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第1303回
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平成30年4月13日(金)公表

日本放送協会第1303回経営委員会議事録
(平成30年3月27日開催分)

第1303回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1303回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成30年3月27日(火)午後1時30分から午後5時15分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  石 原  進 森 下 俊 三 井 伊 雅 子
    槍 田 松 瑩   小 林 いずみ 佐 藤 友美子
    堰 八 義 博   高 橋 正 美 中 島 尚 正
    長谷川 三千子   村 田 晃 嗣 渡 邊 博 美
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  上 田 会 長 堂 元 副会長 木 田 専務理事
  坂 本 専務理事 児 野 技師長 根 本 理 事
  松 原 理 事 荒 木 理 事 黄 木 理 事
  大 橋 理 事 菅   理 事 中 田 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

付議事項

 

1 監査委員会報告(資料1)(資料2)

 

2 議決事項

 (1) 平成30年度暫定収支予算、事業計画及び資金計画の認可申請について

 (2) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 

3 報告事項

 (1) 平成30年度国際放送等実施要請への回答について(資料)

 (2) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (3) 平成30年度各地方向け地域放送番組編成計画の一部変更について(資料)

 (4) 契約・収納活動の状況(平成30年2月末)(資料)

 (5) スーパーハイビジョン公開施設(仮称)建設用地の借用について(資料)

 (6) 新富山放送会館の整備方針・概要について(資料)

 

4 その他事項

 (1) 平成30年度営業目標値・営業経費計画値について(資料)

 

 

議事経過

 

 石原委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 (石原委員長)
 本日は村田委員が経営委員会に初めてのご出席となります。ごあいさつをいただきたいと思います。
 (村田委員)
 同志社大学、村田でございます。3月から経営委員に加えていただきました。前回は海外出張で参加できませんで、今回初の参加でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1302回(平成30年3月13日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成30年3月30日に公表することを決定した。

 

 

1 監査委員会報告(資料1)(資料2)

 (高橋委員)

