第43回日本賞 優秀作品

児童向けカテゴリー最優秀賞<文部科学大臣賞>
ぼくの町は難民キャンプ
機関名 ドラマーテレビ
国/地域名 イギリス
メディア テレビ
(ルス・ヴォルムメイスター)
このドキュメンタリーを見ている子どもたちは、前例のない素晴らしい旅を経験できます。案内役を務めるのは16歳のシリアの少年アーメド。ヨルダンにある世界でも最大規模の難民キャンプ、ザータリを紹介してくれます。アーメドは自転車でキャンプをめぐりながら友だちを紹介し、キャンプ内で形成されたコミュニティについて独自の見解を述べます。そして彼は自分の、そしてキャンプで暮らす子どもたちの希望や夢も語ります。とてもためになる番組ですが、それと同時に、非常に詩的な手法で私たちをキャンプで暮らすさまざまな子どもたちの生活へと誘います。家族のためにパン屋で働いている少年や、建築家になることを夢見るサッカー好きの少女など、それぞれが力強く心温まるストーリーで、意外性があり人々の心を捉えます。難民キャンプでの生活という逆境にありながらも、子どもたちはその状況下で最善を尽くし、立ち直る力を見せてくれます。子どもたちと家族の絆に審査委員も胸を打たれました。このドキュメンタリー番組は、世界中の視聴者に難民への共感を呼び起こし、難民や難民キャンプでの生活に対する固定概念の払しょくに役立つでしょう。アーメドは、自転車を乗っているときに自由を感じると本心を語ります。それでも最後にはこう締めくくるのです。「シリア、ぼくの国に帰りたい」
(レイチェル・ドルモンド・ヘイ)
「日本賞」での受賞は、ドラマーテレビにとって大きな名誉です。このような権威ある国際的な舞台で認められたことは喜びであり、エントリーされたほかの有力なラインナップを見て、児童向けカテゴリー最優秀賞に選ばれたことは身に余る光栄だと感じています。「ぼくの町は難民キャンプ」は当初イギリスの子ども向けに制作しました。ところが非常に好評を得たことで、いまでは実際に世界の視聴者に届いていることに胸を躍らせています。登場人物たちのストーリーは伝えるべき大切なもので、戦争が子どもたちに及ぼす悲惨な影響に焦点を当てていますが、彼らの驚くべき順応力、勇気、そして心の強さも映し出されています。子どもたちやその家族の状況は痛ましいものではありますが、彼らはそれでも笑いあい、楽天的に考え、そして子どもらしくいられるための場を作るのです。番組を見てくださり、そして評価していただきありがとうございました。

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