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第1126回
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平成22年10月15日(金)公表
  ※4 その他 (1)平成23年度予算編成の課題とスケジュール は平成23年2月10日公表

日本放送協会第1126回経営委員会議事録
(平成22年9月28日開催分)

第1126回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1126回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成22年9月28日(火)午後1時45分から午後3時50分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  小 丸 成 洋 安 田 喜 憲 石 島 辰太郎
    井 原 理 代   大 滝 精 一 勝 又 英 子
    北 原 健 児   倉 田 真由美 幸 田 真 音
    竹 中 ナ ミ   浜 田 健一郎 深 谷 紘 一
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  福 地 会 長 今 井 副会長 永 井 技師長
  金 田 専務理事 日 向 専務理事 溝 口 理 事
  八 幡 理 事 大 西 理 事 今 井 理 事
  黒 木 理 事 塚 田 理 事 吉 国 理 事

 

 

<場   所>
放送センター 21階役員会議室

 

<議   事>

 小丸委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1125回経営委員会(平成22年9月14日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成22年10月1日に公表することを決定した。

 

付議事項

1 監査委員会報告(資料)

 

2 議決事項

 (1) BSデジタル放送に係る委託国内放送業務の開始及び廃止について(資料1)(資料2)(資料3)

 (2) 日本放送協会放送受信規約の一部変更について(資料1)(資料2)(資料3)

 

3 報告事項

 (1) 「NHK受信料制度等専門調査会」の設置について(資料)

 (2) 視聴者対応報告(平成22年7・8月)について(資料)

 (3) 契約・収納活動の状況(平成22年8月末)(資料)

 (4) 財政の現況(平成22年8月末)(資料)

 (5) NHK文化祭2010について(資料)

 (6) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 

4 その他

 (1) 平成23年度予算編成の課題とスケジュール(資料)

 

 

議事経過

 

1 監査委員会報告(資料)

 (井原委員)
 平成22年4月1日から9月27日までの監査委員会の活動をご報告いたします。報告する内容は、大きく分けて2点です。
 1点目は、定例といえます、平成22年度第1四半期業務報告についての監査結果報告です。2点目は、特別のこととして、7月13日に大相撲名古屋場所の中継中止の対応を確認するため、福地会長に対して報告を求める申し入れを行いましたので、その結果を報告します。
 まず1点目です。資料をご覧ください。監査委員会は、放送法第23条の4に基づく役員の職務執行に対する業務監査の一環として、「平成22年度第1四半期業務報告」を査閲し、本部の部局長から記載された内容について聴取し、その上で会長、副会長ならびに理事にヒアリングを行いました。ヒアリングは平成22年度の監査委員会の重点監査項目および「平成21年度業務報告書に添える監査委員会の意見書」の中で付記した事項をもとに、下記の課題3点を中心に行いました。
 1つ目は、2011年の完全デジタル化およびBS2波化に向けた執行状況とその課題、2つ目は、経営資源の最適配分等に資する「トータル管理」に向けた取り組みとその課題、3つ目は、最適なグループ経営に向けた取り組みとその課題ですが、その結果は以下のとおりです。
 まず、2011年の完全デジタル化およびBS2波化に向けた執行状況とその課題については、業務報告の中に、完全デジタル化について主に送信側で順調に進められているものの、受信側では進ちょくに遅れがあり、対策の必要な項目もあることが記されておりますが、会長以下執行部からは、今後の調査結果も踏まえながら、BSアナログ視聴世帯への対策も含め、迅速で柔軟な対応をしていくとの方針が示されたことを聴取しました。また、BS2波化に伴うテレビ4波のそれぞれの役割については、さまざまな点を考慮し、議論していく考えであることを聴取しました。
 このことから、監査委員会としては、今後特に次の点に注視して監査を行います。南関東地域のアンテナ問題やビル陰共聴、集合住宅のデジタル化などの受信側へのNHKの支援策およびデジタル化に伴う新たな難視に対する取り組み等、完全デジタル化への進ちょく状況、またBSアナログ視聴世帯のデジタルへの移行については、確実に対応すべきNHK固有の課題でもあると認識し、今後の取り組み状況を注視します。
 2つ目の経営資源の最適配分等に資する「トータル管理」に向けた取り組みとその課題については、業務報告の中で「22年度行動計画」を取りまとめ、その具体化を図っていくと記載されていますが、会長以下執行部から、放送総局、営業局、建設計画のうち、対象となる項目の費用対効果が数値化できるように進めており、今後、「トータル管理」で作成したデータを経営の有効な指標としていきたいとの考えを聴取しました。監査委員会としては、今後、この取り組みが平成23年度の予算編成の議論にどう組み入れられていくのか、とりわけトータル管理展開事務局とそれぞれの主管部局との連携が一層重要になってきており、関係部局を含めた総体としての取り組みがどう進められていくのかについても注視していきます。
 3つ目の最適なグループ経営に向けた取り組みとその課題については、会長以下執行部から、グループ経営の全体課題を整理・検討する「推進事務局」を立ち上げ、その構成部局である経営企画局、関連事業局、編成局、総務局、経理局を中心に、横串の通った検討に入っているとの現況を聴取しました。また、放送分野では、会長、関連事業担当理事、放送担当理事、放送関連の6子会社社長等で定期的に課題を議論し合う場がスタートしており、その他の分野も同じ仕組みを考えていることについても聴取しました。
 監査委員会としては、「平成21年度業務報告書に添える監査委員会の意見書」の中の付記事項に記載したとおり、グループ経営の組織的な検討状況について注視してきましたが、今回のヒアリングを通じて、最適なグループ経営に向け組織的に動き出していることを確認しました。今後、放送分野における進ちょく状況とともに、全分野でこうした取り組みが進められていくことを注視し、監査を行います。
 その他、現経営計画に基づく職務執行についての理事ヒアリングの中で、目標達成についての検証と同時に、目標設定についての検証が重要であるとの意見を聴取しました。監査委員会としても、PDCAをより充実させ、今後本格的に始まる次期経営計画の議論をより有効なものにするためにも、その検証について注視していきます。
 次に、2点目の大相撲中継放送についてです。この問題の経緯はご案内のとおりですので、資料の2の(1)をご覧ください。この状況に対して、監査委員会はこの(2)に示しているように対応しました。すなわち、監査委員会は、名古屋場所での「異例中の異例」とする執行部の放送中止の対応を確認するため、福地会長に対し報告を求める申し入れを7月13日に行いました。それ以降、今回の大相撲中継の中止と再開に至る経緯ならびに大相撲中継の放送権料に関して、会長や放送担当理事にヒアリングを実施するとともに、担当部局に説明を求め、関係する書類・資料を査閲するなどして、この(3)の事項を次のように確認いたしました。
 1つ目の大相撲中継の中止と再開については、これまで経営委員会で会長からご報告をいただいている内容と同じですが、それぞれの時点での反社会的勢力に対する相撲協会の対応や視聴者の反応などを総合的に判断して、最終的に会長が決定したということです。
 次に、大相撲中継の放送権料について確認したことは2点にまとめています。1点目は、放送権料の契約のプロセスについてであり、2点目は、権料そのものについてです。
 前者の大相撲中継の放送権料の契約のプロセスは、多段階で判断し、決定する仕組みになっています。すなわち、まずは直接の放送現場を担当するスポーツ部と切り離されて4年前につくられたスポーツ業務監理室が中心になって交渉にあたり、報道局長や放送担当理事など、各段階の役職員がそれぞれの立場でチェックして承認、最終的には会長が判断して決定するということになっています。したがって、現契約もその手続きに沿って結ばれたものです。なお、大相撲の契約には、相手方の同意がなければ内容を公表できない秘密保持条項が盛り込まれていることを付言します。
 後者の大相撲中継の放送権料は、会長以下執行部が視聴者の意向や公共性を判断基準にして交渉し、スポーツ全体の放送権料の枠組みの中で決められています。スポーツ全体の放送権料については、その高騰への対応を執行部で議論し、経営委員会からの要請もあって、平成21年度予算から上限を定めるシーリングの考え方が取り入れられています。なお、平成21年度は、その枠組みのもと、NHKは大相撲を含め37競技の中継を行っています。
 会長以下執行部はそれぞれの放送権料が合理的なものであるよう、時代状況や社会環境の変化を見ながら、各スポーツの放送権料の検討・見直しを継続して行っており、今後も一層取り組みを進めていく旨が示されました。
 以下資料に、この間の監査委員会の開催状況ならびにヒアリングの実施状況を記載しています。ご覧いただければと思います。以上でございます。

 (小丸委員長)

 石島監査委員ならびに浜田監査委員、何か補足はありますか。

 (石島委員・浜田委員)

 特にありません。

 

