(デイヴィッド・スクワイア)
「消えたブロガー“アミナ”」は、ネット上の捏造「ダマスカスのゲイ・ガール」をめぐる実話を巧みに知的に伝える映画作品です。視聴者を惹きつけるだけではなく、オンラインでの人間関係、セクシュアリティー、政治、メディアへの信頼に警鐘を鳴らします。ドキュメンタリー映像、想像による再現シーン、この事件に影響を受けた人たちが積極的に協力したインタビュー。これらを鮮やかに組み合わせたこの映画は、オンライン上のアイデンティティと信頼の問題を見直す、親密かつ挑戦的で示唆に富む旅に、観る者を誘います。この作品が取り上げる問題は、オンライン上での自己表現、デジタル時代の人とのつきあいや性的な関係が迎えうる顛末です。デジタルメディアとジャーナリズムへの信頼、それらが伝える世界に疑問を呈し、複雑な政治と社会の状況を見直すきっかけを作ります。ヤングアダルトやミレニアルズと呼ばれる若者たち、さらにはインターネットを利用するすべての人たちにとって、デジタルリテラシーを身につける貴重な機会を提供する作品です。この映画の制作者たちは、人間の経験を豊かな層に積み上げ、それを見事に描出し、審査委員の間に熱い議論を呼び起こしました。