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第1066回
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平成20年4月25日(金)公表

日本放送協会第1066回経営委員会議事録
(平成20年4月8日開催分)

第1066回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1066回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成20年4月8日(火)午後4時5分から午後5時5分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  古 森 重  岩 崎 芳 史 野 間 光輪子
    小 丸 成 洋   井 原 理 代 大 滝 精 一
    多賀谷 一 照   小 林 英 明  
  ◎委員長 〇委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔監  事〕

  古 閑 監 事  

 

〔役  員〕

  福 地 会 長 今 井 副会長 金 田 専務理事
  日 向 理 事 溝 口 理 事 八 幡 理 事
  永 井 理 事 後 藤 理 事 大 西 理 事
  関 根 理 事    

 

<場   所>
放送センター  21階役員会議室、22階経営委員会室

 

<議   事>

 議事に先立ち、経営委員意見交換を実施。続いて、経営委員会事務局人事について同意。その後、古森委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1065回経営委員会(平成20年3月25日開催)議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成20年4月11日に公表することを決定。

 

付議事項

1 議決事項

 (1) 平成20年度標準役員報酬について(資料)

 (2) 平成20年度役員交際費の支出限度額について(資料)

 

2 委員長報告

 

3 会長報告

  業務概況について(資料1) (資料2)

 

4 議決事項

 (3) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 (4) 地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について(資料)

 

5 報告事項

 (1) 中継放送局の開局について(資料)

 (2) テレビジョン中継局の廃局について(資料)

 (3) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 

6 その他

  20年春季交渉について(資料)

 

議事経過

 <会長、副会長入室>

1 議決事項

 (1) 平成20年度標準役員報酬について(資料)

 (今井副会長)
 平成20年度標準役員報酬についてご報告いたします。これは、毎年度、国会で予算の承認を受けた後、経営委員会で議決していただいているものです。平成20年度は、全役員とも、平成19年度と同額として支給することとしたいと思います。年間報酬額は、月額報酬を12倍したものと、期末報酬を2倍したものの合計額です。経営委員会の議決をいただければ、この内容を公表いたします。なお、昨年度と同様、上期の期末報酬には、経営委員会が行う平成19年度の業績評価の結果を反映させることとしています。
 監事については、放送法の改正により任期が今年5月の平成19年度業務報告書等の総務大臣提出の日までと定められていますので、その間の報酬を支給することになります。監事の報酬も、平成19年度と同額です。
 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (2) 平成20年度役員交際費の支出限度額について(資料)

 (今井副会長)
 平成20年度役員交際費の支出限度額についても、放送法第14条により経営委員会の議決をいただくことになっています。毎年度初めに、経営委員会で支出限度額を議決していただき、その範囲内で支出することとしています。平成20年度の支出限度額は、平成19年度より500万円減額した2,500万円でお諮りいたします。この金額は、支出限度額であり、ここまで使い切るということではなく、これまで同様、効率的、効果的に使用していくことに変わりはありません。
 役員交際費の使途範囲について申し上げますと、大きくは、「事業に関係ある者に対する謝礼品」「事業に関係ある者との会食を伴う打合せ」「事業に関係ある者の慶弔等に際し支出する金品」「事業に関係ある外部団体等に支払う各種会費」の4項目になります。この使途範囲は、外部監査法人に検討していただいたもので、これを遵守している限り、役員交際費の会計上の取り扱いは妥当であるとの見解をいただいています。
 平成19年度の交際費の決算額は、1,480万7千円と、ほぼ前年と同額になっています。また、直近の5年間の平均使用額は、2,079万7千円となっています。これらを勘案して、平成20年度は2,500万円を限度額としたいと考えています。なお、経営の透明性を高める観点から、平成16年度決算から役員交際費の実績額を公表しており、今後も継続していきます。効率的、効果的かつ適切な使用に努めてまいります。

 (小丸委員)

 毎年お聞きするのですが、限度額が多いように思います。不祥事以降、かなり中身を精査したり、管理を厳しくして、減ってきているとは思いますが、限度額として2,500万円は多すぎるのではないでしょうか。

 (今井副会長)

 平成16年度には2,630万円の実績でしたが、その後は極めて抑制的に交際費を使用してきたと承知しています。

 (小丸委員)