2 議決事項

 (1) BSデジタル放送に係る委託国内放送業務の開始及び廃止について(資料1)(資料2)(資料3)

 (日向専務理事)

 資料をご覧ください。ご案内のとおり、BS放送もアナログが平成23年7月24日で廃止されて、BS放送が2波になるということを申し上げていますが、それに伴い総務省に対して、新しいBSハイビジョン2波の放送の開始と、標準テレビ2波とハイビジョン1波の現行BS3波の放送終了について申請をしたいと思います。
 新BSハイビジョン2波については、委託国内放送業務ということで、その中身については、1つは衛星系の広域性、経済性、大容量性および高品質性を生かした情報の提供を行う総合放送、もう1つは外部の事業者の企画・制作能力を放送番組に活用し、過去の優れた文化の保存、ならびに新たな文化の育成および普及を促進することを目的とする総合放送という2つの放送を行いたいと思います。委託先は、株式会社放送衛星システム、希望する人工衛星は東経110度の静止衛星、希望する周波数はBS−15ch、開始の予定期日は平成23年4月1日です。
 廃止のほうですが、平成23年4月1日をもってBS−15chで実施している現行のBSデジタル放送3波に係る委託国内放送業務を廃止する予定です。
 議決をいただければ、平成22年10月8日までに総務省に申請し、12月8日をめどに電波監理審議会に諮るという手続きになっています。以上、ご審議をよろしくお願いいたします。

 (小丸委員長)

 別紙の説明をお願いします。

 (日向専務理事)

 今の計画では平成23年4月1日に新しい放送を開始しますが、アナログ放送は7月24日まで続けていきます。そして現行のデジタル3波の放送ですが、4月1日より新デジタルBS1、新デジタルBS2に切り替わります。これに伴って、アナログの現行7ch、11chは新デジタルBS1、新デジタルBS2のサイマル放送となります。7月24日まではデジタル、アナログとも両方が並行して同内容の放送を行うということになります。7月24日以降はアナログがなくなってデジタルのみということになります。4月1日は金曜日で、通常、新年度の編成は3月末から4月1日前後になりますが、今回、4月1日金曜日から金、土、日と開局に当たっての特集編成を行って、新BSについては4月4日から新年度の定時編成という形を現在考えていますが、まだこれは検討中ですので、参考までにお伝えします。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (2) 日本放送協会放送受信規約の一部変更について(資料1)(資料2)(資料3)

 (大西理事)

 日本放送協会放送受信規約の一部変更について、議決事項として提出させていただきます。議案の1枚目をご覧ください。
 今回提出した受信規約の変更は、衛星デジタル放送における契約案内メッセージの表示に伴う内容であり、施行日は平成22年12月1日としています。本議案についてご審議の上、議決いただけましたら、総務大臣に認可申請を行います。その後、電波監理審議会に諮問、答申を受け、総務大臣の認可を得ることで受信規約が変更されます。
 契約案内メッセージの表示については、平成21〜23年度NHK経営計画に記載するとともに、既に今年1月に視聴者の皆さまから意見の募集を行っています。その結果についても3月に公表しています。
 参考資料1をご覧ください。意見の募集の実施とその結果については、経営委員会にも既にご報告させていただいていますので、報告した資料をもとに改めて契約案内メッセージの運用についてご説明させていただきたいと思います。参考資料1の2枚目以降の公表検討案をご覧ください。契約案内メッセージを表示する基本的な考え方は、現在、衛星デジタル受信機を設置した方に対してメッセージを表示していますが、この設置確認メッセージの消去連絡をいただいた後、ご契約をいただけていない方に対して効率的かつ効果的に衛星契約をお願いするため、新たに契約案内メッセージを表示するというものです。公表検討案の2枚目をご覧ください。具体的な内容としては、最初の消去連絡をいただいてから、1か月程度契約案内メッセージを表示する前に、視聴者の皆さまから自主的なお届けを受け付けるとともに、訪問等によりご契約のお願いをする期間を設定します。所定の期間を過ぎてもご契約のお届けをいただけない場合、改めてはがきや電話等によりご契約のお願いをするとともに、ご契約のご連絡がない場合には契約案内メッセージを表示する旨のご案内をします。それでもなお、ご契約のお届けをいただけない場合、「ご契約のお届けをお願いします」といった趣旨のメッセージを現在の設置確認メッセージと同様に画面の左下隅に表示します。対象の方からご契約のご連絡をいただいた場合、速やかにメッセージを消去します。
 契約案内メッセージの内容に伴う影響と効果ですが、支払者数の増加については、年間約1.5万件を見込んでいます。受信料収入の増加については、衛星契約数の増加に伴い、年間約1億円の増収を見込んでいます。運用経費としては、連絡体制の費用等で年間約5千万円の経費が必要になると見込んでいます。以上が契約案内メッセージの内容となります。
 議案にあります具体的な受信規約の内容の変更についてご説明させていただきます。「日本放送協会放送受信規約」の変更内容をご覧ください。現在、設置メッセージの表示について規定している規約第7条に契約案内メッセージに関する規定を追加します。まず、現行の設置確認に限定した見出しについて、わかりやすく「メッセージの表示」に変更します。第1項、第2項については、設置確認メッセージということを改めて明確化するために「設置確認」という文言等を追加しています。第5項については、受信契約を締結しない場合、契約案内のメッセージを表示できることを規定しています。第6項については、契約を締結した場合は、契約案内メッセージを表示しない措置をとることを規定しています。最後に、付則の第1項の施行期日については、平成22年12月1日に改めます。受信規約の変更については以上です。ご審議のほどよろしくお願いします。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

3 報告事項

 (1) 「NHK受信料制度等専門調査会」の設置について(資料)

 (金田専務理事)

 本日の理事会で決定した「NHK受信料制度等専門調査会」の設置についてご報告します。資料をご覧ください。1枚目が概要です。2枚目が委員をお願いする8人の学識経験者の一覧です。3枚目がNHK受信料制度等専門調査会の規程です。
 1枚目、NHK受信料制度等専門調査会を設置する目的と位置づけについてご説明します。来年7月に地上テレビ放送がデジタル放送に完全移行し、衛星放送とあわせてテレビはフルデジタル時代を迎えます。NHKの衛星放送は2波になり、難視聴対策の役割もなくなります。こうした節目の時期をとらえて、受信料制度やその運用のあり方などについてきちんと論理的に整理することを考えています。また、現在の3か年経営計画では、受信料体系全体の総合的な検討を行うことを明記しています。執行部が方針を検討する際の材料を提供いただき、次の経営計画の策定に資することも大きな役割と考えています。NHKの定款第59条では、「会長は、業務の執行に関し諮問するため必要と認めるときは、学識経験を有する者によって組織する委員会を置くことができる」と定めています。受信料制度というNHKの根幹にかかわる事柄を検討していくことから、定款に基づく会長の諮問機関と位置づけています。次に、検討内容ですが、(1)については今ご説明したとおりです。(2)は、放送法の改正案は先の国会で廃案になりましたが、いずれ抜本的な改正も想定されます。多様な端末やプラットフォームを経由してコンテンツにアクセスすることが可能になってきた状況を踏まえて、公共放送の役割を中期的な視野でお考えいただこうと思っています。(3)は、独立行政法人とも民間企業とも異なるNHKの特性にふさわしい会計制度などについて、より説明責任を果たすことができるよう、知見をいただきたいと思っています。開催の日程は、今年10月の下旬に第1回会合を開き、月1回程度の会合を開催し、来年6月ごろをめどに最終報告をまとめていただきたいと考えています。
 2ページ目の別紙に8人の構成員の先生方を五十音順に記載しています。会計や経済の専門家が3人いらっしゃいます。荒井准教授、安藤教授、山内教授です。安藤教授は金融庁の企業会計審議会の会長を務めておられます。山内教授は、「視聴者視点によるNHK評価委員会」の委員もお願いしています。また、法律関係の研究者が4人いらっしゃいます。大久保教授は競争法、齋藤教授は行政法、宍戸准教授は憲法、山野目教授は民法というように各分野の専門家にお願いしました。宍戸准教授は、NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の委員もお願いしています。社会心理学がご専門の安野准教授は、日本社会の中でNHKに期待されることなどを調査も交えてご議論いただけたらと思っています。
 3枚目は、調査会の規程ですのでご覧ください。ご説明は以上ですが、この調査会の設置は受信料制度に関係するさまざまな課題を専門家の知見によって総括的に整理していただくことが主眼です。受信料額や経営方針にかかわることを具体的にご提案いただくことは想定していません。報告書の内容は最大限尊重して、次の経営計画を策定する際の参考にしますが、経営にかかわる重要な方針に関しては、あくまで執行部の判断において行い、最終的には経営委員会の議決によるものと認識しています。

 (大滝委員)

