第32回「日本賞」<2005年>特別賞

特別賞
日本ユネスコ協会連盟賞
番組名:学ぼう、自分のために、未来のために
機関名:バングラデシュ公開大学
国名:バングラデシュ
番組内容
バングラデシュの子どもたち
 バングラデシュでは、貧困に苦しみ、子どもを労働力として使うために学校を休ませる親が後をたたない。教育の大切さに気づいていないのだ。バングラデシュ政府は、10歳まで義務教育を行っているが、ほとんどの子どもたちは学校にくることがない。この企画は、そのようなバングラデシュの事情を踏まえ、ドロップアウトした生徒たちと不登校になりそうな生徒たちを視聴対象としたドラマの企画で、視聴者に教育の大切さを教えようとしている。
 親に隠れて、学校をさぼってばかりいる少年アリは、ある日、貧しい野菜売りのおばあさんと出会い、交流を深めていく。アリのさぼり癖を知った彼女は、読み書きができないために土地を奪われ、幸せになれなかった父親について話し、アリに学校に行くよう説得する。大好きなおばあさんから教育の大切さを教えられ、アリは、自分自身の将来のために再び学校に通おうと決心する。
審査講評
 このバングラディッシュからの企画では、適切な順序で、2つのストーリーが展開されています。中心となっているのは、やんちゃな少年アリとおばあさんとの関わりの物語です。2つめは、読み書きができないために農地を奪い取られた、おばあさんの父親の物語です。
12歳までの子どもたちにとって、「学ぼう、自分のために、未来のために」は、勉強をしないと大変なことになるという恐れを与えると同時に、勉強すればよい未来を築けるという自信を与え、注意を喚起します。物語は、遊んでばかりいることは確かに楽しいけれど、学校に行かないことは良くないと結論づけています。
 “人口は多いが、そのほとんどが貧しい小国”(企画からの引用)、というバングラデシュの状況下では、子どもたちに少々の恐れを抱かせることは、それほど悪いことではありません。バングラデシュでは、9〜12歳までの子どもの多くが学校を辞めてしまうそうです。現実には世の中には、学校へ行かないことで良い仕事につくことができず、「悪い人」からだまされることすらあるのだ、と、子どもたちが理解することは、森に入ったら毒ヘビに注意を払わなければいけない、と学ぶことを同じくらい必要です。学校へ行くことと、楽しく暮らすことは、両立できるのだ、と子どもたちは知るでしょう。
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