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第1037回
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平成19年3月2日(金)公表

日本放送協会第1037回経営委員会議事録
(平成19年2月13日開催分)

第1037回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1037回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成19年2月13日(火)午後2時から午後5時45分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  石 原 邦 夫 梅 原 利 之 深 谷 紘 一
    小 丸 成 洋   保   ゆかり 一 力 徳 子
    小 柴 正 則   佐々木 涼 子 菅 原 明 子
    多賀谷 一 照      
   ◎委員長 〇委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔監  事〕

  古 閑 監 事 坂 野 監 事 落 合 監 事

 

〔役  員〕

  橋 本 会 長
  永 井 副会長 原 田 理 事 畠 山 理 事
  小 林 理 事 金 田 理 事 中 川 理 事
  小 野 理 事 衣 奈 理 事 石 村 理 事
  西 山 理 事

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室、21階役員会議室


<議   事>

 議事に先立ち、本日の議題等について経営委員のみの打ち合わせを実施。その後、石原委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1036回経営委員会(平成19年1月30日開催)議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成19年2月16日に公表することを決定。

 

付議事項


1 委員長報告
  コンプライアンスの徹底に関する執行部への申し入れ

 

2 会長報告
  業務概況について

 

3 議決事項
  国際放送番組審議会委員の委嘱について


4 報告事項
 (1) 「平成19年度収支予算、事業計画及び資金計画に付する総務大臣意見」および「平成17年度業務報告
   書に付する総務大臣意見」について

5 その他
 (1) 受信料体系の今後の方向について

6 報告事項
 (2) 平成19年度放送番組補完インターネット利用計画について
 (3) 平成20年度の職員採用について

7 その他
 (2) 平成19年度組織改正の概要について
 (3) 「第36回NHK番組技術展」について

8 監事報告
  平成18年度監事監査中間とりまとめ

  

議事経過

1 委員長報告
  コンプライアンスの徹底に関する執行部への申し入れ
(石原委員長)
 最初に、コンプライアンスの徹底に関する経営委員会から執行部への申し入れを行います。これは、昨年12月に、コンプライアンス委員会から第一次答申をいただいた後、経営委員とコンプライアンス委員との意見交換を行うなど、この答申をもとに、経営委員の中で論議を重ね、現時点で特に重要だと思われる事項について、今回申し入れを行うこととしました。
 まず、コンプライアンス委員会の第一次答申を、経営委員会として重く受け止めます。コンプライアンスの徹底は業務と一体で行われるべきものであり、コンプライアンス態勢の強化・再構築は、トップマネジメントが責任を持って立案・実行すべき中核的テーマであること、ついては、会長以下執行部が強力なリーダーシップを発揮し、3つの課題に取り組むことを強く要請します。本来ならば、執行部で検討・実施すべきものであると思いますが、本件の重要性に鑑み、従来より踏み込んで、具体的な要請を行うものですので、その重大さを十分に認識して、実行に移していただきたいと思います。
 1つ目は、「役職員の意識改革に向けた取り組み」です。これは言うまでもなく、コンプライアンスの徹底は、受信料で成り立つ公共放送の主体として、NHKの組織全体、役職員全員が、その置かれた立場の重さを自覚しながら取り組むべき課題です。また、会長以下執行部が、コンプライアンスの徹底へのコミットメントとリーダーシップを示していただき、率先して、職員との緊密なコミュニケーションを計り、コンプライアンスの徹底がNHKの存在意義や役職員ひとりひとりの存立基盤を確保するための必要条件であることを全職員と共有することが必要です。以上の観点から、縦割構造による弊害を取り除くことも念頭に置いて、役職員相互が円滑に情報共有や意思伝達ができる環境を整えるとともに、公共放送人としての使命感およびコンプライアンスの徹底に向けた意識の醸成・浸透を強力に推進する制度ないし施策を検討・実施していただきたいと思います。
 2つ目は、「真に実効性のあるコンプライアンス態勢の構築」です。コンプライアンス委員会の第一次答申が指摘するように、ルール・手続き等は、日常の業務実態に合致し、それとかい離がないものでなければならず、すべての役職員に見える形で明確化され、かつ公平・厳格に運用されなければいけません。そういった観点から、既存の施策・ルール等をNHKの業務実態に即して見直すとともに、真に実効性のあるコンプライアンス態勢を再構築していただきたいと思います。そして、その際には、会長以下執行部が自ら報告を受け、直接指示ないし指導する体制を、部門組織を横断する形で整備するとともに、業務過程と権限・責任の所在を明確にすることにより、日常的な業務プロセスにおいて、自律的に相互の監視・指導が働くチェックシステムを整備していただきたいと思います。
 3つ目は、「モニタリング機能の強化」です。モニタリング機能は、トップの統制機能を補佐するだけでなく、独立的視点から業務執行を評価する機能であり、健全かつ有効な組織環境を構築するために不可欠なものです。こうした観点から、そのためのモニタリング態勢を強化していく必要があり、現実にそれを担う、監査室等のモニタリング部門の機能強化を早急に図る必要があります。モニタリング部門の役割・責任の明確化およびその機動力と専門性を高めるため、所要の組織改正、要員体制の見直し、人事配置を平成19年度から措置していただきたいと思います。
 経営委員会は、引き続きコンプライアンスの徹底に強い関心を持ち、執行部の監視・監督にあたるものであり、以上の要請事項に関する執行部の取り組み状況については、定期的に報告を受け、適宜コンプライアンス委員会の意見も聴取するなどして、モニタリングを行い、原則として公表していくこととします。つきましては、まず、以上の要請事項の達成に向けた工程表を平成19年3月末までに作成し、ご報告いただきたいと思います。NHK執行部が以上の要請事項を自立的判断に基づいて実行し、着実に改革を進め、NHKにおける最善のコンプライアンス態勢を構築するよう重ねて求めるものです。

(橋本会長)

 この申し入れの中身は、われわれの考えることと基本的には一致していると思います。特に、コンプライアンスの徹底は、われわれが推進しているNHK改革のベースとなるものであり、視聴者の信頼回復のために一番大事なことだと思っています。今回の経営委員会からの申し入れにつきましては、いろいろな方法で諸施策に反映させたいと思いますし、その諸施策は、執行部の命題として、自主的に進めなければならないことだと思います。これに則した具体的な計画については、あらためてご説明いたしますが、コンプライアンスの確立に向け、私以下、執行部が一丸となって努力してまいる所存です。

(石原委員長)

 コンプライアンス担当の畠山理事は何かご意見ありますか。

(畠山理事)

