第32回「日本賞」<2005年>特別賞

特別賞
ユニセフ賞
番組名:遊牧民の子どもたち
機関名:レオアーツ・コミュニケーション
国名:インド
番組内容
 この番組は、都市部に住む子どもたちに、遊牧民の子どもたちのまったく違った暮らしぶりを伝えると同時に、理由もなく犯罪者扱いされてきた遊牧民たちの権利向上をも目的として制作された。
  7才のインドの少女、シュルティちゃんが、初めて遊牧民のこどもたちと交流し、インタビューする。子どもたちは「飛行機に乗ると空で神様にあえるの?」と聞いてきたり、誕生日をたずねると「そんな小さい時のことはわかるわけないでしょ?」と答えたりなど、さまざまな質問が返ってくる。シュルティちゃんにとっては、素朴なカルチャーショックの連続になる。絵を描いても、遊牧民のこどもたちは動物園ではなく、暮らしの中で野山で会った、孔雀など野生の動物の絵を描いている。お互いが、子どもらしい気持ちで言葉を交わす中から、次第に異文化への興味と理解を深めていくのである。
審査講評
 ユニセフの目的である「子どもに声を」は、この短い番組の中の、インタビュー部分で、真摯に実現されています。インタビューをするのは、私たちが住むのと同じような発展した社会から来た子どもで、インタビューを受けるのは、まるで原始時代に生きているような遊牧民の子どもたちです。遊牧民の世界では、お湯、飛行機、誕生パーティ、スーパーマーケットなどは存在しませんが、至上の神は確かな存在です。
 インタビューをするのが、もし、遊牧民の子どもたちと同じ無垢で素直な子どもでなかったら、見下すような言い方になっていたかもしれません。これはまるで「相互誤解」が未知の世界の扉を開いたようなものです。視聴者の中に、遊牧民は劣っていると考えている人がいたとしたら、この番組には、その考えをくつがえす驚きのシーンがあります。それは、遊牧民の子どもたちが描いた、才能にあふれる絵の数々です。この番組は、まるでポエムのようです。忘れられない番組の1つになることでしょう。
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