 削減してきたことは大いに評価すべきだと思います。不測の事態が起こらないためにも、枠を多めに取られているのかもしれません。今後の課題としてご検討いただければと思います。

 (福地会長)

 節約は大事なことですが、萎縮してはだめだと役員会で話をしました。特に今は新任の理事が多く、外部とのつきあいを広めなければなりませんので、使わないことが美徳ではないと話しました。使い方は難しいと思いますが、むしろ大事に、意味のある使い方をすべきだと考えています。

 (小丸委員)

 無理に絞りすぎるのも問題ですので、会長がおっしゃったことは大切なことだと思います。

 (古森委員長)

 この役員交際費を使用するのは、理事までですか。

 (今井副会長)

 はい。会長、副会長、理事です。

 (大滝委員)

 この使途範囲で、昨年度は、実際にどのようなところに、どのぐらい使われていたと考えればよろしいですか。

 (今井副会長)

 「事業に関係ある者に対する謝礼品」が818万円です。「事業に関係ある者との会食に伴う打合せ」が466万円、「事業に関係ある者の慶弔等に際し支出する金品」などへの支出が196万円です。

 (多賀谷委員)

 監査委員会として、今年度は、適正な支出をされているかどうか監査させていただきますので、ご協力をお願いいたします。

 (今井副会長)

 交際費の内訳については、3年前にNHK情報公開審議委員会から答申をいただいていて、打ち合わせの実施相手の名前、金額については個人情報であるため、NHKでは不開示情報に該当するとされています。しかし、経営委員会、監査委員会から求められた場合には、できる限りお知らせすることは問題ありません。

 (井原委員)

 交際費の限度額と使途範囲のほかに、会食1件あたりの上限額や、事業に関係ある者の範囲など、もう少し細かい規定はないのでしょうか。

 (今井副会長)

 私の知る範囲では、ございません。

 (岩崎代行)

 役員についてこのように枠を決めていることはわかりましたが、職員の交際費については、同じような形で出していないのですか。

 (今井副会長)

 職員については、打ち合わせ費として管理しています。経営委員会で議決していただくのは役員交際費です。

 (小林委員)

 各理事1人あたりの限度額というものはあるのですか。

 (今井副会長)

 限度額はございませんが、会食については、役職別に支出額を管理しています。

 (小林委員)

 これは、会長の了解を得てから使うのですか。それとも、理事の判断だけでよいのですか。

 (福地会長)

 事業に関係ある団体とのおつきあいが中心です。個人のつきあいの機会は少ないように思います。

 (小林委員)

 会食などに行くように指示をして、その会食の費用がこれだけというイメージなのですか。

 (福地会長)

 私は、NHKに来て2か月ですので、昨年についてはわかりませんが、話を聞くとゼロだったといった答えが多いです。

 (岩崎代行)

 職員と一緒に行けば職員のほうで支払うため、理事の支払額がゼロになるということではないですか。

 (福地会長)

 職員と一緒に行く場合は割り勘です。これまでも送別会などに参加しましたが、全員が会費を支払います。職員の中での会食は、会費を支払っています。

 (古森委員長)

 外部との会食ではどうですか。

 (今井副会長)

 職員が、業務などで外部の方と会食をする場合は、事前に、予算と会食相手についてあらかじめ上司の許可を得るようになっています。

 (岩崎代行)

 外部の人との接点が少ないため、NHK独特の、一般とは少し違う風土ができたように思いますので、もっと外部の人たちとの接点を持ち、世の中の常識に近づくようにする必要があると思います。

 (福地会長)

 私もそれを言うのです。自分から求めて外に出ていくようにしないといけないと思います。特に、若い理事は、そうしていかないと、世の中が狭くなっていく感じがします。私は今までいろいろな方たちとおつきあいをさせていただきました。中央放送番組審議会委員に新規で委嘱をお願いする予定の元日銀総裁の福井さんについても、今までのおつきあいがありましたので、委員就任のお願いを聞いていただけました。やはり、広いつきあいを持たないと、視野狭窄になってしまいます。NHKがそのようなことになっては困ります。交際費も、前向きなものについては使わないとだめだと思います。少なければよいというものでありません。問題は中身です。攻めの交際をしなければいけません。

 (古森委員長)

 交際費というのは難しく、緩めすぎてもいけませんので、適度な加減が必要です。

 (福地会長)