 私どもでは現在、平成19年度のコンプライアンス推進のアクションプランを策定中ですが、本日の申し入れを踏まえ、具体的な施策を盛り込み、できるだけ早くご説明したいと思います。また、この申し入れにある、工程表は3月末までにお示ししたいと考えていますが、19年度から措置することとなっている、モニタリング態勢の強化については、異動期に実施するということでもよろしいのでしょうか。

(石原委員長)

 基本的にはおっしゃるように、異動後に具体的な態勢ができ、実質的な強化が図られるよう措置を講じていただきたいと思います。

(畠山理事)

 アクションプランには研修の強化など、4月から実施する施策も含んでおり、3月末といわず、もっと早い段階でご説明し、諸施策を着実に推進していきたいと考えています。

(佐々木委員)

 コンプライアンスに関連して、申し上げたいことがあります。日放労の機関紙に、平成19年度番組編集の基本方針と編成計画に関する労使協議の記事があり、そのやり取りを読ませていただきました。その中に、私の印象では、経営側がさほどていねいな説明をしていると思えないのに、組合側は、これまでにない詳しい説明であり、情報の共有化に努めようとする姿勢がうかがえ、評価したい旨のコメントがありました。そうだとすれば、これまで組合に対する説明が全体的に不十分だったのではないかと思います。組合側に「経営側はきちんと説明してくれない」、「情報を提供してくれない」という気持ちがあるのであれば、それは大きな障害になります。組合とは、対立の構図になる事案もありますが、コンプライアンスの確立については、意思疎通を図りながら、相互に理解し合うことが重要です。そして、NHKに働く職員のひとりひとりが、なぜこれに取り組む必要があるのか、経営側は何を考えているのかをよく理解し、積極的な姿勢にならなければ、絶対に達成できないと思います。申し入れの中にも、“職員との緊密なコミュニケーション”という文言が入っていますが、これについては今一度、重ねてお願いいたします。

(小野理事)

 現執行部になって最初の労使交渉で、風通しのよい関係を目指したいと申し上げて以降、これまで相当分厚いコミュニケーションの上に物事を進めてきたと認識しています。組合側もわれわれに対して、同様の認識を持ってくれていると思います。佐々木委員のご指摘については、今回の説明が特によかったということなんだろうと思います。いずれにしましても、放送労使会議や中央経協など、組合側とはさまざまなレベルで協議を行う場がありますので、今後ともコミュニケーションを十分に図りながら相互理解に努めてまいりたいと思います。



2 会長報告

  業務概況について
 (橋本会長)

 まず、平成19年度予算・事業計画および放送法改正をめぐる政府・与党などの動きにつきましてご報告いたします。平成19年度のNHK予算・事業計画は、すでに総務大臣に提出しておりますが、総務大臣のNHK予算等に付する意見が、2月7日に開催された政府の電波監理審議会で諮問どおり答申されました。その大臣意見をNHK予算・事業計画に付することが2月9日の閣議で決定され、同日、それらが内閣から国会に提出されました。この総務大臣意見につきましては、後ほど担当役員から報告させていただきます。
 前回の経営委員会以降、予算等の国会提出のための与党への説明の手続きが目白押しで、1月31日には自民党通信・放送産業高度化小委員会、2月1日には自民党総務部会関係合同会議および政調審議会、2月2日には自民党総務会と公明党総務部会、2月6日には公明党政務調査会全体会議が開催されました。それから、予算等が国会に提出された9日には、自民党国会対策委員会が行われ、NHK予算等が今年度内の承認を目指す案件とすることが確認されました。NHKの予算等は3月の中下旬にかけて、衆参両院の総務委員会で審議されることになると考えております。自民・公明両党の一連の会議では、「受信料の収納コストを下げるため、最大限の努力をすべき」という意見や、番組については、「公共放送として毅然とした姿勢で、自信と誇りをもってやってほしい」、「視聴率を狙わずに、今後も質の高い番組をどんどん出してほしい」という意見など、いろいろなご意見を頂いております。
 放送法の改正の動きについて申し上げますと、総務省は、9日の自民党通信・放送産業高度化小委員会で、現段階での放送法改正案の概要を説明したと聞いています。明日14日には、同委員会に私と民放連の代表が招かれ、ヒアリングが行われます。明日はまた、公明党総務部会でも放送法の改正について議論が行われます。このように、これから自民・公明両党で党内手続きが進み、3月中旬までには、放送法改正案が今通常国会に提出されるかどうかが決まるものと思われます。NHKに関するこれまでの議論のポイントは、まず、受信料収納コストの削減があげられますが、ホテル等事業所の受信料体系の見直しについても指摘されており、これについての新しい考え方を2月中にお示しすることとしております。これについての考え方は、後ほど担当役員から説明させていただきます。このほか、受信料収納経費の削減策や支払い義務化による増収効果などを総合的に検討し、収支の見通しを立て、9月末までに、どのような条件で視聴者への還元が図れるのか、具体的にお示しすることとしています。また、平成18年度から20年度までの現在の「3か年経営計画」についても、状況が変わってきているため、最終年度を待たず、平成19年度中に新しい経営計画を策定することも考えております。現在の経営計画は3か年としていますが、場合によっては、5か年の経営計画を策定する必要があるとも考えています。
 日本のデジタル放送を推進する体制が変わります。これまで衛星デジタル放送については「BPA」(社団法人BSデジタル放送推進協会)、地上デジタル放送については、「D−pa」(社団法人地上デジタル放送推進協会)がそれぞれの推進を担い、独自に活動してきましたが、4月1日から両者が「DPA」(社団法人デジタル放送推進協会)として統合され、デジタル放送の普及に取り組むことになりました。NHKとしましても、これまで同様、しっかりと支援してまいりたいと考えております。
 2月7日と8日には、イギリスのBBC、イタリアのRAI、ドイツのIRTなど、ヨーロッパで放送技術を研究している機関の長が、NHK放送技術研究所に集まり会合を行いました。ヨーロッパでは、多チャンネル指向が中心で、これまでNHKとの技術面での連携はあまりありませんでしたが、スーパーハイビジョンなど、現在NHKが持っている放送技術や先端的なノウハウを、ヨーロッパにおいても展開したいとのことであり、次世代に向けた放送技術に関して、相互に連携しながら研究開発を行っていく旨の協定を結び、今後もこうした会合を定期的に開催していくことなどを確認しております。
 最後に、2月8日発売の週刊誌の記事に、NHKの関連団体連絡協議会が直前にキャンセルになったことなどについて書かれています。直前にキャンセルしたことは事実ですが、そのほかの記載内容については、当事者もそのようなことはないと断言していますので、その旨ご承知おきください。なお、関連団体連絡協議会の開催については、現在、あらためて日程調整を行っているところであり、別途ご報告したいと思います。

(小柴委員)

