されて長々と話され、その方々の意見に左右されているように感じた。
  • 同じ人ばかりの質問は聞いていて辛かった。
  • 政治に関する質問をされる方とその他の質問をされる方とで、別な機会を設ける等の配慮がほしかった。
  • もっと「地域らしい」話題が多く話せるような内容に特化してほしい。
  • NHKはお年寄りの方々のものであるというイメージを払拭するためにも、年代別でいろいろな世代の人が参加できるようにしてほしい。
  • 参加者は年配の方が多かったが、若い人たちはテレビをあまり見ていないかもしれないし、政治についての関心も薄いのではと考えさせられた。
  • 質問したかったが時間がなく、発言できず残念だった。時間がもう少しあればよいと思った。
  • 講演会での「なつぞら」のプロデューサーの方の話がとても新鮮だった。