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第1088回
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平成21年2月27日(金)公表

日本放送協会第1088回経営委員会議事録
(平成21年2月10日開催分)

第1088回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1088回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成21年2月10日(火)午後 0時20分から午後4時05分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  小 丸 成 洋 岩 崎 芳 史 井 原 理 代
    大 滝 精 一   桑 野 和 泉 小 林 英 明
    飛 田 稔 章   野 間 光輪子 深 谷 紘 一
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  福 地 会 長 今 井 副会長 金 田 専務理事
  日 向 理 事 溝 口 理 事 八 幡 理 事
  永 井 理 事 大 西 理 事 関 根 理 事
  今 井 理 事    

 

 

<場   所>
放送センター  21階役員会議室、22階経営委員会室

 

<議   事>

 経営委員意見交換を実施。その後、小丸委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1087回経営委員会(平成20年1月27日開催)議事録および第1071回経営委員会(平成20年6月24日開催)における次期経営計画に関する部分の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成21年2月13日に公表することを決定。

 

付議事項

1 会長報告
  業務概況について

 

2 報告事項

 (1)「平成21年度収支予算、事業計画及び資金計画」に付する総務大臣の意見及び「平成19年度業務報告書」に付する総務大臣の意見について(資料)

 (2) 平成21年度インターネットサービス基本計画について(資料)

 (3) 視聴者対応報告(平成20年12月)について(資料)

 

3 その他

 (1) ETV50の展開について(資料表紙)(資料)

 (2) FM40周年の展開について(資料)

 (3) 衛星放送20周年の展開について

 

 

議事経過

1 会長報告
  業務概況について

 (福地会長)
 2件申し上げます。1つ目は、新NHKワールドTVスタートについてです。2月2日の午前9時、NHKの新しい国際放送NHKワールドTVがスタートしました。最初に放送したのは、看板番組の「NEWSLINE」という英語ニュースでした。ちょうど「浅間山の噴火」がありましたので、トップニュースとしてNHKの高感度カメラが捕らえた噴火の鮮明な映像を世界に発信しました。英語で24時間放送するという、NHKとしてはじめての挑戦となりますが、まずは順調なスタートを切り、世界の約8千万世帯に向けて放送が始まりました。海外の視聴者からは「色鮮やかできれいな画面になった」「東アジアのニュースを詳しく知ることができる」「ニュースは土日も30分間、放送してほしい」などさまざまな反響をいただいています。また、NHKワールドのインターネット・ホームページへのアクセス数は、2月2日の一日だけで42万アクセスに達しました。これは、NHKワールドのホームページの日ごろのアクセス数の4倍強の記録で、好調な出だしでした。インターネット配信については、ニュースを中心に配信可能な番組を選び、24時間のうち6割ほどの番組を放送と同時に配信しています。(株)日本国際放送の番組も2月2日からスタートしました。オールジャパン体制による情報発信を象徴する、在京民放5社の協力を得て、競泳の北島選手やバイオリニストの五嶋みどりさんなど、世界を舞台に活躍する方々のインタビュー番組も放送しています。NHKワールドTVは、3月末までに世界の1億1千万世帯で視聴が可能になります。今後は、内外の視聴者の皆さまの声を生かしながら、ニュースと番組の質の向上に取り組んでいきます。
 2つ目は、NHK携帯ニュースに関する新聞協会メディア開発委員会の申し入れについてです。2月2日午前11時から、NHKの携帯サービスを実施しております「NHKケータイ」で、ニュースサービスを開始しました。同日これに合わせて、関連会社の(株)NHK情報ネットワークも、NHKからコンテンツの提供を受ける形で有料のニュースサービスを始めております。この携帯サイトでのニュース提供に関して、1月28日夕刻、日本新聞協会メディア開発委員会の委員長以下3人が来訪され、報道担当の今井理事以下担当者と1時間あまり、互いの立場や考え方について協議しました。席上、メディア開発委員会から、書面で「サービスを即刻中止すべき」と申し入れがありましたが、NHKとしては「申し入れは受け入れられない。中止はできない」とお答えしました。メディア開発委員会の主張は3点で、「1950年の国会答弁で、NHKは通信社類似の業務を禁じられているが、(株)NHK情報ネットワークへのニュース素材の提供は通信社類似業務に該当するのではないか」「NHKケータイを窓口として関連会社の有料サイトに誘導するのは、公共放送サイトの商業利用である」「多くの民間企業がサービスを展開している携帯ニュース市場に、NHKが無料サイトで参入すると競争市場に深刻な打撃を与える」というものでした。これに対してNHKは、「放送法の改正と新しいインターネット実施基準の枠内で適法に行っているサービスで、中止する考えはない」「(株)NHK情報ネットワークの有料サイトとはサービス内容が異なっている。利用者に誤解を与えないよう、双方のリンクの間にお断りのページを挟むなどの措置を講じている」と回答しました。メディア開発委員会のメンバーは、同日総務省に書面で同様の申し入れをするとともに、総務省記者クラブに資料配布しました。その結果、翌日の一部朝刊に内容を報じる記事が掲載されました。また6日にもメディア開発委員会では、総務省の担当課と意見交換を行ったと聞いております。メディア開発委員会の今後の対応やNHK携帯ニュースに対する社会的な反響等については注視してまいりますが、「いつでも、どこでも、もっと身近に」という新しい経営計画の理念に沿って、今後とも視聴者のニーズに応えていく姿勢には変わりありません。以上経緯をご報告しました。

 

 

2 報告事項

 (1)

「平成21年度収支予算、事業計画及び資金計画」に付する総務大臣の意見及び「平成19年度業務報告書」に付する総務大臣の意見について(資料)

 (金田専務理事)
 平成21年度収支予算等に付する総務大臣の意見が、先週の電波監理審議会での諮問・答申を受けて取りまとめられました。収支予算等はこの意見が付され、2月6日の閣議を経て国会に提出されています。また、昨年5月に総務大臣に提出した平成19年度業務報告書も、総務大臣の意見が付され、同じく6日の閣議を経て国会に報告されました。業務報告書の国会への報告は、同じ年度の決算が会計検査院の検査を経て国会に提出されるのにあわせて、例年、この時期に行われています。
 それでは平成21年度収支予算等に付された総務大臣の意見から説明します。別紙1が平成21年度収支予算、事業計画及び資金計画に付する総務大臣意見です。最初の総論部分では、収支予算等について「これを着実に遂行すべきものと認める」とされています。そのうえで「組織を挙げてコンプライアンスの確立に取り組んできたにもかかわらず、職員による不祥事がなお後を絶たず」「国民・視聴者からの信頼回復に向けて一層改革を進めていくことが必要である」という認識が示されています。また、「受信料の公平負担の徹底に向けて全力で取り組むことが必要である」とされています。各論にあたる部分は、事業計画等の実施にあたって特に配慮すべき点があげられています。20年度の収支予算等に付する総務大臣意見と比較して、項目数が10から7に減るなど、全体としてかなり簡潔な記述になっています。「1 経営改革の推進」では、職員による経費の不正支出に関して、「コンプライアンスの確立に向けた協会のこれまでの取組が十分でなかったことを改めて示すものであり、組織風土改革に徹底して取り組む」ことなどとされています。「2 受信料の公平負担の徹底」では、「事業所割引や業界団体による取りまとめの活用等の各種施策を推進し、受信料の公平負担の徹底に向けて全力で取り組むこと」などとされています。「3 業務の合理化」では、子会社等について、「更なる整理・統合計画の検討を進めるとともに、競争契約を一層推進し、また、財務状況に応じた適切な配当の実施を求める」ことなどが記述されています。「4 地上テレビジョン放送のデジタル化」では、「デジタル化により電波が届かなくなる地域への対策等の受信環境の整備に関して公共放送としての役割を十二分に果たすこと」「デジタル放送の特長を活かした番組制作にこれまで以上に、また、他の放送事業者に率先して取り組むこと」などとされています。このほか、「5 放送番組の充実」「6 国際放送の充実」「7 番組アーカイブの活用」についても、それぞれ項目が設けられ記述されています。
 次に、別紙2の平成19年度業務報告書に付する総務大臣意見について説明します。冒頭では、「国民・視聴者からの信頼回復に向けた改革にこれまで以上に徹底して取り組む必要がある」「受信料の公平負担の徹底に向けて引き続き全力で取り組む必要がある」とされています。また、「一方、豊かで質の高い放送番組の充実、災害・緊急報道体制の強化、地上デジタル放送の推進等の取組については、おおむね所期の成果を収めた」とされています。各論として「1 コンプライアンスの徹底」「2 経営改革の推進」「3 受信料の公平負担の確保」など10項目について記述がありますが、ここで指摘されている内容のほとんどは、先ほどご説明した21年度収支予算等の総務大臣意見にも含まれています。