 現在の「3か年経営計画」を前倒しで見直すとの説明があり、場合によっては5か年計画もとおっしゃっていましたが、5か年計画と考える根拠をご説明ください。また、現在の計画を見直した場合、その取り扱いはどのようになるのですか。

(橋本会長)

 放送法改正において、支払い義務化の動向を見なければいけませんが、現在の「3か年経営計画」では、支払い義務化を考慮していません。したがって、それが導入されることになれば、経営計画の前提となる考え方が大きく変わる可能性があるため、新たに策定し直さなければならないということです。また、支払い義務化が法定化されなくても、現在の「3か年経営計画」で計画している受信料収入の回復が、現在のところ1年前倒しのペースとなる中、財政状況も変化していますので、その財源をどのように使用していくのか再度精査し、現在凍結している老朽設備の更新や維持補修等を含めて、計画を見直す必要があります。また、2011年以降についても、デジタル関連投資がひと段落し、アナログ放送の経費も削減されるため、財政状況について、こうしたところまでを見据え、5か年計画とする必要もあるかと考えております。

(多賀谷委員)

 財政上の問題については、さまざまな議論が行われていますが、仮に、放送法が改正されて、受信料が支払い義務化となった場合、NHKとして何もしなければ、国民は、なぜそのようになったのか、契約もしていないのになぜ支払わなくてはいけないのかといった不満が出てくると思います。やはり、“なぜ義務化なのか”ということを、NHKが説明しなければならないということです。このときには、受信料を公平にお支払いいただくために義務化するという説明では、国民は納得しないと思います。公共放送NHKとして、どのようなサービスを行っていくかということを、きちんと体系的にお示しして、納得していただかなければならないと思います。ご検討いただければと思います。

(橋本会長)

 基本的には、受信料の公平負担を目指すため、法制度的に支払い義務の明確化は重要だと考えていますが、受信料の公平負担と公共放送の役割など、ご指摘の点を踏まえながら検討したいと思います。具体的な説明の方法等については、前回ご説明した広報プロジェクトである、「CIタスクフォース2007」の中で検討したいと考えております。

(佐々木委員)

 さきほど、受信料を公平に負担していただくために、支払い義務化が必要とのお話がありましたが、私の考えはそうではありません。公共放送の中で、最も公共的な部分というのは、市民生活を支えるライフラインのようなもので、これなくしては、今の健全な社会が成り立たなくなるようなところがあると思います。NHKの放送が存在することで、社会全体に健全な指針を与え、災害や危機に見舞われたときに、生命や財産を守る役割を担っているわけですから、受信料というものは、NHKの放送を見る、見ないにかかわらず、日本という社会を健全に成り立たせるために、それを支えるとても重要な要素として、その構成員全体で負担すべきものだと思います。しかも、それは政治から離れたところにあるべきです。そう考えると、受信料の支払い根拠は、“見る、見ない”や“好き嫌い”とは、まったく次元の違うところにあり、公共心を持っている日本人である以上、当然負担すべきものであるという説明ができると思いますがいかがでしょうか。

(小林理事)

 佐々木委員がおっしゃるとおり、われわれとしてもご指摘いただいた内容を理想的な姿と考えていますが、現実的には「NHKを見ないから」、「受信料が不公平だから」、「公共放送は不要だから」といってお支払いいただけない方が多数いらっしゃいます。確かに、不祥事を理由に支払い拒否・保留されている方もいらっしゃいますが、このように言われてしまうと、公共放送NHKとしての責任において、どのようにすれば、すべての人にきちんと負担していただけるようになるのか、具体的に考えなければなりません。その場合のメルクマールの1つが公平負担であり、結果的にそのことが、社会的ライフラインを担保することになるということなのですが、そこの説明が非常に難しいのです。

(佐々木委員)

 その説明の仕方については、「CIタスクフォース2007」で検討していただきたいと思いますが、理念をまずきちんと立てたうえで説明する必要があると思います。さきほど、私が申し上げたような理念を大上段に掲げると、反発が出るかもしれませんので、例えば、「NHKがなければどのようになると思いますか」という質問を行って、皆さまにイメージしていただくとか、いろいろなやり方があると思います。高度なテクニックが必要かもしれませんが、この説明に努力を払うべきだと思います。私は、NHKも水道や電気と同じように、社会生活を営むうえで重要な要素だと考えています。ただし、「NHK“約束”評価委員会」の評価結果において、地上放送に関するNHKの放送サービスの価値としての支払い意思額は、月額で約1,800円であったと思いますが、ある人が「私は受信料を2,000円支払います」、「私は3,000円支払います」と言ったからといって、それだけ徴収してよいということではなく、ライフラインである以上、すべての人々に無理なく負担していただけるようにすることを考えなくてはいけないと思います。

(石原委員長)

 現在、放送法改正に関する経営委員会としての考え方をとりまとめているところですが、支払い義務化も1つのテーマとして議論しています。



3 議決事項
  国際放送番組審議会委員の委嘱について
 (石村理事)
 国際放送番組審議会委員として、竹田保孝氏(社団法人共同通信社常務理事・編集総本部長)を平成19年3月1日付で新規委嘱したいので同意をお願いします。なお、平田保雄氏(日本経済新聞社専務取締役)は、平成19年2月28日付で任期満了により退任されます。

(梅原代行)

 放送番組審議会(以下、「番審」という)の運営方法についてですが、中央放送番組審議会(以下、「中央番審」という)は、会長以下、放送各部門の責任者が出席して開催されています。一方、四国などの地方放送番組審議会(以下、「地方番審」という)は、一部、中国地方で、各地域放送局長が出席して開催されている場合もあるようですが、拠点局だけの出席で開催する場合が多いようです。地方番審の委員は、エリア内の各地域から選出されていますし、月に一度の開催でもありますから、拠点局だけでなく、エリア内の各地域放送局長も出席すればよいと思います。NHKが、地域放送をさらに地域に密着した形で充実させようとするならば、視聴者に一番近い存在である地方番審をもっと有効に活用すべきだと思います。以前、保委員から、番審に若い世代の委員を入れ、こうした世代の意見も参考にすべきとの意見がありましたが、意見を聞く側のNHKとしても、時代にあわせて出席者を見直す必要があると思います。ぜひご検討ください。

(保委員)

 今、NHKの番組に対する関心が非常に高くなってきていると思います。視聴者にとっても、番審はNHKとの結びつきという意味からも、きわめて重要な機関だと思いますし、その審議内容は興味のあるところです。今、梅原代行が言われた、番審の有用性ならびにあり方について、ぜひご検討いただきたいと思います。

(多賀谷委員)