 調査会の設置についてはもちろん賛成ですが、検討内容の3番目の会計制度について、特に受信料制度とのかかわりの中でこの問題を取り上げていることの意味をお聞かせください。今のご説明によると、これまでもいろいろ経営委員会の中でも議論があったように、NHKの会計制度そのものが一般にはなかなかわかりにくいということや、外部に公表したときにNHKそのものの構造が見えてこないということなどがあったかと思うのですが、この受信料制度との脈絡の中で会計制度を特に検討するということに、何かもう少し深い意味があるのでしょうか。

 (金田専務理事)

 ご承知のように、企業会計にはいわゆる管理会計と財務会計がありますが、NHKの財務会計は独自の部分もあります。NHKも連結決算のご説明は強化する方向にありますが、予算についてはNHK単体で立てています。管理会計の部分は、財務会計と相互に関係があります。従来の検討の積み重ねの中で受信料制度を見直す際には、管理会計をベースにして、中長期的に今後目指す方向の中で、今までの方法や、その他視点も踏まえて検討いただいて、知見をいただこうと思っています。決めていただくということではなく、いろいろな形での知見をいただければと思っています。そのことを踏まえて、全体的に説明責任のレベルを一段と上げていくということを考えています。

 (深谷委員)

 ご説明の中で、難視聴対策の役割や責任がなくなるというような表現がありましたが、その意味を確認させてください。

 (金田専務理事)

 来年度の新しい2つの衛星波には、難視聴対策のための放送がなくなります。難視聴対策には、新たにセーフティネットという形で措置が別途とられていますので、そちらのほうでカバーするということです。従来は衛星第2で、地上テレビ放送の番組を放送することで難視聴対策を担ってきましたが、それがなくなるという意味です。

 (深谷委員)

 わかりました。

 (井原委員)

 専門調査会における検討内容として、会計制度のあり方が入っていることに関してですが、NHKにおける会計制度については、今後いろいろとご検討をいただかなければいけないと思います。そのことは大変大きな課題だと思っていまして、今回も専門の先生方がお入りになることは、大変有意義なことだと思うのですが、現在、執行部の中で会計に関する既存の委員会として、経理制度検討委員会があり、今後、NHKに求められる会計制度等を検討していかなければいけないということも伺っております。その委員会との関係がどのようになるのかということを伺いたいと思います。特に、今回の委員には経理制度検討委員会のメンバーもいらっしゃいますので、2つがうまくリンクをすればよいと思います。伺うというよりは、ぜひいい形でリンクさせて、成果をご期待しますと申し上げたほうがいいのかもしれません。

 (金田専務理事)

 そのことを考えて、お願いをしたということだとご理解いただければと思います。経理制度検討委員会は、実務的にいろいろご検討いただいて、第三者的立場からいろいろなご意見をいただいています。その知見を踏まえた上で、会長の諮問委員会であるNHK受信料制度等専門調査会で議論いただき、知見として上げていただくということを考えています。もちろん、その間に齟齬(そご)があるとか、いろいろな意見が出ることはあるかもしれませんが、先生方の知見でありますので、政策決定や意思決定ということとは違い、収れんするものと理解しています。

 (井原委員)

 ぜひそのあたりをご配慮いただければありがたいと思います。若干それにかかわることかもしれないのですが、委員をご紹介いただきましたように、まさにさまざまなご専門の学識・見識豊かな先生方で構成されていますが、このNHK受信料制度等専門調査会の検討内容に対して、それぞれの専門分野から、どのような観点からかかわって、どのように収れんしていこうとされているのかを、もう少し具体的にご説明いただけるとありがたいと思います。そのイメージはどのように理解すればよろしいでしょうか。

 (金田専務理事)

 1つ具体的な例で言いますと、経営委員会の中でも、「NHKは、なぜ受信料の免除を行うのか」というご質問がありました。私たちとしては引き続き免除は考えていき、割引ということもあり得るのだろうと思っていますが、その理論的な整理などは、1つの法的な立場だけではなく、いろいろな立場、社会学的な立場も含めて、大所高所からいろいろな意見をいただくということに意味があるのではないかと思います。もちろん、それ以外についてもいろいろ考えていることはありますが、ここでは控えさせていただきます。

 (井原委員)

 わかりました。本調査会は先ほどご説明のように会長の諮問機関なのですが、その調査結果というのは、恐らく経営委員会における議論や判断にも大変有効なものだと思いますので、「視聴者視点によるNHK評価委員会」から経営委員会に直接ご報告をいただいて意見交換をさせていただいたようなことをご予定しているのでしょうか。そのような機会があればありがたいと思います。

 (金田専務理事)

 当然のことだと思いますので、そういう機会を設けさせていただきたいと思います。基本的には先生方の知見で、我々が迷う範囲を、ある程度整理していただくということです。選択肢を整理していただくというような調査会になるかと思いますので、経営委員会で報告するような機会を設けたいと思っています。

 

 (2) 視聴者対応報告(平成22年7・8月)について(資料)

 (今井副会長)

 今回は7月と8月、2か月分まとめてご報告します。まず資料の2ページをご覧ください。NHKに寄せられた視聴者の声の総数は、7月が39万0,119件、8月が39万6,288件でした。下の黄色と緑の棒グラフで分野別に分けていますが、放送番組への声は、8月が13万4,401件で6月の15万件を超えたときと比べると、2万件近く減っています。これは、大相撲の野球賭博問題、サッカーのFIFAワールドカップなどについてのお問い合わせ、反響などが落ちついてきたからと受け止めています。
 4ページは、7月の番組の中から、参議院選挙関連番組への反響をピックアップとしてまとめました。開票速報には633件の反響がありました。昨年の衆議院選挙、3年前の参議院選挙より少なくなっています。5ページをご覧ください。投票日の翌日、7月12日に放送した討論スペシャル「有権者の声にどうこたえる」は大変反響が多く、開票速報の反響にほぼ匹敵する619件の反響がありました。一番下に、性別、年代別などのグラフも掲げていますが、昨年の衆議院選挙後の討論スペシャルに比べて、60代と70歳以上の方からの反響の割合が多くなっているのが目立ちます。
 続いて、6ページです。8月のピックアップとして夏季特集番組への反響をまとめています。このうち、戦争関連番組については、300件以上の反響があった3つの番組について、7ページから8ページにかけて具体的に紹介しています。「爆笑問題の“戦争”入門」については408件の反響がありました。この中には、「同世代の爆笑問題が進行役をすることで戦争をより身近に感じることができた」といった声などが寄せられています。白黒の映像に技術的に色をつけてカラーにした第二次世界大戦の映像ということで、「色つきの悪夢」というタイトルを付けた「カラーでよみがえる第二次世界大戦」については731件の反響がありました。「カラー化された戦争資料の映像がリアルですばらしかった」「戦争についてもう一度自分自身に問う良い契機になった」といった声が寄せられています。8月15日に放送したNHKスペシャル 終戦特集ドラマ「15歳の志願兵」は、旧制愛知一中の決起集会で中学生が軍部によって軍国少年に変えられていった真実に迫る話をドラマにしたものです。反響は357件ありました。好評意見が多かったことが目立ちます。
 次に、9ページでは、戦争関連番組について視聴者からご意見や苦情が多く寄せられたケースを紹介します。1つは「広島平和記念式典中継」です。総合テレビと衛星第2テレビで、菅首相のあいさつが終わったところで中継を終了しました。この後の国連のパン・ギムン事務総長の演説は中継することができませんでした。このために、聞きたかったという苦情や意見が426件寄せられました。全体の番組編成の中で、例年どおり首相のあいさつまでで放送を終えるという判断をし、パン・ギムン事務総長の演説など、中継に入らなかったものについては後のニュースでお伝えしましたが、視聴者の方々の指摘を踏まえて、「今後は、視聴者からの要望を勘案して、より柔軟な編成を検討する必要がある」というNHKの考え方を示しています。下の段では、8月8日放送の「週刊こどもニュース」の広島の平和記念式典を伝えるニュースの中で、長崎に投下された原爆の映像を使っていたという指摘を受けましたので、訂正いたしました。
 10ページは、7月、8月で反響の多かった番組を上位から10番組、また、11ページには再放送希望の多かった番組をご紹介しています。7月は、視聴者の皆さまからの希望を受けて、NHKスペシャル「恐竜絶滅 ほ乳類の戦い」、ワンダー×ワンダースペシャル「ほぼ完全公開!東京スカイツリー」などを再放送しました。8月には、プロフェッショナル仕事の流儀「市川海老蔵スペシャル」、福山雅治さんが出演したトップランナースペシャル「福山雅治〜僕の一日夏休み〜」などを再放送しました。
 12ページでは視聴者からのご意見、ご要望にNHKがどう対応したかという事例として、「ためしてガッテン」を掲載しています。8月25日の放送で、しょうがを薄くスライスしたものを、電子レンジで加熱して乾燥しょうがを作るという調理法を紹介したところ、実際に放送を見て試した方たちから、「しょうがが燃えてしまう、うまく調理できない」という指摘が10件以上寄せられました。放送前の予備実験ではそうしたことがなかったために、このような事態になるとは想定していませんでしたが、その後の検証の結果、使うしょうがの分量、厚さ、水分量、電子レンジの機種などによって、加熱し過ぎることがあり、しょうがが燃える恐れがあることがわかりました。このため、「ためしてガッテン」と連動して同じ話題を取り上げた2日後の27日朝の「あさイチ」で、乾燥しょうがを作る際には天日干しをし、電子レンジは使わないよう注意を呼びかけました。次の週の「ためしてガッテン」の再放送では、電子レンジでの作り方のシーンをカットして、電子レンジを使わないよう呼びかけました。13ページではデータ放送についてのご指摘です。各地の最高気温が毎日のように取り上げられましたが、「ニュースの中では練馬区の最高気温が38.2度だったのに、データ放送で気象情報を出すと37.9度になっていて、データが違っているのではないか」というご指摘を8月17日の放送についていただきました。最高気温の表示は、ニュース、データ放送、ともに気象庁のアメダスで観測したデータをお伝えしています。しかし、このうち、ニュースでは全国の観測データのうち10秒間隔で観測した最高気温を使っているのに対して、データ放送では10分間隔で観測したデータを使っています。このため、観測の精度が異なっているということで、データ放送では多くの場合、最高気温が実際より低く表示されることがあります。ご指摘を受けて、今後、データ放送の最高気温・最低気温についても10秒間隔の観測データを使うことができないかどうか、システムの改修も含めて検討しています。下の段の「和菓子を引き立てるアジサイの葉、毒です」については、7月23日放送の「美の壺 夏の和菓子」において、放送後、「アジサイの葉には毒があるので、このような映像は使わないようにすべきだ」というご指摘がありました。ご指摘のとおり、食中毒が起きたこともあったことがわかり、番組では、指摘直後の再放送を取りやめて、その後の再放送では映像を差し替えて、アジサイの葉を使わないようにしました。
 14ページでは、7月62件、8月43件と、視聴者から厳しく誤記・誤読のご指摘をいただいています。誤記では、京都市には中央区がないのに、下京区を間違えて中央区と書いてしまうなどがあり、誤読の例としては、「おはよう日本」で、「くしの歯が欠けた」というところを「くしの歯が抜けた」とアナウンサーが表現していたことなどです。15ページでは、受信料関係のご意見、ご要望への対応です。7月は17万件余りで、前の月より3万5,000件ほど少なくなっています。8月は19万件を超えて、7月よりも増えています。こうした問い合わせをもとに業務改善に向けた取り組みとして、事務手続きに関する注意事項をまとめたDVDを全国の地域スタッフに見せて、事務処理関係の苦情を減らすように努めています。
 16ページ、受信相談に関する意見や問い合わせは、7月が2万2,300件、8月が2万3,300件です。この中では、地上デジタル放送の受信方法、テレビのリモコン操作などの技術相談が5,000件近くありました。17ページでは、放送の完全デジタル化まであと1年ということで、寄せられたご意見を紹介しています。7月5日からNHKと民放のアナログ放送のほぼすべての番組がレターボックス化されました。上下に黒い帯が出るということに対して、「画面の上下が黒くなって見にくい」といった苦情が、最初は非常に多く寄せられました。初日の7月5日は85件、それが1週間後の12日には35件、以後7月末までは1日10件から20件程度、8月に入ってからは1日10件以下と日を追って少なくなりました。また、完全デジタル化のちょうど1年前にあたる7月24日には、総合テレビで関連番組を集中編成しました。