 監査委員会から放送法第39条第5項に基づきまして、監査委員会の活動結果について報告いたします。
 報告の対象期間は平成29年12月25日から平成30年3月25日までです。この期間中に出されました四半期業務報告に記載された業務、および、期間中に生じた事象で、監査委員が必要と認めた業務を対象に監査を行いました。報告書は、監査委員会において監査実施計画に従って、「Ⅰ 業務監査」、「Ⅱ 会計監査」、そして「Ⅲ 監査委員会の活動」の3つのパートで構成しています。本日は、「Ⅰ 業務監査」のうち重点監査項目を中心に説明いたします。
 重点監査項目の1つめは、「内部統制の推進およびリスクマネジメントの取り組み」です。2ページをご覧ください。
 名古屋放送局の営業職員が受信料を着服した事案につきまして、営業統括理事は、「これまでも不祥事の度に再発防止策をとってきたが、今回は改めて業務全般を見直し、外部の指摘も取り入れて不正を予防する観点からの対策も強化した。地道にコンプライアンスを徹底し、信頼回復を図っていきたい」との認識を示されております。
 コンプライアンス統括理事は、「新次元のリスクマネジメントでは、働き方改革を進めるため、勤務管理のシステム化から取り組んでいく。新たに導入するシステムとNHKの事務処理のルールを適合させ、場合によっては効率化の観点からルールを見直すことも検討する」との認識を示されております。
 情報システム・セキュリティー統括理事は、「2020年に向けて地域放送局のセキュリティー対策も進めていく。いくつかの放送局で対策を進めると傾向が分かってくるので、実態調査がすべて終わるのを待たずに先行して対策を打つなど、できることを着実に進めていく」との認識を示されました。
 会長は、「公共メディアへの進化と言っても視聴者の信頼があってのことであり、改めて職員一人一人に、職業倫理や自分たちが負っている責任の自覚を促したい。情報セキュリティーやシステムについては、放送を届けるという根幹の業務にほころびが出ないよう細心の注意を払っていく」との認識を示されました。
 監査委員会は、受信料の着服問題を受けて、協会が改めて示した再発防止策を実効性のあるものとし、受信料をめぐる不祥事を根絶することを強く求めます。受信料はNHKの経営の根幹であり、役員ら経営幹部が受信料をめぐる問題は組織全体として取り組むべき課題であるという共通認識を持つことも重要であり、監査委員会は引き続き、協会の取り組みを注視してまいります。
 また、協会が新たに情報通信技術も導入したリスクマネジメントの取り組みを始めることは、今後のガバナンスのあり方を考える上で大きな試金石となるため、課題を検証しながら着実に前に進め、働き方改革の取り組みなどと連動させていくことが必要であると考えます。
 IT統制については高度化、巧妙化するサイバー攻撃に対処するため、新たに構築したセキュリティー体制を検証して進化させていくことが必要であり、そのためには、専門知識を持った人材の育成も欠かせません。
 監査委員会は、協会がこれらの課題に対応し、NHKグループ全体のリスクマネジメント、内部統制をさらに向上させるために、内部監査機能を一層充実させることも必要であると考えます。
 重点監査項目の2つ目は「グループ経営改革の取り組み」です。4ページをご覧ください。
 関連事業統括理事は、「関連団体の業務の見える化による委託業務の見直しの進捗を踏まえて、グループ全体の要員について、重点的に割り当てるところとそうでないところを見極め、組織や職種を越えてシフトすることが必要だ。ガバナンス強化については、一般財団法人も含めた関連団体が自律的に監査できる仕組みをつくっていきたい」との認識を示されました。
 技術統括理事は、「NHKメディアテクノロジーとNHKアイテックの統合では、より高度なシステム開発などに取り組んでもらうことが必要であり、本体が組織のフォーメーションを示したうえで、新たなメディア環境に対応できる体制を構築していく。ガバナンス強化の仕組みを統合後どのように運用するかも重要であり、本体の所管部局も含めた体制のもとでしっかりと統制をとっていく」との認識を示されました。
 会長は、「NHKグループの業務内容や財源について本体と関連団体に共通の項目を設定して分類し、経営資源配分の現状を把握する。グループ管理会計の仕組みの検討を進め、連結ベースでの経営資源の合理的な再配分につなげていきたい」との認識を示されました。
 監査委員会は、NHKメディアテクノロジーとNHKアイテックの統合につきまして、NHKグループが新たな技術業務に対応できる体制を構築するとともに、高度な技術力と専門性を維持・継承することが求められるほか、ガバナンスの充実、強化も重要であると考えています。協会がこうした統合のねらいをどのように実現していくのか注視してまいります。
 また、監査委員会は、グループ経営改革において、働き方改革を進めつつ最適な業務体制を確立するためには、まず本体が業務改革を断行し、グループが進むべき方向性を示すことが重要であると考えており、協会がどのように対応していくのか注視してまいります。
 3つ目は「新たなメディア環境への対応状況」です。業務の執行状況は5ページから6ページをご覧ください。
 放送統括理事は、「本放送に向けて4K・8Kコンテンツの制作は順調に進んでいる。ピョンチャンオリンピックで試行したロボット実況やバーチャルリアリティーを活用したサービスなどの取り組みをしっかりと検証し、2020年には最高水準のサービスを展開したい」との認識を示されました。
 技術統括理事は、「4K・8K本放送に向けて、設備整備やBSの帯域再編は順調に進んでいる。受信方法については、正しい情報を分かりやすく伝える必要があり、放送サービス高度化推進協会と連携して周知をさらに進めていく」との認識を示されました。
 経営企画・ネット展開統括理事は、「10月から実施した『試験的提供』の結果を踏まえ、引き続き、民間放送事業者をはじめとする関係者と情報を共有しながら、利用者の利便性の向上に向けて取り組みを進めていく」との認識を示されました。