 番審の審議状況は、議事録をその都度送っていただいており、承知しています。その中で番審委員から出された意見等については、その場でお答えになっているのだと思いますが、やはり、多少お金と手間はかかっても、番審で出された意見が、どのような形でその後の放送等に反映されたのか、きっちりと見えるような形で示したほうがよいと思います。例えば、リサーチ会社等に委託し、全国の地方番審でどのような意見が出されているのか、体系的かつ数量的にまとめ、それに対して、NHKがどのような方策を採ったのかを示すことができれば、番審としても、より活発な意見が出てくるようになると思います。ご検討をお願いします。

(原田理事)

 番審の内容は、最終的には議事録で公表しておりますけれども、中央番審では、従来お伝えしてきた審議概要に加えて、昨年から、委員の方お2人ずつにインタビューをして、番組でご紹介しております。こうした取り組みは4月以降も継続して行っていきたいと考えております。それから、番審で出されたご意見等が、どのように反映されるのかということですが、中央番審や関東甲信越地方番審など、東京で開催される場合は、NHKのすべての放送現場の責任者が出席し、ご意見をお伺いしていますので、基本的に直すべきものは、すぐに直すということで日常的に行っております。また、地方番審につきましても、9月に開催する番審は、東京から編成や制作など、各部局の担当者が出向いて、番組のあり方をはじめ、さまざまなご意見等を伺う機会を作っています。そこで出されたご意見等は、現場にフィードバックして、今後の取り組みのベースにしております。また、各地域放送局の局長に対しては、番審委員の皆さんと、日常的に連絡を密にしてご意見等を伺うよう指導しております。梅原代行からご提案の地方番審への地域放送局長の出席につきましては、検討いたします。

(石原委員長)

 番審の出席者、その運営方法、あるいはPRの仕方等について、ご検討いただきますようお願いします。

採決の結果、原案どおり議決。


4 報告事項
 (1) 「平成19年度収支予算、事業計画及び資金計画に付する総務大臣意見」および「平成17年度業務報告
   書に付する総務大臣意見」について
 (中川理事)
 「平成19年度収支予算・事業計画及び資金計画に付する総務大臣意見」につきましては、2月7日の電波監理審議会の諮問・答申、2月9日の閣議を経て国会に提出されています。また、「平成17年度業務報告書に付する総務大臣意見」につきましても、同じように2月9日の閣議を経て、国会に報告されています。
 まず、「平成19年度収支予算・事業計画及び資金計画に付する総務大臣意見」の内容についてご説明いたします。受信料収入が不祥事発覚前の水準を大きく下回る状況にあるものの、「平成18年度〜20年度 NHK経営計画」を踏まえて、国民・視聴者の信頼回復、受信料収入の回復、業務の効率化に向けた取り組みを進める途上にあり、また、放送サービスの充実やコンプライアンス関係経費に予算を重点配分しつつ、経費削減により収支均衡を維持していることなどから、やむを得ない内容と認める、としています。しかしながら、依然として受信料未契約世帯等の割合が全体の3割近くにのぼるとともに、受信契約・収納に多額の経費を要するなど、受信料の公平負担の徹底や業務効率化等の観点から、なお改善されるべき点がある、との指摘を受けております。それから、収支予算等の実施にあたり、特に配慮すべき点として8項目挙げられております。1点目は、NHKの改革・再生に向けて、組織を挙げた改革を加速させるとともに、改革への取り組み状況を国民・視聴者に公表すること、また、コンプライアンスの徹底、ガバナンスの強化、視聴者との結びつき強化等の各種措置を全力で推進すること、経営委員会は、ガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底に向けて指導的役割を果たすこと、としています。2点目は、受信契約の締結の徹底について、特に、受信料不払い者および未契約者の解消に向けては、口座振替の推進およびホテル等の受信実態等を勘案した事業所向け受信料体系の抜本的見直しなど、あらゆる措置を早急に検討して全力で取り組むこと、あわせて、国民・視聴者からの信頼回復や経営改革の努力により見込まれる増収等については、真に必要な経費を見極めつつ、将来の受信料の減額を検討すること、としています。3番目は、業務の効率化に関して、特に、契約収納関係経費については、政府の「市場化テスト(官民競争入札制度)」に準じて、可能な限りの外部業務委託を行うなど契約収納業務の抜本的な見直しを早急に検討し、経費削減の具体的数値目標を設定すること、子会社等についても整理・統合計画を速やかにとりまとめ、合理化・効率化を推進することとしています。4番目は、国際放送を効果的・効率的に推進するとともに、海外に向けた情報発信力をいっそう強化する観点から、現在の国際放送に加え、新たな外国人向けの映像国際放送の実施に向け、必要な検討を行うこと、としています。5番目は、国民・視聴者にとって貴重な財産であるアーカイブスの積極的な利活用を図るとともに、NHKアーカイブス・オンデマンド事業の実施に向けた着実な準備を進めること、としています。6番目は、受信料を主な財源とする特殊法人としての国民・視聴者に対する説明責任を全うする観点から、番組制作費の支出内訳に加え、職員の給与支給基準および服務準則、伝送部門に係る経費など、NHKの経営・業務等に関する情報公開をいっそう積極的に進めるとともに、業務委託および調達について、契約・経理処理手続きの適正化および競争契約比率の向上に努めること、としています。7番目は、地上デジタルテレビジョン放送について平成23年のデジタル放送への全面移行に向け、中継局の整備や受信機の着実な普及を推進するとともに、視聴者に対する周知・広報や受信者からの相談等に積極的に取り組むこと、としています。8番目は、放送番組の編集にあたっては、国民・視聴者の期待に応え、公共放送に対する要望を満たすとともに、文化の向上に寄与するよう最大の努力を払うこと、また、放送した番組に寄せられた視聴者の意見や要望を適切に反映する仕組みづくりに努めること、としています。
 次に、「平成17年度業務報告書に付する総務大臣意見」についてご説明します。平成17年度はご承知のように、支払い拒否・保留数が増加するなどきわめて厳しい経営環境の中、9月に「NHK新生プラン」、1月には「3か年経営計画」を公表して、改革に取り組んできた年度です。大臣意見では、不祥事の再発防止、受信料の公平負担の確保、子会社を含めた経営の合理化など、所期の成果を十分に収めたとは言えない点があり、将来に向けて改善されるべきである、としています。一方、豊かで質の高い放送番組の充実、災害・緊急報道体制の強化、地上デジタル放送の推進等に関する取り組みについては、おおむね所期の成果を収めたものと認める、としています。その上で特記事項として、不祥事の再発防止、受信契約の締結、業務の合理化等、子会社等、国際放送の充実、情報公開、デジタル放送の実施とその普及に向けた取り組み、災害対策、放送番組の充実等、字幕放送等の10項目について記載されています。

(梅原代行)