 (井原委員)

 「意見・要望への対応」のところに関してですが、視聴者の皆さまからこのようなご指摘やご要望をいただいて、大変ありがたいことといつも伺っております。特に今回のご報告の中に、万一の場合は事故につながりかねないようなご指摘があります。電子レンジの調理法やアジサイの葉のことについては、やはりNHKとしてあらかじめ回避しておくべきだったのではないかという思いを強くしています。NHKの番組への信頼性を損ないかねないことではないかと思いますので、こういうことが二度と起こらないように、注意をするというよりはチェック体制を厳重に整備していただきたいと思います。

 (今井副会長)

 「ためしてガッテン」では制作段階で予備実験を行っていますが、予備実験に甘さがあったのかもしれません。今後は現場で気をつけるように、また、可能な限り、事前考査の段階でも指摘することができるようにしていきたいと思います。

 (日向専務理事)

 「ためしてガッテン」の場合は、以前からそういうことが起こり得ることが見通されているので、予備実験をしています。電子レンジというのは、ご存じのように、使い方によっては非常に危険なものです。この場合も天日干しを勧めているのですが、時間がない方のために、「電子レンジでもこういうことであればできます」という説明をしています。その説明のとおりであれば問題はないのですが、どうしても視聴者の方々が、その部分についてしっかりとチェックされないということもあるので、予備実験をして、危険がないかどうかといったチェックをしています。そういう意味では体制はできているのですが、電子レンジのような場合は、非常に予想しない使い方をされるという、いわゆるプロダクト・ライアビリティ(製造物責任)のような部分がありますので、難しい判断が必要な部分ではあります。今回はすぐに対応しましたが、チェック体制を万全にするということになれば、「電子レンジを使うのをやめなさい」と言うしか言いようがないのです。かなりしっかりしたチェックをして、予備実験もかなり行った上で放送していますので、体制そのものは決して齟齬(そご)があったとは思えないのです。危険が予想されるもの全てがだめだと私たちが率先することが本当にいいのかどうかという問題もあると思いますので、そこは慎重に考えるべきかと思います。

 (井原委員)

 私は番組制作において、「電子レンジを使うな」という趣旨で申したつもりではなく、「あなたが注意しなかったからこのようなことが起こったのです」とばかりは言い切れないのではないかと思いますので、可能な限り万全の注意をお願いしたいという意味で申し上げました。

 (幸田委員)

 少し逆の発想かもしれないのですが、概して日本人は最近、自己判断力や感度が鈍くなっているようにも思います。電子レンジは500ワットの機種もあれば800ワットのものもあり、多種になっています。そのような中では「自己の責任において判断し、適切に対応すべき」ということも、もっと言っていい時代が来ているような気がするのです。例えば、「このぐらいであれば大丈夫だけれど、このぐらいだと危険な場合もある」というように伝えるなどの方法もあるかと思います。あらゆる情報に対して受身的な社会になりつつあるので、その懸念も少し頭の隅に置いておかれればとは思います。

 (井原委員)

 注意喚起をどこまでやっていたか、ということが大切なのではないかと思います。さまざまなケースがあるので、「電子レンジ使用においては十分注意をしてください」というようなことをきちんと言ったかどうかだと思います。私は、万全の注意ということから、アジサイの葉を器に敷いたことは、やはりミスではないかと思いますので、このようなことは決して起こらないようにしていただきたいと思います。

 

 (3) 契約・収納活動の状況(平成22年8月末)(資料)

 (大西理事)

 8月末の契約・収納活動の状況について、資料で説明いたします。まず、放送受信契約総数の増加状況です。8月はご承知のとおり、観測史上例のない猛暑の中での営業活動になりました。「第3期総数プラス2万件活動」を全国で展開し、職員と委託契約収納員が一緒になって現場を走り回るなど、契約総数重点の業績確保に取り組みました。契約総数増加は、前年度同月を2.2万件上回る2.7万件となり、年間累計増加数では今年度初めて前年度同時期を上回る17.7万件となりました。なお、前年度同時期より0.4万件上回っています。また、委託契約収納員は前年度と比較すると、105名削減しましたが、1人当たりの生産性は102%に向上しています。契約総数取次数は、法人等、自主申出を含めた全体で前年度同月を上回る業績を確保しています。グラフは、契約総数取次と減少数、および有料契約から全額免除への変更数の、3か年の推移をあらわしています。契約総数取次数は、前年度同月と比較すると1.3万件増えています。前々年度と比較すると3.7万件上回る状況ですが、依然として有料契約から全額免除への変更は、21年度と比べても高位の数字が出ていますので、年度末まで注視していきたいと考えています。
 次に衛星契約の増加状況です。新規契約対策や受信機の買い替えによる地上契約から衛星契約への契約変更対策の強化などに取り組みました。8月の増加は前年度同月を1.6万件上回る6.5万件となり、年間累計増加数は34.1万件となりました。グラフは、契約総数同様、衛星契約取次数と減少数および有料契約から全額免除への変更数の、3か年の推移をあらわしたものです。衛星契約取次数は、委託契約収納員、法人委託等ならびに自主申出、いずれも前年度同月を上回っています。減少数と有料契約から全額免除への変更数は前年度同月を上回りました。
 3ページをご覧ください。収納額です。8月の当年度の収納額は509億円で、前年度同月比の増減額は7.2億円の増収となりました。年間累計の前年度同時期との比較では53.1億円の増収になっています。前年度は、事業所割引の増加や期ずれの影響などで大変厳しいスタートでしたが、今年度は、第1期、第2期に引き続き堅調な数字で推移しています。前年度受信料の回収額については45.7億円となりました。前年度同時期を1.1億円下回っていますが、前々年度以前の受信料の回収額は18.0億円となり、前年度同時期を7.9億円上回っています。