 (小丸委員長)

 平成21年度収支予算等に付する総務大臣意見の中で、経営委員会と執行部が緊密に連携してNHKの改革を成し遂げること、そして、その成果を、国民・視聴者の皆さんに適切に還元していかなければならないとされています。執行部としてこの意見を真摯(しんし)に受け止めて次期経営計画を着実に実行していただき、目標達成のために取り組んでいただきたいと思います。経営委員会としては、経営計画のフォロー体制の検討を含め、目標達成のために努力していきますので、執行部の皆さんもよろしくお願いします。

 

 (2) 平成21年度インターネットサービス基本計画について(資料)

 (日向理事)

 インターネットサービス基本計画の位置づけですが、放送法の改正に伴い、放送法第9条第2項第2号に基づき、インターネット実施基準を作りました。これに伴って、昨年11月11日の経営委員会で、11月20日から実施する平成20年度インターネットサービス基本計画を報告しました。本日ご説明するのは21年度の計画になります。この計画で述べている範囲は、受信料を財源として行うインターネットサービスの内容です。したがって、NHKオンデマンドサービスはこの範囲外になります。基本的にこの文書の構成は、放送番組編集の基本計画に準じて作られています。「サービス実施の基本方針」「サービスの重点事項」「各サービスの編集方針」で構成しており、「各サービスの編集方針 第1部」にある「パーソナルコンピューター等向けサービス」「携帯端末等向けサービス」「デジタル放送連携サービス」という3つのカテゴリーでサービスを実施したいと考えます。第1部の「放送法第9条第2項第2号に関する業務の基準に基づくサービス」というのは、既放送番組等の利用によるサービスです。例えば営業活動や、視聴者からの投稿を基にして制作している番組のツールとしての使用、放送前の広報業務などは第2部に記しております。
 サービス実施の基本方針ですが、最初に、3か年経営計画にも盛り込んでいる3-Screens展開の基本路線に沿って、経営目標の1つである総合接触者率80%を目指すための一助としてインターネットサービスが位置づけられていることを記しています。サービスの内容は特に大きく変わってはいませんが、報道情報、教育コンテンツ、地域の情報など、基本的には、放送と密接に関わる形でサービスを行うことになっています。3ページに「上記の目的を達するにあたり、NHKは以下のルールに則りサービスを行います」ということで、4項目挙げています。1つ目は、法令及び各種規程の順守です。「国内番組基準」「国際番組基準」「新放送ガイドライン」、その他各種の規程があります。放送だけでなく、インターネットサービスもこうした規程に準拠することを明記しています。2つ目は、放送番組との関連性の明示です。今回の実施基準では、全体の上限を40億円としています。また、これまでのインターネットサービス基本計画では、番組ごとに、その対になる形でウェブサイトを作らなければならないという規定がありましたが、今回はその規定をはずしています。ただし、それぞれのコンテンツ、サービスが、どの番組と関連しているのかということは明記することにしています。3つ目は、サービスの確保と向上のための不断の取り組みです。これはサービスの質の問題です。後ほども述べますが、当初、インターネットサービスは、基本的には文字情報と写真という形で始まりました。今はどこのサービスでも動画を充実させていますので、大半の方々が利用できるような画質で順次充実させていきたいと考えています。4つ目は、コスト管理の徹底と実施経費の公表です。サービスの実施にあたっては、企画競争等も導入しながらコスト管理を徹底します。また、実施経費は年度終了後に決算値を公表することにしています。この計画ですと20億円程度を見込んでいます。
 サービスの重点事項ですが、今申し上げたサービス実施の基本方針に沿って、正確で迅速なニュースの提供、公共キャンペーンの展開、“デジタルメディアリテラシー”の向上に資するサービスの開発・提供、地域に根ざした積極的な情報の提供、さらには、冬季オリンピックが来年に予定されていますので、オリンピックに関するサービスの提供などがあります。
 各サービスの編集方針ですが、第1部の3つのサービスを説明しています。パーソナルコンピューター等向けサービスでは、基本的に動画サービスの充実を挙げています。それ以外では、例えば、今年の後半から「プロジェクトJAPAN」「坂の上の雲」等の放送を予定していますが、それに伴って、「プロジェクトJAPAN」で、日本の近現代史のさまざまな情報をデータベース化して公開するとか、すでに放送を始めていますが、「戦争証言アーカイブス」、オーラルアーカイブスはなかなか日本にはありませんが、こういうものを体系的にデータベース化して公開していこうと考えています。また、先ほど番組ごとに対になるサイトは設けないと申しましたが、代わりに、例えば「ジャンル別ポータルサイト(例 ドラマホームページ)」「放送波別ポータルサイト」など、それぞれ分野やテーマによってグループ化したポータルサイトを作り、ユーザビリティーを上げていきたいと考えています。また「暮らしに密着、困ったときに役立ちます」ということを挙げています。これにはいわゆる災害情報といったものも含みますが、それ以外に、後ほど「ETV50の展開について」でも関連して説明するさまざまなキャンペーンを今年行っています。自殺防止キャンペーン、今年度から始めた子どもサポートネットといった、視聴者の方々の暮らしやさまざまな悩みに答えるようなサイトも充実させていきたいと考えます。「地域のくらしや伝統を大切にします」では、地域局が行っているサービスを記載しています。
 携帯端末等向けサービスでは、先ほど会長も申し上げたように、すでに開始した「NHKケータイ」にニュースを提供しています。これは携帯向けのワンセグのテレビサービスに伴ってデータ放送がありますが、そのデータ放送で提供している中身と基本的に同じものを通信でも提供しようという考え方です。また、携帯は双方向性が非常に高いので、投稿や、今申し上げたワンセグと連携したサービスといったものをいろいろと開発していこうと考えています。
 デジタル放送連携サービスはデジタルテレビもしくはチューナーがあるとインターネットとの接続が可能になります。データ放送では全国のニュース、地元のニュースを見ることができますが、例えば東京にいる方が北海道のローカルニュースを見ることはできません。そこでインターネットにつないでいれば、データオンラインと呼んでいますが、自然にインターネットのサービスに切り替わり、そこから北海道のニュースも見ることができるというようなサービスを行っていきます。ワンセグは、ワンセグのデータ放送から通信を介したサービスにストレスなく切り替わることができます。それをデジタル放送連携サービスと呼んでいます。先ほど申し上げたニュースのデータオンラインでの提供、避難所情報、MLB情報、スポーツ中継でだれが先頭に立っているのか、どこにいるのかなどということを、データ放送から通信を介してもっと深い情報を知ることができるようなサービスです。また、携帯については、紅白歌合戦で、ワンセグから約5万のアクセスがありました。これも拡充しながら双方向の機能をうまく引き出すようなサービスを開発したいと考えています。以上が第1部です。
 第2部は、今申し上げた以外のサービスです。例えば、国際放送をインターネットを介して国内のユーザーの方にも見ていただくようなサービスも行っています。
 どのサービスも最初に申し上げたように、大半の方々が利用可能な画質、動画の質に配慮しながらサービスの質を考えることにしています。

 (野間委員)

 3か年経営計画を検討している折から3-Screensやワンセグの予算についての質問をしてきましたが、このインターネットサービスは受信料を支払わなくても見られますので、接触者率を上げるということに目的があるのですね。

 (日向理事)

 われわれの経営目標として接触者率80%があります。当然、それに向かって、3-Scrrens展開を、目標と対の形で事業展開していかなければならないと思っています。

 (野間委員)

 先ほどの新聞協会メディア開発委員会の申し入れと関連しますが、NHKが携帯の無料ニュースサービスを始めることも接触者率に入るのですか。

 (福地会長)