 今後、国会審議に臨むにあたり、一言申し上げます。現在、NHKだけでなく、メディア全体に対する国民の見る目が非常に厳しくなっています。そのきっかけとなった事件が、民放の番組「発掘!あるある大事典2」のねつ造問題であり、その後、新聞でもいくつかの盗作問題が発覚しました。まさに今、メディアの倫理観や公共性が問われており、国民全体から非常に不審な目で見られています。NHKも不祥事等で国民から厳しい批判を受けてきましたが、今回の予算審議は、放送法の改正とも絡んでおり、NHKとしても、こうしたものに関する説明をしっかりと行い、メディア界をリードしなくてはいけないと思います。また、ある意味では、公共放送についてアピールする絶好のチャンスだと思います。「NHKには娯楽番組やスポーツ番組は必要ない」との意見がありますが、民放の番組が問題になっている中で、あらためて、これに対してもNHKはきちんとやっていくという姿勢をしっかりと説明すべきだと思います。そのためには、襟を正すことから始めて、徹底した経営の効率化を図り、正確かつ公平な放送に努めることがすべてのベースになると思います。公共放送に関してさまざまな議論がある中、NHKとしての考えをきちんと国民に示していただきたいと思います。会長以下、執行部全体が共通認識を持って、ブレないことが大事だと思います。

(橋本会長)

 私どもの認識もまったく同じです。NHKと民放との二元体制の中で、公共放送としてのNHKをしっかりとアピールしていきたいと考えています。

(永井副会長)

 公共放送NHKについて、視聴者の皆さまの理解が少しずつ深まってきているという感じがしています。これまでNHKとして、あまりにも説明してこなかったという非がありますが、歴史的な転換点にしたいと思います。



5 その他
 (1) 受信料体系の今後の方向について
 (小林理事)
 今後の受信料のあり方についてご説明いたします。今回は中間報告といたしますが、当面の課題は、さきほど会長から報告しましたように、2月末に公表することとしている、ホテル・病院などの事業所契約の新たなあり方についてです。これにつきましては、会計検査院からも指摘を受け、さまざまな場においても、ご意見を頂いておりますので、受信料の支払い義務化に関係なく、独立して早急に検討すべき課題と考えています。事業所契約については、敷地内に設置した全数分を支払う時にのみ、2契約目以降について割り引くことなどを検討しています。また、事業所契約では、台数を正確に把握できていないという指摘も受けており、その活動を支援する、さまざまなシステムの構築や外部委託等も視野に入れた検討が必要だと考えています。こうした新たな事業所契約のあり方については、次回の経営委員会でご審議願いたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、受信料体系の変更については、事業所契約以外にも、社会的弱者への配慮、収納コスト削減分を還元するための割引、複数住居を持つ場合の世帯契約のあり方など、さまざまな考え方があります。こうしたことは関連したさまざまなツール・手法の開発とあわせて検討すべきであり、支払い義務化ともセットで検討すべき課題であると思いますが、施策の効果等を見極めながら、9月をめどに検討してまいりたいと考えています。それから、受信料額の一律値下げについては、決して簡単なことではありませんが、今後の受信料収入の見通しや必要経費等を見極めながら、その可能性について検討したいと考えております。

(小丸委員)

 2月6日の新聞報道で、“受信料2割値下げ可能”と総務省の試算結果が明らかにされています。総務大臣が受信料の2割値下げに言及し、これに対して、会長は、根拠がわからないとコメントしていましたけれども、国民から見ると、支払い義務化となれば増収が見込まれるだろうという思いがあり、増収になったときに、NHKがどのような対応をとるのかということについて、非常に注目していると思います。こうしたことから、NHKの考えている対応策について、もう少しスピード感をもって公表していくべきだと思います。また、「3か年経営計画」の中で、1,200人の要員削減等に取り組んでいること、2011年の完全デジタル化に向けて多額の設備投資が必要なことも、これとあわせて、アピールしたほうがいいと思います。支払い義務化になれば、皆さまに受信料をお支払いいただくわけですから、NHKの取り組みをよりいっそうPRしなければいけませんし、公共放送の役割や必要性についても積極的にアピールしていくべきだと思います。今がNHKを理解していただく一番いいチャンスだと思います。

(橋本会長)

 視聴者への還元策については、支払い義務化があろうがなかろうが、受信料収入が以前の水準以上に回復すれば、還元の方法を検討しますし、ましてや、支払い義務化をてこに、収納活動を重ねていけば、それによって増収が期待できることから、還元方法の1つとして受信料の値下げを検討することもやぶさかでないと申し上げています。ただし、総務大臣は、支払い義務化を法定化するためには、受信料値下げがセットとのお考えを表明されておりますが、支払い義務化については、これからの審議によって決まるものであり、場合によっては法定化されないということもありえます。こうした事情から、受信料値下げについては、少し慎重に発言しなければならないと考えています。仮に、支払い義務化が実現される見通しとなれば、増収に向けた努力をする一方、具体的な還元策として、受信料の値下げの可能性について、しっかり検討しなければならないと考えています。

(多賀谷委員)

 受信料を割引する場合には、正当な根拠が必要だと思います。それは、受信料がどのような性格のものかということにかかわってくると思います。外国では、社会的弱者を免除する制度もありますが、その免除分は、国が補填する仕組みとなっている場合があります。日本でこれを実施するとすれば、政府からは補填されないと思いますので、免除分はすべてNHKの減収となります。そうすれば、なぜ社会的弱者に割引が必要なのか、受信料は特別な負担金なのか、それともサービスの対価なのか、たぶんこうした話とかかわってくると思います。9月までに、これらをきちんと整理して、しっかりとした根拠をご説明いただきたいと思います。

(小林理事)

 ご指摘はもっともなことであり、しっかりとした根拠のもとにご説明させていただきます。

(石原委員長)

 いずれにしましても、受信料体系の見直しや受信料の値下げ等については、資金計算を行い、その算出根拠を含めて、時系列的に押さえておく必要があります。こうした数値的な裏づけのもとに、検討していただきたいと思います。



