第31回「日本賞」受賞企画

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番組企画部門
放送文化基金賞
企画名:炎の抵抗
機関名:言論表現の自由委員会
国名:ウズベキスタン
企画内容
 過去数十年にわたり、中央アジアの国々(ウズベキスタン、タジキスタン、カザフスタンなど)では焼身自殺をはかる女性が後を絶たず、国際的に注目されはじめている。その数はウズベキスタンだけでも1年に200件以上にのぼり、そのおもな理由として、貧困や家庭内暴力、人種差別、そしてテロに関わる人権侵害などが挙げられる。
この企画は、焼身自殺をする中央アジアの女性たちを取り上げ、その心理的・社会的な原因を探っていくものである。また、女性の権利向上を訴えるとともに、追い詰められた女性たちのために、避難所やリハビリ施設などを有する支援組織なども紹介する。
審査講評
 「炎の抵抗」は、焼身自殺を図るウズベキスタン女性たちの苦境を描いた、感動的で説得力のある番組企画である。今日、女性、性差別に関する社会問題が世界的に取りざたされることは多いが、この番組が実現し、問題が社会において注目されれば、ウズベキスタンでの公共教育の発展や女性の解放に大いに貢献できるはずだ。企画者であるプロデューサーは大きな勇気をもって、このような物議をかもしだす、焼身の話をドキュメンタリーとして制作しようとしている。審査委員一同が、この企画の番組化は、女性に関わるあらゆる社会問題の解決に画期的に役立つのではないか、と考えた。社会を変革する有効な手段やその運動を促進するカタリストとして作用するだろう。
 確かに、放送するテレビ局があるか? 検閲された場合、放送は可能なのか? など疑問は残る。しかし、熟考した結果、プロデューサーはなにか別の手を使ってでも、視聴者にこの番組を見せるだろう、との結論に達した。若い熱意にあふれた、この企画のプロデューサーは、番組のアイディアを売り込んでいるのみでなく、女性の生活、地位を向上させようとする運動の草分け的存在であり、その決意のほどをありありと見ることができた。
制作者コメント
エルミラ・ハサノヴァ
記者/プロデューサー

 正直に言いますと、この私がこんな格式のある賞を受賞できるとは夢にも思っていませんでした。NHK,放送文化基金のみなさまに心から感謝いたします。ウズベキスタンは、経済的、政治的にさまざまな問題を抱えている国で、言論表現の自由委員会は、その困難な状況の中で民主主義原則を基に意見していくことを最大の任務としています。今回放送文化基金賞を受賞し、「炎の抵抗」を制作することになり、ウズベキスタン女性の生活、地位の向上に貢献する機会を持てました。私がこのチャンスを得たことを知った世界の友人たちが、次々と「日本賞」ウェブサイトを訪れています。本当にありがとうございました。
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