 そうです。新聞協会メディア開発委員会の主張の1つとして、50数年前の国会答弁を言っていますが、今回携帯で始めたサービスは改正放送法のもとで実施できるサービスです。また、無料の「NHKケータイ」のサービスは、有料の(株)NHK情報ネットワークのサービスとレベルがまったく違います。私も同じニュースを、1つは有料サイトで、1つは無料のサイトで同時に比較しました。有料サイトは動画ですが、無料サイトは文字です。記事の内容もかなり違います。質が全然違います。これらのサービスはお客さまにあわせて変わっていくという考え方です。

 (野間委員)

 「お客さまにあわせて変わっていく」など、先ほどからこれからのことを視聴者への還元ということでお示しになっています。私の見解ですので間違っていたら言っていただきたいのですが、3か年経営計画の立案時からずっと見てきた印象として、接触者率を急に出して、3-Screensを打ち出していることについて、テレビを見ている、見ていないということよりも「接触者率がこれだけ上がったからNHKの存在価値が高まった」というような、何かNHKが生き長らえていく1つのテクニックのように映りました。そのようにして考えると、それまで疑問に思っていた予算の配付方法といったことが非常に明確になってきて解決できました。しかし、視聴者、受信料を支払っておられる方々はそういうことに対しての説明を受けていません。私のように考え方の古い者は、どうしてそこまでそういうことをするのかと高額な予算の配付方法に疑問を持ったのでした。もし将来的にNHKの存在価値を接触者率の向上でとらえることを、NHKが生き長らえるためにしているのであれば、可能性があるなら、もっと視聴者にわかりやすく何のための接触者率向上なのかを説明する必要があるのではないかと思います。インターネットサービスや、今回の携帯サイトのニュースのサービスが視聴者への還元の1つであるというような説明をされていますが、視聴者がそうとらえているのかどうか。見えていない、わからないということがあると思います。NHKがいろいろな形でサービスを展開していく際に、公共放送としてなぜこういうことをしていくのかについて、執行部の説明がついていっていません。接触者率や受信料の支払率といった「率」を前面に押し出して、その達成に向けて業務を遂行していくことに、視聴者がついていけない部分というか、わからない部分があるのではないかという疑問を持っていますがいかがでしょうか。

 (日向理事)

 もちろん接触者率は、経営委員会で3か年経営計画を議論する中で、経営目標の1つとして80%という数字を置いたものです。また、インターネットサービスに関して言いますと、私どもに来ているのは「なぜやらないのか」という声が圧倒的に多くなっています。例えば、高校講座も今年度から初めてインターネットでサービスを始めました。高校講座を受けている方々は、その放送時間にいなければテレビが見られません。ところがインターネットですと、自分の好きな時間に高校講座のコンテンツを見ることができます。そういうことはユーザーといいますか視聴者の方々から見れば決して悪いサービスではありません。語学講座もそうですし、ニュースもそうだと思います。オンデマンドサービスも「なぜさまざまな形で、ほかのサービスで出してくれないのか」という声が強くありました。もちろん世の中には、テレビだけあればいいという方もいらっしゃるでしょうし、逆に、携帯があればいいという方もいると思います。しかし、そういう方々に対して、NHKがいわゆる公共的なサービスを提供する組織である以上、なるべく広くいろいろな機会の中できちんとコンテンツを提供できるような体制を取ることがNHKの使命だと思います。

 (野間委員)

 もちろんそう思います。インターネットサービスのすべてに対して否定しているのではありません。必要な分野でありますし、これからの方向として進めていくべきだと思いますが、新聞協会の話を新聞紙上で読んで、何か拡大する方向に進んでいるのではないかと思いました。携帯サイトのニュースへのアクセスも接触者率の1つと考えるのであれば、「率」であるがゆえに非常に拡大する方向にいっていて、受信料を支払っている視聴者がついていけないところがあるのではないかという気がしました。

 (福地会長)

 新聞協会の以前からの申し入れの根底に、NHKに対する見方があります。NHKがいろいろと新しいことをするとNHKが肥大化したというように言われてきました。しかし、今は予算全体をシーリングしています。要員は、30年間にグループ全体で10%減っています。そういった中では、肥大化ではなくむしろ多様化だと思います。放送環境の変化についていけなかったら、NHKは死に絶えたマンモスになってしまいますので、環境変化に対応していく必要があります。事実、以前にご報告しましたが、60歳以上の男性の接触者率は、昨年6月に85%でした。もう80%を超えています。一方、30歳以下ないし40歳以下の男性は、はっきりとは覚えていませんが、30%か20%と極端に低くなっています。若者のテレビ離れが言われる中で、おっしゃるように、インターネットサービスはまさにNHKが長生きするためのものだと思います。そのためには視聴者の変化にあわせてわれわれも送信の仕方を変えていかなければなりません。その1つがこの業務だと思いますので、NHKが先導するというよりも、むしろNHKが視聴者にあわせていくと言うほうが正しいと思います。

 (野間委員)

 わかりました。そのあたりの説明を視聴者にわかりやすいようにしていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。

 (岩崎代行)

 今のお話の関連です。放送と通信の融合ということでこのサービスをしなければならないとのことですが、新聞協会メディア開発委員会はこのサービスを無料で実施するのが問題だとしているのですか。有料ならよいと言っているですか。また、会長とまったく同じ話ですが、高齢者がテレビを見ている一方で、若者がテレビを見なくなっているとのことです。テレビを見ない若者も、インターネットや携帯なら放送を見るようです。もし、その方々が受信料を支払わないでそのままずっと年齢を重ねていくと、将来、無料ですべてを見る方々だけになり、NHKが公共放送として継続できないことにつながります。受信料を財源として行うインターネットサービスは、シーリングのように以前は10億円を上限、来年度からは40億円を上限としており、来年度は20億円ほどになるとのお話です。今後、このサービスはもっと拡大していくと思います。今はテレビを見ていただいているのでこのサービスは無料だという論理でしょうが、視聴者がテレビを見ないままで徐々にこうしたサービスに移ってしまった場合、将来的にこのサービスの有料化のようなことはどうなっていくのでしょうか。

 (日向理事)

 まずサービスの形で言いますと、長期的には、インターネットしか見ない、テレビは見ないという方々もかなり増えていくと思います。しかしそれはずいぶん先の話だと思います。接触者率に対する貢献というのはこういうことです。NHKのテレビやラジオは見ていないが、NHKのインターネットのホームページは見ているという方々は全体の1%とそれほど多くはありません。しかし、インターネットも見るが、テレビも見るという方々が15%ほどおられます。以前にも何度か申し上げた「リトルチャロ」という英語の番組があります。これはクロスメディアで、インターネットでも出していますが、昨年4月に最初に調査したときは、50代以上の方々がだいたいテレビを見たりラジオを聴いたりしていて、30代以前の方々はインターネットを利用しておられるというように非常にはっきりと傾向が分かれていました。しかし、10月に再度調査したときは、30代の方々がテレビにシフトしていました。つまり、インターネットを見た結果、「こういうおもしろい番組がテレビでも放送されているならテレビを見よう」というように、インターネットを窓口にしてテレビを見るという方々もいました。そういう形で、NHKに接触していただける方、NHKを利用していただける方を全体として増やしていきたいということなのです。中期的にどの程度の年数がかかるかわかりませんが、まさにこれがインターネットと放送の連携をしながらサービスをしていくということです。また、インターネットはインターネットで独自にお金をかけて作るということではありません。1つのコンテンツから、インターネットにふさわしいコンテンツ、テレビはテレビに適応したコンテンツを作るような形で展開していきます。それから、今お話しした20億円がどの程度のインパクトがあるかというと、全国放送番組費が1,500億円ほどですので、それに対し2%弱と非常に小さい規模です。その程度ですので、決して、インターネットでNHKが何か新たに参入する、いろいろと拡大していくと思われるようなことはありません。実際にBBCなどはそれなりにお金をかけてインターネットの展開をしています。それに比べたらNHKはまだ非常につつましいというか、そういう段階です。新聞協会メディア開発委員会の話ですが、1950年の国会答弁というのは、放送法ができたときに、国会でNHKは通信社類似業務をしてはならないという答弁があったことを根拠にしています。今の放送法の中ではまったく問題がないサービスですが、それを根拠に抗議をしている形です。今の放送法上では、受信料を財源にして例えばインターネットやパソコン、携帯向けにニュース原稿を提供するのはまったく問題ありません。新聞協会メディア開発委員会が問題にしているのは無料の部分です。有料の部分については、市場の相場に対してきわめて安い値段で提供することがあればいわゆる民業圧迫という問題が出てきます。その部分よりも、無料で提供することに対するものです。しかし、先ほど申し上げたように、もちろん受信料で行っているサービスですが、ワンセグのデータ放送で同じものを見ることができるのです。ワンセグが見られない地域で通信を使って同じ内容を見ることができるという程度のものですので、何か特別に新しいサービスを決めたということではありません。その点はぜひご理解いただきたいと思います。