 役員は会長、副会長を入れて今10人ですが、10人で1,500万円の実績というのは、額として少ないと思います。

 (野間委員)

 「事業に関係ある者との会食を伴う打合せ」が466万円とうかがいましたが、私は非常に少ない気がします。お祝いの会やパーティーなど、NHKの理事として出席された場合の会費も「事業に関係ある者との会食を伴う打合せ」の中に入るのですね。

 (福地会長)

 そのあたりは、個人個人がきっちりやっています。私の場合は、祝電などは自費でうっています。インサイダー取引問題や一連の不祥事などで、支払いについてはかなり厳格になっています。たとえば、出張で新幹線を利用した場合、切符を持ち帰ることが求められています。

 (今井副会長)

 出張したことを証明するために、自動改札機を通らないで、駅員のいる改札に行き、切符に無効印を押してもらい持ち帰ることになっています。

 (福地会長)

 管理の面では良いと思いますが、そこまでの不信感というのはどうかとの見方もあります。

 (野間委員)

 「事業に関係ある者に対する謝礼品」は、どういったところに謝礼としていくのですか。

 (今井副会長)

 各役員の担当業務に関わりのある方で、おつきあいをお願いする方にお渡しするというように考えています。

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

 <専務理事、理事、監事入室>

2 委員長報告

 (古森委員長)
 3点報告いたします。最初に、会計監査人選定の方法について説明します。審査メンバーおよび今後のスケジュールが決定しましたので、経営委員会事務局長より、ポイントを説明いたします。
 (吉国経営委員会事務局長)
 改正放送法の規定により、会計監査人を経営委員会が任命することになりました。選考方法は、プロポーザル方式とします。NHKは海外にも支局を持つ組織です。そういう組織を監査できる体制を備えていることに加えて、企業会計とともに公会計にも精通している必要があるという事情がありますので、3大監査法人を対象に監査方法や実施体制などの提案を求め、その中から選定することにします。
 評価の1つのポイントは見積額になりますが、それだけでは各監査法人の力量がわかりません。そこで、提案内容を評価して、見積額とあわせて総合評価をすることにします。すでに一連の手続きの日程を組んでおり、本日、監査法人への説明を済ませています。この後、今月24日に各監査法人から提案書を説明していただき、4月末に評価案を決定して、5月の経営委員会で審議いただくことにします。評価案の作成にあたり、専門の知識が必要ですので、経営委員会事務局が中心になり、関係部局から審査員を出して行います。もちろん、一定の評価ポイント、視点に基づき公正かつ透明性ある評価に最大限努め、最適な監査法人を選びたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 (古森委員長)
 2点目は、「経営委員会による受信者意見聴取」の開催についてです。第1回を5月31日に名古屋放送局で、第2回を7月12日に大阪放送局で開催することにしたいと思います。執行部および名古屋放送局、大阪放送局にはご支援をよろしくお願いいたします。
 続いて、3点目です。3月31日の参議院総務委員会で、私が「自民党衆議院議員を励ます会に出席した事実があるか」という質問があり、また、外部からの質問も来ていますので、誤解を招かないためにも、まずは経緯をお話しします。参議院総務委員会では、議員からの当該質問に対し、「2月26日、私は武藤容治議員を励ます会に出席しています。武藤氏は、大学卒業後、富士フイルムに入社されて、10年以上にわたって勤めた方であり、当社の総務課を通じて出席の打診があり、応じたものです。あくまでも、富士フイルムの社長として出席したものであり、経営委員会の委員長として出席したものではないということを言明します」と答えました。さらに、「NHKの経営委員長の立場を明らかにしたあいさつをしたのか」との質問がありました。それについては、「自己紹介の中で申し上げたことで、私は個人の立場で出席していますが、NHKの経営委員長もしております。NHKをぜひ応援してくださいという立場で申し上げました」と述べました。何かを具体的にお願いしたわけではなく、社交辞令的なもの、あいさつ的なものとして申し上げました。さらに、「経営委員長の職務においては、不偏不党、政治的公平の立場を堅持しており、企業の社長と委員長の話は切り分けている」と申し上げました。先ほど経営委員の皆さんと確認しましたが、放送法上は、経営委員であっても1民間人として、励ます会に出席することまで禁止されているわけではなく、経営委員会の職務を遂行する上で、不偏不党を遵守していれば問題ない、というのが経営委員会全体の見解です。