6 報告事項
 (2) 平成19年度放送番組補完インターネット利用計画について
 (原田理事)
 「放送番組補完インターネット利用計画」については、平成13年の「放送政策研究会第一次報告」および平成14年の「総務省のガイドライン」に沿って、平成14年度からNHKが独自に策定しているものです。平成19年度も放送番組を補完するため、放送番組の二次利用、あるいは放送番組の関連情報を提供していきます。具体的な放送番組の二次利用としては、ニュース・気象情報、スポーツ中継時の得点情報等、教育番組、福祉番組、科学・教養・生活番組、地域情報番組、データ放送番組の7分野について提供を行います。また、関連情報としては、教育、福祉、医療、生活、気象および地域情報の6分野について提供し、これらの分野の放送番組をよりよく理解していただくために役立てていただきたいと考えています。これらにつきましては、各番組のホームページで提供するとともに、主な携帯電話会社のサービスメニューからもご覧になれます。提供期間については、放送番組の終了から最長1週間程度、ニュース情報は、掲載時から最長48時間程度といたします。また、視覚障害者向けおよび携帯端末向けにも、読み上げ版としてニュース情報などを提供します。放送番組の二次利用、関連情報の提供のために要する経費は、「総務省のガイドライン」の中で、総額10億円程度と定められておりますが、平成19年度に要する経費の規模は6.6億円としております。最後に、今申し上げたものは、放送番組の補完ということでありますが、これとは別に、インターネットのホームページを利用して、放送番組の周知、視聴者の皆さまから番組に対するご要望や投稿の受け付け、予算・決算・業務報告書等の情報公開、受信契約に関する受け付けなどを行っていますし、国民の生命・財産の安全確保や民主主義の健全な発展の観点から国民に必要な情報として、災害情報、選挙情報等を提供しています。これらについては、日本語以外の21言語による国際情報発信を含め、平成19年度も引き続き、積極的に提供していきます。

(多賀谷委員)

 放送番組の二次利用で、番組のホームページ等で動画を流していますが、これは著作権法上、放送に該当しないという理解でいいのですか。

(原田理事)

 放送には該当しません。

(石原委員長)

 平成19年度NHKインターネット関連予算である27.5億円と、今ご説明のあった6.6億円の関係はどうなっているのですか。

(原田理事)

 放送番組の周知や経営広報、災害情報等の提供、国際放送の周知、公開ホームページの運用経費など、平成19年度NHKインターネット利用に関する予算総額は27.5億円であり、そのうち、今ご説明した放送番組を補完するために、インターネットのホームページを利用して、放送番組の二次利用や番組の関連情報の提供を行うことにかかる経費が6.6億円ということです。予算総額は、平成18年度より12億円増加していますが、これは、新たなインターネット会員サービスの開発、国際放送のニュースの強化、地方局のインターネットの充実等にあてる予定です。

(石原委員長)

 放送番組の二次利用、関連情報の提供のために要する経費が、総務省のガイドラインの中で総額10億円程度と定められているのは、民間との公平な競争を確保するためというような配慮があるのですか。

(中川理事)

 放送番組の二次利用と番組関連情報の提供については、必須業務である放送の補完という位置づけで行う附帯業務であるため、一定の規模を超えると、民間とのバランスがとれなくなるということもあり、10億円という上限が設けられています。

(石原委員長)

 アーカイブスをインターネットで提供する場合はどのようになるのですか。この10億円という上限はなくなるのですか。

(中川理事)

 アーカイブスをブロードバンドで提供することは、(総務省の)インターネット利用ガイドラインとは関係なく、新たに任意業務として位置づけて有料で行おうとするものです。したがって、放送番組を補完するためにインターネットを利用する場合の10億円程度という予算の上限は、これまでどおり残ります。


 (3) 平成20年度の職員採用について
 (小野理事)
 平成20年度の職員採用については、第1033回経営委員会(平成18年12月12日開催)において、スケジュール等の概要についてご説明いたしましたが、日程等の具体的な内容が固まりましたのでご報告いたします。平成20年度の採用目標数は、「3か年経営計画」に基づき、昨年と同様に抑制する方針です。日程は3月7日に申し込みを締め切り、4月1日に筆記試験、また同日から面接試験を行います。面接試験は複数回行い、4月下旬に合格発表する予定です。

(菅原委員)

 NHKは以前に比べて、学生が就職したい会社としてのランキングが下がっているように思います。こういう時こそ、ぜひNHKに就職したいと思わせるような戦略が必要だと思いますが、それに向けた努力はされているのですか。

(小野理事)

 ご指摘のように、不祥事が発覚して以降、就職したい会社のランキングで、NHKの人気は低迷を続けておりましたので、それを受けて、人事部が中心となって、さまざまな大学や合同説明会の場に出向いたり、学生セミナーを十数回開催するなど、直接学生に語りかける努力をしてまいりました。また、放送で採用のスポットを流すなど、積極的にNHKをアピールする努力を続けてまいりました。その効果があったのか、ある雑誌の就職人気ランキングでは、昨年の70位から今年は8位まで上昇しています。他の調査やアンケートにおいても、そこまで上位ではありませんが、上向きになってきています。

(深谷委員)

 職員が20歳から60歳までの40年間働くとすると、職員数の約1万2千人を単純に40で割った場合、平均採用数は300人になります。しかし、ここ数年の採用が、それをかなり下回っているため、年齢構成にひずみが生じ、業務のノウハウの継承や活力の持続等に問題が生じないのか懸念があります。

(小野理事)

 「3か年経営計画」では、1,200人の人員削減を行うこととしており、平成20年度まで採用人数を抑制することとしていますが、平成21年度以降は、通常の採用規模に戻さなければならないと考えています。

(深谷委員)

 この状態は一時的なものということですね。

(小野理事)

 はい。新規採用とは別に、キャリアで採用する中途採用も実施しています。こうしたこととあわせながら、年齢構成のひずみを長期的に是正したいと考えています。

(小丸委員)

 平成20年度は「3か年経営計画」の最後の年度になりますが、1,200人削減という計画は、今、どのような形で推移していますか。

(橋本会長)

 平成18年度が385人、平成19年度が395人、平成20年度が420人となる予定です。

(石原委員長)

 コンプライアンス委員会の第一次答申を受けて、冒頭に申し入れを行いましたが、その中で指摘した、モニタリング部門の要員体制の見直しについては、どのようにお考えですか。

(小野理事)

 あわせて検討させていただきます。

(石原委員長)

 今年度は、キャリア採用で何人採用したのですか。

(小野理事)

 5名採用しました。

(梅原代行)

 職員の年齢構成のひずみは、採用数を抑制した世代が中堅になったころ、非常に大きなダメージを受けます。当座はやむをえないと思いますが、長期的な戦略のもと、要員計画を検討していただきたいと思います。

(橋本会長)

 採用数の抑制は、500億円近い減収が見込まれたため、たいへん厳しい思いで決断をしました。

(梅原代行)

 やむをえない決断であったと思います。いずれにしても、要員削減と採用の両方のバランスが肝心です。

(石原委員長)