 (今井理事)

 念のために補足説明します。会長報告にあったのは新聞協会のメディア開発委員会からの申し入れです。NHKも新聞協会のメンバーですし、理事会メンバーでもあります。メディア開発委員会というのは、新聞協会加盟の新聞社と通信社だけで作っている委員会です。テレビ放送局は28社が新聞協会に加盟していますが、この委員会には1社も入っていません。新聞協会の新聞、通信社の申し入れだとご理解ください。

 (小林委員)

 多少違った視点ですが、先ほどの報告で1億携帯時代になっていくとあり、現にそういう時代が来ています。しかも、まもなく、ほとんどの携帯にワンセグが付いている時代になっていくと思います。そうなってくると、近い将来、国民すべてがNHKを見ることができるようになり、全員に受信料の支払義務が出てくるようになります。そういう時代を迎えることに鑑みれば、世帯を単位とする今の受信料制度には遠からず不合理性が出てくると思います。それについてのNHKの対応策を早期に考える必要があると思います。先ほどから出ている携帯やパソコンへのオンデマンドサービスやインターネットサービスなども、将来の受信料制度の方向性を踏まえて検討する必要があると思います。今のところNHKオンデマンドサービスは受信料を支払っていない人でも見られる制度となっていますが、将来もそれで本当にいいのかということを早急に考えるべき時期にきていると思います。ぜひ検討をしていただきたいと思います。

 (福地会長)

 私が3か年経営計画策定の段階でお話ししたのもそういうことです。受信料体系については考えていきます。

 (小丸委員長)

 日向理事に伺うのがよいのかどうかわかりませんが、昨年12月から開始された「NHKオンデマンド」の影響と足元の収入を教えてください。また、その収入は副次収入に入ってくるのですか。

 (日向理事)

 コンテンツ使用料は副次収入に入ります。

 (小丸委員長)

 大西理事が担当されている受信料収入は、21年度に6,490億円を確保することになっています。それに対して副次収入は105億円ほどしかありませんが、もっとウェイトを高めるといったことについて考えていますか。

 (日向理事)

 今、先ほど申し上げたクロスメディアコンテンツや共同制作などといったいろいろな方法を模索しています。そういうパイロット的なものを作り始めていますが、それほど景気がよくないので、爆発的に増やせるようなアイディアが今あるわけではありません。ただ、いずれにしてもおっしゃるように副次収入が100億円程度ということは、受信料収入の数パーセントです。

 (小丸委員長)

 そうですね。

 (日向理事)

 それはもう少し先にいくとウェイトを上げていくべきだと思いますし、そのためには、いくつかの抜本的対策も含めて考えていかなければならないと思います。

 (小丸委員長)

 先ほどお聞きした「NHKオンデマンド」ですね。

 (日向理事)

 ご承知かと思いますが、「NHKオンデマンド」は、パソコン向けの「Windows Media Player」というソフトが要ります。そのソフトはWindowsであればどのパソコンでもだいたい入っていますが、著作権団体との関連でセキュリティーのレベルを最高にしてほしいという話があり、そのソフトのセキュリティーレベルが非常に高くなっています。ちょっと見ようと思っても、途中で「このソフトのバージョンでは見ることができません」といったいろいろなエラーメッセージが出てきます。そのため、訪問者数が一定数出ても、実際に見て料金を支払っている方の数が非常に少なくなっていますので、当初の予想よりは少し低めで推移していますが、少なくとも今年度に関して言うと、いずれにしても赤字であることは間違いありません。来年度の1年間かけてソフトの改修をマイクロソフト社にもお願いしています。パソコンではなくテレビ系のサービスのほうはオンデマンドサービスに向いていると思います。一度ご覧になった方はそちらがすごくいいとおっしゃるのですが、見る機会がなかなか得られないこともあり、そのあたりのプロモーションをすることによって少し様子を見ていこうと考えています。また「NHKオンデマンド」は区分経理ですので、小丸委員長がお話しになっている売上が立ち、月次報告する意味が非常にあると思います。どういうコンテンツを出すとどのぐらいのアクセスがあるのかということは非常にわかりやすくなります。

 (小丸委員長)

 非公開でもいいので現状の数値を教えていただけますか。

 (日向理事)

 今は手元に実数を持っていませんが、会員数は3万名ほどです。3万名のうち半分ほどが「見逃し見放題パック」といって1か月1,470円支払っていただいて見逃し番組が見放題となる方です。残りの半分がいわゆる「特選ライブラリー」といって、昔のアーカイブスの番組を1本300円ほどの値段で単品買いをしていただいている方です。売上としてはおそらくまだ2、3千万円ほどだと思います。なお、パソコンはすぐにわかりますが、テレビ系のアクトビラやJ:COM、ひかりTVという各テレビ向けサービスの売上についてはデータがNHKに到着するのが遅れます。そのあたりの集計ができるのが今年の3月末ですので、その時点で、今年度の4か月間で、どのぐらいの会員数、売上、パソコン系とテレビ系でどういう割合で利用されたのかといったことをまとめることができると思います。その時点でまたご報告しようと思います。

 (小丸委員長)

 今の説明でおおよそわかりますが、受信料に次ぐ第2の柱といいますか、インターネットサービスに関わる柱を何か作らなければならないと思います。副次収入が105億円でいいのかといったことも含めて、そのあたりの規模をどう考えられていますか。

 (日向理事)

 副次収入について言えば、経費との関係があります。経費を下げると、結果的に、副次収入として実額が増えていなくても実質的にはメリットが増えます。共同制作などで制作費を下げるという考え方もありますので、それも含めて考えるべきではないかと思います。

 (井原委員)

 2つお願いがあります。1つ目は先ほど小林委員がおっしゃったことです。あえて私からも申しますが、ぜひ検討の着手をしていただきたいと思います。次期経営計画の中で、受信料体系の総合的な検討に着手すると表記していたことについて、少なくとも私は小林委員がおっしゃったような意味合いでとらえていました。放送と通信が融合する中で、放送が一元的な時代のままの受信料体系でことを動かすことは基本的には無理ですし合理的でないだろうと思いますので、ぜひとも検討をお願いしたいと思います。そのことがひいてはおそらく受信料の公平負担の考え方に対する1つの手当てにもなる可能性があるのではないかと考えます。2つ目は、かなり個別的ですが、先ほど少しお話しになられた説明の中に「コスト管理を徹底します」とあります。この場合のコスト管理というのは具体的にどういう内容を想定されているのかお聞かせください。

 (日向理事)

 コスト管理ですが、ホームページ制作は外注しています。それは、今、基本的にはこれまでの実績などを見ながら、随意契約で行っています。これだけホームページ制作者の数も増えていますので、そこにもう少し企画競争的な考え方を入れて、例えば1か月いくらという数値を出すときに、相見積もりを取って判断するということを考えたいと思います。もちろんホームページも、番組と同じように規格があるわけではありませんので、だれに頼んでも同じものができるというものではありません。人手がないため、これまでは確かに、実績などいろいろなことを見ながら、外部にとにかくお願いしてきました。対応してもらえるところにお願いするようなところもありましたので、そこを見直して透明性を上げ、外注にかける制作費をもう少し厳しく見ようということです。

 (井原委員)

 わかりました。おそらくそういうことを想定して整理されているのではないかと思いましたが、可能性はいくつも考えられると思いますのでよろしくお願いしたいと思います。

 

 (3) 視聴者対応報告(平成20年12月)について(資料)

 (今井副会長)