 (小丸委員長)

 8月は、契約総数においても非常に大西理事の取り組みの効果があり、よかったと思います。改めて感謝しています。引き続き、気を緩めずにお願いします。この「第3期総数プラス2万件活動」をもう少し詳しく説明していただけますか。

 (大西理事)

 これは、営業職員が自ら現場で活動して契約を取るとか、業績がなかなか確保できない委託契約収納員と一緒に取り組むなど、今までの平常時の活動にプラスした活動を行い、取次数計画より2万件プラスしようという活動を、全国で展開しているということです。この活動を8月にかなり進めた結果、大変暑い中でしたが、前年度同月を上回る取次数、増加数を確保することができています。残り2,3日で9月も終わりますが、引き続き全国の営業職員や委託契約収納員が一丸となって業績確保に向かって活動を展開しています。

 (小丸委員長)

 9月の足元もいいと見込んでいるのでしょうか。

 (大西理事)

 月末に雨が降り天候不順になっていますので、どのような結果になるかとは思いますが、見込みでは8月と同じ状況で頑張っているという報告をもらっています。結果がまとまりましたら、経営委員会で報告をしていきたいと思います。

 (福地会長)

 私も何局か営業の現場を回ってきましたが、モラールがものすごく高いです。あの暑い中で、委託契約収納員だけではなく営業の職員も一緒に回っていました。それはやはり、営業の職員が回るということが、ものすごくモラールアップに役立っています。そういった面では、私は、1か月の問題ではなくて、流れだと思います。今年はずっとそのような流れがあります。今までは上半期が終わらない時点で年間で最高を取れるだろうという予測はできなかったのですが、今は流れの中で、有料契約総数現在数3,700万件も突破しましたし、年間の目標も達成できるのではないかと思います。恐らくNHK始まって以来、過去最高の収納額も確保できるのではないかと思っています。9月の業績も含めて、8月の時点から来年の3月が確実には読めてはいないと大西理事は遠慮して言っていますが、1つの流れができていますので、私はいけるのではないかと思っています。それは非常に努力している成果だと思います。

 

 (4) 財政の現況(平成22年8月末)(資料)

 (金田専務理事)

 平成22年8月末の財政の現況についてご報告します。資料1ページをご覧ください。事業収入は、予算6,786億円に対して、2,841億円の収入です。進ちょく率は41.9%です。8月末の標準進ちょく率は41.7%ですので、少し上回っています。一方、事業支出ですが、予算6,847億円に対して、2,682億円の支出でした。進ちょく率は39.2%です。結果、事業収支差金が158億円の黒字となっています。受信料収入を中心に事業収入は、ほぼ順調に推移している一方、事業支出は、デジタル化経費など年度後半に支出が増加するものもあり、注意は必要でありますが、全体としては堅調に推移しています。事業収入のうちの受信料です。8月末の受信料の実績は2,730億円で予算に対する進ちょく率は41.7%です。地域スタッフや外部委託事業者等による契約・収納活動を強化していることや、デジタル機器の普及にともない衛星契約勧奨活動を強化したことなどにより、契約総数増加、衛星契約増加ともに前年同月の実績を上回り、順調に推移しています。副次収入ですが、8月末の実績は35億円です。予算に対する進ちょく率は33.9%と苦戦しています。映像商品の売上減や、出版不況等の影響を受けているということです。財務収入等は、前々年度以前受信料の回収額が増加していることなどにより、収入額は多くなっています。
 事業支出のうち国内放送費の8月末実績は1,143億円です。予算に対する進ちょく率は40.1%です。これまでに、サッカーのFIFAワールドカップ南アフリカ大会の放送や参議院議員選挙報道などの支出がありましたが、全体として堅調に推移しています。契約収納費は、8月末実績250億円で予算に対する進ちょく率は43.0%です。法人委託による契約・収納対策の強化や、未収者への文書対策の追加実施などにより、やや高い進ちょく率となっています。今後、進ちょくを注視する必要があると思っています。管理関係費の8月末実績は99億円で予算に対する進ちょく率は22.5%です。自主共聴デジタル化改修等の対策に係る経費助成については、審査を経て助成が決定するまで一定の期間を要することなどにより、支出額が少なくなっています。人件費の8月末実績は751億円で予算に対する進ちょく率は41.2%です。基準外賃金が予算での見込みより若干少なかったことなどにより、やや低い進ちょく率となっています。
 損益の状況です。比較損益計算書ですが、前年同月実績との比較で分析しています。経常事業収支差金では、受信料収入が増加している一方で国内放送費が、FIFAワールドカップ南アフリカ大会関連経費などにより増加し、管理関係費がデジタル化対応経費などにより増加していることなどから、前年同月と比べて2億円減少の169億円となっています。経常収支差金については、前々年度以前受信料の回収額の増加などから、財務収入等が12億円増加し、前年同月比で9億円増加の162億円となっています。この結果、事業収支差金は、10億円増加の158億円となっています。
 3ページは、参考ということで、主要事業支出項目の前年同月比較とデジタル化対応経費の執行状況を記載しています。前年同月比較事業支出の国内放送費、国際放送費、契約収納費について、それぞれの実績額と増加理由をご説明しています。デジタル化対応経費の執行状況は、建設費が予算400億円に対し8月末の実績は49億円で進ちょく率は12.2%です。事業費は、予算327億円に対し8月末の実績は66億円で進ちょく率は20.3%となっています。建設費の進捗率が12.2%と低くなっていますが、デジタル中継局の建設やNHK共聴のデジタル化などについて計画どおり順調に進んでいます。支払いがまだということです。事業費については、今後、共聴施設のデジタル化支援や新たな難視聴対策など、受信環境整備の支援や周知広報活動の推進のための支出を見込んでいます。
 4ページは、比較貸借対照表です。前年度決算額と今年度8月末との比較で分析しています。資産ですが、8月末の協会の総資産は8,899億円で、前年度決算額の8,533億円と比べ366億円増加しています。主な増減ですが、流動資産の現金預金・有価証券が350億円増加しています。固定資産の長期保有有価証券も95億円増加しています。一方、有形・無形固定資産については、減価償却額が取得額を上回り簿価が128億円減少しています。負債ですが、8月末で3,111億円です。前年度決算額の2,904億円に比べ207億円増加しています。そのうち受信料前受金が、契約総数・衛星契約の増加などにより、462億円増加しています。一方で設備整備費関係の未払金が減少していることなどから、その他の流動負債が290億円減少しています。この結果、純資産については、8月末5,787億円となり、前年度決算額の5,629億円に比べ158億円増加しています。自己資本比率は65.0%となっています。
 5ページです。放送受信契約に基づく収納すべき債権額である損益計算書上の受信料収入は、8月末時点で2,765億円となり、前年度同月比で42億円増加しています。これは、契約総数および衛星契約が増加していることと、未収が削減されていることによります。損益計算書の受信料収入から欠損償却額を控除した事業収支の受信料収入は2,730億円となり、前年同月比で45億円増加しています。8月末までに収納に至った受信料収納額は2,622億円です。前年同月比で53億円増加しています。順調に収納が進んでいるということです。そのため、9月以降、23年度末までに回収していく金額は、前年同月を7億円下回る108億円を見込んでいます。なお、5ページの右下に参考として、前年度、前々年度以前受信料の回収額を記載しています。いずれも順調です。前年度受信料については、今年度回収予定額58.8億円に対して、8月末実績で45.7億円を回収しています。また、前々年度以前受信料回収額についても、8月末実績額は18.0億円と順調です。

 

 (5) NHK文化祭2010について(資料)

 (日向専務理事)