 今後は、要員削減と採用により、うまく組織の新陳代謝が図れるように検討をお願いします。



7 その他
 (2) 平成19年度組織改正の概要について
 (小野理事)
 平成19年度の組織改正は、「3か年経営計画」に示している、業務・組織改革の継続および、アーカイブス番組を提供する新サービスへの対応に向けて実施することといたします。主な内容としては、労務・人事室と総務局を統合し、「人事総務局」を設置します。これにより一元的な総務管理体制を整備し、効率的かつ効果的な業務運営を図ります。この組織の統合により、NHKの部局数は21から20となり、「3か年経営計画」で示した計画数を達成します。また、臨時職制「アーカイブス・オンデマンド推進室」を設置し、インターネットを利用したアーカイブス番組を提供する新サービスの実施に向けた準備業務を推進する体制を整備します。このほか、総合企画室業務体制の再編成、技術局業務体制の再編成、札幌放送局の営業業務体制の再編成を行います。なお、この組織改正案につきましては、2月末から3月にかけて組合に説明を行いまして、そのうえで、あらためて経営委員会にご審議いただきます。

 (3) 「第36回NHK番組技術展」について
 (西山理事)
 NHK番組技術展は、全国の放送技術現場の放送サービス向上に向けたアイデアや創意工夫の成果を一堂に展示するもので、今年で36回目を迎えました。昨年に引き続き、一般公開を行い、NHK技術の放送サービスの向上への熱意や受信料の有効活用への取り組みなどについて、視聴者の皆さまの理解促進に貢献しております。今年は2月11日から14日まで、放送センターの正面玄関ロビーで開催しています。今回は、全国の放送技術現場から70件の提案があり、その中から38件を展示しております。一部ご紹介しますと、人が近づけない危険な場所での撮影や、近づきにくい被写体の撮影を可能にした「移動撮影システム(通称:戦車カメラ)」。これは、ハイビジョンカメラを模型戦車の上に取り付け、カメラと戦車を無線操縦しながら、撮影・録画を行うものです。このほか、12台のカメラ映像を切り替えて表示することにより、立体感のある映像を生成するシステム「ぐるっとビジョン(多視点動画カメラ)」や、朝の連続ドラマ小説「芋たこなんきん」で昭和初期の町並みや路面電車がどのように作られたか、そのタネ明かしをするCG(コンピュータグラフィックス)の合成技術など、特殊映像効果を目の前で体験していただくコーナーもございます。


8 監事報告
  平成18年度監事監査中間とりまとめ(経営委員と監事のみ出席)
 (古閑監事)
 平成18年度監事監査実施計画に基づき、これまでの監事実施状況を踏まえ、第1031回経営委員会(平成18年11月14日開催)に引き続き、中間取りまとめを報告いたします。
 まず、監事監査の実施状況をご報告いたします。前回報告以降これまでに、理事会等の会議に出席するとともに、本部部局、放送局、海外総支局、子会社合わせて17部局・社(累計52回)について調査を実施したほか、監査室の監査結果の聴取、監査法人との意見交換を行いました。
 概括評価としては、前回報告と同様、年度予算・事業計画に基づき、放送サービスの充実、放送のデジタル化の推進、受信料収入の確保、CS向上活動などにおおむね着実に取り組んできていると認識しています。また、経営計画に掲げた業務・組織改革や経営課題の検討も順次進めてきています。特に、受信料収入については、未収者に対する文書請求や民事手続きに踏み切ったこともあって、年度後半から顕著に業績が回復し、年度実績見込みが前年度実績を約36億円上回るところとなり、契約総数の増加にやや足踏みが見られるものの、全体として営業努力の成果があがってきています。また、放送サービスにおいては、平成18年4月に総合テレビを中心に地上放送番組の6年ぶりの大幅な改定を実施し、幅広い視聴者層を意識した多彩な番組展開を図りつつあり、衛星放送番組についても、平成19年1月に各波の個性を明確にして大幅な改定を行いました。地上デジタル放送につきましても、既定計画どおり、平成18年12月までに全都道府県庁所在地での放送開始を実現し、着実な取り組みを図っています。コンプライアンスにつきましては、既定の施策の定着と推進に引き続き努めており、全部局業務調査の結果を踏まえ、さらにいっそうの遵守意識の浸透などが課題となっていますが、平成18年12月のコンプライアンス委員会の第一次答申でも厳しい指摘を受けました。執行部は、引き続き年度事業計画の完遂と、経営改革の推進に緩むことなく注力するとともに、実績評価の充実強化に努め、次年度への足掛かりを確固にする必要があります。
 以上を踏まえ、今後の業務運営にあたっての留意事項を申し上げます。まず、前回の報告において指摘したコンプライアンスと営業活動に関する留意事項については、基本的に今後ともその推進に努める必要があります。このうち、コンプライアンスについては、コンプライアンス委員会の答申を踏まえ、組織風土作りと職員の意識改革にさらに注力するとともに、全部局業務調査結果に現れた不適切処理等の再発防止策の充実、内部統制の仕組みの構築などを早期に進める必要があります。営業活動については、受信料収入が回復基調にあるとはいえ、一連の不祥事発覚前の水準とはかい離があり、なおいっそう、負担の公平確保に注力するとともに、効率化等に向けた営業改革の実現も早期に進める必要があります。また、放送サービスにおきましては、年度当初の総合テレビを中心とした大幅な番組改定が徐々に成果をあげつつありますが、視聴者層の拡大と接触者率の向上は、なお大きな課題として残されております。衛星放送、地域放送についても、視聴者の期待とニーズに応えてその充実に向け、成果を確実なものとしていく必要があります。地上デジタル放送については、今後、放送エリアの拡大と2011年のアナログ放送停止に向けた普及促進が喫緊となります。政府や民間放送機関等との連携強化の下、よりきめ細かな取り組みを推進する必要があるほか、ワンセグサービスやデータ放送等のデジタル化に対応したサービスの拡大・充実も積極的に進める必要があります。
 今通常国会に放送法の改正案が付議される見込みとなっていますが、今後のNHKのあり方に大きく関わるものであり、NHKとして、公共放送の使命と役割について、広く国民の理解を求めつつ、視聴者の立場を第一義として的確に対応するよう、執行部に要請いたします。

(多賀谷委員)

 デジタル化に対応したサービスの拡充が、受信料で行われるべき公共放送の範囲内なのかという議論があると思います。新規サービスとして開始されるアーカイブス・オンデマンドの準備のための予算が受信料から支払われますが、厳密に言うと、アーカイブス・オンデマンドに関しては別の予算で行われるべきものであると認識しています。準備のためとはいえ、受信料から支払うことに問題はないのでしょうか。

(古閑監事)

 アーカイブス・オンデマンドは有料のサービスになりますので、開始後には会計の分離が行われますが、新規サービス開始の、準備については、収支予算に計上し、国会の承認を受けることとしています。

(多賀谷委員)

 その点について、問題であると追及された場合、反証するための準備をしておく必要があると思います。

(石原委員長)