 本件のご報告の前に1つ申し上げるべき点があります。20年11月の視聴者対応報告を説明した1月13日の経営委員会で、経営委員の皆さんからさまざまなご意見をいただきました。総じて視聴者のご意見をもっと経営に生かすべきであり、そのような形の報告にすべきだとのご指摘であったと認識しています。この視聴者対応報告は放送法の改正に伴って、昨年4月から始めたものであり、まもなく1年になります。これを機会に、ご指摘を受け止めながらブラッシュアップするように担当に指示しました。改善のポイントは2つあります。1つ目は受信料や完全デジタル化など、重要かつタイムリーな経営課題についての視聴者の皆さんの声を抽出して経営の参考にするとともに、視聴者の要望を反映して業務改善につながった事例をこの中でご報告するようにするという点です。2つ目は、視聴者の満足度を測るうえでの重要な数値、例えば営業地域スタッフへの苦情の数や番組への好評意見について、月ごとの変化や過去の番組との比較を示すことで、PDCAサイクルを回す参考になるように改善するという点です。コールセンターに寄せられる視聴者の皆さんの声は重要な指標の1つではありますが、必ずしもすべての視聴者を代表するものとは言えない場合があります。そういう点から、ほかのさまざまな調査と組み合わせることによって、経営の参考にしていきたいと考えますし、現在もそうしています。統計的な数字もさることながら、むしろ耳に痛い声に率直に耳を傾け、業務改善につなげることで経営資源として活用することが大事だと認識しています。新しくブラッシュアップした視聴者対応報告は本年4月分からこの場でお伝えできるようにさせていただきます。本日これからご説明する昨年12月分の報告は基本的にこれまでのスタイルですが、1、2か所、改善に向けたトライアルをしています。
 それでは昨年12月の視聴者対応報告を説明します。12月に視聴者から寄せられたご意見、お問い合わせなどの総数は35万7,156件でした。苦情や要望を含めた視聴者意見の総数は77,728件で、このうち92%については一次窓口でシステム登録などにより現場への周知を図り、対応を完了しています。番組への反響ですが、今回目立ったのは「紅白歌合戦」です。6,500件を超えるご意見やお問い合わせが寄せられました。また、ほかの番組にも、大河ドラマ「篤姫」をはじめたくさんの反響をいただきました。「紅白歌合戦」の反響を、1週間コールセンターで受け付けた分に限って見てみますと、合わせて3,289件になります。これはDJ OZMAの問題があった前々回、2人の男性司会者への意見が多かった前回の2つの「紅白歌合戦」に比べて、反響の数も、厳しいご指摘の数も大きく減っています。比較的落ち着いて好意的に見ていただいた「紅白歌合戦」だと言うことができると思います。好評意見が多かった番組として、「篤姫」の最終回のデータを5ページにご紹介していますが、2つのグラフは「篤姫」に1年間寄せられたさまざまなご意見を月ごとに分析したグラフと、男女別の反響を前作の「風林火山」と比べたグラフです。これは今回初めて取り入れた分析の1つです。1年間の反響はおよそ1万5千件で、このうち83%が好評のご意見でした。前作と比べて1.5倍の意向が寄せられています。グラフにありますように、篤姫と家定の夫婦愛が描かれ始めた6月以降、反響が急に増えています。男女別反響比較ですが、「篤姫」にご意見を寄せていただいた方々の半分以上が女性です。男性の比率が高かった「風林火山」と比べて大きな変化が読み取れます。注目される反響ですが、12月28日放送の、月の最後に放送された「日曜討論 雇用・暮らし 政治は何をすべきか」です。通常は政治家の発言などに対して厳しいご意見が寄せられることが多いのですが、若手の学者・評論家が討論した今回は、「現場に密着した現実的な意見が展開されていた」というような好評のご意見が目立ちました。定時ニュースの中では「サンタクロースがプレゼントを持ってフィンランドを出発した」という、ささやかな子ども向けのニュースと言えるかと思いますが、このニュースに小さなお子さんをお持ちのご家庭から「率直に楽しいニュースだった」というご意見をいただきました。一方、12月1日と8日に放送した「鶴瓶の家族に乾杯」では、「鶴瓶さんの温かい対応・態度と地元の人のふれあいを楽しみにしているが、その中で今回の出演者が小学校を訪問した際の子どもに対する不用意な発言がそのまま放送されたことが不快であった」というご意見など、厳しいご意見が目立っています。
 放送関係の意見や要望への対応ですが、「高校駅伝で順位変動を知らせるデータ放送のチャイムが『緊急地震速報』の音と同じように聞こえて気になる」というご意見がありました。緊急地震速報とは違う音ですが、視聴者から同様のご指摘を数件いただいたために、再度検討して別の音に変更しました。1月11日の全国都道府県対抗女子駅伝から新しい音に変えています。また、ラジオ第1放送の「ひるのいこい」の放送時間について、「放送時間を正午のニュースの直後に戻してほしい」ということでこの1年、何度か同様の意見をいただきました。21年度からは正午のニュースの直後に放送することにしました。NHKの判断にご理解を求めた点としては、12月19日の衛星第2放送の「第21期将棋竜王戦」の放送時間についてです。時間は延長して放送したのですが、「ニュース7」の時間に差し掛かったために、19時で放送を打ち切りました。それについて「延長してくれたので、最後まで放送してくれるものと期待したが、まだ対局が続いていたにもかかわらず『ニュース7』で打ち切りはひどい」というご指摘がありました。「衛星第2放送は、地上波を受信できない地域の難視聴解消のチャンネルとしての役割も担っており、今日1日の出来事をお伝えする『ニュース7』は外すことができない番組だった。将棋番組を楽しみにされている方がいる一方で、ニュースを伝えなければならないことなど、総合的に勘案しながら番組編成を行っている」ことをお伝えしてご理解を求めました。
 受信料関係の対応ですが、受信料に関しては17万件以上のお声をいただきました。このうち営業のコールセンターで受け付けた苦情・要望は3,384件で、この中でもっとも多いのは地域スタッフの説明不足による苦情です。この苦情などへの対応の内訳は表にあります。また「苦情削減に向けた取り組み」というご報告を付け加えています。これが今回の報告で試みた第2の点です。営業局では11月に寄せられた1,442件の苦情を詳細に分析して、それを元に業務点検チェックシートを作成しました。地域スタッフは毎月1日にNHKに来局して、その日にさまざまな事務手続きを行いますが、この際にチェックシートを活用した講習会をすべての放送局、営業センターで実施しました。その結果、12月は苦情の件数が1,217件ということで、2百件以上、率にして16%減りました。新年度の視聴者対応報告ではこうした改善の取り組みを積極的に取り入れていこうと考えています。また、受信相談の対応では、1万7千件あまりのご意見をいただきました。経営関係のご意見についてご報告しますと、不祥事関連で、制作局のプロデューサーが万引きの疑いで検挙された件について331件のご意見をいただきました。京都局の職員が宿泊費を不正請求していたことについても202件の厳しいおしかりの電話やメールをいただきました。「NHKオンデマンド」についてのご意見もいただいています。「NHKオンデマンド」では専用のコールセンターを設置して、直接お問い合わせなどを受け付けていますが、視聴者向けのコールセンターや全国の放送局でも472件のお問い合わせがありました。このうち、大半の380件は利用方法や料金、視聴できる番組についての問い合わせでした。「見られる番組が少なすぎる」「銀行振替ができるように検討してほしい」といったご要望もありました。
 最後に、12月29日「教育テレビ放送時間短縮」に寄せられた反響を載せています。コールセンター、全国の放送局に1,036件の反響がありました。このうちご意見やご要望を分析しますと、放送休止の時間帯に関するものが168件、休止した分の受信料を返してほしいなど受信料に関するものが145件、周知不足であるとのご意見が100件です。電器店から「事前に知らせてくれていれば、修理で駆け回ることもなかった」という苦情もありました。あえて説明をスキップしたのですが、受信相談の窓口にも1千件以上、テレビが故障したのではないかというお問い合わせがありました。大きな原因として、この放送時間短縮について事前に十分に伝え切れなかったことがあります。多いに反省しなければならない点として、今後のこうした放送時間などの大きな変更について新しい取り組みをしていきたいと考えています。また関連してご報告があります、1月29日の経営委員会の中で、第3四半期業務報告を行いました。その中で、この放送時間短縮について、賛成意見と反対意見の割合がほぼ同程度とご説明しました。これは、地球エコキャンペーンの番組制作担当部局が番組の中でホームページや放送そのものに対する意見募集をしたものをベースに分析したものです。この日は午後0時半から9時半まで放送をしましたが、放送が始まった冒頭の30分間、会長も出演して温暖化防止という趣旨を伝えて、番組をご覧の方に時間短縮についてご意見を募集しました。また事前のスポットも含めて、ホームページでの意見募集をしていましたが、この番組の趣旨をご理解していただいた方を中心とした、直接の返事をベースに分析して、視聴者の反応は賛成意見と反対意見がほぼ同程度だったとご報告しました。コールセンターには、この放送を見た、あるいは呼びかけに応じたということにかかわりなく、全国の方々からご意見を聴取しています。自発的にご意見を寄せられた方のご意見の中にも、NHKの趣旨を知らなかった、あるいはまったくこういうことが行われるとは知らずに、放送が映らなかったことに直接厳しい反応を寄せられた方が多かったものと受け止めています。やはり事前の周知が大事であるということで、以後、考慮してこうした取り組みをしていきたいと考えます。