 

 

3 会長報告
  業務概況について(資料1) (資料2)

 (福地会長)
 6点ご報告いたします。1点目は、職員の懲戒処分についてです。インサイダー取引で金融庁から課徴金納付命令を受けた3名の職員について、以下の懲戒処分を決めました。被処分者は、報道局ニュース制作センターテレビニュース部制作記者、水戸放送局放送部ディレクター、岐阜放送局放送部記者の3名で、処分内容は懲戒免職です。処分決定日は平成20年4月3日で、発令は4月10日の予定です。処分理由ですが、3名は、平成19年3月8日、報道端末等から知り得た情報をもとに、株式の売買を行いました。この取引が、金融庁によりインサイダー取引と認定され、課徴金の納付命令を受けました。報道に携わる者として言語道断の行為により、公共放送の信頼を著しく傷つけた責任は重いため、懲戒免職としました。上司の処分ですが、3名が当時所属していた部局の部局長・部長・直属の上司等について管理監督責任を問い、4月3日付で報道局長、水戸放送局長ほか7名を減給処分としました。これとは別に、当時の岐阜放送局長は既に退職済のため転籍先での厳重注意を依頼しました。
 2点目は、国会関係についてです。国会でのNHK予算の審議についてご報告します。NHKの「平成20年度収支予算、事業計画及び資金計画」は、3月25日の経営委員会の直前に衆議院本会議で承認されたところまでは、既にご紹介しています。その後、参議院では、総務委員会の審議が28日と31日の2日間に渡って行われ、31日午後の本会議で承認されました。税制関連法案を巡る与野党対立の影響などで、参議院の承認は年度替わりまであと8時間余りのところまでずれ込み、時間的には、年度内ぎりぎりでしたが、内容的には、両院とも2年連続で全会一致での承認でした。両院の総務委員会での審議の模様については、編集をせず、審議が行われた日の夜12時前から深夜・早朝にかけて、録画と録音で、総合テレビ、衛星第2放送、ラジオ第1放送でお伝えしました。お手元の資料では、両院の総務委員会での質問者やおもな質問項目、附帯決議を記載しています。このうち衆議院では、受信料の増収や経営の効率化によって予算に余裕が生じた場合の視聴者ヘの還元策について聞かれ、私は「NHKには放送サービスを充実させていく責任がある。地上テレビ放送のデジタル化にもしっかりと取り組んでいくことが大事だ。還元策は、こうした事業に予算を適切に使用しつつ、今後の収入と支出のバランスを考慮しながら検討していきたい」と答弁しました。衆議院の附帯決議は、NHKに対して、「受信料の未払い・未契約等の減少に努めるとともに、公平負担に向けた検討を行うこと」「子会社等の統廃合を含めた一層の合理化を進めることにより、グループ全体の業務の効率化・スリム化を図ること」などを求めています。また、参議院での審議では、インサイダー取引の問題を受けて、コンプライアンス体制の確立に具体的にどのように取り組んでいくのか、お尋ねがありました。これに対して、私は「リスクマネジメント全体に取り組む組織づくりとともに、公共放送人としての高い倫理観が必要だということを、毎月初めに全職員に話しかけていく機会を持って、絶え間なく発信していきたい」と答えました。参議院の附帯決議は、改正放送法の趣旨を十分踏まえ、放送の不偏不党と表現の自由を確保して、公平・公正な放送の徹底を図ること、地上デジタル放送の完全デジタル化が円滑に移行できるようNHKが先導的な役割を果たすことなどを求めています。
 3点目は、新年度を迎えてということで、まず、入局式です。4月1日に新採用者の入局式を行いました。今年は150人が新たに入局しました。式では、私と副会長から激励の言葉を述べました。4月28日まで東京で研修を行います。アナウンサーは5月22日までですが、その後、全国各地の放送局へ赴任して、受信料収納やお客様対応を中心とした研修を1か月程度行い、それぞれの現場で実務につきます。入局式では、私から、2つを祝辞として話しました。1つは、「倫理観は高く、姿勢は低く」ということです。「姿勢は低く」というのは謙虚な姿勢ということで、それをキーワードとしました。また、「君たちは全国の各職場に赴任して、職種ごとに縦の軸で仕事をすることになるが、新入職員150名の横のコミュニケーションを大事にしていくように」と話しました。次に、来年度の採用に向けての選考状況です。平成21年度採用については、1月中旬から募集を開始し、3月4日に締め切りました。応募者数は、昨年が約9,900人、今年が約11,000人で、11%程度増えており、公共放送NHKで働きたいとの情熱を持った学生が多数応募してきてくれました。書類選考の結果は3月21日に発表しました。その後、4月1日から、一次試験として、全国9か所で面接、筆記試験を行いました。今後、二次試験、三次試験を行い、今月中に最終合格者を決定する予定です。