 会長は、「ピョンチャンオリンピックでの試験的提供などを通じて、インターネット活用の利便性が多くの人々に実感されるようになってきたと感じている。メディア環境の変化にあわせて、インターネット展開に関わる意思決定とサービス開発を迅速に行うため、来月には放送総局内にデジタルセンターを設置する」との認識を示されました。
 監査委員会は、4K・8Kの本放送に向け、協会のさらなるコンテンツの充実を図り、放送サービス高度化推進協会と連携して受信方法などの周知活動を加速させるとともに、受信機などの開発状況を的確に捉え、円滑な放送開始に万全を期していくか注視してまいります。
 また、協会がピョンチャンで蓄積したノウハウや試行的な取り組みの結果を踏まえ、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、新しい技術を生かしたサービスの開発や効率的な業務フロー、実施体制などの具体的な検討を早急に行い、働き方改革を進めつつ、最高水準の放送・サービスの実現にどのように取り組んでいくか注視してまいります。
 4つ目は「国際発信力」の強化についてです。8ページをご覧ください。
 国際放送統括理事は、「『NHKワールド JAPAN』への名称変更により日本の公共放送であることを明確にし、テレビ、ラジオ、インターネットを含めたブランドとして確立していきたい。英語による災害情報や緊急ニュースのプッシュ通知は各国大使館から高い関心が寄せられ、今後、ほかの言語にも広げていきたい」との認識を示されました。
 会長は、「在日、訪日外国人の安全確保に資することは、公共放送ならではの役割であり、プッシュ通知の周知が、結果として国際放送の認知度向上にもつながることを期待している。また、ビデオオンデマンドやSNSを活用して、多言語化にも積極的に取り組んでいく」との認識を示されました。
 監査委員会は、名称変更によって日本発の国際放送であることを広くアピールすることは「NHKワールド JAPAN」の訴求力を高め、認知度を向上させる上で重要であると考えております。また、日本を訪れる外国人の安全・安心に寄与するサービスを充実させることは、国際社会に向けて協会が果たすべき責務であること。さらに、さまざまなジャンルのコンテンツで多様化するニーズにきめ細かく応えていくことや、さまざまなメディアを駆使してサービスを提供することで利用者のさらなる拡大を図り、国際発信力を強化することが重要であると考えております。監査委員会は、協会がこうした課題にどのように取り組んでいくのか注視してまいります。
 5つ目は、「地域改革プロジェクト」についてです。9ページをご覧ください。
 放送統括理事は、「全国の放送局が地域の情報や文化の拠点の役割を果たせるよう地域サービスを充実させていく。新年度から本格化する県域放送の強化では、パイロット局をはじめ全国の放送局から提案が出てきている。その成果に期待したい」との認識を示されました。
 地域改革プロジェクト統括理事は、「地域改革を進める組織体制を強化し、働き方改革やグループ経営改革とも連動させていく。パイロット局の取り組みの成果や課題を全国の放送局で共有し、地域の放送・サービスをより一層、充実させていく」との認識を示されました。
 会長は、「地域改革を進めるためには、全国の放送局がそれぞれの地域の特性に応じて、試行錯誤しながらもチャレンジしていくことが大事だ。そうしたチャレンジを評価することで、改革をさらに前へ進めたい」との認識を示されました。
 次期経営計画では「多様な地域社会への貢献」が重点方針の1つとして掲げられており、NHKが目指す“公共メディア”実現のためには、地域放送局の取り組みも大きな鍵となります。監査委員会は、協会がそれぞれの地域の特性や視聴者のニーズを踏まえながら、どのような地域サービスを展開していくのか注視してまいります。また、地域改革と働き方改革、グループ経営改革の3つがうまく機能し合うことが必要であり、グループ全体でどのように取り組みが進められていくのか注視してまいります。
 6つ目は「放送センター建替」についてです。10ページをご覧ください。
 新放送センター業務統括理事は、「業者選定プロセスにおいては引き続き情報管理の徹底と公平性・透明性の確保に努めていく。また、事業継続を確実にするため、代替施設の確保や配置などについて一定の方向性を固めていく」との認識を示されました。
 会長は、「4月の業者選定に向けて、情報管理のレベルを一段と引き上げて対応している。事業継続のための代替施設の確保など、経営として意思決定すべきことは、適時適切に判断していく」との認識を示されました。
 監査委員会は、業者選定に向けての手続きの最終局面を迎える中、協会が情報管理の徹底を図り、高い公平性や透明性、客観性を確保して手続きを進めていくかを注視してまいります。また、事前作業の安全管理や事業継続への対応が、適切に行われているかについても注視してまいります。
 最後は、「働き方改革の取り組み」についてです。11ページをご覧ください。
 報道担当理事は、「働き方改革を進めるには意識改革が重要だ。選挙報道でも具体的に業務のあり方を見直すといったことが、全体の意識改革につながると思う。単に仕事の量を減らすのではなく、集中と選択で仕事の質を落とさないよう進めていきたい」との認識を示されました。
 制作担当理事は、「管理職によるきめ細かい勤務管理で例年より休みが増えたなどの成果も出ている。番組制作を委託している関連団体や外部のプロダクションでも編集日程を延ばすなどの見直しを行い、NHKだけでなく放送業界全体で働き方改革を進めなければならない」との認識を示されました。
 人事・労務統括理事は、「働き方改革は一過性のものではなく、継続的に見直しをしなければならない。メディア自体が変化してきている中で、現在の業務形態が本当によいのかを考え、働き方を柔軟にしていく必要がある」との認識を示されました。
 副会長は、「働き方改革は進めていく。公共放送の使命は果たさなければならない。各現場で実効性のある具体策を作ることが重要だ」との認識を示されました。
