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中国東北部の町、長春市の一角に、中日友好楼と名付けられたアパートがある。ここで暮らしているのは、戦争の末期、街に捨てられていた日本人幼児の命を救い育ててきた養父母たち。中日友好楼はそんな養父母への感謝を示したいと1990年、日本の篤志家が寄付をし、その資金で建てられたものだ。様々な困難を抱えながらも、「子供には何の罪もない」と‘敵国’だった日本の子を懸命に育てた養父母たち。そんな育ての親を心から敬愛してきた孤児たち。その多くが肉親以上の強い絆をもった家族として暮らしてきた。しかし、孤児たちの日本への帰国、永住事業が始まると、家族の運命は大きく変わっていく。
いずれは養父母も招き寄せようと、豊かな日本への帰国を決意したものの、既に中高年になった孤児に言葉の壁は厚く、働き口もなく、永住帰国者の6割もの人が生活保護での苦しい生活を余儀なくされている。一方、年老いてひとり取り残された養父母たちも、支えとなる筈の愛する子を失って、孤独と不安で寂しい日々を送っている。かつて戦争に、そして今また時代の波に翻弄される養父母と孤児たち。中日友好楼を舞台に、懸命に生きていこうとする人々の優しさと悲しさ、そして厳しい現実をみつめた。 |
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