過去の議事録(過去の議事録を閲覧できます)
第1027回
一覧へ
平成18年9月29日(金)公表

日本放送協会第1027回経営委員会議事録
(平成18年9月12日開催分)

第1027回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1027回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成18年9月12日(火)午後3時から午後5時45分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  石 原 邦 夫 梅 原 利 之 深 谷 紘 一
    武 田 國 男   小 丸 成 洋 保   ゆかり
    一 力 徳 子   小 柴 正 則 小 林   緑
    佐々木 涼 子   菅 原 明 子 多賀谷 一 照
   ◎委員長 〇委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔監  事〕

  古 閑 監 事 坂 野 監 事 落 合 監 事

 

〔役  員〕

  橋 本 会 長
  永 井 副会長 原 田 理 事 畠 山 理 事
  小 林 理 事 金 田 理 事 中 川 理 事
  小 野 理 事 衣 奈 理 事 石 村 理 事
  西 山 理 事

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員室、21階役員会議室


<議   事>

 議事に先立ち、本日の議題等について経営委員のみの打ち合わせを実施。その後、石原委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1026回経営委員会(平成18年8月22日開催)議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成18年9月15日に公表することを決定。

 

 

付議事項
1 会長報告
  業務概況について

 

2 議決事項
  モバイル放送株式会社が実施する衛星デジタル放送のための放送番組を提供する業務の継続について

 

3 報告事項
 (1) 平成18年度後半期の国内放送番組の編成について
 (2) 平成18年度後半期の国際放送番組の編成について
 (3) 報道局業務体制の再編成について

 

4 その他
  民事手続きについて

   


議事経過

 

(石原委員長)
 最初に、経営委員のみの議論の内容についてご報告いたします。「第1回コンプライアンス委員会」を9月26日午後1時半から開催することといたします。経営委員会としては、「全部局業務調査」を含む“NHKのコンプライアンス対策”について諮問したいと考えています。つきましては、当日、会長および畠山理事にもご出席いただき、現在、NHKが進めているコンプライアンス対策等について、ご説明いただきたいと思います。

 経営委員会としましては、コンプライアンスは、PDCAサイクルをしっかりと回すことが重要であり、「コンプライアンス委員会」からの答申や提言等を踏まえ、執行部と経営委員会との間で、計画と実行を振り返る仕組みを徹底させたいと考えています。今後、「コンプライアンス委員会」は月1回程度の開催が予定されており、その取り組み状況については、定期的にご報告していただくことも必要だと考えています。

 また、4月に新たな不祥事が発覚して以降、コンプライアンス対策に関するさまざまな論議を重ねてきましたが、すでに実施している施策も相当あると思いますので、執行部には、こうした施策の対外公表をどのようにするのか検討していただきたいと思います。

 

1 会長報告
 業務概況について
 (橋本会長)
 ただいま、第1回コンプライアンス委員会の開催につきまして、委員長からご報告がありました。執行部としましても、9月4日に全組織のコンプライアンス責任者を集めて、「コンプライアンス推進責任者会議」を開催しました。会議では、現在のNHKにおけるコンプライアンスの取り組みについて理解を深めるとともに、今後、全部局一斉に取り組む「全部局業務調査」について、目的と趣旨、実施内容等について周知徹底を図りました。この調査は、前回ご説明したとおり、すでに実施済みの札幌放送局とスポーツ報道センターを除く全部局において、過去7年間の業務管理・経費管理全般について全数調査を行うもので、来年1月までに調査結果を取りまとめ、公表したいと考えています。

  9月9日には、徳島新放送会館の「お披露目式」を開催しました。新放送会館は、徳島市の中心部に位置し、地上4階建てのNHK単独の建物です。「お披露目式」は、新放送会館1階にある視聴者プラザで行い、県内を中心に、各界から80人あまりの方々にご出席をいただきました。今後とも地域に開かれた放送局を目指して、いろいろなイベント等も行いながら、積極的に情報発信基地として、その役目を果たしてまいりたいと思います。