 4点目は、子会社の統合と、新会社の設立についてです。4月1日に全国に6社ある「地域制作子会社」の統合と「技術分野の子会社」の統合を実施するとともに、国際放送を実施する子会社を設立しました。1つ目として、地域の制作子会社6社を1社に統合して、「株式会社NHKプラネット」という会社にしました。東京に本社をおき、これまでの地域子会社は支社としました。NHKの地域放送サービスの一層の充実に資するとともに、統合によりネットワークカを強化し、地域情報の全国・海外ヘの発信力を高めて、「地域に貢献する企業」「地域に根ざした文化を創造する企業」を目指します。新会社名の「プラネット」は社員公募で選ばれたもので、プラン(企画)とネット(ネットワーク)を組み合わせたということです。私も、新会社発足の式典に出席しました。「せっかく6社が1社になったのだから、合併させられたとは考えずに、6社が一緒になればできることがあると考えていただきたい。例えば、人材育成のための研修は、6社それぞれでは規模が小さいため難しい面があるが、NHKプラネットでは研修担当の職員が研修の計画、ビジョンなどを作ることができる。こうした前向きな発想で考えていただきたい」ということを話してきました。2つ目は、NHKの番組制作および送出の技術業務を担当するNHKテクニカルサービスと、情報システムの開発・運用等を担当するNHKコンピューターサービスが統合し、「株式会社NHKメディアテクノロジー」として発足しました。本格的なデジタル放送時代に向け、放送技術業務のIT化に対応するとともに、放送技術とIT技術を組み合わせた新規事業を開発するITソリューション企業を目指します。この社名も、社員公募で選ばれたものです。この会社の発足の式典にも出席し、「システムと技術が統合した会社であり、定款を変えるような新しい事業にチャレンジしてほしい」といった話をしてきました。3つ目は、改正放送法の施行にあわせて、全世界に向けて英語でテレビ国際放送を行う新たな子会社「株式会社日本国際放送」を、4月4日に設立しました。この新会社は、NHKからの業務委託を受けて、テレビ国際放送の番組制作を行うほか、世界各地で放送が受信できるようにするための受信環境の整備などを行い、民間企業の協力を得て、この会社独自の番組も制作・放送する予定です。NHKは、この新会社を通じて、日本やアジアの情報を世界に向けてこれまで以上に積極的に発信し、国際理解の増進に貢献していく考えです。
 5点目は、ラジオ第2放送・FM放送事故に関する再発防止策についてです。今年の1月9日に発生したラジオ第2放送・FM放送事故では、放送センター内の設備障害により番組が中断し、視聴者の皆さまに多大なご迷惑をおかけしました。これを受けて、放送事故の再発防止策として、設備・運用の両面から改善対策を実施しました。具体的には、今回障害を起こした旧設備は、今年度の老朽化設備更新計画に従い、3月14日、新設備に更新しました。また、新装置の運用開始にともない、日常点検マニュアル等の見直しを行い、バックアップ訓練も強化しました。これらの改善措置により、今後とも放送の安定確保に努めていく所存です。なお、この放送事故に関しては3月17日付で総務省から文書による行政指導を受けていましたので、放送事故の再発防止策について、3月31日に総務省ヘも報告しています。
 6点目は、職員向け新サイト「会長ストレートトーク」の開設についてです。3月28日午後4時、職員向けホームページに、毎月初めに行われる会長の職員向けメッセージをはじめ、様々な式典やイベントで私が行ったあいさつや講演、各マスコミに掲載された会長インタビューの記事などを掲載する新サイト「会長ストレートトーク」を開設しました。これは、トップがどういった考えを持って経営に取り組んでいるのか、また、職員はどういった意識を持って取り組んでいくべきなのかということを全役職員が共有するため、新しい「社内広報」を職員向けホームページ上に設置したものです。また、「役員フロアーから」というサイトも開設し、役員のインタビューやあいさつ・講演なども掲載しています。
 (八幡理事)
 あわせて、1点ご報告します。前回の経営委員会でご報告した随意契約の見直し計画についてです。総務省からの協力要請に対して見直しを行い、3月末にホームページに公表する旨をお話しましたが、公表の直前になって、内閣官房のほうから、総務省を通じて、公表をしばらく見合わせてほしい旨の依頼があり、今、公表を見合わせている状況です。理由としては、「見直し計画を策定する特殊法人が15法人程度と、相当数の法人となる予定であり、また、今回初めてのことなので、見直し計画の各法人間の横並びを見つつ、全体的な傾向が判明した段階で公表してほしい」ということだと聞いています。NHKとしては、随意契約の適正化は自主的な取り組みとして決定をして経営委員会にも報告した旨を伝えたのですが、先ほどの要請がありましたので、検討の結果、しばらく公表を見合わせることにしましたのでご承知おきください。