 会長は、「働き方改革は最優先の経営課題だ。NHKの業務は多岐に渡っており、現場、現実を踏まえて進める必要がある。改善策をひとつでもふたつでもまずは実行に移すことが大事で、そこで見えた課題を改善し実行するという『正のサイクル』が回るように経営トップとしてかじ取りをしていく」との認識を示されました。
 監査委員会は、協会が働き方改革をさらに進めている中で、労働基準監督署から記者の勤務時間などに関して見直しを求める指導があったことを重く受け止めなければならないと考えています。記者の専門業務型裁量労働制は、働き方改革の中で重要な施策のひとつであり、勤務制度をどのように運用していくのか注視してまいります。また、監査委員会は働き方改革を進める上で、職員はもちろんグループで働く人たちがその目的や内容をきちんと把握し、納得感を持って取り組んでいくことが大切だと考えています。それぞれの職場で始まった取り組みとともに、協会が今後、どのような具体的施策を打ち出してグループ全体の働き方改革を進めていくのか注視してまいります。
 12ページから14ページには、「その他の主な監査項目」として、「次期経営計画の策定」、「Jアラート速報の誤配信」について記載しております。詳しくは報告書をご覧ください。
 14ページ以降の「Ⅱ 会計監査」、「Ⅲ 監査委員会の活動」についても、報告書をご覧ください。
 以上が活動結果報告書の主な内容です。
 続いて、平成30年度監査委員会監査実施方針につきまして報告します。この実施方針は来年度の監査委員会の監査の基本的な方針を示したもので、昨日3月26日の監査委員会で決定いたしました。
 内容は大きく4項目あります。「重点監査項目」、「実施内容」、「意見書の作成および活動結果報告」、「年間監査計画」です。平成29年度と内容は変わりません。そのうち「重点監査項目」と「年間監査計画」につきましては、別途定めることとします。
 平成29年度の監査活動全体のまとめは、ことし6月の意見書に集約されますので、この2項目はそれを踏まえて7月に報告したいと考えております。
 監査委員会からの本件に付する報告は以上です。
 最後に、選定監査委員による子会社管理の状況の報告についてご説明いたします。
 監査委員は昨日、協会による子会社管理の状況につきまして、関連事業統括の黄木理事から報告を受けております。
 報告は内部統制関係議決の中の、「会長は監査委員会が選定する監査委員に対して定期的に子会社の管理の状況を報告する」という規定に基づき報告を受けております。
 平成29年12月末からことし3月までの主な取り組みとしまして、前回と同様、ビジョン・価値観の共有促進、グループガバナンス強化、グループ全体の業務効率化・管理高度化の3つの項目に分けて報告がございました。また、グループ経営改革の分野別進捗につきましても説明がございました。ポイントを絞ってご報告いたします。
 まず1つ目、ビジョン・価値観の共有促進につきましては、5回目となる会長と関連団体トップとの懇談会を開催し、NHKの次期3か年経営計画に合わせ、各団体が策定した中期経営計画概要を団体トップから報告の上、グループ経営に関して意思疎通を図っています。また、3月7日には拡大働き方改革推進委員会が開催され、NHK本体から会長、副会長、各理事、本部関係部局の局長、関連団体からは社長、理事長が出席され、グループとして働き方改革の推進と課題検討などを行ったとのことです。
 2つ目は、グループのガバナンス強化です。
 外部の公認会計士による監査役、監事の就任を30年度も拡大する準備を進めていることや、平成30年度から経営目標に働き方改革の項目を追加し、その進捗を評価することにしたとの報告がありました。また、NHK内部監査室による調査は、予定していた関連公益法人など9団体とNHKプラネットの支局・支社の全団体で終了したこと。規模の小さい団体の内部監査機能を支援するため、シェアードサービスのような形で内部監査支援が行えないかも検討を進めていることなどが報告されております。
 3つ目が、グループ全体の業務効率化と管理高度化です。
 まず、見える化については年々対象業務を広げ、今年度は、委託以外の調達などのNHK取引と関連団体間の取引も対象にしたことで、関連団体のすべての取引を「見える化」したとのことです。また、これまではタテの所管部局が自局以外の支払いデータを把握していなかったため、本年度はNHK側の支払いデータをまとめてタテ部局で共有することで、サポートする体制も強化いたしました。その結果を踏まえ、現在、契約や業務の見直しが進められているそうです。
 「見える化」全体の課題と今後の方向性につきましては、関連団体の負担感と重複感の解消、グループ全体の財務管理の精度向上を図るため、平成30年度から「見える化」の報告と区分経理決算報告を一体とすること、今後は「見える化」の取り組みはグループ管理会計の整備の一環として進めていくことが報告されました。こうした管理を行うことで、受信料が効率的に使えているか、外部からの仕事で赤字を出していないかどうかなどをチェックできるようになるとの説明でした。
 次に、グループ経営改革の分野別進捗についてです。
 まず、NHKメディアテクノロジーとNHKアイテックの統合検討につきまして、1月に両社の社長を委員長とするMT・アイテック統合推進委員会および各業務の実務者を含めた検討部会、作業部会を設置し、今後の進め方を確認。各検討部会の検討状況を共有していること。また、両社の役員クラスもお互いに理解を深めるための勉強会を開くなど交流は進んでいること。統合日までに実施することを整備し、優先順位をつけて対応していくよう進めていることなどが報告されております。
 報道分野につきましては、NHKグローバルメディアサービスが札幌などで地域支社を整備し、映像、取材、管理業務の受託を開始する予定であるとのことでありました。
 このほか、番組制作分野、イベント分野、管理分野においても地域の業務支援を強化する観点から、課題と対応の方向性を議論し、具体的な検討を進めていることが報告されております。
 以上が執行部から監査委員会の報告の概要です。協会による子会社管理の状況につきまして監査委員会は、今後もおおむね四半期ごとに報告を受けたいと考えております。