  9月10日には、手作りロボットの技術とアイデアを大学生が競う「ABU(アジア太平洋放送連合)アジア・太平洋ロボットコンテスト2006クアラルンプール大会」が、マレーシア・クアラルンプールのプトラ世界貿易センターで開催されました。大会には、ABU加盟放送機関がある18の国と地域から選抜された19チームが参加しました。優勝は、ベトナム代表のホーチミン市工科大学でした。日本代表の東京農工大学は、決勝トーナメント初戦の準々決勝で、優勝したホーチミン市工科大学に敗れましたが、卓越したアイデアが認められ、アイデア賞を受賞しました。また、審査員が最も高く評価したチームに贈られる「ABUロボコン大賞」は、マレーシア工科大学が受賞しました。放送は、総合テレビで10月9日の月曜日、午前10時5分から11時19分、BSハイビジョンでは10月15日の日曜日、午後4時30分から5時44分の予定です。来年の大会はベトナムのハノイで行われます。この大会には、私もABU会長として出席しましたが、これに先立ち、マレーシア国営放送(RTM)を訪問し、アディーラ・オマール番組担当副会長と会談するとともに、同敷地内にあるABU事務局にも立ち寄り、事務局幹部と会談してきました。また、NHKアジア総局および各支局の職員を集めて、意見交換も行っております。

  “生命と環境−進化のふしぎ”をテーマに7月15日から千葉市・幕張メッセで始まった、「世界の巨大恐竜博2006」が9月10日に58日間の会期を終了しました。総入場者数は約50万人で、1日平均では8,627人となりました。この展覧会は、企画段階からNHKスペシャルと連動し、子どもたちに地球環境と生命の進化について考えてもらい、科学への関心を高めてもらうことを目的としました。恐竜の巨大化の象徴で今回の展示の目玉である33メートルのスーパーサウルスをはじめ、過去最大級の276点の標本から、恐竜の進化の過程をダイナミックに感じとっていただきました。来場者の半数近くが小学生以下の子どもたちであり、次世代を担う子どもたちに、生命・環境などを考えていただく絶好の機会になったと考えています。なお、受信料口座振替利用者の優遇施策として制作している「NHK番組・イベントガイド」にこの展覧会の割引券をお付けしておりましたが、これを利用されて入場された方は全体の1.6%でした。

 

2 議決事項

 モバイル放送株式会社が実施する衛星デジタル放送のための放送番組を提供する業務の継続について
 (中川理事)

 災害時の情報伝達手段としても有効な移動体向け衛星放送という、新しい形態の放送の普及・発展に資するため、モバイル放送株式会社からの要請に応じて、放送法第9条第2項第6号の業務として、総務省より平成16年10月1日から1年ごとの認可を受けて、同社がサービスしている衛星デジタル放送へのテレビジョン放送番組の提供業務を行っていますが、これについては、引き続き10月から1年間、実施したいと思います。つきましては、放送法第9条第8項の規定に基づき、総務大臣あて認可申請を行いたいと思いますのでご審議願います。

 モバイル放送株式会社は、2.6ギガヘルツ帯という新しい放送用周波数帯を用いた衛星デジタル放送を行う唯一の放送事業者でありまして、同社が実施しているデジタル有料放送サービスのため、引き続き、ニュースと番組を有償で提供するものです。業務の実施延長期間は、平成18年10月から平成19年9月までの1年間とし、実施にあたっては、NHK情報ネットワークとNHKエンタープライズに提供実務を委託します。提供する放送番組の概要は、主要ニュースと一般番組で1日平均8時間程度としています。主要ニュースは、「おはよう日本」「正午のニュース」「ニュース7」「ニュースウォッチ9」などを提供し、一般番組は、NHKの本放送が終了した番組を、本放送から1年以上経過した「アーカイブス番組」と本放送から1週間経過後に放送する「直近見逃し視聴対応番組」の2分類に分けて提供します。その他「大相撲」、「阪神戦」などのスポーツ中継番組を提供します。主要ニュースについては、放送番組の外部提供として、必要な権利処理あるいは権利上放送できない部分をかくす「ふたかぶせ」を行ったうえで、デジタル回線を利用してリアルタイムで提供します。また、一般番組については、従来の放送事業者向け提供と同様に、ビデオパッケージでの提供を原則とします。非常災害時においては、災害時の情報源として期待されているモバイル放送の特性に鑑み、要請に応じて、提供時間量にこだわらず、災害情報の提供を行います。業務の収支見込は、1年間で収入が2億4百万円、支出が1億9千5百万円と想定しています。

(石原委員長)

 モバイル放送と“ワンセグ”は別なものですよね。

(西山理事)