 

 

4 議決事項

 (3) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 (日向理事)
 中央放送番組審議会委員として、福井俊彦氏(前日本銀行総裁)を平成20年4月9日付で新規委嘱したいと考えますのでご同意をお願いいたします。なお、5月から中央放送番組審議会に出席していただくように考えていましたが、福井氏が4月の中央放送番組審議会にも出席されるとのご意向であったことから、4月9日付での委嘱の同意をお願いするものです。
 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (4) 地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について(資料)

 (永井理事)
 地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画についてご審議をお願いします。今回は、平成20年度の開局を目指して検討を進めてきたデジタル中継局のうち、整備内容や民放との共同建設の諸条件が整った37都道府県167地区のデジタル中継局の設置についての提案です。各都道府県における地区名は、資料のとおりです。また、参考1(地上デジタル中継局の位置)に、各地域の局所の位置を示しています。これらの中継放送局の整備によって、新たに50万世帯で地上デジタル放送が視聴可能となりますので、全国カバー率は、今回の提案で約95%になります。特徴的なことは、中継放送局の整備がだんだん大規模な局から小規模な局に移ることです。今回、167局所のうちで大規模な局は63、小規模の局は104となっており、総額118億円を見込んでいます。これらの設備についても、既設設備の活用や民放と共同建設を行うことで引き続きコストの削減をしていく予定です。設置計画が承認されましたら、各中継放送局の免許申請手続きなどの準備に入ることになります。
 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

5 報告事項

 (1) 中継放送局の開局について(資料)

 (永井理事)
 地上デジタルテレビジョン中継放送局ならびにラジオ中継放送局の開局についてご報告いたします。まず、地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局についてです。これまでに議決いただいた設置計画に基づいて昨年の12月4日から本年の3月31日までの間に開局したデジタル中継局、25道県、76局所の報告です。各局の送信出力や申請世帯数などは資料のとおりです。また、中継局の位置については、参考1(地上デジタル中継局の位置)に記載しています。今回、76局所の開局によって、平成19年度末で、視聴可能世帯数は全世帯の93%をカバーすることになります。経費についてはできる限り節減すべく、既設アナログ局の利用、民放との共同建設を推進するとともに、今回は、コスト削減に有効な新しい設備や、干渉波を除去する装置などを導入しました。当初、この76局所については66億円を予定していましたが、11億円ほどのコスト削減を実現し、設備整備は55億円で済んでいます。平成19年度末までにこの76局所をあわせて344局所が開局し、先ほど申し上げたとおり、視聴可能世帯数は全体で93%をカバーすることになりました。
 続いて、ラジオ中継放送局です。夜間に外国電波の混信を受けて聞こえにくくなったことを改善するため、ラジオ第1放送の中継放送局を3月11日に開局しました。鹿児島県奄美大島の奄美大和というラジオ局です。奄美大和が位置する奄美大島の南部地域は、今まで、名瀬の局と瀬戸内という局があったのですが、夜間は外国波混信により聞こえにくいところでしたので、その改善のため、開局を行いました。本来、中波でやりたいということですが、中波の良好な波が確保できないことから、今回はFM波を利用してラジオ第1放送を流すということで整備をしました。FM波を使った中波ラジオ放送は、災害対策や離島など特殊な条件に限り特例として認められているものです。今回の整備で、大和村地区の約250世帯で夜間の外国波混信が改善されました。