 

 

2 議決事項

 (1) 平成30年度暫定収支予算、事業計画及び資金計画の認可申請について

 (大橋理事)

 平成30年度暫定収支予算、事業計画及び資金計画の認可申請についてご説明いたします。
 NHKの平成30年度予算が事業年度の開始日までに国会の承認を得ることができない場合、経常的な事業運営に支障を来さないように、放送法第71条の規定に基づいて、暫定予算を総務大臣に認可申請いたします。ただし、本日議決をいただきましても、申請の時期につきましては会長が諸情勢を判断の上、決定いたします。また、この議案の決定には本予算の国会承認を解除条件として付しまして、本予算が国会で承認されれば効力を失うことといたします。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 ※「平成30年度収支予算、事業計画及び資金計画」が、3月23日衆議院、3月30日参議院にて承認されたため、本議決は失効した。

 

 (2) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (木田専務理事)

 中央放送番組審議会委員について、次のとおり委嘱を行いたいと思います。つきましては、定款第66条第2項の規定により、経営委員会の同意をお願いしたいと思います。新規委嘱が3人、再委嘱が1人です。
 新規委嘱のお一人目は、自治医科大学学長の永井良三氏です。資料の2ページに永井氏のご経歴があります。東京大学を卒業後、医学の第一線で活用してこられ、現在は地域医療を担う人材の育成にご尽力されております。
 お二人目は、日本パラ陸上競技連盟副理事長の花岡伸和氏です。花岡氏のご経歴は資料の3ページにございますが、高校3年のときに事故で車椅子での生活を送ることになって車いす陸上を始め、アテネとロンドンのパラリンピックではマラソンで入賞という好成績をおさめました。現在は、日本障害者スポーツ協会の理事なども務められ、パラスポーツの普及・振興にご尽力されています。
 それから、3人目は日本テニス協会専務理事の福井烈氏です。福井氏のご経歴は資料の4ページです。テニスプレーヤーとして第一線でご活躍された後、オリンピック日本代表の監督やコーチを務めたほか、日本テニス協会や日本オリンピック委員会の要職にもつき、後進の指導やスポーツ振興にご尽力されています。また、長年、NHKのテニス中継の解説もご担当していただきました。
 再委嘱は、全日本金属産業労働組合協議会顧問の西原浩一郎氏です。
 皆さん、いずれも4月1日からの任期となります。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

3 報告事項

 (1) 平成30年度国際放送等実施要請への回答について(資料)