 資料をご覧ください。これまで「NHK教育フェア」としていたものを、今年から「NHK文化祭2010」と改めました。これまでは、教育番組の祭典というイメージが少し強く、堅苦しいという感じもあったため、教養番組をはじめ、いろいろなNHKの文化的な試みなどを広く知っていただきたいということも含めて、「NHK文化祭」といたしました。イベントそのものは大きく変わっておりませんが、資料1ページ目の下段に囲って示していますように、恒例の「日本賞」、関連番組の特別編成、「アジア教育プロデューサー会議」、「NHKアジア・フィルム・フェスティバル」といったイベントがこの期間中に行われます。
 次に「NHK文化祭たいけん広場2010」について、幾つかご説明いたします。これは今年も放送センター正面玄関ロビー、正面広場などを使って行い、一部スタジオなども公開いたします。また、今年は4階正面玄関に3Dシアターを特設し、「新・三銃士」の3D作品などを上映いたします。前回は横浜で公開しましたが、その作品を中心に、3Dの体験をしていただくということと、実際に3Dカメラでご自分の姿を撮って、3Dで見ていただくということも考えています。それから、AR(拡張現実)という最近はやりの技術ですけれども、現実の映像に、それにかかわるデータや情報など付属の映像が合わさって見ることができます。例えば今いる場所の方角とか、この左側にかつては○○さんという有名な人のお墓があったとかという付加情報が加えられたものです。実は、実際に「ブラタモリ」という番組で実験をしており、例えば日本橋あたりで、現在の景観に昔の江戸時代の場所を映して、「ここは昔の○○さんという人の家だった」ということがわかるものです。それを実際に見ていただいて、体験をしていただくということです。また、恒例ですが、効果音の作成を自ら体験していただくというものもあります。それから当然のことですが、特に教育テレビを中心にいろいろな番組の公開収録がございます。その番組についてのPRも含めて行う予定です。あわせてこれも恒例ですが、10月30日、31日に「ふるさとの食・にっぽんの食」のイベントがございます。春にも開催していますが、秋も併催します。
 それから、「日本賞」ですが、今年は新賞を設立します。これは一昨年から、教育番組、放送番組だけではなく、広く、例えばゲームや、インタラクティブメディア等、いわゆるノンリニア作品も含めた教育コンテンツに対象を広げました。その中で、放送番組とノンリニア作品が一緒に競い合うというものです。放送番組のほうがこれまでの伝統もあり、目立つといいますか、どうしても放送番組が受賞してしまうということもあり、今年はノンリニア・コンテンツで一番優秀なものに授賞する「イノベイティブ・メディア賞(経済産業大臣賞)」を新設いたします。今、409作品がエントリーされており、ノンリニア・コンテンツは88本にのぼりました。作品応募は毎年増えておりますので、やはり教育コンテンツに関していえば、このノンリニア型のコンテンツのニーズが非常に高まっているという印象を持っています。この「日本賞」の授賞式は、10月27日水曜日に予定しています。
 そのほか、資料の最後のページですが、アジア・フィルム・フェスティバルとして、アジア各国で活躍する気鋭の映画監督の新作から、優れた作品を選んで上映いたします。アジアのいわゆるコンテンツ制作、映像文化の振興に寄与しようということで行っているもので、NHKふれあいホールで、10月23日、24日の2日間については、識者の解説も含めて上映する予定です。
 また、この文化祭に先立ってABU(アジア太平洋放送連合)の東京総会が10月14日から20日まで開催されます。今年はABUの総会に引き続いてNHK文化祭を開催するということになります。

 (石島委員)

 少し気になるという程度ですが、ARのことでお話します。AR、すなわちAugmented Realityは、最近の世界カメラなどでは、その場所のいわゆる位置情報と、例えば観光情報のようなものを組み合わせて、それで現実の世界の中に、データベースからそのデータを投影するというようなイメージでとらえられています。しかし実際には、もう少しシリアスなものも含まれており、例えば原子炉の補修のときに、原子炉そのものに、それを作ったときの設計図を、コンピューターを用いて投影することによって異常診断するなど、学問的には多分その方面から先に出発していったということがあると思います。ですので、何となくイメージですが、こういうイベントの中にも、そういう視点も含めていただくといいかなと思います。最近、ARで検索しますと、実はほとんどの研究論文はそういった方面です。ARをテーマとして学術的に研究している人たちのためにも、ARは何か軽いようなタッチのものばかりでは決してありませんので、少しその点もお考えいただければというお願いです。

 (日向専務理事)

 現場の担当者に伝えます。

 

 (6) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (日向専務理事)

 地方放送番組審議会委員として、5人の方に平成22年10月1日付で委嘱いたします。今回は、新規委嘱2人と再委嘱3人です。近畿地方で秋田光彦氏(浄土宗大蓮寺住職)、九州地方で豊田滋通氏(株式会社 西日本新聞社論説委員長)にそれぞれ新規委嘱いたします。秋田氏は「上町台地からまちを考える会」の代表理事をされており、非常にコミュニティーの活動に積極的に参加され、幼児教育についても造詣が深い方です。豊田氏は西日本新聞の論説委員長でいらっしゃいます。略歴は別紙のとおりです。また、中部地方で大林重治氏(のと共栄信用金庫理事長)、東北地方で佐藤令一氏(株式会社七十七カード代表取締役社長)、四国地方で渡部淳氏(財団法人土佐山内家宝物資料館館長)にそれぞれ再委嘱いたします。なお、関東甲信越地方の高山恵子氏、近畿地方の有田典代氏、中部地方の堀田あけみ氏、九州地方の田代俊一郎氏は、任期満了により平成22年9月30日付で退任されます。最後に、参考資料として番組審議会の委員構成、各委員のお仕事の分野等を記した構成一覧を用意しております。

 

 

4 その他

 (1) 平成23年度予算編成の課題とスケジュール(資料)

 (金田専務理事)

