第32回「日本賞」<2005年>最優秀作品

エントリーリスト
ウェブ部門
最優秀ウェブ賞
サイト名:フィルム・ガレージ
機関名:スウェーデン教育放送 (UR)
国名:スウェーデン
Top URL
http://www.ur.se/garage/
サイト内容
 映画作りを学ぶ学生や映画作りに興味を持っている人を対象としたサイト。テレビ番組のフィルム・ガレージと深いつながりがある。番組では、スタジオで、映画制作を志す若者たちが専門家に会い、実際に制作した映画について議論する。ウェブサイトとテレビ番組ともにフォーラムの役割をし、スウェーデンの若いアマチュア映画制作者の創作意欲をかきたてる。撮影の仕方、照明の当て方、演技のつけ方(カップルに対する状況別のキスシーン指導など)について、具体的できめ細やかなアドバイスがふんだんに盛り込まれている。
 このほかにウェブ上で、映画コンテストも運営されている。アマチュアの映画制作者だけでなく、映画作りに興味のある視聴者も、このコンテストに応募することができる。映画制作の専門家の意見も交え、ウェブサイトでの視聴者投票により、受賞作品が決まる。テレビ番組では受賞作品の一部しか紹介していないが、ウェブサイト上では全編を見ることができる。
審査講評
 このウェブサイトには、スウェーデン各地のティーンエージャーから70本以上のビデオが寄せられています。サイト上でコンテストを催し、アマチュアの映画制作者にオリジナルの短編ビデオやアニメを応募する機会を提供しています。応募作品はウェブ上で見ることができ、その後、受賞作品がテレビで放送されます。
 このウェブサイトは、全盛であるインターネット文化を巧みに採りこみ、若者自身が創造的に表現することを促しています。審査委員が特に感心した点は“マルチプラットフォーム・アプローチ”(様々な角度、観点から働きかけること)。ティーンエージャーの心を教育メディアのみで動かすことは、いつの時代も難しいからです。審査委員はまた、サイトの卓越した技術、編集の質にも着目しました。
 フィルム制作を学ぶ若者がネット上だけでなく実社会でも応用できるよう、効果的かつ革新的な手法を採用しているため、フィルム・ガレージは教育的目標を達成しているといえます。また、このサイトは、高水準の制作技術を結集するだけでなく、若いアーティストが“創造性につながるリスクに”果敢に挑戦することを勧めています。今後世界中で制作されるウェブサイトが手本にすべき良いモデルと言えるでしょう。
制作者コメント
イルバ・サンドバーグ
ウェブプロデューサー


 フィルム・ガレージが制作された背景には、多くの優れた映画がスウェーデンの若者たちによって作られているという事実がありました。ドキュメンタリー、自然もの、恋愛ドラマ、ホラーなどさまざまですが、それらの映画を見せる場所はどこにもありません。
 そこで、この番組を作り、若者たちにテレビやネット上で、自分を売り込む機会を与えることを考えつきました。フィルム・ガレージは、制作費の乏しい制作者に大いにやる気を与え、その映画の視聴者を増やす手助けをすることを目的としています。ウェブ上に、13〜30才のアマチュア映画制作者によるフィルムの資料館を作り、さまざまなジャンルで70以上もの作品を保管し、自由に視聴できるようにしました。しかし、私たちも実は若者たちのフィルム同様、非常に少ない予算で制作しています。
 このサイトでは、またテレビ番組の司会者が映画制作の基本について実用的なアドバイスを与えています。コンテストも開催しています。すべての人に参加資格があるこのコンテストでは、受賞2作品が選ばれます。制作者がスタジオに招待され、受賞作品が地上波で全国放送されます。フィルム・ガレージは、今では、映画づくりに燃える若者の間で大きな人気を得るサイトとなりました。
 今回、東京に招かれ、プレゼンテーションでこのプロジェクトを紹介しました。そして、最優秀ウェブ賞を受賞し、とても誇らしく感じております。「日本賞」に参加し、世界中から来たウェブプロデューサーたちと会い、経験を分かち合ったことが、今後の大きな励みになりました。
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