 (多賀谷委員)

 地上デジタル中継放送局について、先ほどの設置計画の中の設置予定のところは、今後、デジタル中継局、要するに地上波の中継局をいずれも設置する予定の場所であると考えてよろしいでしょうか。

 (永井理事)

 はい、そのとおりです。

 (多賀谷委員)

 それでも残る場所は、基本的に僻地で電波が通らないといったところであり、そういったところは設置計画に入っていないと理解してよろしいでしょうか。

 (永井理事)

 はい。そのとおりです。これから全体では、先に2,000局程度と言っていましたが、多少数が増えており、2,200局所程度となる見込みです。平成20年3月末で344局所あるわけですが、残り1,700局所ないし1,800局所の整備をしなければなりません。それでも、視聴可能世帯は全体の98%程度にとどまります。あとの1.5%はNHK共聴と、自主共聴といわれる、視聴者の皆さんが自主的に整備された共聴設備での受信です。残りの0.5%、NHKで言いますと19万世帯から26万ないし27万世帯は残る可能性がありますので、電波を出してから精査はしていきますが、最後の最後はセーフティーネットということで、衛星を使って救済していくということになります。

 

 (2) テレビジョン中継局の廃局について(資料)

 (永井理事)
 平成19年度に実施した中継局の廃局についてご報告いたします。NHKはあまねく受信を確保するということから、一番多く運用していた昭和61年度当時、アナログの放送所が全国で3,495局所ありました。これが、共同受信設備等々への加入などにより、受信者がその中継局のエリアで皆無になるところから廃局をしてきました。平成19年度は、総合テレビ6局、教育テレビ6局を廃局しました。これらの局はすべてNHKが単独で放送している局であり、民放と一緒には放送していなかったところです。いずれの局も、開局当初は一定の受信者がいましたが、自治体や第三セクターの運営する共同受信施設などに加入したり、個別の受信技術の向上により他の中継局の受信者となることができるようになり、受信者が皆無となったことが確認されましたので、廃局をしたものです。

 (大滝委員)

 今、アナログ局は総合だと3,333局所だと思いますが、これはデジタル化されるとどういった形になっていきますか。

 (永井理事)

 アナログ局は、今回の廃局で3,333局所という数字になります。しかし、デジタル化されると、電波が混信を起こして見にくくなるところが解消する場合もあるので、できる限り数を減らそうということから、効率的な置局を行い、先ほどお話ししましたように、2,200局所程度にとどめようということで取り組んでいます。

 (多賀谷委員)

 1都道府県で50局所ないし100局所くらいですね。

 (永井理事)

 平均するとその程度になります。

 

 (3) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 (日向理事)
 6名の方の地方放送番組審議会委員の委嘱を行いますのでご報告いたします。関東甲信越地方で金子仁氏(新潟交通(株)代表取締役社長)、中国地方で宇佐川弘子氏(広島市平和記念資料館ピースボランティア)の2名を平成20年5月1日付で新規委嘱します。また、中部地方で鈴山雅子氏(三重県男女共同参画センター所長)、九州地方で正野逸子氏(産業医科大学産業保健学部教授)、北海道地方で福居恵美子氏((株)福居製餡所代表取締役社長)、四国地方で小松正幸氏(愛媛大学学長)の4名を平成20年5月1日付で再委嘱します。なお、関東地方の上原明氏(新潟日産自動車(株)代表取締役社長)は任期満了(平成20年4月30日)により退任されます。

 

 

6 その他

  20年春季交渉について

 (関根理事)
 20年度要員計画については、純減420人の要員計画の実施について組合の了解を得ました。勤務協定(36協定)の更改については、協定の更改に合意し、3月に調印しました。賃金については、組合から、3年間続いている給与カットについての意見がありましたが、インサイダー問題に関する第三者委員会の結論が出てからの議論ということで別途協議にしました。それから、参考ですが、新たな中長期経営計画について、策定にあたっては、視聴者や職員の意見をくみ上げるべきとの主張が組合からありました。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成20年4月22日    

古 森  重 

多賀谷 一 照