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【取材記】70年ぶりに復刻された少女の日記~高橋タカ子さん

2015年11月13日(金)

視覚障害ナビ・ラジオを制作している遠田です。

15日の「視覚障害ナビラジオ」は、「ある盲女の日記から」。70年ぶりに復刻された本の著者・高橋タカ子さん(95)のインタビューです。お住まいの浜松市を訪ねました。日差しがたっぷり入りこむ居間で、小鳥のさえずりを聞きながら、じっくりゆっくりお話を伺いました。

こんなふうに齢を重ねたい・・・そう思いました。大正9年生まれの95歳。足腰は弱っているというものの、声には力がみなぎっています。拡大読書器を使って本を読み、俳句をひねり、ラジオのスポーツ実況を楽しむなど、今も好奇心が旺盛です。「巨人が負けるとね、機嫌が悪くなるの」と茶目っ気たっぷりに笑う姿は本当に愛らしく、まわりの空気を和ませます。


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拡大読書器の前で高橋タカ子さん

 

そんな高橋さんが少女だった頃に書いた一冊の本が、昨夏70年ぶりに復刻され反響を呼んでいます。寄宿舎生活を送った東京盲学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)での日々をつづったもので、昭和17年に出版されました。高橋さんはその中で、先生や仲間との他愛ないやりとりを軽やかに語りながらも、視覚障害であることへの葛藤や女性ゆえの生きづらさなども躊躇なく吐露しています。人の悩みや苦しみは時代の今昔を問わないのだということ、そしてその過程が人を大きく成長させるのだということに、私は思いを深くしました。社会に鋭く切り込む場面も多く、一少女の成長物語としてだけではなく、戦前の盲教育を知る貴重な資料としても注目されています。


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昭和17年の初版本


​本の題名は「愛情の庭」。編集者がつけたということですが、それはきっと、学び舎の庭であり、教育の庭であり、人生の庭であるだろうと高橋さんは話していました。番組では、本の一部を朗読で紹介しながら、当時の思いを聞いています。かつての自分をいとおしむように語る高橋さんの姿が印象的でした。出版から70年の時を経て、ふたたび世に出た少女の日記。綴られた言葉は、あなたにどう響くのでしょうか。


視覚障害ナビ・ラジオ
 若き盲女の日記から―高橋タカ子さん―
     2015年11月15日(日)[ラジオ第2] 午後7時30分~8時00分
  (再)2015年11月22日(日)[ラジオ第2] 午前7時30分~8時00分
 らじる★らじる

▼関連情報
 高橋タカ子さんの著書「愛情の庭 復刻版」
 社会福祉法人桜雲会

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