 (荒木理事)
 放送法第65条には、総務大臣がNHKに対して、放送する区域や事項を指定して、テレビとラジオの国際放送を行うよう要請できる規定があります。毎年この時期に要請が行われています。要請にあたって、総務大臣は、NHKの放送番組の編集の自由に配慮しなければならないとされています。NHKは、要請に応じる努力義務がありますが、番組編集の自由に抵触するおそれがある場合には、要請に応じないこともあります。
 平成30年度のラジオ国際放送とテレビ国際放送の実施要請については、3月2日付で総務大臣からNHK会長に通知がありました。4月1日付で正式な要請がある予定で、同日付で要請への回答を文書で提出するよう求められています。このため、要請への諾否の検討を進めてまいりました。検討の結果、実施要請について応諾することとしましたので、報告させていただきます。
 要請の内容と諾否の判断理由について説明します。まず、Ⅰ ラジオ国際放送についてです。要請の内容は平成29年度と変わりありません。下線部にありますように、これまで同様、1 放送事項の(2)に「北朝鮮による日本人拉致問題に特に留意すること」という文言が含まれています。
 次のページをご覧ください。Ⅱ テレビ国際放送についてです。こちらも平成29年度から変更はありません。3 その他必要な事項の(3)に、テレビ国際放送の多言語化についての取り組みにかかわる記載があります。下線部にありますように、平成29年度と同様、「多言語化に向けて、必要な取組に努めること」となっています。
 次のページをご覧ください。諾否の判断理由について説明します。まず、ラジオ国際放送です。要請の「放送事項」に、平成20年度から平成29年度までの要請と同じように、「北朝鮮による日本人拉致問題に特に留意すること」が含まれていますが、拉致問題については、NHKは報道機関として、これまでも自主的な編集判断を行ったうえで、一貫して必要な国際放送を適宜適切に実施してきたこと、および、このNHKの基本方針は、今後も変わらないことから、今回の要請を応諾した場合でもNHKの番組編集の自由を確保できると判断されることから、応諾することとしました。
 次に、テレビ国際放送です。多言語化に向けた取り組みとしては、スペイン語字幕を付与する実証実験を国の予算も使って行ってきましたが、平成29年度からNHK予算のみを使って行っています。また、平成29年度より、多言語によるVODサービスを本格的に始めるなど、多様な取り組みを進めています。このため、今回要請を応諾した場合でも、NHKの番組編集の自由を確保できると判断されることから、応諾することとしました。
 最初のページにお戻りください。総務大臣から正式な要請があれば、次のとおり回答することにしたいと思います。議案のうち、点線の四角で囲んでいるのが総務大臣への回答文の案です。
 「平成30年度におけるラジオ国際放送およびテレビ国際放送の実施要請については、応諾します。」
 正式な回答は4月1日に行います。

 (長谷川委員)

 この要請では、ラジオ放送、ラジオ国際放送についてのみ「北朝鮮の拉致被害者についての特別な配慮」と書いてあり、テレビ放送にはそれがないのですが、その理由としては、基本的にそれについては放送の基本方針としていつも組み入れているからという理解でよろしいでしょうか。テレビ放送には、それについての文言がないから特別の配慮をしない、ということではないと理解してよいですか。

 (荒木理事)

 はい、そうしたことはありません。北朝鮮による日本人拉致問題は、NHKが自主的な編集権のもとで、きちんと取り上げるべき課題だと認識しておりますので、引き続ききちんと取り上げていきたいと思っています。

 

 (2) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (石原委員長)

 報告事項(2) については、特段の質問等がなければ、資料配付のみで報告に代えさせていただきます。

 

 (3) 平成30年度各地方向け地域放送番組編成計画の一部変更について(資料)

 (石原委員長)
 報告事項(3) については、特段の質問等がなければ、資料配付のみで報告に代えさせていただきます。

 

 (4) 契約・収納活動の状況(平成30年2月末)(資料)

 (石原委員長)
 報告事項(4) については、特段の質問等がなければ、資料配付のみで報告に代えさせていただきます。

 

 (5) スーパーハイビジョン公開施設(仮称)建設用地の借用について(資料)

 (木田専務理事)
 2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会では、8Kサービスの中核となるスーパーハイビジョン公開施設の建設を計画しています。この施設は、大会終了後は公開型スタジオとして改修を計画しています。
 これらの建設用地として利用する国立代々木競技場敷地の一部の土地賃貸借について、施設の管理運営を行っている独立行政法人日本スポーツ振興センターと交渉を進めてきました。このたび交渉が合意に達したことを受けて、正式契約締結について報告します。
 物件の所在地は、東京都渋谷区神南二丁目1番1号です。面積は、2,642.55平方メートルです。借用期間は、2019年4月1日から2023年3月31日までの4年間です。借用料は年額9,030万円で、月額に換算すると752万5,000円です。

 

 (6) 新富山放送会館の整備方針・概要について(資料)

 (大橋理事)

