(ルス・ヴォルムメイスター)
このドキュメンタリーを見ている子どもたちは、前例のない素晴らしい旅を経験できます。案内役を務めるのは16歳のシリアの少年アーメド。ヨルダンにある世界でも最大規模の難民キャンプ、ザータリを紹介してくれます。アーメドは自転車でキャンプをめぐりながら友だちを紹介し、キャンプ内で形成されたコミュニティについて独自の見解を述べます。そして彼は自分の、そしてキャンプで暮らす子どもたちの希望や夢も語ります。とてもためになる番組ですが、それと同時に、非常に詩的な手法で私たちをキャンプで暮らすさまざまな子どもたちの生活へと誘います。家族のためにパン屋で働いている少年や、建築家になることを夢見るサッカー好きの少女など、それぞれが力強く心温まるストーリーで、意外性があり人々の心を捉えます。難民キャンプでの生活という逆境にありながらも、子どもたちはその状況下で最善を尽くし、立ち直る力を見せてくれます。子どもたちと家族の絆に審査委員も胸を打たれました。このドキュメンタリー番組は、世界中の視聴者に難民への共感を呼び起こし、難民や難民キャンプでの生活に対する固定概念の払しょくに役立つでしょう。アーメドは、自転車を乗っているときに自由を感じると本心を語ります。それでも最後にはこう締めくくるのです。「シリア、ぼくの国に帰りたい」