 (大滝委員)

 受信料関係の対応事例の中の「②受信料制度」で、訪問集金の廃止に伴うご意見があります。その対応として、振替用紙を2か月ごとにお送りし、もし、払い込みがない場合には集金にお伺いするとお伝えしたとのことです。訪問集金はまだ廃止になって間もないため、その効果をきちんと見ることができないと思いますが、実際、このように払い込みがなく視聴者のお宅に集金に伺うことは相当起こっているのですか。実態的というとおかしいですが、あまりにこういうことが起こってくると、訪問集金を廃止した意味がないとか、負のインパクトといった話がたくさん出てきそうな気がするのですが、どのように考えたらよいですか。

 (大西理事)

 1月末の結果はまだ集計されていませんが、ほぼ1年間、さまざまな検証をしたうえで新収納方式をスタートさせています。おおよそ想定の範囲内で振り込んでいただいています。10月から1月にご請求し、督促のお電話をしても振込みのない方は、この2月、3月で集金にお伺いして、さらに口座振替・クレジット継続払への変更をお願いしています。ちょうど今日が2月10日ですので、振込みがなかったお宅に全国のスタッフが回っている状況です。想定の範囲で進んでいるとお考えいただければと思います。状況が確定した段階で、何らかの形でご報告します。

 (井原委員)

 お尋ねとお答えをお願いしたいことがあります。すでにお聞き及びかと思いますが、2月7日の「視聴者のみなさまと語る会」に参加された方から「視聴者からの声がどちらかといえば好評意見を掲載していて、厳しい意見が公表されていないのではないか」というご発言がありました。たまたまそういう視点で今日のご報告を拝見しますと、例えば「日曜討論」では、こういう好意的なご意見が多く寄せられたと述べられています。私もこの番組を見て、とても好感と言いますか、新鮮な感覚で見させてもらったのですが、少なくとも数値的に整理していただくと、好評51件、厳しい意見55件と、厳しいご意見の方が多くなっています。だとすればこういう好評意見も記載していただいて当然よいのですが、こんな厳しい意見もあったということも整理した方がよかったのではないかと感じました。もう1つは、先ほども議論になりましたが、これから受信料体系をどのように見直していくのか、あるいは統一していくのかについて考えることが大事な中で、受信料に対するご意見はまさに大切な経営資源だと思います。そのときに、これまで私が聞き漏らしていたことかもしれませんのでまず1点確認させてください。12月全体で17万5千件余、11月では17万4千件ものご意見やお問い合わせが寄せられたということは、1年で考えると2百万件ほどになります。もとより延べ件数ですので、同じようなご意見、同じ方が複数のご意見を出されることがあったとしても、2百万件になると思います。今回ご報告していただいたのは、その中で、コールセンターで受け付けた苦情や要望を含むことについて、このような状況だったということですが、実態として、問い合わせも含めてどのような受信料関係のご意見があったのかについて少し整理していただくと今後の参考になるのではないかと思いますがいかがですか。

 (今井副会長)

 1つ目の「日曜討論」については、好評意見、厳しい意見というように分類していますが、厳しい意見には出演された方の発言に対する厳しいご意見も多々含まれています。個人的な立場の違いからいろいろなご意見があるということもありますし、そこまで分析してのご報告はこの視聴者対応報告の趣旨とは違うと思います。ただ、先週の土曜日の「視聴者のみなさまと語る会」で出たご意見、井原委員のお答えの趣旨はよく踏まえていきます。私どもとしては、この好評・不評意見の取り扱い、特にNHKに対して厳しい意見は数字としてとらえるよりも、むしろ個々の意見にきちんと対応して経営の中に反映させていくことが大事だと考えています。そうした考え方が報告の中に反映できるように改善していきたいと思います。

 (大西理事)

 2つ目の受信料関係のご意見についてですが、この資料の中にもありますように、コールセンターで受け付けているのが約10万9千件です。問い合わせは、振込みの請求に対するものであったり、受信料がどうなっているのかといった内容であり、その他とあわせて約10万6千件です。具体的に言えば、受付数の4%ほどが、先ほどもありましたように説明不足やご不満といったご意見を持っていらっしゃるということです。全国の放送局で受け付けた声を同時に集計していますが、全体で約17万件のうち11万件ほどがコールセンターにかかってくるご意見であり、それを分析しています。その他の全国の放送局で受け付けた声も、どういうご意見があったのかということをさらに集計し分析していきたいと思っています。

 (井原委員)

 ありがとうございました。ぜひお願いしたいとお話ししたのは、もしかしたら単純な問い合わせでも、それが例えば百万件を超えるほど来るような場合にはどこか考えてもいい問題があるのではないかと思ったからです。たとえ1件1件には対応ができ、問題がなかったとしても、それほどたくさんの問題があるとすれば、ぜひ考えていただきたいですし、全体としてどういうことになっているのかをぜひとらえていただきたいと思います。

 (大西理事)

 視聴者の声は、こちら側から伺うという形ではなく、電話で住所の受付などをするといったスキームの中でいただいています。そういう点で言えば、受信料額に対するご意見を伺うということではなく、問い合わせ等から受信料支払いの手続きをしていただくことになっていますので、その程度の件数は出てくるのではないかと思います。井原委員のおっしゃることは大変よくわかります。受信料に関しては、私どももなるべく苦情等のないようにしていけるように、ここにご報告させていただいたドア講習をするといったようにさまざまな取り組みを行ったり、苦情の中身をもっと分析して、どういうことが発生しているのかを見ていきます。5千人ほどのスタッフひとりひとりが毎日60軒から70軒のドアをたたいていますので、ご意見を真摯に受け止めて業務改善につなげていきたいと思います。

 (井原委員)

 よろしくお願いいたします。

 (深谷委員)

 2ページに「受付総数」「分野」「受付窓口」「受付方法」と分類があるのはわかります。また、11ページには特に受信料に関して「苦情削減に向けた活動」をしているとあります。これは本当にいいことだと思いますが、さらにお願いしておきたいことがあります。こうした苦情の件数に加えて、焦げ付き度と言ってはよくないかもしれませんが、案件の重大度や長年問題となったまま引きずっているのか、それともある時期に解消していくのかといった内容で層別、ランク分けをお願いしたいと思います。NHKとして重要であり、このままにしておいてよいのか、また、各部局にまかせたままでよいのかというような観点の重要度による層別管理をしていただき、さらに、その推移をNHKとしてぜひ見ていただきたいと思います。

 (今井副会長)

 どこまでできるかについては、私も細かい分析について勉強不足ですが、ご指摘の点をよく考えて反映できるようにしたいと思います。

 (小丸委員長)

 視聴者からの声はすべて大西理事のところへ入ってくると思います。井原委員も深谷委員も同じようなお話だったと思いますが、NHKはこうした集約をずっと同じようなパターンで踏襲していくと思います。これもいいまとめになっているでしょうが、少し視点を変えて、改善がどうなっているのか、それはどういう方法なのか、どういった層の視聴者がどういう状況なのか、営業に即役立つことは何かといったことについてもっと深く考えてみるべきだと思います。

 (大西理事)

 視聴者対応報告は、改正放送法で3か月に1回以上とされています。視聴者総局としては1か月ごとにまとめていますし、対応すべきご意見等に対してはすぐに改善できるようにしており、ここにまとめると同時に、いただいた声を番組に反映したり、業務に具体的に生かすよう動いています。視聴者対応報告は集計という形でご報告していますし、4月以降さらに発展させていって、視聴者の声が業務に反映されているというスキームにしていきたいと思います。視聴者の声は経営資源だと考えていますので、4月以降、変えていきたいと思います。