 “ワンセグ”は地上デジタル放送で、モバイル放送は衛星デジタル放送です。受信端末は専用の受信機が必要です。

(石原委員長)

 モバイル放送は独自の編成をしているのですか。

(西山理事)

 映像サービスが7チャンネルあり、そのうちの2つのチャンネルで自主編成を行っています。NHKが提供するニュースや一般番組は、そのチャンネルの中で、モバイル放送の編成のもとに放送されることとなります。

(多賀谷委員)

 この放送はデジタルですよね。

(橋本会長)

 モバイル放送株式会社は、デジタル放送の拡大とモバイル向け情報ツールの拡大を目指して新規参入した事業者で、2.6ギガヘルツ帯の新たなチャンネルを使用した衛星デジタル放送です。したがって、専用の受信機が必要となりますが、モバイル放送のコンセプトは、自動車、船舶、飛行機など移動体を中心に情報発信するというものです。

(佐々木委員)

 「直近見逃し視聴対応番組」というのはどのような番組ですか。

(中川理事)

 見逃したので早く見たい番組という意味でこのような言い方をしています。具体的には、本放送から1週間経過後に放送するもので、「鶴瓶の家族に乾杯」「NHK歌謡コンサート」「ためしてガッテン」などを提供する予定です。

(多賀谷委員)

 提供する番組は、再放送に準じたような形で、著作権処理を行っているのですか。

(中川理事)

 著作権法上の取り決めは難しいところもありますが、必要な処理は行っています。

(小林委員)

 モバイル放送に提供する番組の中に「阪神戦」があります。12球団中、1つの球団だけを提供しているのはなぜですか。

(多賀谷委員)

 モバイル放送は「阪神戦」だけ提供してほしいと言っているのですか。

(中川理事)

 放送権等の問題を踏まえ、モバイル放送と交渉する中で、NHKが放送権を持つ「阪神戦」を、提供することとなったものです。

(多賀谷委員)

 要するに、NHKの衛星放送で中継している阪神戦が、モバイル放送でも流れるということですか。

(中川理事)

 そうです。

(佐々木委員)

 専用の受信機が必要だとお聞きしましたけれども、現在、どれくらいの人が利用しているのですか。

(中川理事)

 現在、約2万人です。

(深谷委員)

 収支見込みにおける支出1億9千5百万円というのは、どのような費用なのですか。

(中川理事)

 権利処理にかかる経費や送出にかかる経費などです。

採決の結果、原案どおり議決。

 

3 報告事項

 (1) 平成18年度後半期の国内放送番組の編成について

 (原田理事)
 平成18年度後半期、すなわち10月以降の国内放送番組の編成についてご説明します。昨年度の後半期の改定は、新生NHKを体現する編成の第1ステップと位置づけ、NHKが視聴者の声を真摯に受け止め、4月の改定につなげるべく、10月、1月と順次見直し、今年4月には、総合テレビを大幅改定をいたしました。そして、平成18年度の編成がスタートして半年が経過した現在、全体的には順調にスタートできたと考えており、今の編成を視聴者の皆さまに定着させていくことも大事なことだと思いますので、今年度後半期の国内放送番組の編成については、小幅な改定にとどめたいと考えています。

 まず、総合テレビジョンでは、火曜日の夜間10時、11時台に新番組をスタートさせます。現在、火曜日の夜10時30分から放送している「プライスの謎」の後続として、「飛び出せ!定年」を放送します。平成19年は団塊世代の大量定年時代が始まります。第二の人生をさまざまな方が踏み出されるわけで、定年後の人生をしっかりと切り開いていらっしゃる皆さんをご紹介し、定年後の暮らしのヒントを得ていただくといった趣旨の番組です。それから夜11時からの「謎のホームページ サラリーマンNEO」の後続として、「ドキュメント 72時間」を放送します。この番組は、知っているようで知らない社会の断面やニュースからこぼれ落ちてしまう一見ささいな出来事など、タイトルどおり1つの場所や動きを3日間、72時間記録し、現代をリアルに切り取る新しいドキュメンタリーです。予定調和ではない現実のドラマを通じて、日本の“いま”を新鮮に伝えたいと思います。また、海外連続ドラマの新シリーズとして、「宮廷女官 チャングムの誓い」の終了後、11月25日から「チェオクの剣」を放送します。それから、金曜深夜編成の強化として、午前0時半から「POP JAM」を30分サイズで週1回放送します。この番組は、若い人たちに向けた音楽番組で、月曜夜10時からの「プレミアム10」の中で不定期に放送しておりましたけれども、毎週決まった時間に放送することといたします。また、土曜夜7時半は、現在「NHKアニメ劇場 少女チャングムの夢」を放送していますが、来年1月以降は、家族で楽しんでいただけるようなクイズ番組を開発して、スタートさせたいと考えています。朝の連続テレビ小説は、現在の「純情きらり」がたいへん好評でございますが、10月以降は大阪放送局制作の「芋たこなんきん」を放送します。また、大河ドラマは「功名が辻」に代わって、来年1月から「風林火山」がスタートします。

