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「ボタニカルアート」で春を感じる

  • 2024年3月28日

こんにちは!「ほっとニュース道央いぶりDAYひだか」道央担当リポーター、坂井里紗です。雪が徐々にとけてきて、うららかな気候が増えてきました。春ですね~。そんな今の季節、開花が待ち遠しくなるような展示会が、札幌市にある豊平公園緑のセンターで開かれています。

自然の草花などを本物に忠実に、細密に描写する「ボタニカルアート」の展示会です。会場には、「さっぽろ植物画同好会」の「豊平公園緑のセンター教室」で学ぶ先生と生徒の作品、63点が展示されています。

初夏、釣り鐘状の花をつける「ホタルブクロ」。りんと咲く花のようすを微妙な色使いで表現しています。また、葉の生え方や葉脈、緑にさす赤みまで綿密に描かれています。

また、去年、緑のセンターで育てていた「フウセントウワタ」を描いた作品は、何度も作者がセンターに足を運んで制作されました。かわいらしく咲く花や今にもはじけそうに膨らんだ実のほか、綿毛のやわらかさが繊細に表現されていて、軽やかに舞っているようです。

さらに「松ぼっくり」を描いた作品。うろこ状のりん片の開き具合まで綿密に描写されています。

作者の清水澄子さんによると、数年かけて描いたものを一つの作品にまとめたそうです。

さっぽろ植物画同好会 清水澄子さん
「立体感を出すため、りん片の中はかなり濃く色を入れないといけないんですけど、『これでいいかな』『もう少し入れた方がいいかな』と少しずつ調整して立体感を出しました。また、質感も大事にしました。先の方まできちんと色を入れないと固さが表せないので、そういうところを見てほしいです。成り立ちを観察し、植物の主張する力強さを大事にするとメリハリがついて、生き生きとしたものが描けると思います。」

作品には、豊平公園内の植物が描かれているものもあります。センターの畠山幸子さんもよろこびを語ります。

豊平公園 緑のセンター 畠山幸子さん
「細かいところまで観察して描いている作品が多く、公園の中の植物をこんなに見てもらえているのもうれしいです。自分でも気が付かなかったようなことが作品の中に込められているのが勉強にもなります。植物の形や、それが生きる力に繋がっていることが全部見られるので、お花だけじゃなく葉や根など細かく見ていただけたらと思います。」

これらの作品がどのように作られているのか。同好会の代表、福澤レイさんが描いたタンポポの葉です。葉脈や葉のつき方まで詳細にデッサンした後、何度も絵の具を塗り重ねて本物の色に近づけていきます。ボタニカルアートは背景や鉢などを描かないため、モチーフの中で影や光を描くことで立体感を出します。

【左側は右側にさらに色を重ねたもの】

今回、なんと「フウセントウワタ」を描いた、ボタニカルアート歴24年の佐藤潤子さんが、初心者の坂井に描き方を教えてくれました!

佐藤さんが使っている材料をお借りしました。植物を測るための定規のほか、さまざまな太さの筆や濃さの違う鉛筆、重ね塗りをした時に下に塗った色が透けて見える透明水彩絵の具です。今回描いたのは、真っ赤に育ったミニトマト。すこし細長い品種です。実寸を測ったあと、よーく観察して、光がどこに当たっているか、どんな色なのか、どんな丸みかなどを考えながらデッサンをしていきます。これが重要!手順を踏んで少しずつ丁寧に輪郭をかたどります。この、丸みやへたを描くのが難しかった!

いよいよ色を付けます。…あれ?赤いミニトマトなのに黄色?これが、佐藤さんのいきいきとした作品を描くためのポイントのひとつです。

さっぽろ植物画同好会 佐藤潤子さん
「赤い実の時、私は黄色を先に入れます。そうすると、赤が強くきれいに見えます。黄色の上にピンクを塗ってオレンジを作ってから『赤』にしていくんです。ミニトマトが木になっているところを想像すると、グリーンから黄色、オレンジ、赤になっていく。その実が持っている特質や個性を頭の中に入れると色が上手につけられると思います。」

どんな作品が出来上がったのか…!ぜひ放送でお楽しみください!

さっぽろ植物画同好会 佐藤潤子さん
「私はパッションだとか情熱だとか、『命がある』ということを絵に表現したいと日々努力しているんです。『上手ね』って褒められるよりも『生き生きしているわね』『本物みたいね』と言われる方が、私はとても最高の誉め言葉だと思います。」

取材後記

私がうかがった日は朝から多くの人が訪れ、顔を近づけて作品に見入っていました。あちこちから、「すごい」「はぁ~!」というような感嘆の声があがり、その細密さに感心していました。

教えてくれた佐藤潤子さんは、ボタニカルアートの講師としても活動されていて、去年までNHK文化センター札幌教室でも教えていたそうです!描きながら、何度もほめて伸ばしてくださり、集中して楽しく描くことができました!観察すればするほど、命の輝きや生命力を感じていとおしくなってくるんです!植物の見え方が変わった気がします。佐藤さん、いや佐藤先生!ありがとうございました!

この展示会は、31日(日)まで開かれています。また、5月14日から札幌市民ギャラリーでも展示会が開かれるということです。みなさんも「ボタニカルアート」を見て、“春めき”を感じてみてはいかがでしょうか。

道央いぶりDAYひだか
坂井里紗
2024年3月28日

たくさんのクライマーが訪れるという美唄市にある「クライミングウォール」。長く愛され、守られ、多くの人の輪ができました。私も初挑戦しましたよ!
市内外から「クライマー」が集う美唄

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