 (野間委員)

 その件は4月以降をお待ちします。デジタル化について伺います。12月にデジタル放送に関する相談・問い合わせが7,862件来ています。14ページを見ますと、4つの事例のうち、最初と最後は別として、残りの2つは電器店という専門家が入っているにも関わらず増幅器の調整不良やチャンネル設定が変更されていないとのことでした。こういう状況を見ますと、現場は非常に混乱しているのではないかという気がします。このところ、新聞でアメリカのデジタル化が延期されるということが載っていて、私どもも少し不安に思うことがあります。現状としてデジタル化はどういう流れになっているのでしょうか。

 (永井理事)

 このようなお問い合わせは、よくあることです。例えば、一般のご家庭でデジタルテレビを買って接続したが、チャンネル設定がデジタル放送に合っていないということがよくあります。購入したテレビは、販売店や配送業者の方が各家庭に設置してくれます。NHKとして業者の方には確実にセットするように要請をしていますが、設定が漏れてしまうことがあります。また、視聴者自身で操作していてわけがわからなくなってしまうことがあります。こうした問い合わせには、ひとつひとつ丁寧に対応していきたいと考えています。ここにあげた問い合わせは直接NHKに寄せられたものですが、デジタル化について国が責任を持って対応するテレビ受信者支援センターが、今年2月から各都道府県に設置されましたので、これからはそこでも指導をしっかりとしていこうとしています。そういった対応で、日本の完全デジタル化を確実に進めていかなければならないと考えます。アメリカでは、2月17日をターゲットに完全デジタル化しようということで計画が進んでいました。しかし、ニュースでご覧になったとおり、オバマ政権になってアナログ放送の終了を6月12日まで延期することになっています。アメリカでは、電器店等でデジタルチューナーが購入できる40ドルのクーポン券を1家庭2枚まで申請できる施策が展開されています。政府はこの財源に当初15億ドルを確保していましたが、クーポンがほしいという視聴者が多くいたため、どうも財源が枯渇したようです。また、オバマ政権になって何か経済刺激策を打ち出そうという動きと連動して、さらに追加で6.5億ドルほどを投入することになり、6月12日まで延期することにしたということです。しかし、放送事業者にとっては、延期されるとその間アナログ放送をずっと継続しなければなりません。経費もかかり大きな負担だと放送事業者が反対したために、6月12日までにデジタル化すればよい、それ以前にデジタル化できる放送局はそうしてもよいということになっています。アメリカでは40%ほどの放送局は2月までにアナログ放送を停止しようとしていますので、必ずしもデジタル化の準備が遅れているということではなく、デジタル機器を購入してもらうという景気刺激策の観点が入ってきたことも延期の要因だと見ています。日本では2011年7月24日という期限が決まっていますので、現時点ではそれに向けてひたすら力を入れていくように考えています。

 (野間委員)

 わかりました。2つの事例は個人で購入してうまく映らなかったということですが、ほかの2つは、専門家である電器店が入っているにも関わらずこういう話になっていますので、現場では混乱しているのではないかと思って伺いました。

 (今井副会長)

 先週、地域放送局に行ったときに、NHK共聴をアナログからデジタルに切り替える工事を見てきました。福井県でしたが、そこには地元の民放が2つしかありません。県民の皆さんの多くは、これまでアナログの中で隣の石川県の2つのチャンネルを合わせて見るようにさまざまな調整を行ってきていましたので、デジタルでも同じことをしなければなりません。新たなデジタルのアンテナと、現在使っているアナログのアンテナから入っている映像を1つに合わせて、全部で150戸ほどに流すような体制が整いました。そのうち、NHKが全面的に支援して整備するのはNHKの電波がきちんと受信できるようにすることです。民放の電波、しかも隣の県からの電波を受信するということについては共聴組合の中でかなりの自己負担をしていただくようになっています。福井県で、もし個人的に、これまで映っていたからといって電波を受けようとすると、デジタルのアンテナを設置する場所も、電波が同じ場所から来ているとは限りませんので、今言ったような問題にしばしばあうと思います。実際に現場を見て、地元で組合を作って取りまとめをしていただいている視聴者の方々の努力は大変だということがよくわかりました。NHKの各地域の職員も努力して、漏れのないように、できるだけ多くの方が2011年7月にデジタル放送がきちんと見られるようにお手伝いしていきたいと思います。

 (桑野委員)

 いつもびっくりするのは、これだけの方々がNHKに対してご意見やお問い合わせをされていることです。それらに対して対応を一次窓口でほぼ完了して、すべて速やかに丁寧に回答したということであり、そのように視聴者の皆さんと向き合っていることは、本当に勉強になります。それはわかるのですが、一方で、例えば11ページのように苦情削減に向けて取り組んでいて、こうしたら苦情が減ったといったことなどの具体的内容は外部に向けてどう発信しているのでしょうか。

 (今井副会長)

 この視聴者対応報告は総務省に提出しています。また、NHKのホームページでも見られるようになっています。

 (桑野委員)

 それをもう少し上手にわかりやすくアピールされたらどうでしょうか。これだけの数の声をいつもいただいていて、一般論として「経営や番組に生かします」ということではなく、「視聴者の皆さんの声でNHKはこれだけ変わった」という具体的なものがあります。この報告よりももう一歩進んだような形にしていくことで、これだけの声を出された方々ひとりひとりに向き合うことになります。それをきちんとまとめた形で提示することで、いただいた声による成果を大切にしたらどうかと思います。

 (今井副会長)

 NHKは、毎年度、視聴者の皆さんからいただいた声をまとめた報告書を発行しています。去年の春には3万部ほど配布して全国の放送局に置いて視聴者の皆さんにお渡しできるようにしています。また、この報告とは別に、視聴者の声をベースにした職場のさまざまな改善、視聴者対応向上活動を全国的に行っていて、情報の共有化を進める努力をさらに続けていこうと思っています。ただ、あまり「こんなによくなった」とPRするのも、報告するほうとしては面映いと言いますか、なかなか難しいところがあります。押し付けがましくならない範囲で努力を報告するよう、「テレマップ」や「三つのたまご」など、いろいろな手段を用いながら取り組んでいきます。

 (桑野委員)

 ありがとうございます。もちろん丁寧で速やかに対応していらっしゃるのはわかりますし、状況をきちんと伝えているのもわかりますが、視聴者のハートをつかむようなアピールもあってよいのではないかと思います。

 (井原委員)

 桑野委員のお話を聞いて思ったのですが、例えば会長がいろいろな番組で見解を述べられることがあります。視聴者と向き合って番組づくり、経営をしていると述べられるときに、いただいた多くの視聴者の声をこのように具体的に生かしていますというようなことを何らかの形で触れていただくと、今のお話のようなアピール度が高くなるのではないかと思います。

 (今井副会長)

 新しい経営計画の中に、役員が直接視聴者に語りかける機会を増やすということを盛り込んでいて、広報局でそうした番組づくりにこれから変えていくようにしています。もちろん現場も当然ですが、できるだけ直接、役員がいろいろな場所で視聴者の皆さんにお話をさせていただく体制を強化していきたいと考えています。

 (小丸委員長)

 地上放送完全デジタル化まであと894日です。移行までは苦難の道といいますか、大変なことがまだまだいろいろと出てくるのではないかと思いますが、いかがですか。

 (福地会長)

 NHKとしては送信側の責任をまず果たしていきます。これはもう絶対です。あとは国と協調しながら進めていかなければなりません。国が国家的なプロジェクトだということを言わないと、デジタルの利点だけ言っても、そんなことはもういいということになります。また、国の情報戦略、電波戦略だということをもう少し打ち出すべきだと思います。私は以前にもデジタル推進会議でそのことを言いました。世界各国はどこも推進してきています。そういった中で、画面がきれいになるとか、情報の多いサービスができるといった程度では、お年寄りなどはもう結構ということになってしまいます。

 

 

3 その他

 (1) ETV50の展開について(資料表紙)(資料)

 (2) FM40周年の展開について(資料)

