(ルス・ヴォルムメイスター)
この微笑ましい幼児向け番組は、幼児たちの日常を如才なく、そしてあるがままの姿で切り取っています。ごく自然体の主人公ミンジュンが、ぬいぐるみのボングーやババと交わすやりとりも面白く現実味があります。ぬいぐるみのキャラクター・デザインも審査委員に高く評価されました。脚本はあるものの、番組はミンジュンの生活のなかで実際に起こる出来事を自然な形で取り入れています。乳歯が抜けて歯医者に行くというエピソードは、すべての幼児が共感できる身近なトピックです。ミンジュンの母親はロシア人、父親は韓国人で、文化の違いもさりげなく伝えています。韓国の伝統に従って、ミンジュンは抜けた歯を屋根の上に投げようとしますがうまくいきません。すると次にロシア流のやり方に倣って、まじないを唱えて肩ごしに歯を庭へ投げ入れます。ミンジュンの家族の一場面が、韓国社会における多文化の特質を子どもたちに示し、物事にはさまざまなやり方があるということを教えています。シンプルなストーリーですが、シンプルであることが最善の方法なのです。