 受信料収入が回復傾向にありますが、営業現場の様子をご覧になって、何か感触はありましたか。

(古閑監事)

 未払い者に文書請求を行ったり、電話や訪問活動を繰り返し行っていますが、こうした営業努力の成果とともに、視聴者の雰囲気にも変化が生じてきており、過去に遡って受信料をお支払いいただける方が増えています。

(石原委員長)

 受信料収入が6,060億円まで回復しているのは、営業努力や放送サービスの充実などが功を奏したのだと思いますが、支払い督促のアナウンス効果も1つの要因かもしれません。支払い義務化となれば、どのようになるとお考えですか。

(古閑監事)

 営業現場等では、法律で支払い義務化が明記されても、通報制度や外部の情報の活用など、義務化を担保するものがなければ、なかなか効果があがらないとの意見もあります。

(多賀谷委員)

 話は変わりますが、契約収納経費が760億円ということで、現在5,700人の地域スタッフによって、訪問集金等が行われていますが、訪問集金が廃止され、口座振替等に変わった場合は、地域スタッフの業務はどのように変わるのでしょうか。

(古閑監事)

 地域スタッフの仕事は、訪問集金の業務だけではなく、衛星放送等の新規契約の取り次ぎや、収納困難なお宅への訪問など、訪問集金が廃止となり、口座振替等に変わるとしても、業務がすべてなくなるわけではありません。

(石原委員長)

 その業務を外部委託することも可能ではないでしょうか。

(坂野監事)

 営業体制の効率化を進めるためには、集金業務の外部委託化などを含めて、さらにコスト削減を図るべきだと考えています。営業局では、以前から、訪問集金を廃止する方向でさまざまな検討を進める中で、集金業務の外部委託についても検討しています。営業局としても効率的かつ効果的な営業体制を本気になって作り上げようとしていると思います。
 それから、今年度後半の営業業績の回復は、地域スタッフの意欲や活動量のアップによる部分も大きく、文書請求や民事手続きの影響だけではないと思います。流れとして上向きになれば、地域スタッフの意欲も向上し、さらに上の目標に向かって取り組み、収納額も上がるという具合に、良い循環が現場で起きているように思います。

(深谷委員)

 違う議論をしたいのですが、NHKは長年、増収が続いてきたため、受信料不払いを放置してきたのではないでしょうか。このことを反省すべきだと思います。受信料の支払い義務の法定化や民事訴訟に頼るのではなく、もっと根本について話し合い、公共放送という仕組みを存続させるにはどうするべきかという議論があってもよいのではないでしょうか。

(坂野監事)

 長期にわたって未契約や不払いを放置し、その解消に本腰を入れてこなかったことは反省しなければならないと思います。毎年収入が増加していた背景もあり、それに安住していたとも考えられます。それが大幅減収という緊急事態を迎え、民事手続きまでも実施するというNHK始まって以来の行為に踏み切らざるをえなかったわけですが、このことは一面では、本来やるべきことをようやく行ったということだと思います。なお、受信料の支払い義務化については、経緯からすれば、政府側からの提起をもとに検討が開始されたものではなかったかと思います。

(梅原代行)

 深谷委員のご指摘は一理あると思います。私もこれまで、何度か申し上げてきましたが、視聴者の中には、NHKが国営放送だと誤解している人や、受信料は税金だと思っている人がまだ多くいると思います。ですから、受信料を支払うのは当然で、衛星放送を開始したときに衛星付加料金を設定しましたが、その影響もあって、受信料収入は増加の一途をたどってきたのです。しかし、実際にお支払いいただいているのは全体の7割にすぎず、NHKとしては、行うべきことを行わず、こうした誤解や錯覚の上に、安住していたのだと反省しなければならないと思います。

(小丸委員)

 コンプライアンス委員会の第一次答申を受けて、経営委員会から執行部に対して、本日申し入れを行いましたが、監事としては、今回の第一次答申について、どのように受け止めていますか。また、監査のあり方や体制等の見直しについてお考えはありますか。

(古閑監事)

 コンプライアンス委員会の第一次答申は、非常に厳しい指摘であると受け止めています。また、私どもも、これまで、監査の中間取りまとめ等において、コンプライアンスについて具体的に留意事項を指摘してきております。この第一次答申やこれらの留意事項を踏まえ、執行部が迅速に的確に対策を充実させれば、コンプライアンスの効果があがると考えています。

(坂野監事)

 本日の経営委員会で申し入れをいただきましたので、今後検討したいと考えていますが、監査のポイントは、執行部が真剣に取り組んでいるかどうかということになると思います。内部統制の構築を図るためには、内部統制を行う部門や経理部門などの増員が望ましいとしても、全体の人員削減の中で、どこまで可能なのか。また、情報システムの拡充による統制の充実も必要ですが、そのための予算についてどのようにしていくか、現実的な方策の可能性も見極めつつ、監事としても、執行部に対して、引き続き検討を要請していきたいと考えています。

(落合監事)

 コンプライアンス委員会からの答申を受けて、監事としての対応についてですが、基本的に内部統制、内部監査部門を確立するのは執行の問題であり、従って執行部が第一義的に厳粛に受け止めて、まずは実行すべきだと思います。そこで執行部が適切な対応を取らなかったり、不十分である場合には、監事として、何らかの発言をしなくてはいけないということです。それから、受信料の徴収に関して、外部委託をした場合、例えば、政府の市場化テスト委員会の議論から参考まで申し上げれば、NHKに該当する問題点として、支払い督促まで外部委託をすると、弁護士法との関係が発生するということです。支払いを請求する行為は、一種の法律事務になるため、NHK本体が徴収業務を行うことは問題ありませんが、これ自体を第三者に委託することになると、法律事務を独占している弁護士法に抵触するのではないかという議論になります。政府では、これまで、市場化テストの対象として行ってきたものについて、弁護士法に抵触する可能性のあるものについては、個別に特例法で規定するという対応をしてきたようです。NHKも、外部委託を積極的に活用することが正しい方向であろうと思いますが、弁護士法違反の問題を生じることがないよう、十分留意する必要があると考えます。

(石原委員長)

 本日は、いろいろな観点からご議論いただきましたが、今後も監事の皆さまとは、こうした意見交換を重ねながら、連携を深めていきたいと思います。



以上で付議事項を終了した。

 終了後、前回の経営委員会で、資料の再提出を求めた「職員就業規則第10条『許可事項』による役務提供と、放送法第9条第3項の業務委託に関する検討の中間報告」について、上野コンプライアンス室長から説明を受け、本件については、コンプライアンス委員会にも説明することを確認した。

 

 上記のとおり確認する。

 

平成19年2月27日  

石 原 邦 夫

 

梅 原 利 之