 (3) 衛星放送20周年の展開について

 (小丸委員長)
 3件についてまとめてご説明をお願いします。
 (日向理事)
 総合テレビは1953年2月1日ですが、教育テレビは1959年1月1日、FM放送は1969年3月1日、衛星放送はアナログ放送が本格的に始まったのが1989年6月1日ということで、今年は、偶然、教育テレビ50周年、FM放送開始40周年、BS放送開始20周年という年にあたります。教育テレビ50周年については「ETV50 学ぶ冒険」というキャッチフレーズをつけています。すでに放送は終わりましたが、1月に1週間にわたって長時間特集を組みました。資料1にありますが、教育テレビが放送してきた教育番組、趣味・実用系の番組、若者向けの番組、伝統芸能、クラシックといったそれぞれのジャンルに分けて、1週間にわたって各ジャンルでこれまで放送してきた番組を振り返りながら教育テレビの楽しみ方をいろいろと提示するという特集でした。また、去年11月から「もう一度見たい教育テレビ」という視聴者投票を行っています。すでに12万票集まっていますので、さまざまな年代の方々から「これが見たい、あれが見たい」というご要望をかなりお聞きしています。教育テレビは生涯教育波として、教育コンテンツから福祉までさまざまな番組を放送していますが、今後10年の教育テレビのサービスプランを考えるときに参考にしたいということもあり視聴者投票を続けています。また、「おかあさんといっしょ」は見たことがあるという方はたくさんいらっしゃると思います。その記念イベント開催や、毎年開催している全国学校音楽コンクールなどについて例年以上に積極的にさまざまな企画を考えていきたいと思います。人形劇やアニメもあります。先ほど「インターネットサービス基本計画」の報告で申し上げましたが、「子どもサポートネット」を立ち上げています。今、特に青少年のさまざまな問題があります。それを親の立場でどのようにしたらよいのかよくわからないという親御さんもたくさんいらっしゃいます。そういう方々へヒントを提供できるような、視聴者の広場という意味合いも含めて、番組とインターネットのウェブサイトを通じてキャンペーンを展開していこうと考えています。これはもちろん1年間だけでなく今後も続けていきたいと思っています。20か国国際共同制作の「世界のこどもたち」という番組もあります。これはEBU(ヨーロッパ放送連合)と共同制作で、EBUの参加国とNHKがそれぞれ1本ずつ番組を制作して、それを随時放送していくものです。さまざまな環境の中で子どもたちが育っていきますが、その中でいろいろなチャレンジをしていく子どもたちにクローズアップして制作したドキュメンタリーです。「日本と朝鮮半島2000年」は、「プロジェクトJAPAN」「坂の上の雲」をはじめとする日本の150年の近代史を振り返り、日本の将来像を探る糧にしようという大きな企画です。これに関連して、日本と朝鮮半島との歴史には、両国にとっていいこともあれば悪いこともさまざまありましたが、それを客観的に弥生時代からきちんと追っていこうというものです。長時間特集に関する反響ですが、1月にさまざまな特集番組がありました。その中で1月10日に「あつまれ!キッズソング50」という番組を放送しました。これは今まで「おかあさんといっしょ」などさまざまな子ども向けの番組の中で使われた歌をまとめて、時代とともに振り返りながら聴いていただく番組でした。反響の件数は全部で782件ですが、特に女性の30代、20代以下からたくさんの反響をいただきました。また、参考として「おかあさんといっしょファミリーコンサート」の反響件数を掲載しています。これを見ても、もともと教育テレビは幼児の子どもたちとその親御さんの30代の方々がよくご覧になっていることがわかりますが、この「おかあさんといっしょ」に比べても大きな反響をいただきました。再放送も予定しています。教育テレビは子どもも7〜8歳くらいまでは見るが、その後は教育テレビは見ないでしょうとよく言われます。もう少し切れ目なく教育テレビにアクセスしてもらう方法はないのかということが大きな課題です。こういうことが1つのヒントになるのではないかと思いました。「子どもサポートネット」でも30代、20代あたりの方々にニーズが高いことが確認できましたので、これもしっかりと取り組んでいきたいと思います。
 FM放送ですが、本年3月1日が誕生日ということで、2月28日と3月1日に長時間の特集を組む予定です。2月28日は「この40年のあゆみ」ということで、民謡、クラシック、ポップミュージックなど、これまでFM放送で放送した懐かしの音源を楽しんでいただこうと考えています。3月1日は「これからのNHK−FM」ということで、新年度から新番組を用意していますが、そのPRも兼ねて、新しいFMの楽しみ方を提案するような番組を長時間編成することにしています。FMについては基本的にはこの2月28日、3月1日を特集編成の柱にして、その後は大きな柱を 設けるつもりはありませんが、新しい番組の反響などを見ながら以降について考えていきたいと思います。
 衛星放送は、誕生日が6月1日ですが、衛星第2放送、ハイビジョンで、つい先日も放送した手塚治虫の特集に続いて、「週刊 手塚治虫」という番組を10月まで1か月に1本ほどの割合で放送する予定です。衛星第1放送ですが、ちょうど1989年がベルリンの壁が崩れた年にあたります。そこから冷戦構造が崩れて激動の時代に入っています。その1989年以降の世界ということで、世界のドキュメンタリーの特別企画を、4、5、6月あたりで放送しようと考えています。ハイビジョンの放送が始まったのはずっと後ですが、ハイビジョンも音楽番組などで、懐かしの音楽も含めて、ライブ、クラシック、古典芸能など一流のソフトを並べていきたいと考えています。

 (野間委員)

 私の周りでも、このごろのNHKの番組は非常に素晴らしいと、受信契約をしていなかった方が契約しているケースが増えています。30代でもそういう方が増えていますので、本当に喜ばしいことだと思います。NHKが持っているコンテンツ、アーカイブを日本の資産、国民の宝だということを、こういう形で展開を進めていっていただければ大変嬉しく思います。ぜひよろしくお願いします。

 (小丸委員長)

 何かほかにご意見はありますか。それでは本日のすべての議事は終了しました。

 

 

 (小林委員)

 その他のことで意見があります。

 (小丸委員長)

 では、これで議事を終了し、その他の意見としてお出しください。

 (小林委員)

 会長が人事案件を経営委員会に提出する時期について意見があります。重要な人事案件、特に理事の人事案件等を経営委員会に提出する時期は、経営委員会で十分検討する期間を与えていただきたいということです。これまで理事等の同意を求める案件の提出が、当該経営委員会の当日または直前ということがあったと思います。しかし、これでは経営委員は十分な情報を自ら入手する時間がないなどのために、実質的な議論がされず、経営委員会の同意権が形骸化しているという指摘・非難を受けるおそれがあります。経営委員会で実質的な議論をしなければなりませんが、そのためには一定期間が必要だと考えています。この一定の期間ですが、同意を予定している経営委員会の前の経営委員会で実質的な議論が必要ではないかと思います。そうなると、その議論をする経営委員会の前には、その同意案件の人事情報等を経営委員会に提出する必要があるのではないかと考えます。そうすると、経営委員会は2週間に1回ですので、具体的に言うと3週間程度前に提出いただかないと実質的な議論ができないのではないかと考えますので、検討をお願いしたいと思います。

 (福地会長)

 確かにおっしゃることはわかります。一方で、機密保持の問題がありますので、慎重な対応が必要だと思います。

 (小林委員)

 人事案件は、事前に情報が漏れると混乱することはよくわかります。そのために、私もこれまでは人事案件の提出時期について、このような意見を言うのを控えてきたのですが、今の経営委員は機密保持がきわめて守られていると思います。経営委員は経営委員会のメンバーとして重い義務を負っていて、機密の保持も義務として負っています。今のメンバーは、これまで経営委員会でいろいろと議論していますが、機密情報が不適当な時期に漏れるということは、私の知る限りなかったのではないかと思います。そのくらい機密保持にはしっかりした考え方の経営委員が多いと思います。そういう点も考慮して、ぜひ検討していただきたいと思います。もう一言だけ言わせていただくと、情報が漏れると非常に支障をきたすという心配をされるのはよくわかります。しかし、この同意権が放送法で決まっている以上、それが形骸化したということになると、われわれの義務は果たしたことにならないと思います。この2点とも重要なのだと思いますが、先ほどお話ししたように経営委員は責任を負っていますので、その役割を果たさせていただきたいと思います。

 (福地会長)

 私としては、大事なことについては慎重に取り扱うべきだと思います。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成21年2月24日    

小 丸 成 洋

井 原 理 代