 現在の富山放送会館は昭和41年度に建設され、52年が経過しています。
 新富山放送会館の用地取得につきましては、昨年4月にNHKと富山県との間で基本合意書を締結し、現富山放送会館土地と旧富山中央警察署土地を交換する協議を進めています。これと並行しながら、新会館の機能や規模について具体的な検討を重ねてまいりました。このたび整備方針・概要がまとまりましたので、本日ご報告の上、会館建設に向けて進めてまいりたいと考えています。
 通常は用地取得後に新会館整備について経営委員会にお諮りしておりますけれども、本件につきましては、一旦県から土地を有償で借用して新会館の工事を始め、運用開始後に土地交換をする手順になっていますので、土地の賃貸借や土地交換を行う際には、改めて経営委員会にお諮りしたいと考えています。
 2ページ目の基本コンセプトをご覧ください。新富山放送会館の整備にあたって、4つの項目を掲げております。1点目は、「災害に強い放送局」です。富山の市街地は、市内を流れる2つの大きな川の破堤による洪水や、呉羽山断層による地震の危険性が指摘されています。こうした大規模な自然災害が万が一発生した場合であっても、安全・安心情報を発信し続けられる放送会館を建設します。2点目は、「富山県の魅力や情報を発信する拠点」。3点目は、「周辺環境と調和する環境に優しい会館」。4点目は、現会館でも実現されている「風通しのよい”オールワンフロア“職場」の実現です。放送機能をワンフロアに配置して、スムーズな意思伝達を可能にするものです。新富山放送会館では、これらを柱に整備を進めてまいります。
 3ページ目に、新会館の概要を記載しております。新会館の概要ですが、敷地面積3,651平方メートル、床面積は5,090平方メートルです。階数は地上3階程度とし、2022年度の完成を目指します。建設費は、建物が31億円程度、放送設備は24億円程度を見込んでいます。新会館の運用開始後に土地を交換しますが、その際に発生する差金の見込みは0.8億円程度を、それから、交換までの土地賃借料は、借用期間の合計で1.3億円程度を見込んでいます。建設方式は、NHK単独で建設するものです。
 この表の下の会館の主要機能をご覧ください。防災・機能強化では、河川の氾濫による洪水に備えるため、建物1階の床レベルを地盤面から1メートル程度かさ上げするとともに、防水板や防水シャッターを設置します。建物は免震構造とし、2系統受電、100時間運転可能な自家発用オイルタンク、それから中継車両用の軽油を1,000リットル程度備蓄できる設備なども整備します。放送センター機能とともに局長室や放送管理事務室などの管理機能についても同じフロアで一元的に配置し、迅速な意思決定ができるようにします。それからニューススタジオは100平方メートル、1層を確保し、18時台などのローカル番組などに対応していきます。汎用スタジオは、隣接配置する汎用スペースなども活用し、公開番組や選挙開票速報などには一体となった運用ができるようにいたします。視聴者交流機能としては、視聴者交流の場であるハートプラザは200平方メートルとし、8Kの対応の大型ディスプレイ、番組公開ライブラリーなどを設置して、情報発信の拠点としての役割を果たしていきます。鉄塔につきましては、放送会館と各放送所をつなぐ無線回線や、非常用放送設備を整備するため、地上60メートル程度の高さとします。その他の事項としましては、太陽光発電設備の設置や、省エネシステムの導入、環境に優しい放送局とするとともに、バリアフリーについても高位の基準を目指してまいります。
 5ページ目、主な機能と面積をご覧ください。新会館と現会館の機能別の面積を記載しています。新会館の全面積は5,090平方メートルとなっており、この面積は新会館の標準面積の考えに基づき算出しています。
スケジュールをご覧ください。2018年度に設計者選定に着手し、2019年度に基本設計で各室のレイアウトやデザインなどを決め、さらに詳細な実施設計を行います。その後、2020年度に建築工事を開始し、2022年度に建物完成、続けて放送設備を整備し、運用を開始します。そして、新会館の運用開始後、県と土地交換を行います。なお、県との交渉により、旧会館建物を解体し、更地で土地交換する場合には、翌年度の2023年度になる予定です。
 最後のページに、移転用地の位置を添付しました。昨年4月、基本合意書を締結する際にもご説明いたしましたが、赤で示した場所が移転予定地になります。駅や市役所、県庁などにも近く、業務上好適な環境にある商業地域に建設されることになります。

 

 

4 その他事項

 (1) 平成30年度営業目標値・営業経費計画値について(資料)

 (松原理事)