 次に、教育テレビジョンについてご説明します。大幅な変更はありませんが、金曜夜11時に「エリンが挑戦! にほんご できます」が10月から始まります。これは国内に居住する外国人を対象とした、いわゆる日本語番組です。実は、この時間帯は「新感覚☆キーワードで英会話」を帯で火曜日から金曜日に放送していましたが、金曜日は総合テレビジョンの「英語でしゃべらナイト」と重複するため、月曜日から木曜日に変更します。この変更に伴い、月曜夜11時からの「中国語会話」以降の番組が10分ずつ後にずれることになります。

 デジタル衛星ハイビジョンでは、日曜夜7時半から「週刊 日本の名峰」を新たにスタートします。「日本の名峰」は、1月の「あなたのおすすめはどの山ですか」から、5月の「全国各地おすすめの山」、7月の「発表!おすすめの山50」、8月の「ハイビジョン特集」まで、視聴者の皆さまからの投票をもとに、特集番組を中心に放送してまいりました。これらの番組はたいへん好評で、再放送のご要望もずいぶんお寄せいただきました。現在、総合テレビで再放送しているところでありますけれども、10月からは20分間の定時番組として放送することといたします。

 衛星第1テレビでは、野球がオフシーズンになることなどに伴い、スポーツに代わって「BS世界のドキュメンタリー」など、衛星第1テレビの柱であるドキュメンタリー枠を拡充して視聴者の皆さまの期待に応えます。平日夜11時40分から放送している「経済最前線」は、ニューヨークやロンドンを結んで最新のマーケット情報をお伝えするほか、経済情報の充実を図るため5分間拡大します。また、アメリカ・ABC「ワールドニュース・トゥナイト」のトップ項目の中から生きた時事英語を選び、リスニング用に解説を交えて繰り返し伝える5分間のミニ番組「ABCニュースシャワー」を平日午後6時55分からと、午後10時15分からの「きょうの世界」の枠内で放送するとともに、火曜日から土曜日の午前11時55分から再放送いたします。

 衛星第2テレビでは、夜10時台の海外連続ドラマの枠で、新しいシリーズがスタートします。火曜日は、イギリスBBC制作の人気SFドラマ「ドクター・フー」、水曜日は、平成17年度後期に放送した「デスパレートな妻たち」の第2シリーズ、木曜日は、韓国ドラマ「春のワルツ」です。「春のワルツ」は、「冬のソナタ」を制作したユン・ソクホ監督の春夏秋冬をテーマにした4部作の最新作です。

 ラジオ第1放送は、プロ野球ナイトゲーム終了に伴い定時番組を開始いたします。ラジオ第2、FMについては大きな変更はありません。

 最後に、衛星放送については、後期編成では大きな変更はありませんが、今後、波の削減を含め、さまざまな議論が出てくると思います。また、今年12月には、全都道府県庁所在地で地上デジタル放送が始まり、全世帯の84%で地上デジタル放送をご覧いただけるようになります。これにより、地上放送でもハイビジョンが当たり前となることから、ハイビジョンの普及を目的とした衛星ハイビジョンの位置づけなど、大きなエポックを迎えます。地上デジタル放送普及後、衛星波としてそれぞれどのような放送を行うのか、波の役割をより明確にする必要があります。こうしたことから、衛星3波は“ニューBS”として前に踏み出せるよう、この秋から準備を進めたいと思います。そして、来年度の改定を前倒しする形で、1月に大きく変更したいと考えています。

(梅原代行)

 「朝の連続テレビ小説」はNHKの看板番組の1つです。現在の「純情きらり」は、たいへん素晴らしく、私も毎日見ています。10月からは大阪放送局が制作した「芋たこなんきん」が始まるとのことですが、番組制作を担当する放送局について、何かきまりはあるのですか。