 「予算編成の課題とスケジュール」の説明に入る前に、まず、NHKの予算制度の仕組みをご説明します。予算につきましては、放送法第37条において「協会は、毎事業年度の収支予算、事業計画及び資金計画を作成し、総務大臣に提出しなければならない」と定められています。さらに、第2項で「総務大臣が前項の収支予算、事業計画及び資金計画を受理したときは、これを検討して意見を附し、内閣を経て国会に提出し、その承認を受けなければならない」こととされています。受信料の月額につきましても、国会が収支予算を承認することで定めるように規定されています。例年、総務大臣への提出は1月中旬であり、提出前に経営委員会で議決いただくことになります。本日は、早期に予算編成について議論していただくために、まず、平成23年度予算編成を始めるにあたっての予算編成の課題やスケジュールについてご説明します。
 それでは、1ページをご覧ください。予算編成を始めるにあたり、特に留意すべき課題を掲げています。23年度は、3か年経営計画の最終年度として、経営9方針を実践し、経営2目標の達成に向けて、全組織を挙げて取り組む重要な年度になっています。特に、23年7月のテレビ放送の完全デジタル化に万全を期す必要があります。そうした状況下で、効果的・効率的な予算を編成するために、下に掲げました、(1)収支構造、(2)受信料収入、(3)契約収納費と営業経費率、(4)デジタル追加経費、(5)BS2波化に向けた対応、(6)建設費の6つの課題について十分な検討を行いたいと考えています。これらの課題について、次ページ以降で詳しくご説明します。
 2ページをご覧ください。ここでは、経営計画と予算・決算を比較した「収支構造」を示しています。上段が経営計画、下段が予算・決算です。22年度予算の受信料は6,550億円で、経営計画と比較しますと90億円の減収としています。一方、コスト削減など効率的な業務運営による支出の抑制などで収支の改善を図り、2か年の収支を見ますと、予算・決算では、21年度が124億円の黒字、22年度はマイナス61億円の赤字予算ということで63億円の黒字になります。経営計画では、それぞれマイナス31億円、マイナス6億円ということでマイナス37億円の赤字予算であり、あわせて99億円の改善になっています。22年度の予算執行にあたっては、支出をさらに精査して、22年度収支差金の赤字をできるだけ圧縮させるよう努めています。こうした前提のもとに、23年度予算においては、受信料の増収とともに経費の圧縮を図り、事業収支差金は黒字へ転換するよう編成したいと考えています。
 3ページは「受信料収入」についてです。下の段に20年度以降の受信料収入の見込みを含む推移を示しています。22年度の受信料収入は今のところ、衛星契約増加、収納が順調なため、総数増加・未収削減の目標を達成できれば、予算の6,550億円への到達も可能と考えています。23年度の受信料収入は、22年度の受信料収入が予算を達成し、さらに経営計画で示した支払率75%を達成し、対前年度で160億円増収することを前提とすれば、6,550億円に160億円の増収、6,710億円となりますが、昨今の経済状況の低迷等による免除世帯数の増加や収納への影響をどこまで織り込むかが課題となるかと思います。さらに、アナログ放送終了に伴う受信料への影響の見極めも必要です。そうした状況をどのように読み込んで予算を編成するのか、検討が必要です。
 4ページをご覧ください。「契約収納費と営業経費率」です。受信料の支払率75%は、経営計画2目標の1つであり、その達成に向けて総数増加や未収削減を行い、受信料収入の確保に向けて取り組むことが必要です。一方で、契約収納活動の効率化に向け、新たな契約収納体制を構築するために、地域スタッフの削減や外部委託の拡大を進めています。訪問集金廃止に伴い、地域スタッフ数は21年度から23年度までの3年間で1,000人程度削減することとしています。支払率の目標を達成しつつ、いかに契約収納関係経費の削減を進め、営業経費率を縮減していくかが課題となります。検討にあたっては、営業施策の費用対効果の検証を行い、より有効な施策に財源を配分することが重要と考えています。
 5ページは、「デジタル追加経費」についてです。デジタル追加経費は経営計画において3か年で660億円としています。しかし、デジタル追加経費のうち、共同受信施設組合等への経費助成事業は組合からの経費助成申請の遅れ等により、当初のスケジュールから後ろ倒しになっていることもあり、経営計画の660億円を前提として21年度決算、22年度予算を考慮すると、23年度は317億円ということになります。一方で、22年8月に全国地上デジタル放送推進協議会から公表された「地上デジタル放送難視地区対策計画(第3版)」において、新たな難視世帯、つまりアナログ時代は見えていたのですが、デジタル化によって見えなくなる世帯が約22万世帯と特定されているという状況もあります。また、集合住宅共聴施設と受信障害対策共聴施設の対応が遅れています。23年度予算編成を進めるにあたっては、今回特定された新たな難視世帯への対策手法や対策時期について精査するとともに、未調査地区の今後の調査結果や受信環境インフラのデジタル化状況等を勘案したうえで、デジタル追加経費の規模を検討したいと考えています。
 6ページをご覧ください。「BS2波化に向けた対応」です。衛星放送は23年4月以降、現在のBSデジタル放送を再編し、2チャンネルの完全デジタルハイビジョンに移行する計画となっています。衛星放送の番組制作に係る経費は衛星放送番組制作費として集計しており、下の棒グラフの表が近年の衛星放送番組制作費の推移です。22年度予算は前年度から25億円少ない566億円としていますが、経営計画上では23年度にさらに10億円減らすことになっています。新しいBSのコンセプトは、真ん中にある表で示していますが、今までのBSから大きく変わることになります。BS2波化に伴い、衛星放送番組制作費予算をどうするのか、国内放送費全体の予算設計とあわせて検討していく必要があります。また、衛星放送の受信契約数は3波共用受信機が大幅に普及する中で伸びてきていますが、今後も衛星受信契約数を伸ばしていくためにどうしていくかということも課題であります。
 8ページをご覧ください。「建設費」についてです。22年度までは、地上テレビ放送の完全デジタル化に向けて送信設備等の地上デジタル設備に重点投資をしてきており、番組設備等の更新は先送りしてきました。その結果、設備の老朽化が進んでいることから、23年度は、中継車やスタジオ、ラジオセンター、ラジオ放送所などの先送りしていた設備の更新を増やしていくことが必要と考えています。また、右側の23年度に想定される主な事項において、青字で示しているとおり、経営計画策定後に新たに発生した事項や提案の増加が発生しています。この整備にも対応する必要があります。こうした整備を進めるにあたっては、投資効果の考え方を織り込み、競争契約の推進や仕様の見直し等、コスト削減を行うことにより、経営計画で想定した750億円規模への圧縮を図っていきたいと考えています。
 9ページは、「予算編成スケジュール」です。今後の予算編成に関する説明のスケジュールを記載しております。10月から3回にわたって、本日お示しした課題等について、個別に、より具体的にご説明します。10月12日は、受信料収入の状況について、22年度の見込みと23年度予算をご説明します。26日は、デジタル化に係る経費と、建設費についてご説明します。11月9日は、BS2波化に向けた対応と、人件費についてご説明します。人件費については、現時点で想定される課題を含めご説明します。11月24日の経営委員会では、予算編成方針をお諮りする予定です。予算編成方針では、予算編成の基本的な考え方と重要事項を主にご審議いただくことになります。12月7日の経営委員会では、予算編成要綱をお諮りします。ここでは、重点事項の柱立てとともに、重要な事項の予算をお示しして、この議論をもとに最初の予算書作成に取りかかることにしています。12月21日の予算編成についてでは、政府の交付金等の動きがあった場合に、それを予算に反映いたします。こうした議論をもとに、年明けの1月11、12日の経営委員会において収支予算、事業計画および資金計画を議決いただきたいと考えています。昨年度は1月12日、13日の経営委員会で議決いただき、総務大臣に予算書を提出し、国会の審議を経て、3月31日に22年度予算が承認されました。以上でご説明を終わります。

 (大滝委員)

 今ご説明いただいた中で、特に3ページの受信料収入のところが大きな課題ではないかと思います。先ほどからのお話のように、受信料収入そのものはかなり順調に伸びているということで、大変心強く思っているのですが、他方で、免除世帯の増加やアナログ放送終了の影響の見極めということをどの程度行うかということがとても難しいことと思います。この件については、この後もいろいろ議論が出てくると思うのですが、少なくとも一番右の棒グラフのところに示しているような要素について、今大体どんな見通しをお持ちなのか、それからリスクのぶれといいますか、幅がすごく大きいのではないかと思うのですが、今どの程度の幅を考えてリスクをお考えになっているかということについて、もう少しご説明いただければと思います。もし、もう少し情報として提供いただけるのであれば、われわれがいろいろなことをこれから考えていくときに検討しやすいと思いますので、よろしくお願いします。

 (金田専務理事)

 この部分は、経営計画を策定したときに「わからない」と言った状況から知見が新たに大幅に進んでいるという状況ではありません。そういう意味では、地上アナログ放送の終了によってどういうことが起こるかについては、確実な予想をすることは非常に難しい、という前提で来年度予算を作り、経営にあたらなければいけないと思っています。

 (安田代行)

 会長からも、受信料を職員・地域スタッフ全員が頑張って集めてくれたというご説明があったと思います。これに関して、平成21年度から23年度までの3年間で地域スタッフを1,000人程度削減するという計画ですが、訪問集金を廃止したことによって効果が出たのでしょうか。つまり、昨年よりも多く集金できているわけですが、訪問集金を廃止したために効果が出たのであれば、1,000人削減してもいいのですが、実際は訪問集金の人が頑張っているのではないのですか。そのあたりはどうなのでしょうか。

 (福地会長)

 これまでの訪問集金をなくして、訪問して契約の取り次ぎに回った、要するにパワーシフトしたことで効果があったのです。訪問集金というのは、パイは広がらないわけですけれども、訪問取り次ぎというのはパイ自体が広がります。パイが広がっても収納ができないものはもちろんあるわけですが、そういう部分は、民事手続きの適用を今は全国に広げましたので、そういった中で補っていく。この結果、パワーシフトが成功したのではないかと思っています。

 (安田代行)

 では、削減といっても、必ずしもその方たちが首を切られるわけではないわけですね。

 (福地会長)

 はい。削減にはなっているのですが、削減よりパワーシフトとご理解いただいたほうがいいと思います。

 (安田代行)

 「パワーシフト」に表現を変えたほうがいいですね。やはりNHKというのは国民の受信料から成り立っているわけですから、国民もそれに参加しているといった視点も考えなければいけないと思います。「3年間で1,000人程度削減して経営状態をよくする」といった表現は、確かに経営という視点から見たら当然のことなのかもしれませんが、私たちとしては、「訪問集金をしている人をこちらへパワーシフトしたことによって、より成果が上がった」といった表現に変えたほうが、国民が支えているNHKという意味が出るのではないかと思います。あまりに市場原理主義的に「削減した」とか「それで効果が上がった」と言われると、少しカチンとくる人もいると思いますので、配慮をお願いできればと思います。

 (大西理事)

 平成20年の9月までは、地域スタッフが直接、訪問集金のために全国を戸別に回っていたのですが、これをやめ、採用を抑制することによって、それに係る人員は削減してまいりました。訪問集金をしていたパワーを契約の取り次ぎや未収の対策にシフトしてきたわけです。それともう1つは、今までは個別の委託契約だったものを、地域をそのまま法人にお任せしてやっていただくことも行っています。法人委託では、当然そこには雇用も生まれてきます。今までやっていた仕事の流れを、訪問集金をやめることによって、人のパワーも、仕事のやり方も、大きくこの1年半あるいは2年ぐらいかけてシフトしてきているというのが現状です。また、営業経費率が高いということで、契約数を伸ばして収入を増やすのと同時に、経費も削減しなければいけないという相矛盾するような仕事を同時にやっているのです。これは皆さまからお預かりした受信料ですので、放送番組にいかに有効に、1円でもいい番組に投入できるかというのが私の責任だと思っております。パワーをシフトしながら効率的な営業を今目指しているということでございます。

 (小丸委員長)