 平成30年度の営業目標値及び営業経費の計画値について、報告します。
 まず、1ページをご覧ください。営業目標値について説明します。
 ご承知のように、平成30年度の予算事業計画では、契約総数増加20万件、未収削減4万件、衛星契約増加46万件としています。通常、予算の事業計画と営業目標値は同じ数値としていますが、平成30年度については、4月から契約総数で、有料から無料となって、2万件の契約総数の減少となる社会福祉施設への免除の拡大、平成31年2月からは、同様に契約総数で21万件の減となる奨学金受給対象などの学生への免除といった、受信料の負担軽減策を実施することとしています。特に奨学金受給などの学生への免除については、21万件の影響がありボリュームも大きく、また免除の適用を開始するのが年度末の第6期、2月となっています。仮に事業計画どおりの契約総数増加20万件で営業目標を設定すると、第5期までの目標進捗率が200%近くとなり、第6期に免除の適用が発生して100%に下がるという構図になります。このような目標達成率で推移した場合、各局センターの目標管理が分かりにくくなるということがあります。このため、営業目標値は便宜上、負担軽減策を考慮せずに、契約総数増加で43万件、未収削減で4万件、衛星契約増加58万件と設定した上で、目標の進捗管理を行っていきます。ただ、実際には、契約総数増加では23万件、衛星契約増加では12万件の免除の適用が発生することから、営業目標値を達成すれば、結果として平成30年度の予算事業計画で設定している契約総数増加20万件、衛星契約増加46万件を達成できるという仕組みになります。
 次に営業経費計画値ですが、まず目標を達成するために必要な法人委託、地域スタッフの訪問要員の経費を全国の各局営業センターに配分した計画値です。331億円を配分します。
 2ページをご覧ください。営業目標値の配分の考え方です。
 30年度に営業目標値として設定した契約総数43万件と、同じく1年間で削減する未収数4万件の、合計47万件が支払数の増加目標となります。
 配分の考え方としては、まず1点目は、すべての都道府県で推計の世帯支払率が向上するように配分しています。現在支払率が高いところもすべてアップするように配分しています。
 2点目は、平成29年度末で推計の世帯支払率が全国平均を下回る見込みの7つの都道府県に対しては、全国平均の向上値である0.9ポイントから、少なくとも0.1ポイント以上は上回るように配分しています。
 衛星契約増加目標58万件ですが、これもすべての都道府県で契約総数に占める衛星契約の割合が向上するように配分しています。
 3ページをご覧ください。全国平均の向上値を上回る目標値を配分した7つの都道府県となります。
 平成30年度末の見通しをご覧いただくと、すべての都道府県で全国平均の向上値の0.9ポイントよりも0.1ポイント以上高い値になるように設定しています。
 営業目標の説明は以上ですが、最後に、営業関連データ等の経営委員会報告について、報告します。
 平成30年度の営業関連データ等の報告については、営業経費の進捗に関する報告事項を新たに追加するとともに、従来の報告事項についても簡明化した上で報告させていただきます。
 新設する報告事項として、営業経費の進捗状況について、訪問要員、文書等対策費等、項目別のデータを、年6回報告します。
 それから、従来の報告事項の見直し部分についてです。契約・収納活動の状況は、引き続き年12回、毎月報告いたします。契約現在数と衛星契約割合、および年間支払数増加については、四半期ごとに年4回だったものを、6回に増やして報告いたします。営業関係指標については、支払数や衛星契約割合、営業改革の取り組み状況等、ほかの報告との重複内容も多いため、報告事項としては廃止させていただきたいと思います。営業改革推進委員会の取り組みについては、これまで年2回報告をしておりましたが、データの変動が少なく、中でも経費に関する報告については、新たに先ほどご説明した営業経費の進捗状況において年6回報告するため、項目を削除した上で、年1回の報告とさせていただきたいと思います。最後に、先ほど説明しました営業目標値・経費計画値については、来年度も引き続き年1回、3月に報告します。

 (石原委員長)

 経営委員会としても、営業活動の透明性・説明責任の向上のため、次期経営計画の経営委員会見解でも示したとおり、支払率83%をはじめとする営業目標と、営業経費率縮減の確実な達成に向けて、ただいまご説明があった内容での報告をお願いします。

 (松原理事)

 分かりました。

 (石原委員長)

 また、営業現場におかれましては、引き続きコスト意識を持って営業活動にあたっていただきますよう、よろしくお願いします。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成30年4月10日    

石 原  進

 

 

高 橋 正 美