(原田理事)

 「朝の連続テレビ小説」は、通常、前期が東京制作、後期が大阪制作としています。

(梅原代行)

 長い歴史の中で人気の差は出ているのですか。

(原田理事)

 現在放送している「純情きらり」は、東京の制作ですが、以前に放送した「ふたりっ子」は、大阪放送局の制作で、たいへん人気がありました。大阪放送局は大阪らしい特色を出した番組制作を行っています。

(梅原代行)

 制作能力は対等と考えてよろしいのですか。

(原田理事)

 対等と考えていただいて結構です。

(梅原代行)

 私が申し上げたいのは、「朝の連続テレビ小説」は、NHKの看板番組であり、国民がたいへん期待している番組です。大阪放送局も素晴らしい番組を制作していると思います。制作体制に固執するあまり、番組の質に影響が出ないよう、十分な配慮をお願いしたいと思います。

(原田理事)

 われわれとしましても、前期は好調で、後期は面白くないということでは困りますので、東京、大阪といった、今の制作体制に固執するものではありません。しかしながら、文化が異なる東京と大阪それぞれでドラマを作る意味はあると思います。大阪では、東京で作れない味のドラマを作ってくれることを期待しています。

(梅原代行)

 良い番組をお願いします。

(菅原委員)

 大河ドラマの「風林火山」は、初めての内容ですか。

(原田理事)

 以前に「武田信玄」を放送しています。

(永井副会長)

 歴史上の脇役を主人公にして、新しい視点でのドラマを作ろうとしているのです。

(菅原委員)

 以前のものとは違うドラマになると期待してよろしいですね。

(原田理事)

 はい。武田家に仕える山本勘助という武将を主人公にしたドラマですので、かつて放送した「武田信玄」とは違います。

(石原委員長)

 さきほど説明がありました衛星波について、将来を展望して、波ごとの役割を明確にすることはたいへん大事なことだと思います。多額の費用をかけることにはならないと思いますが、それぞれ特色のある、視聴者の皆さまが納得していただける見直しを検討していただきたいと思います。現在、国際放送の拡充に関連して、国内に在住する外国人向け番組についてご意見やご要望をいただいていると思います。海外向け番組の英語化を進める一方で、このことについてもNHKとして番組で答えを出すことが最良の方法だと思います。

(菅原委員)

 「宮廷女官 チャングムの誓い」は随分長くやっていますが、評価はどうですか。

(原田理事)

 この番組は全54話とたいへん長く、11月で終了しますが、視聴率は、この時間としては飛びぬけて高く、男性の方も含め、多くの視聴者に支持していただいています。

(小林委員)

 「宮廷女官 チャングムの誓い」は、たいへん意味のある歴史ドラマだと思います。韓国で初めて女性が主人公になったものであり、歴史ドラマの中に“医食同源”が組み込まれ、いろいろなことを考えさせられるドラマだと思います。時代考証もしっかりしていて、その道の研究をしている方も太鼓判を押すほどであり、男女ともにファンがいることは納得できます。

 それから、先日「日曜美術館30年展」の内覧会に行く機会があり、あらためて「日曜美術館」は、“NHKならではの”とても素晴らしい番組だと思いました。それは、日本のものからヨーロッパのもの、古いものから新しいもの、男性の作品も女性の作品も偏りなく、幅広く紹介されており、有名な方の作品を紹介する一方で、あまり知られていない画家の作品の中にも、すばらしい作品があることを紹介しています。こうしたスタンスをさらに波及させていただき、NHKの改革を進めていただきたいと思います。

(菅原委員)

 テレビ東京で放送されている番組の中に「カンブリア宮殿」があります。日本人というものをトータルに見せていく、とても面白い番組です。民放の番組を見るのも勉強になると思いますので、一度ぜひ見ていただいて、こうした切り口も参考にしていただきたいと思います。

(石原委員長)

 各委員からは、公共性の観点からご意見をいただいたと思います。文化的な番組はもちろん、芸能番組やドラマにも公共性があるということを、NHKとして、番組を通じて具現化していただきたいと思います。

 また、NHKは素晴らしいソフトを財産として持っていますので、ぜひそれをいろいろな面で生かしていただきたいと思います。

 