 皆さんの営業努力によって、8月は受信料の契約総数が2.7万件増加しました。今後の経済情勢とか全額免除の増加を考えますと、最終的に計画値である35万件、今、会長がそのあたりは大丈夫かなということを言われましたけれども、早急なことは言えませんが、6,550億円の受信料収入は非常に厳しいのではないかとも思います。それから、平成22年度予算の受信料収入からせいぜい100億円程度が増収額として妥当ではないのかと思います。すなわち、平成23年度の受信料収入は6,650億円前後で想定しておくのが妥当ではないかと思いますし、さらにデジタル追加経費が後ろ倒しになって、23年度は317億円となっていることもあり、冒頭ご説明いただいた黒字予算への展開ということでは、厳しい予算の設定になると思います。6ページにありますように、国内放送費の平成22年度予算は2,848億円、経営計画では平成23年度2,838億円となっており、これを決算で見ると、平成20年度は確か2,726億円、平成21年度が2,746億円となっております。平成22年度がどのような決算の数字になるかわかりませんけれども、仮に23年度の国内放送費を21年度と同規模の2,750億円とすれば、現状の番組の質を落とすことはないだろうと思います。ただ、会長も少し懸念されているデジタル放送移行後の受信料収入がどうなるか、逆に支出面で1つ安心なことは、23年度は大規模なイベントがないということも、このページに出ているのですけれども、このあたりの予算の設定は非常に難しいと思うのですが、いかがでしょうか。

 (金田専務理事)

 具体的にどういう数字を置くかについては、今後議論させていただきたいと思います。「篤姫」をやっている最中にいつも思っていたのは、「『篤姫』が来年あったらな」ということでした。お金をかけたからといって必ず当たるわけではないのですが、すごくうまく、スマートにこなすような予算編成というのは、来年度は少し難しいのかなと思っています。7月の地デジ移行貫徹ということを、うまく越えられるようなことでリスクを減らすというサイドに強めに考えたいなと思っています。一方、黒字予算で組みたいという、これはまたこれで思いがありますので、そのあたりをどう落とし込んでいくかというのが、予算編成としては考えたいというところです。やはり来年度の番組は相当強めに、大河ドラマの「江」なんかは絶対当たってもらわないと困ります。間違いなく、今回「ゲゲゲの女房」などは、他の放送局が特集番組をやっていましたけれども、そのくらい、要するに社会現象になるぐらいの反響があって、やっと地デジがうまくいくのではないかということでいうと、できたら「篤姫」と「ゲゲゲ」が重なるようなことになるといいなと思っています。

 (小丸委員長)

 今回の朝の連続テレビ小説「てっぱん」も、産業も観光も非常にブームになるでしょうし、地元は期待をしていると思いますが、そのあたりいかがでしょうか。

 (福地会長)

 それはまだ始まったばかりですから。しかし、「だんだん」あたりから、朝ドラの評価が非常に上がってきました。それまでは各地の方々から、大河ドラマは「ぜひ地元を舞台にやってください」という声があったのですが、朝ドラは、ないことはなかったのですけれども、2年前ぐらいから非常に上がってきました。「てっぱん」もそうです。NHKが地域の活性化に貢献するというのは、このごろ随分と実感しています。「てっぱん」も、やはり大阪と尾道でヒットするのではないでしょうか。

 (安田代行)

 BS3波を2波に再編するという方針に関連して、今日も審議があったわけですけれども、そのことによって、結局、民放各社が経済状態も悪い、広告も入らない、けれどもチャンネル数は増えて番組をたくさん作らなければいけない。一方、NHKは、お話を聞いている限りは、それほど悪い状態でなく進めていくことができるのではないかと思うのですが、民放各局が、品質が落ちるなどして、NHKと民放の間で全体のバランスが崩れて、放送業界全体が落ち込む可能性もあるのではないかと思います。BS3波を2波にしたことの放送業界全体への影響というのは、必ずしもこの経営委員会で考えることではないのかもしれませんが、そのあたりはうまくいくのでしょうか。私は少し心配な感じがします。そういう影響はないのでしょうか。

 (福地会長)

 この問題については、私はNHKに来たときからそうですが、もう今は、民放とNHKの競争の時代ではなくて、まさに放送と通信の競争の時代だと思っています。それから、個別企業と個別企業の競争が、連結対連結の競争になってきて、今は産業対産業の競争になってきました。したがって今は、民放とどうということよりも、テレビ業界を全部含めて放送事業としてどう考えなければいけないかということだと思います。ですので、衛星放送のコンテンツを平成25年度までに編成比率で40%程度を外部で制作する、そういったコンテンツ制作能力を増やすということが大切ではないかと思います。

 (井原委員)

 個別課題として6点を挙げておられて、それはどれも極めて重要な課題だと思うのですが、今回はスケジュールを中心にご説明いただいたので、それとの関連を中心にご質問したいと思います。個別課題(1)の「収支構造」という項目は、スケジュールの個別課題のところには入っていないのですが、これは、スケジュールの「予算編成方針」のところで収支構造をこのように考えたいということでご検討されるということなのでしょうか。この「予算・決算と経営計画の比較」をどのようにとらえて、収支構造をどう考えて予算編成を検討するということは、極めて大切なプロセスだと思うのですが、スケジュールの個別課題に(2)から(6)までは入っているのに、(1)が入っていないのはなぜでしょうか。

 (金田専務理事)

 2ページの全体の収支構造の形ですが、これは各個別の案件を議論するときには必ず念頭に置いて、ここに置きかえながら議論いただくことになると思います。

 (井原委員)

 そうなのだと思います。ですから、これをもう少し私どもが理解できるような、そういうプロセスがあったらありがたいと思います。

 (金田専務理事)

 少し工夫してみます。いずれにせよ、議論の頭に個別の議論をするというように個別だけが入るのではなくて、必ずそれは全体を通じて議論いただくことになると思います。それでもって、議論を進めながら、最後に、全体にこのようにという提案をさせていただければと思います。

 (井原委員)

 それぞれの議論が、またここに返ってくるという形になると思います。個別課題等々がこの収支構造のどこに入り込んでいくかということが大事ですので、ぜひ、いい形に入れていただくようにお願いします。

 (浜田委員)

 素朴な質問なのですけれども、6ページで、要はBSが3波から2波になるということで、番組制作費が10億円減少になるとあるのですが、素人感覚では、2波になるわけなので、再放送があるにせよ、普通はかなり制作費関連が下がるのかなという気がします。10億円の減というのはどういう意味なのでしょうか。

 (金田専務理事)

 考え方は、基本的にはセーフティネットとして、衛星第2に入っている、いわゆる地上波で見られない方のために衛星波でお届けするというところがありまして、それにはほとんど制作費がかかりません。要するに、ほとんど再放送というか、地上波と同時再放送のような形です。ですから、今までいろいろな方から「NHKは再放送が多い」と言われるのは、BSと地上を両方見るなど、いろいろなケースが理由でそういった印象があったのですが、今回、それがなくなっただけですので、3分の2という計算にはならないのです。かなりの番組は、全部セーフティネットへ行きましたので、そういう意味では、フルに今度は2チャンネルをハイビジョンで作らなければいけないということです。

 (浜田委員)

 生産量はあまり変わらないということですか。

 (金田専務理事)

 生産の中身が全部ハイビジョンになりますし、量もそんなに、3分の2というようには落ちません。

 (日向専務理事)

 1度試算しているのですけれども、大体制作費ベースで20億円ぐらいの効果しかありません。60%が難視対策のために使われているので、その分はまずなくなります。それから、今のハイビジョンチャンネルというのは24時間放送をしていません。多分、今度の新BS1、新BS2は24時間になると思っておりますので、基本的にそれほど大きな制作量についての削減はありません。ただ、それとは別に、この前も石島委員がおっしゃっていましたけれども、1回放送して終わりという番組をどのぐらい作ればいいのかという問題が、一方では、要するにビデオオンデマンドの形で、1回いいものを作ったら、それを何回もみんなが好きな時間に見るというようなことがこれから増えていくと思います。そちらのファクターはまた別のファクターとして考えなければいけないと思うのですが、機械的に今物理的に計算をすると、20億円ぐらいの減となります。実際にはすでに22年度から、経営計画上、あるいは予算上もですが、衛星放送の予算を下げているのです。ですから、編成はいきなり23年度に変わるので、そこで一気に制作費を下げるというのではなくて、事前にもう22年度から、さらに言えばその前から準備をしていますので、それらが全部効いてきます。そういう意味では、逆に今問題になっているのは、衛星受信契約数を上げなければいけないというときに、そんなに制作費を下げてしまって本当にいいのかということです。その問題との兼ね合いのほうが重要かなという気がします。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成23年2月8日    

安 田 喜 憲

 

井 原 理 代