 (2) 平成18年度後半期の国際放送番組の編成について

 (石村理事)

 平成18年度後半期の国際放送番組については、「3か年経営計画」に基づき、テレビによる英語サービスを拡充・強化します。日本のビジネストレンド、最新の流行や生活情報を紹介する英語番組を新設するとともに、英語ニュースの充実・強化を図るなど、ステーションイメージをよりいっそう明確化し、テレビ国際放送の存在感を高めることといたします。後半期の番組改定では、新たに2つの30分の英語番組を新設します。1つは、「JAPAN BIZ CAST」という番組で、日本企業の新製品・技術が披露される展示会場・見本市をはじめ、ショールーム、コンベンションセンターなどを中心に、日本のビジネス最新情報を紹介します。もう1つは、「TOKYO EYE」という番組で、東京を中心とした最新流行情報、観光情報、生活情報、イベント情報などを伝えます。日本を訪れた観光客や日本で暮らす外国人から見たさまざまな東京情報を世界へ発信します。

 英語ニュース情報の拡充については、「NHK NEWS LINE」の中の経済情報を充実・強化することとし、日本とアジアの株式、為替マーケットの最新情報をより詳しく伝えるコーナーを新設して、ニュース情報をいっそう強化します。また、「ニュースウォッチ9」の再放送枠を新設するとともに、お天気キャスターが、英語で天気予報を行う「World Weather」を新設します。ラジオ国際放送は、プロ野球ナイトゲーム終了後の編成となります。

 今回の改定は10月2日から実施いたします。この改定に伴うテレビ国際放送の英語化率は、英語字幕放送を含めて、現在の66.2%から73%に引き上げられます。そして、平成20年度までに100%を目指します。さきほど、経営委員長からお話がありましたように、国際放送に関するいろいろな論議が行われておりますが、NHKとしては、「3か年経営計画」に沿って、着実に実行していきたいと考えています。

(菅原委員)

 海外向けの英語番組はとても良い番組が多く、語学を勉強したい方のためにも、インターネットや有料放送などで見られるようにしたらよいと思います。

(石村理事)

 一部の海外向け英語番組は、教育テレビや総合テレビの深夜に編成しており、当面はこのような形でご覧いただくことを考えています。

(原田理事)

 ちなみに、教育テレビの日曜午前10時から12時までの2時間は「将棋の時間」ですが、地上デジタル放送でご覧いただきますと、マルチチャンネルでは、英語番組アワーを放送しており、国際放送の英語番組を放送しています。これは英語を学ぶ人にとって良いソフトだということで、今年の4月から始めています。ぜひご覧ください。

 

 (3) 報道局業務体制の再編成について

 (小野理事)

 本件は、第1025回経営委員会(平成18年7月25日開催)において、すでにご報告した内容であります。その後、細部の調整を行った結果、実施体制が整いましたので、あらためて報告させていただくものです。

 1点目は、ニュースおよび報道番組の制作体制の見直しです。報道局に「ニュース制作センター」と「報道番組センター」を設置し、ニュースおよび報道番組の制作業務を再編成いたします。これに伴い、「制作センター」を廃止します。2点目は、スポーツ番組の制作体制の見直しです。「報道番組センター」に、スポーツニュース・番組の制作業務を移行します。また、「スポーツ業務監理室」を設置し、スポーツソフトの長期戦略の立案、放送権交渉、大型イベント対応など戦略的かつ効率的な運営と、コンプライアンスを担う管理体制を構築します。これらに伴い「スポーツ報道センター」を廃止します。3点目は、「気象・災害センター」の体制を強化し、「災害・気象センター」と改称するほか、より迅速な連携を可能にする業務体制を構築するため、「アジアセンター」を取材センターの業務実施グループに位置づけます。以上の組織の再編成は10月2日から実施することといたします。

(小丸委員)

 報道局業務体制の再編成は、総務省の「通信・放送分野の改革に関する工程プログラム」にある、NHK本体の体制の見直しを考慮した考え方なのですか。

(小野理事)

 直接関わるものではありません。昨年度から検討している組織・構造改革の一環で、報道局については、時間をかけて検討しておりました。

 

4 その他

 民事手続きについて、執行部から現時点における考え方が説明され、それについて意見交換を行った。

 

以上で付議事項を終了した。

 

 

上記のとおり確認する。

 

平成18年9月26日

石 原 邦 夫

梅 原 利 之